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第五章 紅蓮に染まる平安京~寛和の変、その兆し~
予告的登場人物紹介(+妖狐の階級解説)
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●梨花:
土蜘蛛の娘。齢は十代後半。蘆屋道満が人間界に絶望する切っ掛けを生む運命の娘。
現在は”安倍晴明の式神”の一人として、彼の下で陰陽道の修行をしている。
人も妖魔も分け隔てなく救う善良な娘であり、その根底には救えなかった親友への想いがある。
人にも善悪があり、人の世を恨むのはいけない事という考えを持ち、――それゆえに、その死が蘆屋道満の心を徹底的に砕くきっかけとなってしまう。
平安京に来て数年が経ち、とても多くの人に慕われている元気娘。
●雅辰
ある理由から平安京にやってきた、恐ろしく強大な力を持つ漆黒の妖狐。
ある理由により、女ものの着物を身に着けているが明確な男である。
人に明確な害意を持つ、四本の尾を持つ妖狐であり、その真の目的は不明である。
平安京を守るべく行動する蘆屋道満との戦いになるが――。
●妖狐の階級について:
『阿紫霊』:
標準より長く生きた動物は、知恵を得て妖魔化すると言われる。
この阿紫霊は、長く生きて知恵を得たばかりの妖狐であり、いわゆる『野狐』の一種である。
齢は100歳未満であり、この格の妖狐は尾は増えることはない。
生物としての欲を持つ故に、善である者も悪である者もいる。
『地狐』:
齢100歳を越えてさらなる神通力を得た妖狐。分離上は阿紫霊と同じ『野狐』である。
妖魔としての力はそこそこあり、新米術師が相手にするには難しい。
尾は増えず、善狐も悪狐もいる。
『気狐』:
妖狐は、その妖力を高めていくと、その尾が裂けて見た目の数が増えてゆく。
そうなるのは大体が齢500歳を越えたあたりであり、この時点の妖狐を『気狐』と称する。
言ってしまえば、尾が裂け始めると『気狐』であり、妖狐の中には若くして『気狐』となる天才もいる。
かの神仏に仕える白狐はこの位に位置しており、人々がよく見る『気狐』の大半は白狐である。
以上の理由で、気狐といえば白狐という通説があるが、それは正確には正しくはない。
白狐・葛の葉姫はこの位に位置する。
善狐も悪狐も両方存在する上に、相当の手練れ術師でないと相手に出来ないほどの力を持つ(葛の葉が武士程度に殺されたのは、そもそも人間を害する気がなかったからである)。
『空狐』:
齢1000歳を越えてその物質的な肉体を捨てた妖狐。肉体がないゆえに尾は0本になっている。
生物としての欲と、その根源である肉体を捨てたがゆえに、生物的限界を越えて妖力を得ることが出来るようになるが、逆に生物としての『らしさ』がなくなり善悪を超越した精神を得る。
すなわち持つ妖力としての格は、より上位とされる『天狐』を明確に超えてはいる。――が、もはや彼らは天部に仕える精霊的存在にすぎない為、妖狐としては『天狐』より格が下と見なされる。
仕える天部に従って下界に降りる際は、他人の肉体を借りて行動する。
三千歳を越えると、他の空狐を従える『稲成空狐』と呼ばれる存在になる。
『天狐』:
齢1000歳を越えて、かつ物質的な肉体を捨てていない妖狐。『気狐』とは逆に、裂けた尾が統合され四本になる。
妖狐における最上位の存在。肉体の枷があるため『空狐』のような膨大な妖力は持たないが、それに匹敵する妖力を自由に扱う意志と経験を持つ妖魔としては最強格の一つである。
彼らはまさに生きる天変地異そのものであり、彼らに敵対することはただの人が、自然災害――台風レベルに立ち向かうのと同じである。
最も彼らは明確な強者ゆえに、もはや善も悪も越えた達観した意識を持つため、よほどのことが無い限り人を害することはない(あくまでも、人が足元の蟻を認識しないのと同じ話である)。
以上の事から『天狐』といえば善狐という認識があるが、彼らはあくまで人を相手にしない――、或いは、明確な弱者だと考えているだけであり、悪心が全くないわけではない。
土蜘蛛の娘。齢は十代後半。蘆屋道満が人間界に絶望する切っ掛けを生む運命の娘。
現在は”安倍晴明の式神”の一人として、彼の下で陰陽道の修行をしている。
人も妖魔も分け隔てなく救う善良な娘であり、その根底には救えなかった親友への想いがある。
人にも善悪があり、人の世を恨むのはいけない事という考えを持ち、――それゆえに、その死が蘆屋道満の心を徹底的に砕くきっかけとなってしまう。
平安京に来て数年が経ち、とても多くの人に慕われている元気娘。
●雅辰
ある理由から平安京にやってきた、恐ろしく強大な力を持つ漆黒の妖狐。
ある理由により、女ものの着物を身に着けているが明確な男である。
人に明確な害意を持つ、四本の尾を持つ妖狐であり、その真の目的は不明である。
平安京を守るべく行動する蘆屋道満との戦いになるが――。
●妖狐の階級について:
『阿紫霊』:
標準より長く生きた動物は、知恵を得て妖魔化すると言われる。
この阿紫霊は、長く生きて知恵を得たばかりの妖狐であり、いわゆる『野狐』の一種である。
齢は100歳未満であり、この格の妖狐は尾は増えることはない。
生物としての欲を持つ故に、善である者も悪である者もいる。
『地狐』:
齢100歳を越えてさらなる神通力を得た妖狐。分離上は阿紫霊と同じ『野狐』である。
妖魔としての力はそこそこあり、新米術師が相手にするには難しい。
尾は増えず、善狐も悪狐もいる。
『気狐』:
妖狐は、その妖力を高めていくと、その尾が裂けて見た目の数が増えてゆく。
そうなるのは大体が齢500歳を越えたあたりであり、この時点の妖狐を『気狐』と称する。
言ってしまえば、尾が裂け始めると『気狐』であり、妖狐の中には若くして『気狐』となる天才もいる。
かの神仏に仕える白狐はこの位に位置しており、人々がよく見る『気狐』の大半は白狐である。
以上の理由で、気狐といえば白狐という通説があるが、それは正確には正しくはない。
白狐・葛の葉姫はこの位に位置する。
善狐も悪狐も両方存在する上に、相当の手練れ術師でないと相手に出来ないほどの力を持つ(葛の葉が武士程度に殺されたのは、そもそも人間を害する気がなかったからである)。
『空狐』:
齢1000歳を越えてその物質的な肉体を捨てた妖狐。肉体がないゆえに尾は0本になっている。
生物としての欲と、その根源である肉体を捨てたがゆえに、生物的限界を越えて妖力を得ることが出来るようになるが、逆に生物としての『らしさ』がなくなり善悪を超越した精神を得る。
すなわち持つ妖力としての格は、より上位とされる『天狐』を明確に超えてはいる。――が、もはや彼らは天部に仕える精霊的存在にすぎない為、妖狐としては『天狐』より格が下と見なされる。
仕える天部に従って下界に降りる際は、他人の肉体を借りて行動する。
三千歳を越えると、他の空狐を従える『稲成空狐』と呼ばれる存在になる。
『天狐』:
齢1000歳を越えて、かつ物質的な肉体を捨てていない妖狐。『気狐』とは逆に、裂けた尾が統合され四本になる。
妖狐における最上位の存在。肉体の枷があるため『空狐』のような膨大な妖力は持たないが、それに匹敵する妖力を自由に扱う意志と経験を持つ妖魔としては最強格の一つである。
彼らはまさに生きる天変地異そのものであり、彼らに敵対することはただの人が、自然災害――台風レベルに立ち向かうのと同じである。
最も彼らは明確な強者ゆえに、もはや善も悪も越えた達観した意識を持つため、よほどのことが無い限り人を害することはない(あくまでも、人が足元の蟻を認識しないのと同じ話である)。
以上の事から『天狐』といえば善狐という認識があるが、彼らはあくまで人を相手にしない――、或いは、明確な弱者だと考えているだけであり、悪心が全くないわけではない。
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