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第二部 初恋輪舞 大正十二年文月~長月《夏》

近づく距離と不穏な周囲 02

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「そういえば、胸だけで達することができるという話をどこかで耳にしたな……姫の身体もそうなのか?」
「し、知りませんっ……はぁんっ!」

 やわやわと揉みしだかれる乳房と、彼の舌で転がされる左右の乳首。朝から寝台の上で乳繰り合っている状況は、とてもじゃないが護衛とその護衛対象には見えず、想いを通じ合わせたばかりの恋人同士のように見える。

「美味しいよ、姫のお乳……ずっと舐めしゃぶっていたい」
「あ、ああっ……そんな、資さまぁ……」

 いやいやと首を振りながらも、音寧は資にされるがまま、胸への愛撫を受けつづけている。下肢はまだふれられてもいないのに、ぐずぐずと蕩けて蜜を出したそうに疼いている。
 けれど、あくまでこれは契約の一端だと音寧は瞳を曇らせる。異能を受け止められるよう己の精力を高め、最後に彼の“精”を与えてもらうまでの一時的な関係。このままこの世界に音寧は居座れない、この世界で資に身も心も奪われて未来の有弦のことすらどうでもよくなってしまったら、向こうの世界で待っている未来の夫に申し分が立たない。だけど過去の夫もまた、自分が愛すべき男性で……

「胸だけじゃあ物足りないみたいだな。朝だからこれで終わりにしようかと思ったけど」
「え」
「姫が達して俺に淫らで可愛い表情を見せてくれるまで、つづけることにする」

 音寧が考え事をしていることに気づいたのか、資の手が彼女の下半身へと伸びていく。ハッとした音寧の足をくいっと開き、敏感な部分を曝けだした彼は、そのまま秘芽にふれて、つんっと指の腹でやさしく刺激する。

「ま、待って……た、資さ……あぁっ!」

 乳首を吸われながら秘芽を指先で嬲られ、音寧の身体がひくひく動く。
 粗相をしたかのように蜜が溢れ出し、資の指を濡らしていく。
 それでも彼の愛撫は止まらない。

 朝日を浴びながら全裸のまま寝台の上で足を開かれ手と口で敏感な部分を責められた音寧の甘い喘ぎ声が部屋中に響き渡る。
 まるでこの部屋だけが時間を止められてしまったかのような錯覚に陥るほど、資から一方的に与えられた快楽に翻弄されていた音寧は、そのまま彼に乳首を甘噛みされた瞬間、声にならない媚鳴とともにその日最初の絶頂を迎えるのだった――……
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