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Ⅲ 月下美人と皮肉な再会
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ディアーナとデーヴィットの結婚式の日程が正式に決まった。二カ月後だ。
「でもなあ、実感わかないんだよ。確かにディアーナはかわいい。この先一緒にやっていける、と思う。けどな、妻として愛せるかって言われると……俺は」
「たとえそうだとしても、お嬢様を大切にしてあげてください」
今更、綺麗事なんか口にしても遅い。エーヴァも、彼を、必要としているから。
こうして、モチェニーゴ館のテラスでままごとのような逢瀬を繰り返して、互いにディアーナを裏切っているというのに。知っているのは真紅の花々と、目の前にあるエピフィリウムだけ。
「わかってる。きっと、兄妹のような夫婦になると思う。八つも年が離れてるし」
「そう、ですか」
「いっそのこと、君を愛人にして囲いたいくらいだ……でも、それはいやだろう?」
主であるディアーナを裏切りデーヴィットの愛人として暮らすという未来を提示されるも、エーヴァは首を横に振って拒絶する。エーヴァが愛するのはデーヴィットではない、ダヴィデだからだ。
「お嬢様を傷つけることになります。したくありません」
「だけど、身体は拒んでいないみたいだ」
「……んっ」
夕刻のテラスの寝椅子はいつしかふたりの愛の巣になってしまった。
はじめのうちはふたりで隣り合わせに腰掛け会話をしているだけで満足だったのに、日を追うごとに距離が縮まり、深いキスがはじまり、執拗な愛撫へと進んでいく。言葉だけでは物足りないとデーヴィットはエーヴァのお仕着せであるスカートのなかへ手を這わせ、一度味わった秘蜜を味わうためにと指先で淫芽を刺激する。既に湿っていた蜜口からの愛液の滴りを確認して、デーヴィットはスカートから出した指先をぺろりと舐める。
「はしたない、です」
「君が垂らしたいやらしい蜜なんだ。甘くて美味しいよ」
「ひどいひとですね」
「そんなひどい男から逃れられない君もまた、共犯者じゃないか」
文句を言いながらデーヴィットが服越しにエーヴァの胸の膨らみを揉みしだけば、彼女ははぁ、と顔を火照らせて反論する。
「でも、デーヴィット様の愛人にはなりません。ディアーナお嬢様が結婚されたら、わたしはお暇をいただきます」
「ふぅん。じゃあダヴィデとして、こうして楽しめるのは今だけなのか……ほら、服越しでも尖ってきたのがわかるよ」
「きゃっ……」
寝椅子に押し倒され、スカートごと着衣をたくし上げられ、胸元まで素肌がデーヴィットの前に晒される。
無垢な胸元のふたつの蕾は既にほんのり赤く色づいている。
「ダメです、見えちゃいます……!」
「こんな時間のテラスなんて誰も来ないような場所じゃないか。花々を愛でるよりも俺は君の白い肌をこうして愛でたい」
「ふぁんっ!」
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