余命2ヶ月の俺の青春

希望

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病院に陰陽師がいるとは

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「知らない天井だ」

俺の人生の中で言ってみたい台詞ベスト3であるこの台詞を言ってみた。まぁ現状から考えて、病院にいるのは分かるが。薬品の匂いとかするし。後冬優花にこの事が伝えられてないといいが。この事がばれたら、わざわざ家をでてきた意味がなくなる。

「とりあえず現状の怪我の把握をするか」

まず脇腹の骨折、左腕の骨折、心臓付近に刺し傷、まぁ骨折に関しては、どうするかね。凛じゃここまで重症なのは治せないし。入院で後の人生を棒に振るのは嫌だしな。何とかならないかね。するとドアが開いた。

「結月くんきた、、、、結月くん!」

すると寝るが目に涙を浮かべながら俺に抱きついてきた。うわ柔らかい感触に包まれてるわ。幸せー。

「もう目ざめないかと思ったんだよ。頭を打っていて、血も流しすぎてるって言っていたから、本当に目覚めてよかった。もう私の大切な人を失いたくはない」

そこまで心配してくれたんだな。これからは自分には泣いてくれる大切な人がいることを意識しよう。ひかるも冬優花も知ったら泣いてくれるだろうか?とりあえず癌もあるし、たんまり無茶はしないようにするか。

「あんまり無茶はこれからしないようにするよ。まぁ寝るがピンチになったら、何がなんでも駆けつけてやるが」

「癌のあるところにダメージがいかないようにしてね。そこにダメージがいくと何が起こるか分からないから」

「分かってるよ。それにしてもこの骨折どうするか?病院で後の時間を過ごすのは嫌なんだが」

「そう言うと思って僕が来たよ」

なんかショートカットの美少女が来たんだが、白衣を着てるところから見て、お医者さんか?ずいぶん若い気がするが。

「誰ですかね?」

「医者兼陰陽師だよ。その骨折なら僕が治すから、すぐに退院できるようにするよ。君はお金を持っていそうだしね」

要するにお金を払えば治すよと言ったところか。俺が一人部屋に来てることで、そう推測したんだな。

「お金ならある程度は払いますよ。百万でいいですか?」

凛がこのくらいの怪我だと大体相場はこのくらいと、陰陽師を使うときの相場は教えてもらってるからな。

「思ったより金額を払ってくれるんだね。いいよそれで怪我を治そう。輸血は済んでるから、怪我を治して少しリハビリをすればすぐに退院できるはずだよ。それじゃ始めるよ」

そう言って、この女医は俺の骨折した部位を触り呪符を取り出して、呪文を唱えて、一気に霊力を流し込んだ。すると骨がくっつく感覚がする。それを他の部位もやりもの数分で腕が動かせるようになった。

「これはすごいな、痛みは少ししか感じないわ」

「フッ僕の腕にかかればこんなもんさ。それじゃここの銀行に振り込みよろしく~」

そう言って、女医は去っていた。今さらだが、勝手に治療をして大丈夫なのだろうか?担当医に起こらせそうな気がする。

「まぁでもこれですぐに退院できるから、ねるとの楽しい青春をまた送れるから、よかったわ」

百万払ってもねるとの青春は送りたいしな。それだけの価値がある。怪我をしたら、これからあの人にお願いするか。ラインのIDも書いてあるし。

「あんなに大金をぽんと出せる結月くんなすごいよ」

「貯金は腐るほどあるからな。とりあえずナースコールを押すか」

俺はナースコールを押すと、医者や看護婦さんがやってきた。そして俺が腕を動かしてるのを見てまたあいつかという顔をしていた。

「どうやら怪我のほうは倉橋さんに治してもらったみたいだね。はぁーいっつもお金のためなら、こっちの了承を得ないんだから」

あの人倉橋っていうのか。土御門の分家に倉橋っていう家があった気がするが、その家系か?陰陽師だし、十分可能性は高いだろう。

「怪我は治ってるようだから、脳に異常がなければ、3日ほどで退院できるよ。それじゃ検査するから、彼女さんはでてもらえるかな?」

「か、彼女。、、、、それももいいかもしれない」

「こんな美少女が俺の彼女なわけないでしょ。まぁ友達以上の関係ではありますが」

俺はねるが誘拐されたとき、異常なほど心に怒り沸き上がってきた。もしかしたら俺はねるを好きなのかもしれないが、ねるは俺みたいな将来がもうない人よりも、イケメンでお金持ちと結婚するべきだ。だから俺はこの思いに蓋をする。

「そうなんだね、それじゃ検査をするね」

「結月くんはもう!」

そう言ってちょっと怒りながら、ねるはでていった。何か俺怒らせるようなかと言ったか?

「そいうことか、君の現状は理解してるけど、少しはあの子に向き合うべきだよ」

まるでねるが俺のことを好きみたいな言い方だな。そんな可能性ほぼないと思うんだが。ねるも俺の現状が分かっているし、わざわざすぐ死ぬやつを好きになるとは思えない。

それから病室をでて、MRを撮って、一時間くらい待合室で、ユニゾンエアーをやっていると、看護婦さんに呼ばれたので、診察室に向かうことにした。

診察室に入ると、医者が俺の脳の写真を見ていた。俺が入ったことを見ると俺に向き合う。

「特に異常はなかったよ。だから3日で退院できるね。楽しい青春を送れるといいね。医者からしたら、こんなことを言うのも歯がゆいたけどね。本当は治してやりたいから」

そういいながら悔しそうな顔を見せる。

「俺はもう納得はしています。それにこうならなければねるに会うこともなかったので、これも運命だと思いますよ」

そう言って俺は診察室をでたのだった。

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