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前略、石像とドラゴンと
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「ここが1番奥かな?」
そうみたいですね、ラルム君の肯定。しかし最奥と言うには……
「ん~、なーんもないね。ガラクタばっかり」
そのとおりだ、あたりを見渡せば、壊れて使いみちのなさそうな部品や、これまでもみたような大きな岩。
少なくともこの岩やガラクタから、魔術が生まれるとは思えない。
ラルム君には悪いけど、これはハズレの遺跡だったのでは?
「せっかく皆さんでここまで来たんです。少し探索していきましょう」
それもそうだね、あたしたちはまた探索を再開した。
「んん?」
しばらく石集めに精をだしていると……何かが聞こえない?
みんなはどう?あたしの聞き間違い?
「はい、なにか唸り声のような……」
ラルム君にも聞こえてるみたいだし、気のせいではないみたい。
「それになんだか揺れてるような?」
リッカも同じく。それに、なんだが近いような気が……
「がああぁぁぁあああああっ!!!」
「「なんじゃこりゃ!?」」
思わずハモるあたしとリッカ、大きな翼に巨大な牙や爪、そこにはドラゴンが、いやドラゴンの石像があった。
いや、いた、身体は石像だとしてもそれは確かに生きていた。遺跡に入ったあたしたちに、明確な敵意をもって。
「これは…なるほど…」
「なんかわっかんないけど、感心してる場合じゃないって!」
確かに、でもなにか知ってることがあるのだろうか。ラルム君はゆっくりと……
「ピンチですね」
「「わかってるって!!」」
まともだと思ってたイケメンも、仲良くなるにつれ天然な面がみえてきた、こんな時でなければ笑い話だけど。
「わかった。今回の発案者でありドラゴンに詳しいラルム君が囮になって、あたし達は逃げる」
我ながら妙案だ。なかなかあたしは頭がいい。
「賛成!」
手を大きくあげるリッカ、よしこれで2票。
「ちょっと待って下さい!」
諦めてくれラルム君、2対1だ。
「囮になるかメイド服着るか、選びなよ」
「その2択なら喜んで着ましょう!」
プライドを捨てた……だと……!
まぁ、あたしもその2択だったら間違いなく着るけど。
「え…メイド服ってやっぱり…リリアンちゃんの服装は、セツナの趣味なの?」
リッカはやや引き気味だ。
しまった、初めてラルム君と会った時の会話のせいで、あらぬ誤解をされた。なんとかしないと。
えーっと…えーっと…
「違うよ!ただ単純にラルム君のメイド姿がみたいだけだよ!」
「セツナさん!?」「セツナ……」
残念ながら、人はこれを墓穴という。
ワイワイと、ドラゴン?石像?の前で騒いでいると、突然の落石にて出口を塞がれる。
なるほど、こうして入口も塞いでいたのか。
「いいから!戦うよ!」
2人の視線はまだ痛いけど。このままだと普通に全滅だからね。
いや、普通に無理だった。だいたいただの岩でさえどかせなかったあたしたちが、同じような大きさの石像に挑む事自体が間違っている。
あたしとリッカの物理的な攻撃は弾かれ、頼みの綱であるラルム君の魔法も効いてる様子はない。
「仕方ない、必殺技いってみようか!」
「え!必殺技あるの!」
リッカから欲しかった反応が帰ってくる。
ありますよ、とびきりのがね!
「でも必殺技は隠してたほうが格好良くない?」
たしかに、でもさ。
「全く歯が立たない相手を、スパッとやったら格好良くない?」
「それは格好良いね!」
同意は得た、そんじゃあいっちょいきますかー!
いつもの助走で駆け出す。世界は加速して、あたしの時間だ。
装備変更、頼りにしてるよあたしの大剣!
「『セツナドライブ』!」
飛ぶ、斬る。
手応えはあった。パキィン!と大きな音を立てる。
ん?パキィン?
「お、折れたぁぁあああ!!!」
恐る恐る目をやれば、あたしの愛用の剣の1つはその刀身を半分以下にしていた。
そうみたいですね、ラルム君の肯定。しかし最奥と言うには……
「ん~、なーんもないね。ガラクタばっかり」
そのとおりだ、あたりを見渡せば、壊れて使いみちのなさそうな部品や、これまでもみたような大きな岩。
少なくともこの岩やガラクタから、魔術が生まれるとは思えない。
ラルム君には悪いけど、これはハズレの遺跡だったのでは?
「せっかく皆さんでここまで来たんです。少し探索していきましょう」
それもそうだね、あたしたちはまた探索を再開した。
「んん?」
しばらく石集めに精をだしていると……何かが聞こえない?
みんなはどう?あたしの聞き間違い?
「はい、なにか唸り声のような……」
ラルム君にも聞こえてるみたいだし、気のせいではないみたい。
「それになんだか揺れてるような?」
リッカも同じく。それに、なんだが近いような気が……
「がああぁぁぁあああああっ!!!」
「「なんじゃこりゃ!?」」
思わずハモるあたしとリッカ、大きな翼に巨大な牙や爪、そこにはドラゴンが、いやドラゴンの石像があった。
いや、いた、身体は石像だとしてもそれは確かに生きていた。遺跡に入ったあたしたちに、明確な敵意をもって。
「これは…なるほど…」
「なんかわっかんないけど、感心してる場合じゃないって!」
確かに、でもなにか知ってることがあるのだろうか。ラルム君はゆっくりと……
「ピンチですね」
「「わかってるって!!」」
まともだと思ってたイケメンも、仲良くなるにつれ天然な面がみえてきた、こんな時でなければ笑い話だけど。
「わかった。今回の発案者でありドラゴンに詳しいラルム君が囮になって、あたし達は逃げる」
我ながら妙案だ。なかなかあたしは頭がいい。
「賛成!」
手を大きくあげるリッカ、よしこれで2票。
「ちょっと待って下さい!」
諦めてくれラルム君、2対1だ。
「囮になるかメイド服着るか、選びなよ」
「その2択なら喜んで着ましょう!」
プライドを捨てた……だと……!
まぁ、あたしもその2択だったら間違いなく着るけど。
「え…メイド服ってやっぱり…リリアンちゃんの服装は、セツナの趣味なの?」
リッカはやや引き気味だ。
しまった、初めてラルム君と会った時の会話のせいで、あらぬ誤解をされた。なんとかしないと。
えーっと…えーっと…
「違うよ!ただ単純にラルム君のメイド姿がみたいだけだよ!」
「セツナさん!?」「セツナ……」
残念ながら、人はこれを墓穴という。
ワイワイと、ドラゴン?石像?の前で騒いでいると、突然の落石にて出口を塞がれる。
なるほど、こうして入口も塞いでいたのか。
「いいから!戦うよ!」
2人の視線はまだ痛いけど。このままだと普通に全滅だからね。
いや、普通に無理だった。だいたいただの岩でさえどかせなかったあたしたちが、同じような大きさの石像に挑む事自体が間違っている。
あたしとリッカの物理的な攻撃は弾かれ、頼みの綱であるラルム君の魔法も効いてる様子はない。
「仕方ない、必殺技いってみようか!」
「え!必殺技あるの!」
リッカから欲しかった反応が帰ってくる。
ありますよ、とびきりのがね!
「でも必殺技は隠してたほうが格好良くない?」
たしかに、でもさ。
「全く歯が立たない相手を、スパッとやったら格好良くない?」
「それは格好良いね!」
同意は得た、そんじゃあいっちょいきますかー!
いつもの助走で駆け出す。世界は加速して、あたしの時間だ。
装備変更、頼りにしてるよあたしの大剣!
「『セツナドライブ』!」
飛ぶ、斬る。
手応えはあった。パキィン!と大きな音を立てる。
ん?パキィン?
「お、折れたぁぁあああ!!!」
恐る恐る目をやれば、あたしの愛用の剣の1つはその刀身を半分以下にしていた。
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