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Ⅴ 月下美人と出立の福音
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しおりを挟む塩辛い海水によって重みを増したエプロンドレスを強引に破り、彼は愛する乙女の太もものあわいへ屹立した自分の分身を摺り寄せる。ずぶ濡れになった状態のまま、ふたりは腰まで海水に浸かった状態で、互いを強く求めあう。
潤んだ銀の瞳に何度も口づけながら、ダヴィデは笑う。
「外でするのは初めてだな」
「……もう」
「エーヴァこそ……こんなに濡らして。どうみてもこのぬめり、海水じゃないだろ」
「い、言わないで……!」
顔を深紅の薔薇のように染める彼女の紅唇に噛みつき、ちろちろと長い舌を侵入させながらダヴィデは冷え切っていた彼女の身体に熱を注いでいく。胸元をはだけさせれば、月明かりが美しく彼女の尖った蕾を照らしだす。片手で両方の乳首を交互に愛撫しながら、ダヴィデは彼女を楽器のように丁寧に奏で、啼かせていく。
「ぁあんっ、ダヴィデ……」
「月明かりに咲く伝説の花の下でこんな風に抱き合えるなんて。まるで夢を見ているみたいだ」
「ほんと……ですね」
夢うつつの表情で彼の言葉に頷けば、ダヴィデは愛おしそうにエーヴァの心臓が踊る左の乳房を包み込み、塩辛いのもものともせずにキスマークを刻み付ける。
「あっ……!」
「俺には君しかいないんだ。だからエーヴァ……消えないでおくれよ」
がっしりした筋肉を持つダヴィデと異なり、すらりとした肢体を持つ儚げなエーヴァはこの場で手放したらすぐに波に流されて消えてしまいそうだ。海の泡になってしまった人魚姫のように。
だから彼女を失いたくないダヴィデは必死になってエーヴァの秘された花園の奥へ楔を打ち込むのだ。火かき棒のように熱い、欲望まみれの楔を。
「! ふっ、あぁ……」
「――はいったよ。エーヴァ……このまま、抱きしめていていいか?」
「ん……動かないの?」
「動くけど……今はまだ、動きたくないな」
「ど、どうして?」
「ふたりでこうして生きていることを感じたいからだよ」
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