余命２ヶ月の俺の青春

きっといつかこれが色んな人の手に渡り感動を共有してくれることだろう。

ある病院で、俺は最後の遺作となる小説を書いていた。パソコンを打つくらいの体力はなくて、携帯に殴り書き状態だが。そして俺のベットの横には見目麗しい一人の少女がいる。そう芸能人にもなれそうなほどの美少女だ。この少女とはある立て看板に興味を牽かれ、神社の鳥居を潜ったら、出会った。最初はねるを中心に絵画なんだってくらいの衝撃を受けたものだ。まぁそれからいろんな所にでかけ青春を送った。まぁ悪くない人生だった。最後の青春にしてはむしろ良いほうだっただろう。

｢おぇ｣

｢大丈夫！結月くん！｣

俺はどこにでもある袋に嘔吐した。そろそろ限界が近づいてきているらしい。自分の体だから、死期はいつか分かる。ここでラノベだったらそのまんま異世界転生でも起こるだろうが、ここは残念ながら現実だ。このまま浮遊霊になるか、あるかも分からない天国に行くくらいだな。まぁその前に、この小説だけは完成させたい。これが最後で最高の傑作になると俺は思ってるからだ。これが俺がこの世界で生きた証になる。

思えば波瀾万丈人生だった。ひかると話しては嫉妬されて、嫌がらせをされたり、両親が失くなり、お金の無心をする親戚がいたり、妹だけ引き取ろうとして、下劣な感情を抱く親戚の男から妹を守ったり、挙げ句の果ては若くしてガンになったことである。

だが最後にこんな青春を送りたかったなという青春ができたので人生としては満足だ。まぁ童貞で死ぬのは多少の心残りだがな。本当に多少だよ？ユヅキウソつかない。

まぁこんなことを考えられるってことはまだ多少の余裕が残っているみたいだな。

｢ねる、最後までありがとな｣

するとねるは柔和な笑顔を浮かべて、俺の手を優しく握った。

｢結月くんといろんなことをしたお陰で、色んなことを知れたし、楽しかったよ。それにまだ最後じゃないでしょ。この遺作を完成してから、それを言ってね｣

｢そうだな、これを完成させてから、旅立たないとな｣

俺は再び執筆活動に没頭した。これが最後で最高傑作なると信じながら。

それから１週間ほど経ち、何とか二巻分完成させることができた。これはねるが病院にいる間、親身に支えてくれたお陰だろう。久しぶりにこの人に連絡するな。思えば編集者である鼎さんには無茶振りを結構されたが、俺が書いた作品はどれも面白いと売れ込んでくれたお陰で、詳説が売れたのも理由のひとつだろう。恩人とも言える。まぁその人に最後に見せる姿が生きてるか分からないのは恩知らずかもしれないな。

すると数分で、既読がついて返信が返ってきた。あの人暇かよ。いや激務のなかでも俺の安否を気にしていたに違いない。俺は誰にも知られてない親の遺産のアパートに住んでいて、あっちからすると急にいなくなったからな。病気のことも伝えていない。

『そこにいたのなら、早く連絡寄越しなさいよね。今すぐ行くわよ』

仕事をほっぽいて、東京から、わざわざで向くみたいだ。本当に悪いことをしたかもな。今俺は書き終わったことで緊張の糸が解けて、意識も朦朧としてきた。

｢ねる、最後にこのデータをここに来た女性に渡してくれ。その人が編集者なはずだからな｣

ひかるや冬優花には意思があるうちに感謝と申し訳なかったとラインを送った。これで心残りはない。

｢げほげほ｣

ああ、何か神様が申し訳なく佇んでいるな。まぁ神様は元々見える人間だから、驚きはしないが、このタイミングで、病院に現れたってことはいよいよ死期が近づいているってことだろう。

｢これは何があっても渡すよ。私と結月くんの思いでの作品でもあるからね｣

｢実写化されたら、是非ねるにやってもらいたいものだな。そしたら、天国からみてるからな｣

｢うん、絶対にこの役の座は渡さないよ。例えひかるちゃんでもね｣

｢そうか、それなら安心して、逝けるな｣

すると心拍数が低下する音が鳴る。この音を聴きながら、俺は段々視界がぼやけるのを感じる。

｢ねる、そんな顔をするな。笑顔で見送ってくれるんだろう？｣

｢うんごめんね？やっぱりいなくなっちゃうと思うと、悲しくなっちゃって。よし、最後に私のプレゼントを授けるよ｣

そう言って俺に芽を瞑って、キスをしてきた。どうやら、最後の希望は叶ったらしい。

｢これはもちろん始めてだからね。これからも結月くん以外とはしないよ｣

｢それはアイドルで女優になるやつができるのか？まぁいいやそれじぁな｣

色々な思い出が思い浮かぶ。

｢うん愛してるよ。来世でもきっとあってまた青春しようね。そして結婚をしよう！｣

｢ああ、そうだな、愛している｣

そこで俺の意識は途絶えた。そして神様のほうに自然に魂が向かっていた。そして、自分のことを浮きながら見る。悪くない人生だった。

｢悪い。本当は死なせる予定がなかったんじゃが、一人の神がお気に入りが死んだから、蘇らせてしまったせいで、適当に番号を牽いたらでたのがお主だったのじゃ｣

｢大丈夫ですよ。死ぬ予定がなければこんなに楽しい青春を送ることはなかったんですし｣

それから俺は神様と話しながら小説の内容、俺の人生を振り返っていった。