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底辺召喚士
覚醒2
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ハルバート王国は変わり果てていた。
大地は巨大なクレーターと化し、家や施設の残骸は木っ端微塵。
忙しく動き回る兵士と無数の白いテントだけが目立っていた。
誇り高きハルバート王国は、暗黒竜に敗れ、壊滅状態となってしまっていたのだ。
今外に居る兵士はハルバートの兵では無く、隣国の『キプスマ』と更に隣の『ハバナ』の医術師団である。
彼らは元々、国王アズベルトが救援依頼を出していたのだが、ハルバートに暗黒竜の猛攻に耐える力は無く、キプスマ・ハバナの連合軍が到着する頃には時すでに遅しであったのだ。
暗黒竜の行方は誰も知らない。
直ちに彼等は、ハルバート王国民で想像を絶する戦闘の中存在を維持し、尚且つ未だ息のある人々のみを夜通しでテントへ匿っていった。
*
白いテントの一つ。
その一角で、眠れる少女が目を覚ました。
美しい金髪に、白いワンピース姿。
肌は透き通る様に透明で、大きめなエメラルドグリーンの瞳。
ワンピースに帯状に広がる血痕を抜きにすれば、容姿端麗な少女。
いや、少女とするには未だ幼い。
小さき女の子。
(.....?)
騒がしい兵士達の防具が擦れ合う音。
医術師達の怒号とも取れる指示。
どれもが彼女を困惑させた。
(...マジカル☆マジカのポスターが無い、知らない天井...)
普段と違う場所で、フカフカで無いベッドで、父とも母とも違う怒声。
違和感を感じたと共に記憶が流れ込み、混ざる。
(私は有原 芽衣...そして...)
ガバッと起き上がり、辺りを見渡す。
床に寝かせられた、人、人、人、人、人、、、、
そうだ、襲われたんだ。
母君と街を散策している時に。
(私は...メイリーン。メイリーン・フォルワーズ・ド・ハルバート!!!)
覚えている。
日本という国で育ち、高校生活を満喫していた自分。
マジカル☆マジカを大好きな自分。
ハルバート王国で第一位王女として生まれ、5年間育てられてきた自分。
暗黒竜に襲われ、母君と共に一瞬で切り裂かれた自分。
見下ろした己の身体は、メイリーン・フォルワーズ・ド・ハルバート。
少女は理解し、走り出す。
人と人とが並ぶ隙間を、出口へ向かって一直線に。
医術師が大声で引き止めても無視し、兵士が制止しようと手を出しても掻い潜る。
ただ白い光を目掛けて。
目の前に広がるのは、只々広大な大地。
「これって...異世界転生ってやつじゃん!!!」
すっかり明るくなっていた空に向かって、虚しき魂の言葉が木霊する。
かくなる上は、やる事は一つ!!
ここは対応力を褒めるべき!!
目を瞑り、神経を研ぎ澄ます。
次の瞬間、メイリーンの姿はテントの前から消えていた。
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