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やはり油そばを楓と食べると美味しさは上がる

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しばらく並んでいたが、やがて下劣た視線を感じるようになった。すると大学生ぐらいの男が楓の手を掴んだ。 

「君可愛いね。俺とよるの運動しない?きっとテクニックあるから、気持ちよくなれるよ」

いきなり下ネタぶっこんでくるとか、本気でナンパする気あるのか?最初っから身体目当てのことを強調したら、誰もついていかないだろう。そんな軽い女に、楓が思われてることに憤りを覚える。楓は清楚で、あざとくて、これ以上可愛いのはるんくらいだぞ。俺は目を腐らせながら、男を睨んだ。だが男はそれを全く意に介していなかった。

「そんな男といるより、俺といる方が楽しいぜ」

楓は嫌そうな表情を浮かべている。そりゃそうだよなこんな身体目当てなやつにナンパされても困るだけだよな。なんとかこの状況を打破する方法はないか。俺は楓の身体に触れそうになっている手を捻り上げた。楓の身体にその汚い手で触れさせない。誰にも楓はやらない。それだけ俺は楓のことを好きになってきてるのかもしれない。だが今はそんなことより、この男をどうにかする方が先だ。

「ちっいてーじゃねーか。ボコボコにされたいのか?」

「その前にあんたの腕の関節外れる方が先だがな」

俺は関節技を決めて、男の肩の関節をはずした。すると男は耳障りな呻き声を上げた。そしてもうひとつ腕を関節技を決めてると、男は涙を浮かべた。この程度で泣くなら、楓にナンパするなよ。

「すまん俺が悪かった。だからこれを解いてくれ」

男は必死の顔で懇願してきたので、関節技を解いた。すると男は列から外れて、ふらふらしながら、駅へと向かった。あれで懲りてナンパしなくなるといいんだが。古武術がここで役立つとは思わなかったな。古武術やっていてよかったわ。俺はヤクザ以外には負けない。大切な人を守るために鍛練を積んだからな。今じゃそこそこのレベルまでできている。

ふと楓を見ると、ボーとしていた。俺のことカッコよく見えて、見惚れちゃったか?これで好感度も上昇しているだろう。しばらくするとほほを赤くしながら、楓は口を開いた。

「理先輩はあんなに強かったんですね」

「大事なものができたときに守れるように強くなりたかったからだ。終わってから後悔はしたくなかったからな」

もちろんその大事な人の中に楓も入っている。いつの間にか俺も楓に惹かれているのが分かる。落ちるの早いな。まぁこんな美少女に好かれていて、優しくされたら落ちるよな。男は傷心中に優しくされたら落ちるものだろ。優しくされたら、天使に見えてしまうからな。

「大事なものですか。いつかできるといいですね」

楓も入っているんだがな。まぁそれはいづれ言おう。綺麗な夜景の見えるところでロマンチックに告白したい。夜景なら、勝率も上がる。今度こそ振られることはないと思うが、少しでも勝率を上げておきたい。千葉の夜景で成功してやる。東京も綺麗なところは多いが、その分人も多いからな。

「ああ、そうだな。どうやら順番が回ってきたようだ」

俺達は食券を買って、カウンター席に座った。男女で来ているのは俺達だけだから、嫉妬の視線がすごい。そりゃまぁ俺みたいなやつが楓のとなりにいたら、男が多い店はそうなるわ。俺でもカップルがイチャイチャしてれば砕け散れと思うしな。

「理先輩ここのラーメン屋って自家製麺なんでかぁー?」

「そうだな、ここは店で作っているぞ。専門の人が一から作っている。だから、麺のこしも強い。なかなか個人店でしか、味わえない美味しさだ」

まぁ茨城のほうにも一店舗あるんだが、ほぼ個人店みたいなものだろう。美味しい店ほど個人店が多い。恐らく手作りだからだろうな。チェーン店だと、作ってあるのを出すだけだからな。だがサイゼはチェーン店だが、あの安さで、あのクオリティーはすごいと思う。さすが千葉が誇る天下のサイゼリアだ。  

「そうなんですね、楽しみです」

やがて学校でのことや義孝のことを話していると、油そばが来た。ちなみに俺は坦々混ぜそばだ。辛さが絡み合って、美味しいんだよな。汁がないから、健康にも悪くないし。辛い汁って、身体に悪いならな。まぁ注文したら、飲むんだけどな。

『いただきます』

俺は坦々混ぜそばを口にいれる。痺れる辛さが口の中に広がり美味しい。やっぱり辛いのは最高だ。楓も美味しそうに食べている。よかった。これで常連にでもなれば、また一緒に行くこともできるだろう。やがて俺達は食べ終わった。

「美味しかったです。麺系でこんなに美味しかったのは始めてです。やっぱり理先輩が選ぶところに外れはないですね」

「そりゃ事前に調べてたり、知っているところに行くからな」

たまにフラッと、気になった個人店に入ったりはするが、大体が外れではなく、当たりだからな。俺の食に大する勘はよく当たる。常連までにもなっている店は少ないが。それ遠かったり、行きつけの店を増やすと、一つの店に行く時間が少なくなるからな。

「だから理先輩は美味しい店をいっぱいしってるんですねー」

「まぁそいうことだな。そろそろ食べ終わったし、出るか」

混んでいるし、出ないと店からなんか言われて、行きづらくなるし。俺達は店を出ると、どこに行くか話し合っていた。東京に出るのは休日は混むし、人酔いをしてしまう。まぁ楓が行きたいなら、行くがな。

「東京に出ると、また勉強に戻りづらくなりますし、松戸でいいところってあります?」

「戸定邸はどうだ?あそこなら勉強もできるだろうしな」

「自然に囲まれながら、勉強するのも悪くないですねぇー。そこにしましょう」 
俺達は戸定邸に行くことにした。


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