【R18】ふたりしずか another

ささゆき細雪

文字の大きさ
上 下
24 / 34

肆 その二

しおりを挟む



 頼朝追討の院宣がでて半月。煮えをきらしたのか行家は西国で兵を募ろうと言い出した。

「だから都をはなれようと思う」

 義経は淡々としたようすで、褥の上で乱れる全裸の静に告げる。
 京都で兵が募らないから、頼朝の支配力が薄い西国で再起を図ろうと考えているのだろう。
 すでに平家亡き今、西国すら頼朝の支配下にあるというのに。義経は矛盾に気づいていない。
 ひたすら兵を集めて兄と対決するのを夢見ている。

 義経の手によって一度達した余韻を引きずりながら、静は嗚呼と甘い溜息を洩らし、彼が洩らした言葉について考える。

 ――もしかしたら、義経さまはおっさんに殺されたいのかもしれない。

 鎌倉にも京都にも居場所がなくなってしまった義経。
 彼にとって世間が生きにくいものへと変わっていく。

 生きている証のように静を呼び寄せ、女性としての悦びをひとつひとつ教えながら、丁寧に、ときに激しく淫らに犯す日々。
 膨らみ始めた乳房は義経のおおきな手には小さいが、片手で双方の乳首と戯れられるからと彼は全身で彼女を苛め抜く。姫壺に魔羅を串刺しにしたまま片方の手で秘芽をいたぶり、もう片方の手で勃ちあがった両乳首をつまみ、抵抗できぬよう深い口づけですべてを奪う。
 静が甘く啼くのをいいことに、彼は彼女の内耳へ舌をねじ込みぺちゃぺちゃと淫靡な音を紡ぐ。耳底まで侵食するその音が彼女を更に蕩かせると知っているから。その間に両手がそれぞれの乳房を揉みしだき、白い肌は瞬く間に桜色へと染め上げられる。
 下半身で繋がれたままの楔は先ほど達した名残の蜜に塗れてぬるぬるしている。勢いよく腰を振るっているわけでもないのに石のように硬く太い肉棒がねじ込むように襞を擦れば泉のように最奥から愛液が湧き滴り、悦楽の飛沫が褥へ飛ぶ。

 最奥に貫かれ弾けた身体はふるふると震え、弛緩した後に彼のかいなへ還る。
 静の反応を楽しむ余裕も見せず、駆けあがってきた衝動のまま義経は腰振る速度をあげ、一方的に青臭い精を開け放つ。

 ぐったりしたまま、双眸を潤ませて義経を見つめる静に彼は問う。

「ついてくるか」

 なぜ、いまさらそのようなことをきくのか。

 京都に残っても義経が帰ってこないのならいる意味などないというのに。

 静は彼の胸元へ顔を埋め、晴れやかに応じる。


「ご一緒します。奈落の底まで」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

鎌倉最後の日

もず りょう
歴史・時代
かつて源頼朝や北条政子・義時らが多くの血を流して築き上げた武家政権・鎌倉幕府。承久の乱や元寇など幾多の困難を乗り越えてきた幕府も、悪名高き執権北条高時の治政下で頽廃を極めていた。京では後醍醐天皇による倒幕計画が持ち上がり、世に動乱の兆しが見え始める中にあって、北条一門の武将金澤貞将は危機感を募らせていく。ふとしたきっかけで交流を深めることとなった御家人新田義貞らは、貞将にならば鎌倉の未来を託すことができると彼に「決断」を迫るが――。鎌倉幕府の最後を華々しく彩った若き名将の清冽な生きざまを活写する歴史小説、ここに開幕!

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

夢幻のごとく

ariya
歴史・時代
人間50年からはじまる歌、のちの天下人が好んだ歌である。 この歌は「敦盛」という名であるが、実は敦盛を討った武将の半生を綴ったものだと言われている。 ではその男はどんな男だったのか。

【完結】月よりきれい

悠井すみれ
歴史・時代
 職人の若者・清吾は、吉原に売られた幼馴染を探している。登楼もせずに見世の内情を探ったことで袋叩きにあった彼は、美貌に加えて慈悲深いと評判の花魁・唐織に助けられる。  清吾の事情を聞いた唐織は、彼女の情人の振りをして吉原に入り込めば良い、と提案する。客の嫉妬を煽って通わせるため、形ばかりの恋人を置くのは唐織にとっても好都合なのだという。  純心な清吾にとっては、唐織の計算高さは遠い世界のもの──その、はずだった。 嘘を重ねる花魁と、幼馴染を探す一途な若者の交流と愛憎。愛よりも真実よりも美しいものとは。 第9回歴史・時代小説大賞参加作品です。楽しんでいただけましたら投票お願いいたします。 表紙画像はぱくたそ(www.pakutaso.com)より。かんたん表紙メーカー(https://sscard.monokakitools.net/covermaker.html)で作成しました。

独身寮のふるさとごはん まかないさんの美味しい献立

水縞しま
ライト文芸
旧題:独身寮のまかないさん ~おいしい故郷の味こしらえます~ 第7回ライト文芸大賞【料理・グルメ賞】作品です。 ◇◇◇◇ 飛騨高山に本社を置く株式会社ワカミヤの独身寮『杉野館』。まかない担当として働く有村千影(ありむらちかげ)は、決まった予算の中で献立を考え、食材を調達し、調理してと日々奮闘していた。そんなある日、社員のひとりが失恋して落ち込んでしまう。食欲もないらしい。千影は彼の出身地、富山の郷土料理「ほたるいかの酢味噌和え」をこしらえて励まそうとする。 仕事に追われる社員には、熱々がおいしい「味噌煮込みうどん(愛知)」。 退職しようか思い悩む社員には、じんわりと出汁が沁みる「聖護院かぶと鯛の煮物(京都)」。 他にも飛騨高山の「赤かぶ漬け」「みだらしだんご」、大阪の「モダン焼き」など、故郷の味が盛りだくさん。 おいしい故郷の味に励まされたり、癒されたり、背中を押されたりするお話です。 

幕末レクイエム―士魂の城よ、散らざる花よ―

馳月基矢
歴史・時代
徳川幕府をやり込めた勢いに乗じ、北進する新政府軍。 新撰組は会津藩と共に、牙を剥く新政府軍を迎え撃つ。 武士の時代、刀の時代は終わりを告げる。 ならば、刀を執る己はどこで滅ぶべきか。 否、ここで滅ぶわけにはいかない。 士魂は花と咲き、決して散らない。 冷徹な戦略眼で時流を見定める新撰組局長、土方歳三。 あやかし狩りの力を持ち、無敵の剣を謳われる斎藤一。 schedule 公開:2019.4.1 連載:2019.4.19-5.1 ( 6:30 & 18:30 )

佐々木小次郎と名乗った男は四度死んだふりをした

迷熊井 泥(Make my day)
歴史・時代
巌流島で武蔵と戦ったあの佐々木小次郎は剣聖伊藤一刀斎に剣を学び、徳川家のため幕府を脅かす海賊を粛清し、たった一人で島津と戦い、豊臣秀頼の捜索に人生を捧げた公儀隠密だった。孤独に生きた宮本武蔵を理解し最も慕ったのもじつはこの佐々木小次郎を名乗った男だった。任務のために巌流島での決闘を演じ通算四度も死んだふりをした実在した超人剣士の物語である。

織田信長IF… 天下統一再び!!

華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。 この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。 主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。 ※この物語はフィクションです。

処理中です...