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楓に見られたら、やる気はでるよな

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やがて試合が始まり。相手のピッチャーを見て、目を見開いた。明らかに140キロ後半はでている。しかもコントロールがよく、明らかに全国レベルピッチャーだった。こりゃうちのチームの選手じゃ打てないな。かくいう俺も打てる気がしないが。そもそもバッティング練習もほとんどしてないしな。うちのエースが何本も打たれてるところから見て、バッティングもいいチームなんだろう。

「一条投球練習をしておいてくれ」

球数が多くなり、投球練習をしてくれと、監督に言われた。こりゃ思ったよりも早く出番が来そうだ。まぁ一イニングだから、全力で投げるか。

俺は分かりましたと言うと、ブルペンに向かった。もちろんキャッチャーは礼治である。この監督はこのピッチャーはこのキャッチャーと決めているから、練習試合だと、キャッチャーの出番は多い。レギュラーキャッチャーはエース以外も担当することが多いが。礼治は同学年ということもあるのと、配球がうまいから、コントロールと変化球で勝負する俺を担当することか多い。

「優花ちゃんが来てるんだな。それじゃかっこいいところを見せないとな」

「そうだな、一点差で負けてるが、これ以上点はやらない」

俺はブルペンに着くと、登板前の武者震いをした。やっぱり強豪校に投げるとなると、興奮するな。アドレナリンも大量に分泌されている。俺は強豪校を相手にすると、余計に燃えるタイプなのだ。

軽くキャッチボールを何球か投げて、礼治を座らせた。そこでいろんな変化球を投げた。そして投げることに集中力が増していくのが分かる。これがゾーンか。そしてあっという間に肩が暖まった。

そしてノーアウト満塁の場面で、監督から行くぞと言われ登板することになった。ふと優花と楓を見た。

「頑張れぇー」

「頑張ってください」

声援を送ってくれた。周りの男は俺目の敵にして見てるけど。俺は後ろ向きに手を上げて、答えた。今の俺はゾーンに入ってるから、何でもできそうだ。俺は礼治とセットで、交代した。二番からか、今日はヒットを一本打っているな。

まずはスライダーを要求されたので、それを投げた。すると、ぐんと曲がり、インコースのボールゾーンから、ストライクゾーンに入った。バッターは目を見開いている。それから追い込みスプリットを投げた。すると簡単に振ってきて、三振を取れた。まずワンアウト。

次の三番打者はストレートで詰まらせて、ファーストフライに打ち取った。次は四番か、たしかドラフト候補だったはずだ。この人を抑えれば、ベンチ入りが見えてくるだろう。

「ふぅーここで終わらせる」

俺はカットボールを投げた。するとスライダーかと思ったのか、バッターは見逃した。するとストライクコールが響く。その後のスライダーは見逃してきて、アウトコースに外れるボールになった。振ってくるこを見越したが、そんな簡単にいかないか。

バッターもプロのスカウトがいるからか、結構集中している。すごいプレッシャーを感じる。これがドラフト候補の圧力か。俺は額にかいた汗を拭う。望むところじゃねーか。俺は俄然やる気がでて、ニヤッと口角を上げた。

「理先輩に頑張って抑えてくださーい」
 
ふっ楓に応援されてんだ。打たれるわけにはいかないな。次はツーシームをアウトコースね。俺のツーシムは一般的な速球の早さで、少し曲がるボールだ。

これをアウトコースのボールゾーンから、ストライクゾーンにいくようにするのだろう。それが成功すれば追い込める。俺はストレートと同じ振りで投げた。

するとくっと曲がって打者は見逃して、ストライクを取った。これで追い込んだ。最後はスプリットを低めか。俺は投げる瞬間にスナップをきかせずにストレート同じ振りで投げると、バッターの目の前で落ちて、バットは風を切り空振りを取った。

「っしゃー!」

俺は雄叫びを上げた。ノーアウト満塁のピンチを抑えたんだ。叫びたくもなるよな。しかもドラフト候補まで抑えたんだ。気分が高騰するのも無理ないだろう。楓を見ると、笑顔で拍手をしていた。俺のカッコいいところを見せれたぜ。

そんな感じにどや顔しながら、ベンチに戻ってきた。

「本当ピンチほど、球の威力が増すよな」

「一点もやれないからな。集中力が増すんだよ」

そしてマネージャから貰ったタオルで、汗を拭いていると。監督にはよく抑えてくれたと言われた。ほぼ確実にベンチ入りはこれでできるだろう。

だが試合は4ー0で負けた。まぁ相手は甲子園連続で行っているチームだし、仕方ないか。だがいづれ俺達もあの高みへと行く。

「理、柔軟運動はやったか?」

試合が終わり一人でいると、礼治にそう言われた。投手として、怪我をしないために柔軟運動は大切だ。だからやろうと思ってはいたが、整備などをしてたから、まだやっていない。

「やってないが」

「それじゃ一緒にやるか。一人より二人の方がいいだろ」

「そうだな、やるか」

俺は座って、礼治に腕を伸ばして貰って、肩の間接を伸ばしたりした。それと胡座をかいた状態から、膝を押して貰ったりして、股関節を柔らかくした。そして、柔軟運動が終わり、俺は荷物の置いてある場所まで来ると、楓達が来た。
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