初色に囲われた秘書は、蜜色の秘処を暴かれる

ささゆき細雪

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「ジュリちゃんお酒弱かったの? ならば先に言ってくれよ、調子に乗って飲ませすぎたじゃねえか」
「弱くなんかありましぇんっ! キートがたくさん飲めるならあたいだってっ!」
「酔ってるな……」
「酔ってましぇんっ!」

 居酒屋でお互いのことを語り合っているうちに気がつけば酔っぱらっていた樹理は貴糸に抱きついた状態で喚いている。まいったなぁと言いつつ、貴糸はどこか嬉しそうだ。

「いつ以来だ? 高校の文化祭ぶりか」
「んっと、キートがツムグくんの代わりに合唱コンクール見に来てくれたんだよね! あたいあの頃からツムグくんよりキートの方がカッコいいって思っていたんだよ!」
「負け惜しみじゃなくて?」

 貴糸には母親違いの十歳年上の兄がいる。樹理の婚約者だった雲野紡だ。だが、彼は自分より年上の女性と恋愛関係に陥り、ひとまわり年下の婚約者の前から去ってしまった。この婚約自体、当事者たちが生まれる前に互いの祖父たちが言い合って決めたようなものだから気にすることはないと両親は言っていたが、それでも優しいお兄ちゃんが自分の前からいなくなってしまったことが樹理にはショックだった。

 だから婚約破棄を言い渡された樹理(当時高校一年生)は「ツムグくんよりキートの方がすきだもん!」と捨て台詞を吐いたのだ。まさか本人に伝えられていたとは思いもよらず。

「負け惜しみじゃないもん、ツムグくんは優しくて王子さまみたいだったけど、あたいだけの王子さまにはならなかった……だけどキートは」
「俺?」

 ふと横を見ると、いまにも意識を飛ばしそうな樹理。
 彼女によく似合う軽やかなグレイベージュのスーツ姿もすでによろよろになっていた。

「ジュリちゃん、こんなところで寝るなよ」
「寝てましぇ……ん」
「こら、襲うぞ」
「ふぇ?」

 貴糸の声に応えようと樹理が顔を向けると、待っていたかのように彼の手が彼女の顎をくいっと持ち上げる。
 そのまま――貴糸は初恋の女性の唇を奪う。
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