家畜少年の復讐譚〜虐められていた俺はアクマ達を殺した〜

竹華 彗美

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六話 平民は王と貴族に弄ばれる

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 その日の修行が終わったあとの夕食。なぜか険悪なムードに包まれていた。なにやら勝ち組の連中同士が喧嘩したらしい。そのせいか俺の食事はいつもなら親切に用意されているが、今日に限っては用意されていなかった。これで今食事を取りに行ったらいつもとは比較にならない仕打ちを受けそうなので、今日の夕食はルエルと一緒に食べることにした。今日は食堂に入らない方が咎められないと本能で悟った。
 ルエルは俺たちが夕食を取っている時、いつもなら訓練場で訓練をしているが、俺が姿を見せ状況を話すとすぐに夕食を食べようと言ってくれた。
 ルエルはもうクラスの内情を把握し切っているので、包み隠すこともしなくていい。それに俺はスキルもあるのであいつらに対する恐怖はなくなっており、表ではしたがってるふりをしてればいい状況だ。
 ルエルは自室に俺を連れ、メイドが食事を運んできてくれるのを待つ。メイドは俺がルエルと一緒に居ることをさぞ疑問に思って冷たい目で見てきたが、あとで今流れているのは単なる噂だということをルエルからメイドに伝えてくれたお陰で、翌々日くらいからはメイドの目は通常通りになった。
 食事を食べながら会話する。

「誰と誰が喧嘩してるのかわかるのかい?」
「いや。多分勝ち組の連中の中でだと思いますが。」
「ふーん。エキソンにでもあとで聞いてみるか。」
「エキソンさんとは本当に仲がいいんですね。」
「まぁ小さい頃からの付き合いだし。親同士も仲良いしね。父さん同士も……仲よかったから。」

 "父"という言葉を口に出すとルエルは思い出すんだろう。偉大な父の姿が。懐かしそうに、寂しそうな顔をする。そして現実に戻ると謝る。

「ごめんごめん!僕ってばいっつも父さんの話になるとこうなる!!元気出さないと!怒られちゃうよね?父さんにも。」

 まだ顔は寂しそうだ。背中をさすってあげたいが生憎まだ触ることはできない。こういうことは言葉で解決できるようなものではない。だから俺は黙ってその様子を見守った。





 その後、少ししてみんなが食堂から出る前には部屋に着くようにする。彼の部屋の前でルエルは"明日も頑張ろうな!"とだけ声をかけ修行しに行った。今日は確実に誰かにボコられると思いながら掃除用具室に入る。
 その五分後、みんながゾロゾロと部屋に入ってくるなか、一人が声を荒げる。

「マジで碓氷うざい!!あいつ明日会ったら絶対ぶっ潰してやる!」
「富川くん、落ち着こうよ!」
「うるせー山根デブ!!ここに来てから這い上がってきた分際で楯突いてんじゃねぇぞ!?お前一人ぐらい家畜組にすることできるんだからな!?」
「デブだなんて、酷いよ~!!」

 山根は少し涙目になったような声で言う。

ーーーーー

 山根 慎之介やまね しんのすけはこの世界に来てから勝ち組となったぽっちゃり系男子だ。元は負け組の中でも下の方にいて家畜になる一歩手前まで行ってた。
 しかし、野村によると異世界ここに来てのステータスがクラス内でも素晴らしく、今では勝ち組となり、もとは同じ地位にいた負け組のやつらをこき使っているらしい。
 俺に対するあたりは強く、俺のようには絶対になりたくないと、必死になって勝ち組の命令を聞いていた。時にはこいつとのセックス動画をクラス内にばら撒かれた時もあった。もちろん俺は首輪つけて縄で手足縛られてられる方だったけど。

ーーーーー

 俺としてはこいつは後回しでいい。あまり気にしていない。

「山根、今は黙ってろ。俺でも富川は止められないから。あいつの好きにさせてやれ。最悪、豚に処理すればいい。」

 最後の一文だけ武田の悪意のこもった発言は俺のいる掃除用具庫に向けて発された言葉だった。その言葉を聞いて山根はニヒッと笑ったような声で"そうだね"と呟いた。

「クソ!!!なんであんな奴にこの俺が!クソ!!あの女!ステータスが高いからって調子に乗りやがって!」

 壁を思いっきり蹴ってくる。あれに蹴られる運命もそう遠くはないんだけど。俺はそう思うだけで体が重くなる。

ーーーーー

 碓氷 千鶴うすい ちづるは元は負け組、今は勝ち組の女子だ。髪はいつも一本縛りで、ちょっとつり目なところが特徴。元は美術部員でコンクールでも目立った成績は無かった。
 ただ異世界ここに来てからは彼女にとっては世界が変わっただろう。いつも女子の中心的存在である瀧澤の元にくっつき、負け組を蔑み、俺には冷酷な言葉を突き刺す。それが可能になった彼女は心底自分の力に自信を持っていることだろう。


ーーーーー

 だから今回、元から勝ち組。そしてクラスの中心核である富川と対等に渡り合える事が出来て、上機嫌になっているに違いないのだ。
 俺はこいつは早めに処分したいところではある。過去に因縁もあるし。女子の中では嫌いな方だ。

「クソクソクソクソクソ!!!!!!」

 まだ富川はそんな言葉を繰り返しながら壁を蹴っている。その音は当たり前ながら城内でまだ仕事をするメイドたちや兵士には聞こえている事で、結果訪れた大人たちによって説得させられた。
 隣の部屋でその様子を聞いている碓氷の心からの嫌味のこもった笑顔は想像できる。さぞドス黒い心の持ち主なのだと分かるぐらいに。


 大人たちに説得され、彼らが帰った後は武田が心を落ち着けさせるために声をかけていた。そしてその時がやってくる。

「そんなにムカつくならさ、豚くんでストレス発散すればいいじゃないか?どうせあいつはそういうことにしか使えないんだからさ!」

 全く酷い言い方だ。散々俺にモノを取られたことも自覚できないおバカさんに言われるとは。なんて嫌な気分なんだ。

「おい!!豚!!出てこい!!!」

 そのおバカさんの言葉を聞いた富川はすぐさま俺にそう呼びかける。俺は黙って出るしかない。あー憂鬱。

「はい。ご主人様。」
「裸になって跪け!!!」

 声を荒げる富川。俺はその命令に従った。

「おい、松川!」
「なんですか!?」

 少し怯えたような声で言った彼は松川 昴まつかわ すばる。勉強組。勝ち組でも負け組でもない。おっとりとしたその顔立ちは優しい雰囲気を感じるが、そんなことはない。本性を表せば最低な男だ。
 俺に対しては勉強組の性暴力でもかなり協力的で、最初の頃なんか俺が嫌がると親が病院経営してるからとか言って麻酔剤持って打ってくれたり、俺の陰茎を思いっきり蹴ってくれたり踏みつけたりと残虐なことをしてくれた。
 まぁこいつも早めに潰しといたいが、俺と同じ目にあって貰うためには、まだ手を下さなくてもいいか。

「お前のスキル使え!」
「は、はい!!!」

 後からルエルから聞いた。松川のスキルは自分がいる位置から一定範囲の空間を無音とするスキル"無音の殺戮者サイレントキラー"があるらしい。それを聞いたのでやっぱ変更。スキル奪えるようになったらあいつのスキル、まず奪ってやろ。

 
 まぁ今はそんなことはいい。俺はこの状況で果たして無事に生き残れるだろうか。

 その心配は無用だった。なぜなら富川は俺を思いっきり蹴り、殴り、踏みつけ俺の体力がなくなってくると回復魔法をかけ、そして回復したところをまた暴行を振るう。途中から山根、野村、武田も参加。野村は無論弱い。それが三時間くらいか。ギリスキルの能力転送に被らず解放された。
 しかしこれ繰り返されると肉体的には問題ないけど、精神的にきつすぎる。体力で精神は補えないからなぁ。困ったものだ。


 解放された俺はすぐさま命令に従い、掃除用具庫へと戻った。だいぶ俺を虐めたお陰で気分が晴れたみたいだが。俺の精神はボロボロだった。しかし能力が転送されてきて仕舞えばその心もリフレッシュ!

『スキルの発動により、武田 正俊たけだ まさとしの能力を手に入れました。体力1500。更新しますか?』
「イエーース!!!!!!」


『更新完了しました。』

 
 なんということでしょう!!!!一回に500も吸収できるようになりました!今日だけで1500!!あの暴行を耐えたお陰かなぁ。

ーーーーー

齋藤 誠さいとう まこと (男)
十七歳 人間族

体力 2300
魔力 40

剣術 lv1
魔術 lv1

称号 家畜以下の存在 スキル復讐者アベンジャーを獲得
復讐者の逆襲 スキル復讐者アベンジャーのスキルレベルの上昇ペースアップ

スキル 復讐者アベンジャー lv2
 一日に一回。最初に触ったものの持ち物・能力・命などをレベルに応じて一つ奪うことが出来る。このスキルを人に言った場合、その人からは何も奪えなくなる。
・最初に触れた人の何が欲しいかを念じる。日付が変わる十分前には奪ったものを手に入れられる。
・レベルに応じないものは奪えない。
・モノを奪った場合はその持ち物をどのように手に入れたかなどの記憶も同時に転送される。
・奪われた本人・このスキルを知らない者には本人の風貌がどれだけ変わろうとも気づかれない。

 lv3……一日に3個。モノは武器以外ならなんでも奪える。能力を少し多めに奪うことが可能。体力や魔力は使用者の上限値が上昇し、奪われた方は上限値が減少する。体力・魔力は0になるまでは奪えず、最低10は残るものとする。

ーーーーー

 うわぁ!さっきの約三倍まで伸びました!これはもうすぐルエルにも見せてあげよっかなぁ~!?いや、明後日見せよう!そうすれば3800!エキソンの半分の値にあと一歩でなる!!
 これだけいっぺんに取れれば武田の体力なんて一週間で奪い切れるんじゃない?



 翌日朝から暴行を受けた俺だったが、まったく身体的には疲れていない。それもそうだ。昨日の三倍になっているのだから。今日はこの時点で武田に二回触ることが出来た。これで1000は確実だ。  
 

  その後部屋の掃除が終わった後、食堂に行く。そこでは既に富川と碓氷が喧嘩している。

「私がなんであんたにそんな責められなきゃいけないの?あんたが避ければよかったじゃない!!」
「お前は俺にわざとぶつけてきただろ!?なんだ?前までこき使ってやってた恨みか?おい!!」

 そう富川が言うと食堂の椅子を思いっきり蹴り上げる。

「そのブス面、もっとブサイクにしてやってもいいんだぞ!?」
「はっ?前から思ってたけど、なんで私があんたみたいな奴にそんなこと言われなきゃいけないのよ?すこしバスケができて、すこし頭が良いだけじゃない?なんであんたがクラス仕切ってんのよ!?」
「はぁ?そんなの決まってんだろ!?俺は勝ち組だからだよ!?」
「勝ち組なんて誰が決めたのよ!!」
「そんなのこのクラスに決まってからずっと、そういうことになってんだろ?最初の日、お前らが緊張して何も言えなかったあの場でクラス長に立候補したのは誰だよ?文化祭のクラス展の案だしたの誰だよ?修学旅行の実行委員長は誰だった?──ぜーんぶ俺さ!!!お前だってそれに従ってきただろ?俺がリーダーで何が悪い!ここにきても一番強い俺がリーダーで何が悪い!!言ってみろよ!普段なんにもしねぇクセにこういう時だけ女王様気取りして、クラスの雰囲気壊してるくそ女!!」


 うわぁ、怖。殺されそう。

 確かに富川はクラスのリーダーだ。何でも偏りなく出来るし、信頼も厚い。
 でもキレるとこうなる。あたかも"俺は一番偉いんだ。王の決定に平民は付き従えばいい"と言ってくる。だから俺らのクラスは酷い格差が生まれる。上は何でもすることを許され、下は何もできない。そう。俺のクラスは"富川の恐怖"で出来上がった"富川の理想のクラス"なのだ。
 それに反抗しようとする負け組へいみんがいれば富川おう勝ち組きぞくに命令し負け組へいみんを押さえつける。
 

「あんたみたいな強行に走る独裁主義者が嫌だって言ってるのよ!」


 おー!言い切った!でももう遅いかな。


「独裁主義者?俺が?どう思う?武田、瀧澤、野村?」

「いや、富川は独裁主義者なんかじゃないよ。だって昨日の練習だってみんなの為に回復魔法だってかけてくれてたじゃん!それで勝ち組おれたちの意見も聞いて適度に休憩とか作っててくれたし。」
 と、武田。

「うんうん。富川はみんなの意見を尊重してまとめてくれるしね。どちらかというと民主制を取ってると思うけど。逆に碓氷はよくここに来てからそこまで味方をつけられたものだよ。さっき脅してるの見えたけど?それこそ独裁主義者じゃないの?」
 と、野村。

「そうね。私も富川くんは民主主義だと思うけど。そこの碓氷さんはどうかしら。自分の姿を見ればわかるんじゃない?昨日密かに胸あたりが痣だらけになった美代子が私に相談してきたの。誰にやられたかって聞くと碓氷さんにやられたって。胸部分を殴りながら"私のチームに入らなかったらこのまま殺す!"って言われたって。しょうがなく入ったけど、命令に従わなかったら殴られて……」
「私はそんなことしてな……ッッツ!!」
「ひぐ……ひっ……ひっ……」

  だからもう遅いよ。

 一人泣き始めたのは双葉 美代子ふたば みよこ。負け組の一人である。今は碓氷が暴行を振るっているということになっているが、俺は知っている。彼女に暴力を振るうのは瀧澤だということを。


ーーーーー
 
 彼女は負け組。それでも瀧澤に常にくっついていることから、富川、武田、野村以外の男子。瀧澤以外の女子には負け組でも上の方だと位置付けられている。
 しかし現実では双葉は瀧澤の奴隷である。双葉と瀧澤は小学校からの付き合いだった。小学校の頃は仲は良かった。
 
  でも主人と奴隷の関係が生まれたのは中学一年の時。もともと気の弱い双葉はクラスの雰囲気に馴染めず、教室の隅で一人過ごしていた。
 しかしそれと対照的にリーダー格となった瀧澤は、教室では一人だった双葉を放課後、家に呼ぶことが何度もあったという。その時にそこそこ頭のいい双葉は瀧澤の宿題をやったり、テストの補習をやっていた。それをやると瀧澤は双葉を異常なほどに褒め、学校でも可愛がってもらえるようになっていた。
 
  中二にあがり、体は大人の女性になる。双葉は身長も伸び、胸も学校一大きく育ち髪もサラサラ。顔も整っている。一方瀧澤は髪はゴワゴワ。そこまで身長も伸びず、胸も双葉の隣に並ぶと恥ずかしいくらいに貧相だった。しかし瀧澤はリーダーとして地位を守り続け、双葉も瀧澤の近くにいて容姿が可愛いと人気があった。
 しかし次第に勉強もできる双葉がリーダーとなり始め、瀧澤は双葉に強い憎しみを持つようになる。双葉はそんな憎しみにも気付かず、自分がクラスのリーダー的存在だということも自覚しない。
 そこで瀧澤は家に呼ぶとこんな話を持ちかけた。

「ねぇ、えみちゃん。」
「なに?まさこちゃん。」
「私ね、この頃こんな噂されてるの。まさこちゃんよりえみちゃんの方がいいよね~。髪型も可愛いし、体系も理想像だし!それに勉強もできるし!──それに比べなんかまさこちゃんって怖くないって。実はまさこちゃんはえみちゃんがいなかったら、何にもできないって。まさこちゃんとえみちゃんほんとは仲良くないって。」
「えっそんなことはないよ!まさこちゃんがいなかったらわたし、今でも学校楽しくなかったもん!まさこちゃんのおかげだよ!」

  双葉は感謝していた。でもそれが瀧澤には余計気に食わなかった。

「じゃあ髪切ってよ。」
「えっ?なんで?」
「私の髪ってゴワゴワじゃん?でもえみちゃんの髪はサラサラでしょ?それが変な噂を起こしてると思うの。だから切らせて?そうしたらもっと私たちの関係良くなると思うんだ~!」
「……う、うん。まさこちゃんがそういうなら、もっと仲良くなれるなら……そうするよ?」

 噂に対しては適当な作り話だった。文意も通じてない。でも双葉は引っかかった。どこに引っかかったか。

「もっと瀧澤と仲良くなりたい。」

 という気持ちだ。仲良くなりたいならなんでもする!彼女はそう思ううちに瀧澤の奴隷となっていく。
 まずは髪を切られ、その次にチョコレートをいっぱい食べさせられニキビができると潰され、日焼けサロンに行きシミを作られ、最後には全身暴行を受ける。特に胸には。瀧澤の強い憎しみが生んだ支配。
 それはいつしか彼女を洗脳していく。

「これをやれば、まさこちゃんに気に入ってもらえる!これをやれば、まさこちゃんともっと強い絆が生まれる!!これをやればまさこちゃんは自分を愛してくれる!!!これをやれば……これをやれば!これをやれば!!!!!!!!」

 そして双葉は気づいていない。暴力を振るわれることは異常なことだと。彼女にとっては瀧澤に暴力を振るわれることが幸せなことだと思っている。彼女の思い通りに動けば、楽になれる。


ーーーーー

 今彼女は泣く。瀧澤に振るわれた胸の痣を見せながら、必死に瀧澤しゅじんに褒めてもらえることを想像しながら。『碓氷がこの痣をつけたのだ』と主張する。
 負け組の彼女がそういえば他の負け組は負け組のトップに立つ彼女を庇おうとする。そんな彼女をこんな目を合わせた元負け組は勝ち組にも切り捨てられ負け組にも見捨てられ、その先にはかちくという存在になる。

「わたしはそんなこと……」
「碓氷さんがやってきたの!昨日の夜呼び出して!最後には斎藤くんまで呼び出して!!斎藤くんは私を犯して!碓氷さんはそれを見て!!……わたしっわたし……」

 うわぁ、最悪だ。俺まで巻き込まれた。

「はっ?斎藤?あんな家畜となんて、わたしが行動するわけないじゃない!!?」

 もう碓氷を見る全員の目は痛々しい。俺とまで関わったって言われてしまえば自分で言うのもなんだが終わりだ。あいつの運命は決まった。

「まさか。自分から俺のことを独裁者とか言っといて、双葉に暴力を振るって脅すなんてな!どっちが独裁者なのか!?みんな、どう思う?まだいるんじゃないのか?碓氷に脅迫を受けたやつ!」

 そうすると全員の女子が手が上がる。そうするしか自分を守る方法はない。手を上げないことなどない。

 そして最後に富川おうはいう。

「みんな。僅かな時間、クラスを困惑させたこいつをどうするべきだと思う?」

 そういうと全員が口を揃えて言い始める。

「「「家畜!!!!家畜!!!!家畜!!!!家畜!!!!家畜!!!!」」」

 それは最底辺の意味を表す言葉。そして碓氷が豚として生きることとなった最初の瞬間だった。
 その大騒ぎに反応したルエルとエキソンが食堂の扉の前でその光景を見届けていた俺に聞く。

「なんだこの騒ぎは!?」

 俺はただただ簡潔にまとめてルエルに見えないようにニヤッとして言った。

「碓氷 千鶴が家畜になりました」と。
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