劇薬博士の溺愛処方

ささゆき細雪

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お正月休みの里帰り編

彼の実家へご挨拶(前編)

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「あけましておめでとうございます。さっそくですが、このたび三葉は職場で親しくさせていただいた整形外科医の大倉琉さんと入籍し、大倉三葉になりました」
『……そうか』
「驚かないんですね」
『いや、いつかそうなるだろうなと思っただけだ』
「まぁ、あなたの娘ですからね……っ」

 厭味ったらしく受話器で新年の挨拶と結婚報告をしている三葉を膝に乗せたまま、リビングのソファに座っている琉は、スマホをあてていない方の耳朶を舐めたり、ニットと下着ををまくりあげて胸を露出させ、冷たい指で胸の頂を抓ったり、まろびでてきた乳房を揉みしだいたり、三葉が抗えないのをいいことにやりたい放題している。

「――おっ、乳首勃ってる……いやらしぃなぁ」

 小声でぼそりと呟く琉にぎょっとしつつ、三葉は何食わぬ表情で父親との電話をつづけている。

「それで、そちらに挨拶がてらふたりで向かおうかと思ったの、ですが」
『……正月休みはいつまでだ』
「今週いっぱいで、明日から主人の実家に」
『悪いが明日からしばらく家をあける。春先まではバタバタしているだろうから、わざわざ挨拶に来なくていい』
「えっ、ちょっと?」
『どうせ七実と連絡取り合っているんだろ? 詳しいことはそっちに聞いてくれ、じゃあな』

 プツンと電話を切られ、三葉は唖然とする。実の娘が入籍したというのに驚きもせず、せっかくだし顔を見せに行こうと思ったのに来なくていいと出鼻を挫かれ、おまけに電話中の三葉をこれみよがしにイタズラしている琉のせいで内容がちっとも頭に入ってこない。

「……んぁっ!」
「おっぱい丸出しで父親に結婚の報告をした気分は?」
「バカぁっ……!」
「電話している間じゅう、我慢していたんだものね、こんなに物欲しそうな乳首して」
「ふぁ……ぁあっッ」

 コリッと両乳首をダイヤルのように回して、琉は息を乱す新妻を満足そうに見つめている。
 ハァハァと甘い吐息を漏らしながら、恨めしそうに琉を見ていた三葉だが、そのまま彼に唇を塞がれて、文句を封じられてしまう。
 執拗な胸への愛撫と舌を絡ませる濃厚な口づけに、三葉の思考能力は奪われていく。ちゃんと今後のことについて話し合わないといけないのに、手に持っていたスマホはソファの上にこぼれ落ち、彼の腕に囚われたまま、喘がされてしまう。
 琉は自分の手で快楽へ堕ちる三葉を楽しみながら、ちからの抜けた彼女をソファの上へ横たえて、焦らすように服を脱がせてにやりと笑う。

「……きょ、今日はしないんじゃ」
「明日から実家だぞ? さすがに両親や臨月の姉がいるところじゃこんな風に三葉を抱けないじゃないか」
「ならお父さんとの電話邪魔しないでよ、危うく変な声出しちゃうとこだったじゃない……」
「スリルあったでしょ」

 弱々しく反発する三葉をさらりといなして琉は全裸にした彼女を慈しむように観賞する。

「……あぁ、もぉ」
「ふたりで一緒にお正月を過ごすの、初めてだから嬉しくて。俺の部屋で年を越して、近所の神社に初詣して……あぁ、このひとが俺の奥さんなんだなって」
「りゅ、琉せん」
「もう夫婦なんだから、呼び捨てでいいんだよ、三葉」

 ちゅ、と啄むようなキスで遮られた三葉は、思わず顔を赤くして、恥ずかしそうに呟く。

「だ、だってまだ婚姻届を出して一週間経ってな……ぁあっ!」
「ふふっ、初々しい奥さんの姿を見ているとついイタズラしたくなるんだよね……かわいい」
「んっ……」
「ようやく俺だけの三葉になったんだな……」
「あっ、あっ……ん」

 全身くまなくキスの雨を降らせて、琉は三葉の肌へ深紅の痕を刻んでいく。その間に彼の利き手が彼女の下半身のすでに潤っている姫壺にふれ、淫靡な水音を奏でていく。

「仕事から家に戻ったら灯りがついていて、三葉が待っていてくれる毎日がもうすぐ当たり前になるんだものな……」
「で、でもまだ荷物がっ」
「それはおいおい、なんならその身ひとつで構わないくらい。洋服もいらない、俺が三葉に似合うものを下着からぜんぶ買い揃えて」
「却下」
「……俺は本気だよ?」
「だから怖いの……っ」
「わかったわかった、アパート引き払うのは来月末だよな。それまでに必要な荷物をゆっくり運んでいこう」
「ん」

 お喋りしながらたっぷりの愛撫を施して、自身も服を脱ぎ捨てた琉は、すでに硬くなっている一物を見せてくすりと笑う。

「それじゃあ、結婚して最初のお正月の三葉、いただきますか」


   * * *


 入籍を済ませて迎えた初めてのお正月、元旦の翌日から三葉は武蔵野市にある大倉家へ琉とともに挨拶へ行き、寝食をともにしていた。同じ敷地内にある整形外科診療所は住宅の隣に建てられており、室内の電気が落とされた入り口にはお正月飾りと休診のお知らせが貼られている。琉の両親がふたりで暮らしている家は落ち着いた和風建築で、よく言えば風流な、悪く言えば古臭い、昭和の雰囲気が漂う二階建てだ。琉が生まれた頃から家はそのままで、診療所だけは数年前に建て直したのだという。

 初日は緊張でガチガチだった三葉も、琉の両親とお腹のおおきな彼の姉に歓迎されたことで安心したのか、二日目からは台所仕事を手伝ったり、箱根駅伝の中継を見て歓談したり、まるで以前から家族であったかのように溶け込んでいる。

 三が日が落ち着き、琉と三葉も土曜日で帰るつもりだったが、「明日の朝には九州から海玖ちゃんの旦那さんが来るからあと一日いて!」と言われて結局日曜日の朝まで滞在することになった。三葉は日曜日に日帰りで実家に顔を出せるかと考えていたのだが、さきの電話で父親に来るなと言われたこともあり「いいですよ」と彼の実家でもう一泊することを快諾、すると琉の母から思いがけない提案をされてしまう。

「海玖ちゃんの振り袖着て、琉と氏神さまのところへ参拝してらっしゃいな」
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