余命2ヶ月の俺の青春

希望

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地元で買い物

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俺はトイレに行く振りをして、さっきのラグジュアリーショップに入った。すると店員は俺顔を覚えていたからか、不思議そうな表情をしていた。俺の顔が覚えられておるのはこの店に不釣り合いで、ねるがとなりにいたからだろう。

俺は店員を呼び、あの四つ葉形のネックレスをだしてもらった。

「これ買いたいんですけど」

「うちのショップでも高い方ですが、だせますか?値下げはできませんよ」

どうやら俺じゃ買えないと思って、怪訝な顔をしている。お客さんの顔で買えないと判断するなよ。俺はブラックカードをだした。すると店員は驚いた表情をした。

「ぶ、ブラックカード。一体何をしてる人なんですか?見た目高校生にしか見えませんが」

「小説家です。これでもそこそこ売れてるんです。何を書いてるかは言いませんが」

「そうなんですね。失礼しました。それでカードでお支払いで?」

「ええおねがいします。さすがにそんな大金は持ち運びしてないので」

「そうですよね。はい大丈夫です。これはプレゼント用の袋にいれますか?」

「お願いします」

さすがブランドショップなだけあって動きが上品だ。恐らくそこから指導されているのだろう。ねるもお金はないが、育ちのよさは感じる。元々親の教育がよかったんだろう。数千万借金するってことは会社を経営していたってことだしな。

「はい、できました。それではまたのご来店をお待ちしております」

「ありがとうございます。それでは」 

多分もう来ることないけどな。死ぬし。でもねるにはいい思い出にはなったかな。トイレで長いと心配されるから、早く行くか。

少し早歩きでねるがいる方へ向かった。ねるは本を読んでいた。その仕草が深窓の令嬢のようで周りはみんな見とれていた。あんまり時間が経つと、ナンパされかねないな。男集団がねるを見て相談してるし。 

「待たせたなねる」

あ、結月くん全然待ってないよー。ちなみにネックレスは財布の袋の中に入れたから、買ったことばれてはないと思う。

「それで次どこ行こうかな?本屋に行く?」

「そうだな、高島屋のは一通り見たし、本屋でも行くか。こっちだ」

高島屋をでて、外に行き、駅の中を通って反対の出口に行き、階段を降りて、信号を渡り、少し歩いた先に本屋の入っている建物に着いた。

「ここは結構色んな本が揃っているから、好きな本見つかると思うぞ。ねるはいつも図書館で借りてる感じだろ」

「うんそうだよ、でも学校の図書館だと限界があるんだよね」

「それなら好きな本選んできていいぞ。今日は俺が買う。一緒に両親に挨拶をしてくれたし、親もそれを望んでいるだろうしな」

「それじゃ買わしてもらおうかな」

俺達は建物に入ると、エレベータを上がり本屋に向かった。本屋に着くと、ねるは鼻をスンスンとさせる。

「やっぱり新品の本の匂いはいいよね」

ねるは匂いフェチなのかもしれない。いい香水でも買っておくか。ねるが気に入っている匂いってのもそれとなく聞いてみるかね。

「そうだな。それじゃまずどのコーナから見ていく?」

「うーんそれじゃ心理学コーナから行こ」

俺達は心理学コーナに向かった。社会心理学か、それとも臨床心理学なのかどれに興味を持っているのかね。

「ねるは大学で心理学を専攻する予定でいるのか?」

「うん、社会心理学を専攻しようかなと思っているよ。厳密に言えば行動心理学だけど。東大を目指そうかなと思っているよ。学費も安いし。さっき調べたら、収入によって、学費安くなったりもするみたいだし」

ねるの学力なら、十分狙えるだろうな。それだけ頭がいいから。安房高校からは初の東大生になるんじゃないか。田舎でも千葉県は電車が走ってるから、地域の進学校に行くケースは多いし。

「そうだな、国立なら年収によって、変わってくるな。だけどねるはアイドル目指すから、高い給料もらえるんじゃないか?」

「そんなにすぐにアイドルは無理だよー。櫻坂に入りたいけど、まずは経験を積んでからじゃないと」

「ねるなら今からでも櫻坂に入れる可愛さを持っていると思うが。ひかるにも負けてないぞ。幼馴染みの俺が言うんだから間違いない」

「可愛いだなんて照れちゃうよー。しかもトップアイドルと比べて、同じくらいだなんて。嬉しすぎてにやけちゃいそう」

ねるなら言われなれてると思うが、るなももゆいぽんもかなりのレベルだが、ねるも現役アイドルに比べて負けてない。それにダンスなら、入ってからでも間に合うだろう。ひかるだって未経験であそこまで踊れるようになったんだから。

「それより目的のコーナに着いたぞ」

するとねるは真剣な表情で、本棚に並んでいる本を見始めた。そしてなかをパラパラと見て、何冊か手に取った。どれも専門的なないようぽいやつだ。俺と違って、初級者じゃなくて、専門家が見るようなものを選ぶ辺りやっぱり頭のできが違うな。

「それでいいか?」

「うんこれで大丈夫だよ。それじゃラノベコーナに行って、結月くんの書いた小説を買いたいな」

「俺の書いた小説は純文学とはかけ離れているが、楽しめるか分からないぞ?」

「仲のいい男の子が作家の小説は読んでみたいと思うから、買うよ」

俺はそうかと言うと、ラノベコーナに向かった。
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