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第二部 初恋輪舞 大正十二年文月~長月《夏》

真夜中に花は散らされる 01

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「あぁっ、もう……堪忍してぇっ……!」

 素肌に花嫁衣裳を身につけ、両手首に鎖をつけられ柱の高い場所へ吊るされた状態で、音寧は資の姿をした何かに身体を弄ばれていた。
 資でありながら彼ではないと彼女が感じたのは、口づけや愛撫の練習をしたときよりも荒々しい、それでいて的確な彼の性技ゆえ。知らない資に身体をまさぐられ、それでも感じてしまう自分に音寧は混乱している。
 突然の嵐で散らされる寸前の、小手毬の花のような純白の花嫁衣裳がぼんやりと暗闇に浮かび上がっている。身動きを封じられた彼女は、与えられる快楽に飲み込まれまいと必死になっていた。
 なぜならいま。彼女が着ているスカートのなかに資が顔を入れ、両足を思いっきり拡げながら秘処を舐め回しているからだ。

 ぴちゃりぴちゃりと淫らな音で同時に耳を犯されたから、音寧は呆気なく達してしまった。それでも資は彼女の下の口に濃厚な接吻をつづけている。何度も何度もふっくらと膨らんだ秘芽を甘噛みしたり、長い舌で秘裂や蜜洞の襞を刺激したり、絶え間なく溢れつづける愛蜜をじゅるじゅると啜り上げたり、太ももまで垂れたそれを指に塗って彼女の敏感な部分へ押しつぶしたり……スカートのなかに隠れて資が音寧を苛める都度、不安定な腰はひくんひくんと物欲しそうに揺れていた。

「立たった状態で達する姿も素晴らしいな。おもらしのように蜜を垂らしている。スカートのなかが大変なことになっているぞ」
「いやぁ、言わないで……っん」

 スカートから顔を出した資は、邪魔だな、と軍服のズボンベルトに帯刀していたナイフで、あろうことか繊細な布を切り裂いてしまう。彼の信じられない行動を止めることはもはや叶わず、音寧は彼にされるがまま、美しい花嫁衣裳を乱されていく。

「いやぁ……っ!」
「こうでもしないと姫の綺麗な場所が探せないよ。ほら、桜色の乳首も俺に愛でられるのを待ちわびていたようだ」
「ひゃんっ」

 レエスの布地は無残に引き裂かれ、片方だけ乳房が顔を出している。そこへ資の顔が近づき、ぴんと勃ちあがった乳首をれろりと舐めはじめる。下肢をさんざん弄られた後に与えられた甘美な悦楽に、音寧は悲鳴に似た喘ぎ声をあげていた。

「あぁ……いやぁ、ンッ」
「俺の涎で艶を帯びた乳首がいやらしいな……俺の手と口で何度でも達するといい」
「資、さまっ、もうやめて……っ!」

 切り裂かれた花嫁衣裳は半分以上床に落ち、音寧の白い肌が目立つようになる。
 資がでえとの前につけてくれた接吻の痕は、いまも色濃く残っている。このときはまさか、こんな風に彼に襲われるなんて思わなかったのに……
 何度も喘がされて声が枯れてきた音寧は、両乳首を交互に吸いながら指先で秘処を蹂躙する資から逃れることもままならない。
 ふれられる都度敏感になる身体は、もっとおおきくて太いものがなかに欲しいと疼いている。だけど、この状態の彼に犯されるのは厭だと音寧は嘆く。

「自分から欲しくなるまでは、最後までしないさ……淫乱のくせに強情だね。仕方ない、このお薬を塗ってあげよう」
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