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肆 その二
しおりを挟む頼朝追討の院宣がでて半月。煮えをきらしたのか行家は西国で兵を募ろうと言い出した。
「だから都をはなれようと思う」
義経は淡々としたようすで、褥の上で乱れる全裸の静に告げる。
京都で兵が募らないから、頼朝の支配力が薄い西国で再起を図ろうと考えているのだろう。
すでに平家亡き今、西国すら頼朝の支配下にあるというのに。義経は矛盾に気づいていない。
ひたすら兵を集めて兄と対決するのを夢見ている。
義経の手によって一度達した余韻を引きずりながら、静は嗚呼と甘い溜息を洩らし、彼が洩らした言葉について考える。
――もしかしたら、義経さまはおっさんに殺されたいのかもしれない。
鎌倉にも京都にも居場所がなくなってしまった義経。
彼にとって世間が生きにくいものへと変わっていく。
生きている証のように静を呼び寄せ、女性としての悦びをひとつひとつ教えながら、丁寧に、ときに激しく淫らに犯す日々。
膨らみ始めた乳房は義経のおおきな手には小さいが、片手で双方の乳首と戯れられるからと彼は全身で彼女を苛め抜く。姫壺に魔羅を串刺しにしたまま片方の手で秘芽をいたぶり、もう片方の手で勃ちあがった両乳首をつまみ、抵抗できぬよう深い口づけですべてを奪う。
静が甘く啼くのをいいことに、彼は彼女の内耳へ舌をねじ込みぺちゃぺちゃと淫靡な音を紡ぐ。耳底まで侵食するその音が彼女を更に蕩かせると知っているから。その間に両手がそれぞれの乳房を揉みしだき、白い肌は瞬く間に桜色へと染め上げられる。
下半身で繋がれたままの楔は先ほど達した名残の蜜に塗れてぬるぬるしている。勢いよく腰を振るっているわけでもないのに石のように硬く太い肉棒がねじ込むように襞を擦れば泉のように最奥から愛液が湧き滴り、悦楽の飛沫が褥へ飛ぶ。
最奥に貫かれ弾けた身体はふるふると震え、弛緩した後に彼の腕へ還る。
静の反応を楽しむ余裕も見せず、駆けあがってきた衝動のまま義経は腰振る速度をあげ、一方的に青臭い精を開け放つ。
ぐったりしたまま、双眸を潤ませて義経を見つめる静に彼は問う。
「ついてくるか」
なぜ、いまさらそのようなことをきくのか。
京都に残っても義経が帰ってこないのならいる意味などないというのに。
静は彼の胸元へ顔を埋め、晴れやかに応じる。
「ご一緒します。奈落の底まで」
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