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第四章「隻腕アヴェンジャーと奪還キャッスル23」
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①
これは尾方巻彦と言う男が、まだ白貫 誠(しらぬき まこと)と呼ばれていた頃の話。
正道の中を行く天使の中の天使。
その彼が使っていた正装が『自幽(じゆう)』。
そしてその名残こそが今の尾方に手に握られている羽の正体である。
能力は、『自身に常に掛けられている負荷の中から一つを選び、それから解放される』。
例えば重力。
例えば呼吸。
例えば時間。
形は様々だが、これら『縛り』の外側へ羽ばたく事が出来る白い羽。それが自幽である。
しかしこれは想起した欠片。名残の忘れ形見。
もはや天使ではなく。自らの手を離れて久しい正装を、昔の様に使えるはずがない。
人の外へ飛び立つ翼は、今や人を人の範疇の中でしか動かし得ない。
つまり、人の生まれ持っている能力の範疇の外側へは行けない。
つまり、これを使ったからと言って尾方巻彦の戦力が、現在対峙している理外の力には及ぶべくではない。
しかし、尾方巻彦はこの正装をここに来て使った。
それは悪あがきでも希望的観測からでもない。
使うべくして使った。
尾方巻彦は戦闘を始めた時点で、この状況まで読みきってこの正装を使った。
『諦めない』よりずっと性質が悪い『勝利への異常な執着』
外れてるよとっくに。権能を与えるべくもなく君は悪魔さ。
②
正装『自幽』によって尾方巻彦が選択した負荷の解除対象。
それは『脳の安全装置(リミッター)』だった。
有名な話ではあるが、人は生きている限り、常に脳にその全力を制限されている。
人間の体は通常、その全力に耐えられるように出来ていないからだ。
故に脳は身体能力に制限を掛け、自身の全力によっての自傷を避けているのである。
その枷を外す。その代償を甘受するでもなく。
あまつさえ利用しようとするこの悪魔は、私の目線から見てもやはり異質に思えた。
「お願いね」
尾方がそう言うと、白い羽は淡く光り、おぼろげに消える。
ドクンッ!
聴こえるはずのない。人の範疇を超える鼓動が、辺りの空気を変える。
シンッと澄んだ空気が振動をかき消す様な静寂を作る。
制御装置を外した尾方は、その空気を甘受するように消えた手元の羽を眺めている。
しかし、周りの呑むような静寂の空気を、一歩の元に打ち消すは天使の前進。
全てを察したか。それとも全ての理由を瑣末と打ち捨てたか。
闘争の二文字を纏った天使は、全身の筋肉に血液を廻らせ、地面を踏み砕く。
その荒々しさで男はそれでも快活に笑う。
「来いッッッッ!!!!尾方巻彦ッッッ!!!!」
天使の一喝を受けて、尾方は手元から目線を反らす。
「逝きますよ。それしか出来ませんから」
構える。
その姿勢は、低くただ低く。
引き絞った弓矢の様に長く、長く。
前進以外の選択肢を一切捨てた超前傾姿勢。
地面を蹴る足はそれでもしっかり地面を掴んで離さない。
矢が極限まで引き絞られた一瞬。
銃が人差し指の力を伝えるまでの一瞬。
何かが放たれる一瞬前の静寂がそこには宿っていた。
つまり、待たずともその一瞬は弾ける様にそこまで来ている。
その静寂を二人が知覚するかしないかの刹那。
極限まで研ぎ澄まされ、引き絞られた命は、目的を遂げるために地面を蹴り出した。
③
パァンッッッッッ!!!!!!
破裂音である。
天使が全力の向こう側で繰り出す速度は当然、音速を超える。
故にそこには真空波が発生する。
只そこにある空気との衝突で、常人であれば何する事無く体が壊れるその衝撃も、天使の体であれば耐えられる。
目的以外の一切を排除した最速最短の一撃は、この戦闘中初めて、筋頭に防御の体制を取らせるに至った。
鋼鉄と鋼鉄を高速でぶつけた様な耳を覆いたくなるような音が響く。
それほどの衝撃を、筋頭は一歩も後退する事なく受け止める。
地面を抉るほどの衝撃を足に込めながらも、一歩も引かない。
「ハハハッッッ!!!! これほどの衝撃を受けたのは数年ぶりか!!!!」
筋頭は笑うと尾方の腕をガッチリと掴む。
しかし、そこで違和感に気づき、筋頭の動きが一瞬止まる。
死んでいる。
そう、この時点で尾方は絶命していた。
当然である。脳の安全装置を失くしての全力である。
その力の奔流に抗えず。尾方は胴から上半身がグルッと一周していた。
尾方の身体が筋頭の腕から消える。
その瞬間、
ガンッッッッッ!!!!!!
筋頭の背中を予想外の衝撃が襲った。
「ヌウッ!?」
筋頭は一瞬怯んだが背中の衝撃の元を打ち払う。
それはやはり、既に朽ち果てた尾方巻彦であった。
パァンッッッッッ!!!!!!
立て続けに破裂音が続く。
ここまで来て、筋頭は尾方の狙いにようやく気づいた。
先ほどまでの無駄かと思えた攻防も、この為であったのならば合点が行く。
そう、尾方は脳の安全装置を外した事により、その代償を戦略に練りこんだのである。
つまりは自身の権能との相性。
死を厭わない尾方巻彦の権能は、一発の全力による絶命は。
究極のヒット&アウェイを生むのである。
一発で絶命するのなら、その段階で尾方はこの辺りどこからでもリポップ出来る。
そのように下準備を終えていた。
故に尾方は捨て身の究極とも言える。
個人による命がけの人海戦術に至ったのである。
その効果の程は見たとおりである
四方八方から放たれる人間魚雷の雨霰は、あの筋肉の天使、筋頭崇に苦戦の色を匂わせるに至っていた。
なんとか凌いではいるが、明らかに疲れの色が見えている。
一方尾方の方は玉切れ知らず。
命切れを知らず。
ただその命を飛ばし続ける。
その一生が、その一撃の為だけのモノであっても。
しかし、旗色が徐々に尾方に傾きかけた次の瞬間、
「尾方ァァァァァッッッ!!!!! 巻彦ォォォォォォォォッッッ!!!!!」
筋頭が雄たけびを上げる。筋肉が赤く膨張する。
大地が震えるほどの大音量に、尾方の動きが一瞬止まる。
そこを、筋頭は見逃さない。
巨大な腕で、尾方を地面に押し付ける。
まだ一撃を放つ前、身動きを封じられた尾方は焦る。
このまま生かさず殺さずの封殺、その手があるかと尾方は全力で腕を押しのけようとする。
しかし、どこまで人間離れしたところで、力ではこの天使には敵わない。
尾方の鼓動が早くなる。顔が青ざめる。
しかし、巨大な腕の向こうから、優しい声が聴こえた。
「もう、いいんじゃないか? のう、尾方巻彦?」
腕の力が弱まり、尾方はその拘束からなんとか抜け出す。
「筋頭さん? ここに来てまだお話?」
尾方は余裕を装って軽口を叩く。
それを見透かしたように、筋頭は言う。
「ここまでするほどか? この戦いは?」
筋頭の端的な質問であった。
尾方は一瞬固まる。
「その権能、率直に言おう。ノーリスクではなかろう? よしんばノーリスクであったとしても、その戦い方は痛々しすぎやせんか? 周りはそこまでお主に望んでおるのか?」
質問の一つ一つが、尾方巻彦に突き刺さる。
「(周りに...? 僕の...? 独りよがりなのか...?)」
尾方の眼球が焦点を外し出す。
「これ以上やるのであれば、ワシも先ほどの本気を出して戦う。そうすればお主を押さえ込む事にそう苦労はせん」
その言葉は威圧や威嚇ではなく。純粋に優しさから放たれた言葉であった。
故に尾方は身動きが出来なくなる。
そう、迷う。
尾方巻彦の最大の弱点。
それは選択肢を渡された際の諦めの悪さ。
可能性に執着するが故に、彼はそれを手放せない。
それを手放せる事が出来る方法と言えば。
「決められんか?」
筋頭が言う。
尾方は焦点の定まらない目で虚空を見る。
「決めてやろうか?」
そう。他人に選択権を譲る。
尾方巻彦はそうして来た。
そればかりは紛れもない事実である。
「お主は、もう戦わなくて...」
指針が下る。
今回も尾方は、その指針に従うつもりでいた。
それでいい。
何度も何度も味わってきた。いやと言うほど痛感してきた。
手放さない。
手放せない。
可能性を。
それを...誓って――
「尾方ァ!! 負けるなぁ!! 頑張れぇ!!」
声は、追いついたドローンから尾方に向けて真っ直ぐに向けられた。
瞬間、ガッと尾方の焦点が定まる。
地面を砕き、尾方は筋頭を蹴り飛ばす。
筋頭はこれをもろに受け、クレーターの反対側に叩きつけられる。
「尾方の。お主...」
筋頭は静かに起き上がる。
「ありがとう筋頭さん。でもさ、やっぱ負けたことのない奴の目線だわそれ。それに...」
尾方は落ちていたボロボロのコートを羽織る。
「上には逆らえませんわ。これホント」
尾方の答えに、筋頭は呆れたような顔をしたが、横に顔を振る。
「まぁ...そうか。いや、年長者の至らんお世話だったようじゃ。気にしなくてよい」
筋頭の筋肉が再び赤く膨張する。
「さぁ、決着だ。屈折の悪魔」
尾方はドローンを一瞥すると前傾姿勢をとる。
「いいや、ここからさ、筋肉の天使」
もう何度目か分からない両者の衝突は、
音速を超え、生死を越え。
それを見守る全ての両目に刻まれた。
これは尾方巻彦と言う男が、まだ白貫 誠(しらぬき まこと)と呼ばれていた頃の話。
正道の中を行く天使の中の天使。
その彼が使っていた正装が『自幽(じゆう)』。
そしてその名残こそが今の尾方に手に握られている羽の正体である。
能力は、『自身に常に掛けられている負荷の中から一つを選び、それから解放される』。
例えば重力。
例えば呼吸。
例えば時間。
形は様々だが、これら『縛り』の外側へ羽ばたく事が出来る白い羽。それが自幽である。
しかしこれは想起した欠片。名残の忘れ形見。
もはや天使ではなく。自らの手を離れて久しい正装を、昔の様に使えるはずがない。
人の外へ飛び立つ翼は、今や人を人の範疇の中でしか動かし得ない。
つまり、人の生まれ持っている能力の範疇の外側へは行けない。
つまり、これを使ったからと言って尾方巻彦の戦力が、現在対峙している理外の力には及ぶべくではない。
しかし、尾方巻彦はこの正装をここに来て使った。
それは悪あがきでも希望的観測からでもない。
使うべくして使った。
尾方巻彦は戦闘を始めた時点で、この状況まで読みきってこの正装を使った。
『諦めない』よりずっと性質が悪い『勝利への異常な執着』
外れてるよとっくに。権能を与えるべくもなく君は悪魔さ。
②
正装『自幽』によって尾方巻彦が選択した負荷の解除対象。
それは『脳の安全装置(リミッター)』だった。
有名な話ではあるが、人は生きている限り、常に脳にその全力を制限されている。
人間の体は通常、その全力に耐えられるように出来ていないからだ。
故に脳は身体能力に制限を掛け、自身の全力によっての自傷を避けているのである。
その枷を外す。その代償を甘受するでもなく。
あまつさえ利用しようとするこの悪魔は、私の目線から見てもやはり異質に思えた。
「お願いね」
尾方がそう言うと、白い羽は淡く光り、おぼろげに消える。
ドクンッ!
聴こえるはずのない。人の範疇を超える鼓動が、辺りの空気を変える。
シンッと澄んだ空気が振動をかき消す様な静寂を作る。
制御装置を外した尾方は、その空気を甘受するように消えた手元の羽を眺めている。
しかし、周りの呑むような静寂の空気を、一歩の元に打ち消すは天使の前進。
全てを察したか。それとも全ての理由を瑣末と打ち捨てたか。
闘争の二文字を纏った天使は、全身の筋肉に血液を廻らせ、地面を踏み砕く。
その荒々しさで男はそれでも快活に笑う。
「来いッッッッ!!!!尾方巻彦ッッッ!!!!」
天使の一喝を受けて、尾方は手元から目線を反らす。
「逝きますよ。それしか出来ませんから」
構える。
その姿勢は、低くただ低く。
引き絞った弓矢の様に長く、長く。
前進以外の選択肢を一切捨てた超前傾姿勢。
地面を蹴る足はそれでもしっかり地面を掴んで離さない。
矢が極限まで引き絞られた一瞬。
銃が人差し指の力を伝えるまでの一瞬。
何かが放たれる一瞬前の静寂がそこには宿っていた。
つまり、待たずともその一瞬は弾ける様にそこまで来ている。
その静寂を二人が知覚するかしないかの刹那。
極限まで研ぎ澄まされ、引き絞られた命は、目的を遂げるために地面を蹴り出した。
③
パァンッッッッッ!!!!!!
破裂音である。
天使が全力の向こう側で繰り出す速度は当然、音速を超える。
故にそこには真空波が発生する。
只そこにある空気との衝突で、常人であれば何する事無く体が壊れるその衝撃も、天使の体であれば耐えられる。
目的以外の一切を排除した最速最短の一撃は、この戦闘中初めて、筋頭に防御の体制を取らせるに至った。
鋼鉄と鋼鉄を高速でぶつけた様な耳を覆いたくなるような音が響く。
それほどの衝撃を、筋頭は一歩も後退する事なく受け止める。
地面を抉るほどの衝撃を足に込めながらも、一歩も引かない。
「ハハハッッッ!!!! これほどの衝撃を受けたのは数年ぶりか!!!!」
筋頭は笑うと尾方の腕をガッチリと掴む。
しかし、そこで違和感に気づき、筋頭の動きが一瞬止まる。
死んでいる。
そう、この時点で尾方は絶命していた。
当然である。脳の安全装置を失くしての全力である。
その力の奔流に抗えず。尾方は胴から上半身がグルッと一周していた。
尾方の身体が筋頭の腕から消える。
その瞬間、
ガンッッッッッ!!!!!!
筋頭の背中を予想外の衝撃が襲った。
「ヌウッ!?」
筋頭は一瞬怯んだが背中の衝撃の元を打ち払う。
それはやはり、既に朽ち果てた尾方巻彦であった。
パァンッッッッッ!!!!!!
立て続けに破裂音が続く。
ここまで来て、筋頭は尾方の狙いにようやく気づいた。
先ほどまでの無駄かと思えた攻防も、この為であったのならば合点が行く。
そう、尾方は脳の安全装置を外した事により、その代償を戦略に練りこんだのである。
つまりは自身の権能との相性。
死を厭わない尾方巻彦の権能は、一発の全力による絶命は。
究極のヒット&アウェイを生むのである。
一発で絶命するのなら、その段階で尾方はこの辺りどこからでもリポップ出来る。
そのように下準備を終えていた。
故に尾方は捨て身の究極とも言える。
個人による命がけの人海戦術に至ったのである。
その効果の程は見たとおりである
四方八方から放たれる人間魚雷の雨霰は、あの筋肉の天使、筋頭崇に苦戦の色を匂わせるに至っていた。
なんとか凌いではいるが、明らかに疲れの色が見えている。
一方尾方の方は玉切れ知らず。
命切れを知らず。
ただその命を飛ばし続ける。
その一生が、その一撃の為だけのモノであっても。
しかし、旗色が徐々に尾方に傾きかけた次の瞬間、
「尾方ァァァァァッッッ!!!!! 巻彦ォォォォォォォォッッッ!!!!!」
筋頭が雄たけびを上げる。筋肉が赤く膨張する。
大地が震えるほどの大音量に、尾方の動きが一瞬止まる。
そこを、筋頭は見逃さない。
巨大な腕で、尾方を地面に押し付ける。
まだ一撃を放つ前、身動きを封じられた尾方は焦る。
このまま生かさず殺さずの封殺、その手があるかと尾方は全力で腕を押しのけようとする。
しかし、どこまで人間離れしたところで、力ではこの天使には敵わない。
尾方の鼓動が早くなる。顔が青ざめる。
しかし、巨大な腕の向こうから、優しい声が聴こえた。
「もう、いいんじゃないか? のう、尾方巻彦?」
腕の力が弱まり、尾方はその拘束からなんとか抜け出す。
「筋頭さん? ここに来てまだお話?」
尾方は余裕を装って軽口を叩く。
それを見透かしたように、筋頭は言う。
「ここまでするほどか? この戦いは?」
筋頭の端的な質問であった。
尾方は一瞬固まる。
「その権能、率直に言おう。ノーリスクではなかろう? よしんばノーリスクであったとしても、その戦い方は痛々しすぎやせんか? 周りはそこまでお主に望んでおるのか?」
質問の一つ一つが、尾方巻彦に突き刺さる。
「(周りに...? 僕の...? 独りよがりなのか...?)」
尾方の眼球が焦点を外し出す。
「これ以上やるのであれば、ワシも先ほどの本気を出して戦う。そうすればお主を押さえ込む事にそう苦労はせん」
その言葉は威圧や威嚇ではなく。純粋に優しさから放たれた言葉であった。
故に尾方は身動きが出来なくなる。
そう、迷う。
尾方巻彦の最大の弱点。
それは選択肢を渡された際の諦めの悪さ。
可能性に執着するが故に、彼はそれを手放せない。
それを手放せる事が出来る方法と言えば。
「決められんか?」
筋頭が言う。
尾方は焦点の定まらない目で虚空を見る。
「決めてやろうか?」
そう。他人に選択権を譲る。
尾方巻彦はそうして来た。
そればかりは紛れもない事実である。
「お主は、もう戦わなくて...」
指針が下る。
今回も尾方は、その指針に従うつもりでいた。
それでいい。
何度も何度も味わってきた。いやと言うほど痛感してきた。
手放さない。
手放せない。
可能性を。
それを...誓って――
「尾方ァ!! 負けるなぁ!! 頑張れぇ!!」
声は、追いついたドローンから尾方に向けて真っ直ぐに向けられた。
瞬間、ガッと尾方の焦点が定まる。
地面を砕き、尾方は筋頭を蹴り飛ばす。
筋頭はこれをもろに受け、クレーターの反対側に叩きつけられる。
「尾方の。お主...」
筋頭は静かに起き上がる。
「ありがとう筋頭さん。でもさ、やっぱ負けたことのない奴の目線だわそれ。それに...」
尾方は落ちていたボロボロのコートを羽織る。
「上には逆らえませんわ。これホント」
尾方の答えに、筋頭は呆れたような顔をしたが、横に顔を振る。
「まぁ...そうか。いや、年長者の至らんお世話だったようじゃ。気にしなくてよい」
筋頭の筋肉が再び赤く膨張する。
「さぁ、決着だ。屈折の悪魔」
尾方はドローンを一瞥すると前傾姿勢をとる。
「いいや、ここからさ、筋肉の天使」
もう何度目か分からない両者の衝突は、
音速を超え、生死を越え。
それを見守る全ての両目に刻まれた。
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