余命２ヶ月の俺の青春

初デートは楽しい

館山城に着くと、思ったよりも大きいことに驚いた。再建されてるから、千葉城ぐらいかと思っていたわ。俺達は自販機で飲み物を買って、中に入った。

｢ほぇー刀かあるねー｣

｢甲冑もあるな。かつて戦が起きた場所だと思うと、わくんくするな。俺は里見氏の子孫だから、なおさら感動するわ｣

｢近衛くんって摂関家の子孫じゃないの？｣

｢父方は藤原氏の子孫だぞ。母方が里見氏の一族のでなんだよ｣

近衛って言っても本家とは大分離れた親戚だが。江戸時代に分家した家の分家だからな。一族ってだけで、近衛家の子孫だと大々的には言えない。

｢そうなんだー。私は長崎出身だから、ご先祖様がどこの一族か調べられないんだよねぇー｣

｢ご先祖様が偉かろうと、今生きてる自分自身が大したことなかったらあまり意味ないだろ｣

結局一族が優秀だろうと、本人が優秀じゃなければどっかでぼろがでるのがおちだ。コネなんて入る入口が入りやすいだけだからな。

｢そうだね。頑張って公務員に就職しよう｣

そう言ったねるを見てみると、本音じゃない気がしたが、今は気にしないで、館山城の中を見ていた。

そして館山城の中を一通り見て、外に出た。歴史的なものが多く、興味を引くようなものばかりだった。

｢楽しかったね近衛くん｣

｢そうだな歴史的なものが多く楽しめた。生きていたら、一度でいいから城に住みたかったものだな｣

天守閣から町を見下ろしたら、結構風景が良さそうだ。きっと俺は高笑いをしながら、見下ろしていたことだろう。

｢城かー。確かに憧れるね。私もお姫様みたいな生活をおくってみたい｣

女子は誰しも姫に憧れるものだからな。男は殿様に憧れるものだ。大名とかな。それに何人もの奥さまでハーレム状態なのが羨ましい。まるで主人公のようだ。

｢それは誰しも思うことだな。それで次行きたいところあるか？｣

｢んー、ありすぎて迷っちゃうなぁー。ゲーセンに行ってみたい。プリクラと呼ばれるものを撮りたいなー｣

プリクラか、中学生のときにひかると撮って以来だな。高校生になってからはアイドル活動が忙しいのと、誰かに見られたら、噂でアイドル生命が終わりかねなかったから、行かなかったんだよな。　　

｢いいぞ。だけど美少女だから、プリクラをする前の方が可愛い可能性があるが｣

｢可愛いだなんて照れちゃうよー｣

そう言って少しほほを赤くした。照れてるのか？可愛いな。

｢言われ慣れてると思ったが｣

｢下心なしは始めてだよ。下心アリならいくらでも言われたことあるけど｣

やっぱりモテているんだな。だがお金がないから、誰とも付き合えない感じか。まぁそもそも下心あるやつと付き合いたいなんて思う女子はいないと思うが。　

｢そうか、それじゃゲーセンに行くか｣

検索したら、少し歩く距離だが、まぁこの範囲なら問題ないだろう。俺達はゲーセンに向かった。

｢近衛くんはゲーセンに行き慣れてるの？｣

｢よく一人でユーホキャッチャーとかやっていたからな｣

コインゲームはやらなかったが、だってあれなにも残らないからな。コインは遊ぶためのものであって、なにかに変えることはできない。
　　
｢そうなんだー。プリクラとかも撮ったことあるの？｣

｢幼馴染みと撮ったことあるぞ。高校生になってからはないが｣

｢やっぱ女子は女子と遊ぶようになった感じ？｣

｢幼馴染みはアイドルをやってるんだよ。だから週刊紙に撮られるとまずいから、二人きりでどっか行く機会が減ったんだよ｣

｢幼馴染みアイドルなの！すごい。メジャーなアイドルだったりする？｣

｢櫻坂だぞ。その中のひかるというやつだ｣

｢有名だし、人気メンバーじゃん。アイドルは憧れるなぁー。それにしてもよくあんなに可愛い子が幼馴染みなのに手を出さなかったね｣

そりゃ手を出したら、ファンに何をされるか分からないし、それに炎上して、アイドル人生も終わらせかねないからな。

｢まぁ幼馴染みで、近くにいたから、そいう対象に入らなかったというのもあるが｣

ずっと近くにいると、それが当たり前のように感じてしまうんだよな。今はもっと仲良くしてればよかったと思っているから、離れるとその特別さを理解するんだろうな。まぁ生きてる間は1ファンとして応援させてもらう。センターでいろんな表情と切れのあるダンスが好きだからな。

｢幼馴染みが私には同姓しかいないからその気持ちはちょっと分からないかな。まぁでも付き合っていたら、もっと苦しい思いはしたかもね｣

｢そうだな、付き合っていたら、黙って学校を辞めたり、引っ越すことはできなかっただろう｣

まぁひかるをそいう目で見ることはなかっただろうが。中学のときはこのまま付き合うのかなと思ったが、アイドルになってから少し遠い存在になってそれはなくなった。

｢そうだね、もし付き合っていたら、近衛くんと出会えなかったかもしれないと思ったら、私的にはこれでよかったかもしれないね｣

そんなことを言われたら俺は勘違いをしちゃうぞ。美少女に貴方と会えてよかったなんて言われたら惚れてしまうわ。しかも顔もなにもかもタイプだし。