曖昧な味

なめくじ

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曖昧な味

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今日もなかなか寝つけなかった。私はのっそりとこたつから這い出し、床のものを踏みつけながらキッチンに向かった。冷蔵庫を開けると、冷気と眩しさに狼狽した。そして、彼から貰ったピンクのチョコレートの箱を取り出し、その前に正座した。私は大事に取っておいたそれを、胸を弾ませ勢いよく開けた。四角、丸、そしてハート、6個の宝石はキラキラとした目で私を見ていた。色も様々で、黄色や緑、茶色、赤、とてもカラフルだった。1番気になった丸い黄色のチョコレートを頬張ると、口いっぱいにゆずの香りが広がった。次は四角。上に粒が散らされていて、黒ごまの香りがした。ひとつずつ丁寧に味わい、最後に真っ赤なハートをパリッと噛んだ。感じたことのあるような、甘酸っぱく悲しい香りがした。しかし、それが何の味かを例えることは出来なかった。もう半分のハートを舌の上でゆっくりと溶かしたが、ハートの味だけはどうしてもわからなかった。
今日も忙しいのかな。電話、したいのに。
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