余命2ヶ月の俺の青春

希望

文字の大きさ
上 下
9 / 48

どうやら相当切り詰めているらしい

しおりを挟む
やがてメニューが決まると、ねるも決まったらしく店員を呼んだ。すると主婦ぽい人がでてきた。まぁ専業主婦が田舎では主流とはいえ、少しでも稼ぎたい人がいるのはどこも同じだから、ここで働いているんだろう。

「注文はなにになさいますか?」

「ざる蕎麦でお願いします」

「同じものでお願いします」

「かしこまりました。ざる蕎麦が二つですね」

そう言って、店員は厨房に向かっていた。

「ねるはいいのか?安いざる蕎麦で。ここは俺が奢るんだぞ」

契約書には飲食、てまーパークに入る場合は基本奢るようにと書いてあったし。まぁ書いてなくても奢るつもりではいたんだが。

「軽いものを食べたいからいいんだよ。それに奢りで高いものを食べると、なんか金づるにしてるのかという印象も与えかねないし」

「それならいいが、あんまり遠慮をするなよ」

できるだけ美味しいものを食べてほしいからな。今度フランス料理店でも行ってみるか。千葉市まで行けば何かしらあるだろう。フレンチの美味しさを味わってほしい。

「それで今日は学校休みだったのか?」

「違うよー。私が金銭的にきついのが分かってるから、週三日しか学校行かないでいいから、休みなんだよ。普段はバイトしてるんだぁー。いくら働いても借金返すので、せいっぱいだけど」

相当切羽詰まっているんだな。学校が欠席をしてもいいなんて普通は言わないからな。俺が存命の間にいい思いをたくさんしてもらうか。ねるが俺と出会えてよかったと思ってもらうために。

「そうか、なにかできることがあったら言ってくれ」

青春小説に登場してもらう出演料としてそれなりのことはするつもりだ。俺は無償っていう言葉が嫌いだからな。何かしらのお返しをしたいと思っている。

「ありがとう。蕎麦まだかなぁー。外食なんて久しぶりだから、ワクワクするよー」

相当切り詰めているんだな。この辺にサイゼがなきゃそうなるか。サイゼがあっても借金返済できついのか。

そして学校でのことを話していると、蕎麦が来た。ねるは目を輝かせながら、いただきますと言って、食べ始めた。

「美味しいよ。外食はやっぱりいいよね」

「これからはいろんな所に連れてって行ってやるぞ。だから楽しみにしていてくれ」

「ふふありがとう。始めてのデート相手が近衛くんでよかったよ」

そう嬉しそうに微笑んだ。俺じゃなかったら勘違いをするような微笑みだった。まぁ俺はひかるとかに笑顔を向けられることが多かったから、勘違いはしないんだがな。

俺もいただきますと言って、食べ始めると、その美味しさに驚いた。やっぱり田舎の個人店は美味しいものなのか?これからは個人店で美味しい店を探してみるか。

「やっぱり美味しいよね?」

「そうだな。人気店になってもいいくらいの美味しさだ。都内にあったら、学生やサラリーマンOLで賑わっていただろう。まぁここに店を出すってことはひっそりとやりたいんだろうが」

都内に分店を出してもおかしくないくらいの美味しさだからな。間違いなく人気店にはなるだろう。

「だよねぇー。久しぶりに入った店が美味しい店でよかったよ」

フラッと近くに来たときここに通って、常連にでもなろうかね。
 
やがて食べ終わり現金で、お会計をさて店をでた。カードは使えなかった。まぁ個人店でカードを使えるところの方が少ないが。

「それじゃ館山城にレッツゴー!」

テンション高いな。もしかして城好きだったりするのか。それとも今まで余裕がなかったから、どこかに行くのが嬉しいのか。

そして館山城に向かい始めた。ボチボチ学校から、帰る人が出始めるから、目立ち始めるよな。ねるみたいな美少女は都会でも目立つからな。間違いなく視線を浴びるだろう。

「そういえばねるってなに高校通っているんだ?」

「千葉県立安房高校だよ。近くて一番偏差値が高い学校がここだったから、ここにしたんだー」

そこそこの偏差値の学校だな。偏差値が一番高いところにしたってことはまだまだ余裕はあるってことだよな。話してる感じだと頭のいいだろうとは思う。

「ちなみに偏差値は模試でどんくらいでたんだ?」

「80かな」

ほぼ満点じゃねーか。頭よすぎだろ。県立千葉高校も行けるレベルだろ。思った以上に頭がよく俺はあんぐりと口を開けた。

「その反応同じ高校の人もしてたよー。県立千葉行けるんじゃないかって、でも一人暮らしするにしてもあそこは家賃が高いから無理なんだよね。今の家は大家さんが、懇意で無償で貸してもらってるし。何年か前に亡くなったけど、無料で貸すという契約書を残してみたみたいで、今も無償で借りることができているんだよね」

無償?なんか父さんから、死ぬ前に似たような話を聞いたような。そこは俺が住む場所だったよな。まぁ違う場合もあるか。

「そうか、まぁ無料なら、そこに住むよな。大学は行くのか?」

「就職する予定だよ。大学に行くにしても交通費がかかるし。そもそも国立で無料になってもその他のものにお金がかかるしね」

もったいないと思った。そんだけ頭良ければ、東大も目指せるレベルだろう。美少女だし、東大に行けばそれだけで話題になる。ひかると双璧をなすほどの、有名人になれるだろう。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

将棋部の眼鏡美少女を抱いた

junk
青春
将棋部の青春恋愛ストーリーです

女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』

コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ” (全20話)の続編。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211 男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は? そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。 格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...