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* simple work to look on in the two who are not saved / Reiko Katohgi
chapter,4 + 4 +
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「禁忌を犯すことは許されないって、アカネ……ナラシノ、が言ってた。彼女はジユウお兄ちゃんがおかしくなるのはあたしのせいだって、ユキノジョーが死んだのならとっとと“器”になって次代の“神”を産み落とした方が楽になれる、って」
「ナラシノ先生はあっちがわの人間だからね」
転院初日に院長室で天と対峙した加藤木は彼女の窶れ具合に驚いたものだ。本人は何食わぬ顔をしているが、“女神”を巡る一族の諍いに辟易しているのだろう。当時は彼女が娶らせようとしている雨龍がどんな人間か知らなかった加藤木だが、彼と対話したことで理解できたことがある。
「コデマリちゃん。あなたはこのままジユウお兄ちゃんにも逢えないまま、知らない男の“器”になることが正しいと思ってる?」
「それは……」
「はたから見るとマインドコントロールよ。ナラシノ先生も、ジユウくんも、“諸神信仰”とともに生きてきたからだと思うけど。そしてミチノク先生もその波に捕まりそうになってる。わたしはそれがおかしいと思ってる。だけどわたしが騒いだところでこの病院の人間に首切られておしまいよ。だから黙ってる。黙って時を待ってる」
「待ってる? カトーギは誰を待ってるの?」
加藤木や陸奥と異なり、雨龍は病院外部とも繋がりが深い。彼と共闘することを決めた加藤木がまず最初にしたのは、姿を消したとされる諸見里自由の所在確認だ。諸見里本家は自由の失踪すら知らずにいた。
そうなると残る可能性はただひとつ。
雨龍はこの茶番を終わらせるため、最終兵器と連絡を取ることにしたという。
けれどもそれは諸刃の剣でもある、と。
「囚われのお姫様を救ってくれる、どこまでも一途で危険な王子様、かな」
「ナラシノ先生はあっちがわの人間だからね」
転院初日に院長室で天と対峙した加藤木は彼女の窶れ具合に驚いたものだ。本人は何食わぬ顔をしているが、“女神”を巡る一族の諍いに辟易しているのだろう。当時は彼女が娶らせようとしている雨龍がどんな人間か知らなかった加藤木だが、彼と対話したことで理解できたことがある。
「コデマリちゃん。あなたはこのままジユウお兄ちゃんにも逢えないまま、知らない男の“器”になることが正しいと思ってる?」
「それは……」
「はたから見るとマインドコントロールよ。ナラシノ先生も、ジユウくんも、“諸神信仰”とともに生きてきたからだと思うけど。そしてミチノク先生もその波に捕まりそうになってる。わたしはそれがおかしいと思ってる。だけどわたしが騒いだところでこの病院の人間に首切られておしまいよ。だから黙ってる。黙って時を待ってる」
「待ってる? カトーギは誰を待ってるの?」
加藤木や陸奥と異なり、雨龍は病院外部とも繋がりが深い。彼と共闘することを決めた加藤木がまず最初にしたのは、姿を消したとされる諸見里自由の所在確認だ。諸見里本家は自由の失踪すら知らずにいた。
そうなると残る可能性はただひとつ。
雨龍はこの茶番を終わらせるため、最終兵器と連絡を取ることにしたという。
けれどもそれは諸刃の剣でもある、と。
「囚われのお姫様を救ってくれる、どこまでも一途で危険な王子様、かな」
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