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4話
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「それで、どうしようか?」
「まずはここを出ましょう」
「ドラゴンが出たら町が大騒ぎになるぞ」
「何を言ってるの?どうせ滅ぼすんだから問題ないでしょ?」
それもそうか。
でも、俺はまず、世界を見て回りたい。
ただ戦って殺すだけなんてつまらない。
「まだ滅ぼなさない。まずは世界を見て回りたいんだ。それからでも遅くはないだろ?」
俺がそう言うと、ドラゴンは目を瞑ってから溜息をついた。
「分かったわ。でも、気に入らなかったら殺してもいいでしょ?」
「ああ、じゃあまずは地上に出よう・・・と言いたいところだけど、人化は出来るんだろ?」
「ええ、でも人化しても服が無いから嫌よ」
そうか。
なら俺が買ってくればいいか。
「なら、少し待っててくれ。それと、結界はまだあるのか?」
「もう核が壊れているし無いと思うわよ」
「分かった。じゃあ急いで戻ってくるようにするよ」
俺は焼き鳥屋みたいな所に転移した。
それから焼き鳥屋みたいな所に向かう。
「やあおじさん。久しぶりだね?」
「おお、この間の坊主じゃねえか。3日ぶりだが迷宮に行ってたのか?」
「うん。中々魔石取れたよ。それと、冒険者ギルドの場所と服がとか買える場所とか分かる?」
「おお?分かるが、ここは情報屋じゃねえぞ?情報とかが欲しいなら酒場に行けよ?でだ、冒険者ギルドはここから少し真っ直ぐ行ってから左に行けば看板があって分かるだろう。
服を売ってる店はいくつかあって、防具なら冒険者ギルドの方に、私服とかなら冒険者ギルドと同じで少し行っから右側にしばらく行けばすぐに見つかるだろうさ。
貴族が偶にいるから気をつけろよ。それと何本買っていくんだ?まさか買わないなんて言わないよな?」
「まさか。今日は2本かな。今日はありがとう。商売頑張れよ」
「おう。あったりまえよ!」
おじさんはニカって笑ってそう言った。
俺は愛想笑いをしてから冒険者ギルドに向けて歩いていった。
正直辛いものだ。
あのおじさんを見ていると俺は後ろめたく感じてしまう。
世界にはそれぞれ違う人達がいる。
おじさんみたいに話していて気分がいい人や、関わっているだけで嫌な気分になる人。
嫌な人と言っても、人は必ずどこかしら悪いところがあるものだ。
感じ方は人それぞれ違う。
きっとあのおじさんにもそんなところがあるだろう。
でも、確実ではない。
ああゆう人に会う度に悪いことはしてはいけないと思ってしまう。
逆に、嫌な人達を見る度に人なんてどうでもいいと思えてしまう。
俺はこれが嫌だ。
嬉しく思えるだけならいいのに・・・と、どれだけ思い続けて来たことか。
まあ、今は世界を見て回る。
決めるのはそれからでも遅くは無いだろう。
フランと一緒に行動する限り必ず決断を下す必要が出てくるだろう。
なら、今は考えないでもいいだろう。
俺は何も考えずに冒険者ギルドに向かって歩いていった。
しばらく歩いていると、冒険者の文字が入った看板があった。
看板のある建物を見てみると、2階建てで、中々丈夫そうな建物だった。
中に入って見渡してみると、左側にはたくさんの紙の貼ってあるボードがあり、その前には階段があった。その横には受付と、美人の役員の人達がいた。
その受付の上には、文字が書いてあり、一番左が買取のようだ。
右側には机や椅子があり、飲んでいる人達がチラホラいた。
それでも人数は少なかった。
さらに、その先からは音楽が聞こえ、扉があった。
扉の上には酒場と書いてあり、少し好奇心が湧いた。
行ってみたい。
だけど、フランも待っているし、先に買取と買い物を済ませよう。
俺はカウンターに行った。
「あのう、すいません。これらの買取して貰ってもいいですか?」
俺は30階層辺りの魔石4個と40階層辺りの魔石を3個置いてから言った。
すると、相手の女性は驚いて固まってしまった。
俺は失敗したのか?と、思っていると、女性はすぐに営業スマイルになった。
「はい。大丈夫ですよ。それと、この魔石なんですが、あなたが取ってきた魔石ですか?」
あれ?やっぱり可笑しいのか?
「すいません。そんなに珍しいのですか?」
「いえ、高ランクの冒険者なら希に持ってくることはあるんですよ。
でも、私はあなたを1度も見かけていません。
普通、迷宮には何度も挑んで少しづつ対策を練っていくものです。
そのため、潜って手に入れた魔石を売りに来るんです。
なので、本当にあなたが手に入れた物か不思議に思いまして」
なるほど。
まあ、言い訳や嘘なんていくらでも思いつく。
「ああ、実は俺が取ってきた訳では無いのですよ。身内に高ランクの冒険者が居て、代わりに換金して来てくれって言われて」
俺がそう言うと、受付嬢は納得したようで、何度か頷いてから笑顔になった。
「そうゆう事だったんですか。でも、少しそうなると羨ましいですね。」
「いえ、そんなことないですよ。それで、換金って出来ますかね?」
「はい。少し待っていて下さいね」
そう言って魔石を持っていった。
しばらく待つと、袋を持って帰ってきた。
「お待たせしました。合計で大金貨4枚と小金貨9枚となります。
それではまたのお越しをお待ちしてます」
俺はお金をローブの中に手を入れてからアイテムボックスに送った。
それから貨幣の事だ。
1鉄貨=1
1銅貨=10
1小銀貨=100
1大銀貨=1000
1小金貨=10000
1大金貨=100000
1白金貨=1000000
1黒金貨=10000000
こんなふうになっている。
俺は扉を開けて出ると、次に服屋に行こうとしたが、柄の悪そうな人達がこちらに向かってついてきているのに気づいた。
これはどうすればいいだろう。
殺してしまえばいいのだろうか?
でも、ここは異世界だ。
なら、殺してしまってもいいのでは無いだろうか?
それに、俺の望みは人型の生き物の滅び。
ここでやれなければ俺がまた望みを叶える事なんて出来ないのでは無いだろうか?
前の望みもそのうちにと言っているうちに叶わなくなってしまった。
なら、もっと積極的に動かなければいけない。
それに、もし後ろの奴らが俺の嫌いな人達なら生かしている方が間違いだろう。
俺を止められる奴はきっと居ない。
なら、動くまで!
俺は一通りが少ない所まで来ると、止まってから振り返った。
すると、目に入ってきたのは下卑た笑みを浮かべたガラの悪い人達だった。
なんだか涙が出そうになった。
昔の俺はあんなのにまで、必ずいいところはあると信じていた。
そのうち分かってくれると。
でも、ダメだ。
そんなふうには思えないし、いい人でも嫌なことがあればすぐに変わるものだ。
人が俺の目に映るだけ嫌な気分になる。
やはり、滅ぼそう。
俺は不死かもしれない。
なら、生きている限りこの苦痛を味わうことになるかもしれない。
本当は殺す必要なんかないのかもしれない。
でも、全ての人は必要のない行動を必ずとる。
でも、必要のないことが間違いという訳では無いだろう。
俺の望みは愚かな行為でしかないのかもしれない。
でも、愚かな行為が間違いとは限らないだろう。
それは、俺にとっての正解だ。
だから俺も剣を握ろう。
全ては俺の為に。
俺は覚悟を決めた。
「へっへっへっ、どうした?こんな所に来て。もしかして迷子か?」
ガラの悪い奴らは下卑た笑いをしながらそう言った。
俺はそいつらの方へ剣を持って歩いていった。
相手は俺のそんな様子が可笑しいのか笑った。
「アッハッハッハッハッ、お前馬鹿なのか?さっきの会話、聞いてたぞ?あの魔石お前が取ったわけじゃないんだろ?」
俺はそんな様子に溜息をついた。
悩む必要なんてなかったのかと。
俺は距離を詰めて一瞬で首を切り落とした。
「な、なんだてめぇ!」
相手は酷く狼狽えた様子だった。
俺は気にせず、すぐに次の人の首を飛ばした。
そして、また1人と首を飛ばしていく。
最後の人は命乞いをしていが、気にせず殺した。
俺は剣を拭いてからアイテムボックスにしまった。
そして足早に服屋へと向かった。
向かっている途中先程のことを考えていた。
感想は、正直あんまり感じなかった。
だけど、あんなふうに怯えるさまは見ていて気分が良かった。
これならきっと善人でも斬ることが出来るだろう。
俺は少し悲しくなったが、考えないようにして服屋に向かうことにした。
しばらく歩いていると、服の店っぽいのがいくつか目に入った。
俺は一番近い店に向かった。
扉を開けると折りたたんである服が結構あって、女性物の服もあった。
「いらっしゃいませ」
笑顔で店員さんが言った。
「すいません、女性物の服と下着をいくつか頂けませんかね?」
「はい、分かりました。サイズとデザインはどうしますか?」
サイズとデザイン...か。
そんなこと言われてもフランが人化したらどうなるか知らない。
うーん、全てのサイズを、買うか。
「すいません。サイズが分からなくて。大きめから小さめの服と下着のサイズを一つずつとデザインは店員さんのおすすめでいいですかね?」
店員さんは少し困ったようになったあと、「わかりました」と言って見繕いにいった。
俺はその間、自分の服を選んだ。
物を入れる袋もあったため、それも手に取った。
「お待たせしました。こんな感じでいいでしょうか?」
そう言って何着もの服と下着を見せてくれた。
少し下着を見るのを躊躇ったが、しっかりと確認した。
だが、さすがは店員さんで、中々いい感じの服ばかりだった。
「はい。ありがとうございます」
「全部で、大金貨1枚と小金貨3枚になります」
俺はローブの中に手を入れてからアイテムボックスを使って払った。
「ありがとうございました。また来てくださいね」
店員さんは笑顔でそう言った。
俺は店を出ると転移を使った。
フランは俺を見ると目を細めた。
「遅かったわね。何してたの?」
「魔石を換金してたんだよ。そしたら襲われてね。倒してたら少し時間かかっちゃった。ごめんね」
「そ、そんなに素直に謝られるとこっちが悪い気がしてくるわ。それで、服は買ってきたの?」
「ああ」
俺はそう言って女性物の服と下着を全部出した。
すると、フランは頷いた。
「少しあっち向いててくれる?」
俺は言われて反対側を向いた。
そして、ぼーっとしていると布の擦れる音が聞こえてきて居た堪れない気持ちになった。
こんなことなら転移すれば良かったと後悔していると、フランの声が聞こえた。
「うん。これで完了ね。もうこっち向いてもいいわよ」
フランがそう言ったので見てみると、黒髪に紫色の眼をした絶世の美女がいた。
身長は俺と同じくらいの170辺りで、胸は結構あるが、大きすぎるということはなく、露出が少し多くて、胸や艶かしい足を強調していた。
さらに顔も整っていて、俺は見蕩れて固まってしまった。
すると、俺のそんな様子に気を良くしたのかフランはニヤリと笑った。
「あら?私の美しさに見蕩れちゃった?」
俺はその言葉に我に帰り、言い返せず言葉も見つからず、恥ずかしくてそっぽを向いてしまった。
だが、すぐに客観的に見ることで普通な状態に戻り、フランの方を向いて言った。
「うん。こんなにも美人だなんて思っていなかったよ。おかげで見蕩れてて何も言えなかったよ」
「そ、そう?そう言ってもらえると嬉しいわ」
フランは少し恥ずかしそうにそう言った。
「うん、本当に驚いたよ。フランは僕が今まで見た中で一番綺麗だ」
俺がそう言うと、フランは照れているのか恥ずかしいのか顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。
俺はそんな様子に気分をよくすると、これからどうしようか考えた。
選択肢はたくさんある。
なら、まずはフランに聞いてみるのもいいかもしれない。
「ねえ、フラン。これからどうする?」
フランは俺がそう聞くと、首を傾げてから言った。
「世界を見て回るんでしょ?」
「うん。そうなんだけど、どこから行こうか?」
「私はルーアンについて行くだけよ」
「なら、まずは迷宮都市を見て回ろうよ。そしたら獣人の国なんていいかもね?」
「ルーアンがそれでいいならそれでいいわ」
「あははっ、嬉しいことを言ってくれるね。僕を惚れさせる気かい?」
僕がそう言うと、フランはきょとんとした。
「あら?まだ惚れてなかったの?」
「うーん、僕はまだ惚れてないと思うけど。でも分からないな。僕はすぐに好きになっちゃうんだよ。それでフランは僕に惚れているのかい?」
僕がそう聞くとフラン笑ってから言った。
「さあ?どっちかしら?」
そうは言われても分からない。
でも、フランの笑った顔はとても破壊力が強く、惚れてしまうのは時間の問題だろうと思った。
俺は人をすぐに好きになる。
いや、好きになっていたが正しいかもしれない。
好きになりかけてもすぐにその人の悪いところが分かってしまう。
だから俺はもう人を好きになることは無いだろうと思っていた。
さっきのおじさんだっていい人だとは思っても全然心には来ていないだろう。
きっと死んでもなんとも思わない。
可哀想とか表面上では思っても、心はほとんど変化しない。
人が死んだら泣くかもしれない。
でも、それは表面で反射で起きているだけ。
長い間嘘を続けていると、そんなことが起きるようになった。
俺の心は全ての人がみんな等しく石ころと同じなんだろう。
でも、極たまに俺の心を動かしてくれる存在がいる。
もしかしたら、フランも動かしてくれるかもしれない。
いや、もしかしたらただ、俺はフランが気になるだけかもしれない。
俺も男だ。
だからただ美人に弱いだけかもしれない。
だが、それはそれでいい気がした。
もしも、俺がフランに惚れれば人を滅ぼさない大義名分になる。
俺はそれを求めているだけかもしれない。
俺は本当に人を殺し尽くしたいのだろうか?
分からない。
正直、どっちでもいいのかもしれない。
だが、これからの出来事によって変わるだろう。
いい人を見るか悪い人を見るか、きっとそれによって変わるだろう。
だから、今結論を出す必要はない。
「フラン、とりあえず服とか回収するね」
「ええ、いいわよ」
俺はそう言って服を回収した。
「もう考え事はいいの?凄く悩んでいたけど」
「ああ、今はとりあえずフランと世界を見て回ることにした」
「そう、わかったわ」
「フランはいいの?俺と一緒に行動しなくてもいいんだよ?」
俺がそう言うと、フランは少し眉をひそめた。
「何を言っているの?それは既にあなたに聞かれて答えたわよ。それとも、私とは行動したくないのかしら?」
「ごめん、そういうわけじゃないよ。ただの確認だよ」
俺がそう言うとフランはすぐに笑顔になった。
「ええ、これからよろしくね」
「うん、これからも僕と一緒に来てくれ」
俺がそう言うとフランはきょとんとした。
「あら、それじゃあなんだか告白みたいね」
「ああ、確かにそうかもしれないね。もし告白ならなんて答えるんだい?」
「ええ、いいわよ」
フランはそう言ってクスリと笑った。
俺はフランのそんか様子を見て何を考えているのかよく分からなかった。
俺はそれに対して少しモヤモヤしながらも手を差し出した。
フランがそれを掴むと俺は焼き鳥屋っぽい店の近くに転移した。
「まずはここを出ましょう」
「ドラゴンが出たら町が大騒ぎになるぞ」
「何を言ってるの?どうせ滅ぼすんだから問題ないでしょ?」
それもそうか。
でも、俺はまず、世界を見て回りたい。
ただ戦って殺すだけなんてつまらない。
「まだ滅ぼなさない。まずは世界を見て回りたいんだ。それからでも遅くはないだろ?」
俺がそう言うと、ドラゴンは目を瞑ってから溜息をついた。
「分かったわ。でも、気に入らなかったら殺してもいいでしょ?」
「ああ、じゃあまずは地上に出よう・・・と言いたいところだけど、人化は出来るんだろ?」
「ええ、でも人化しても服が無いから嫌よ」
そうか。
なら俺が買ってくればいいか。
「なら、少し待っててくれ。それと、結界はまだあるのか?」
「もう核が壊れているし無いと思うわよ」
「分かった。じゃあ急いで戻ってくるようにするよ」
俺は焼き鳥屋みたいな所に転移した。
それから焼き鳥屋みたいな所に向かう。
「やあおじさん。久しぶりだね?」
「おお、この間の坊主じゃねえか。3日ぶりだが迷宮に行ってたのか?」
「うん。中々魔石取れたよ。それと、冒険者ギルドの場所と服がとか買える場所とか分かる?」
「おお?分かるが、ここは情報屋じゃねえぞ?情報とかが欲しいなら酒場に行けよ?でだ、冒険者ギルドはここから少し真っ直ぐ行ってから左に行けば看板があって分かるだろう。
服を売ってる店はいくつかあって、防具なら冒険者ギルドの方に、私服とかなら冒険者ギルドと同じで少し行っから右側にしばらく行けばすぐに見つかるだろうさ。
貴族が偶にいるから気をつけろよ。それと何本買っていくんだ?まさか買わないなんて言わないよな?」
「まさか。今日は2本かな。今日はありがとう。商売頑張れよ」
「おう。あったりまえよ!」
おじさんはニカって笑ってそう言った。
俺は愛想笑いをしてから冒険者ギルドに向けて歩いていった。
正直辛いものだ。
あのおじさんを見ていると俺は後ろめたく感じてしまう。
世界にはそれぞれ違う人達がいる。
おじさんみたいに話していて気分がいい人や、関わっているだけで嫌な気分になる人。
嫌な人と言っても、人は必ずどこかしら悪いところがあるものだ。
感じ方は人それぞれ違う。
きっとあのおじさんにもそんなところがあるだろう。
でも、確実ではない。
ああゆう人に会う度に悪いことはしてはいけないと思ってしまう。
逆に、嫌な人達を見る度に人なんてどうでもいいと思えてしまう。
俺はこれが嫌だ。
嬉しく思えるだけならいいのに・・・と、どれだけ思い続けて来たことか。
まあ、今は世界を見て回る。
決めるのはそれからでも遅くは無いだろう。
フランと一緒に行動する限り必ず決断を下す必要が出てくるだろう。
なら、今は考えないでもいいだろう。
俺は何も考えずに冒険者ギルドに向かって歩いていった。
しばらく歩いていると、冒険者の文字が入った看板があった。
看板のある建物を見てみると、2階建てで、中々丈夫そうな建物だった。
中に入って見渡してみると、左側にはたくさんの紙の貼ってあるボードがあり、その前には階段があった。その横には受付と、美人の役員の人達がいた。
その受付の上には、文字が書いてあり、一番左が買取のようだ。
右側には机や椅子があり、飲んでいる人達がチラホラいた。
それでも人数は少なかった。
さらに、その先からは音楽が聞こえ、扉があった。
扉の上には酒場と書いてあり、少し好奇心が湧いた。
行ってみたい。
だけど、フランも待っているし、先に買取と買い物を済ませよう。
俺はカウンターに行った。
「あのう、すいません。これらの買取して貰ってもいいですか?」
俺は30階層辺りの魔石4個と40階層辺りの魔石を3個置いてから言った。
すると、相手の女性は驚いて固まってしまった。
俺は失敗したのか?と、思っていると、女性はすぐに営業スマイルになった。
「はい。大丈夫ですよ。それと、この魔石なんですが、あなたが取ってきた魔石ですか?」
あれ?やっぱり可笑しいのか?
「すいません。そんなに珍しいのですか?」
「いえ、高ランクの冒険者なら希に持ってくることはあるんですよ。
でも、私はあなたを1度も見かけていません。
普通、迷宮には何度も挑んで少しづつ対策を練っていくものです。
そのため、潜って手に入れた魔石を売りに来るんです。
なので、本当にあなたが手に入れた物か不思議に思いまして」
なるほど。
まあ、言い訳や嘘なんていくらでも思いつく。
「ああ、実は俺が取ってきた訳では無いのですよ。身内に高ランクの冒険者が居て、代わりに換金して来てくれって言われて」
俺がそう言うと、受付嬢は納得したようで、何度か頷いてから笑顔になった。
「そうゆう事だったんですか。でも、少しそうなると羨ましいですね。」
「いえ、そんなことないですよ。それで、換金って出来ますかね?」
「はい。少し待っていて下さいね」
そう言って魔石を持っていった。
しばらく待つと、袋を持って帰ってきた。
「お待たせしました。合計で大金貨4枚と小金貨9枚となります。
それではまたのお越しをお待ちしてます」
俺はお金をローブの中に手を入れてからアイテムボックスに送った。
それから貨幣の事だ。
1鉄貨=1
1銅貨=10
1小銀貨=100
1大銀貨=1000
1小金貨=10000
1大金貨=100000
1白金貨=1000000
1黒金貨=10000000
こんなふうになっている。
俺は扉を開けて出ると、次に服屋に行こうとしたが、柄の悪そうな人達がこちらに向かってついてきているのに気づいた。
これはどうすればいいだろう。
殺してしまえばいいのだろうか?
でも、ここは異世界だ。
なら、殺してしまってもいいのでは無いだろうか?
それに、俺の望みは人型の生き物の滅び。
ここでやれなければ俺がまた望みを叶える事なんて出来ないのでは無いだろうか?
前の望みもそのうちにと言っているうちに叶わなくなってしまった。
なら、もっと積極的に動かなければいけない。
それに、もし後ろの奴らが俺の嫌いな人達なら生かしている方が間違いだろう。
俺を止められる奴はきっと居ない。
なら、動くまで!
俺は一通りが少ない所まで来ると、止まってから振り返った。
すると、目に入ってきたのは下卑た笑みを浮かべたガラの悪い人達だった。
なんだか涙が出そうになった。
昔の俺はあんなのにまで、必ずいいところはあると信じていた。
そのうち分かってくれると。
でも、ダメだ。
そんなふうには思えないし、いい人でも嫌なことがあればすぐに変わるものだ。
人が俺の目に映るだけ嫌な気分になる。
やはり、滅ぼそう。
俺は不死かもしれない。
なら、生きている限りこの苦痛を味わうことになるかもしれない。
本当は殺す必要なんかないのかもしれない。
でも、全ての人は必要のない行動を必ずとる。
でも、必要のないことが間違いという訳では無いだろう。
俺の望みは愚かな行為でしかないのかもしれない。
でも、愚かな行為が間違いとは限らないだろう。
それは、俺にとっての正解だ。
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全ては俺の為に。
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ガラの悪い奴らは下卑た笑いをしながらそう言った。
俺はそいつらの方へ剣を持って歩いていった。
相手は俺のそんな様子が可笑しいのか笑った。
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俺はそんな様子に溜息をついた。
悩む必要なんてなかったのかと。
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「な、なんだてめぇ!」
相手は酷く狼狽えた様子だった。
俺は気にせず、すぐに次の人の首を飛ばした。
そして、また1人と首を飛ばしていく。
最後の人は命乞いをしていが、気にせず殺した。
俺は剣を拭いてからアイテムボックスにしまった。
そして足早に服屋へと向かった。
向かっている途中先程のことを考えていた。
感想は、正直あんまり感じなかった。
だけど、あんなふうに怯えるさまは見ていて気分が良かった。
これならきっと善人でも斬ることが出来るだろう。
俺は少し悲しくなったが、考えないようにして服屋に向かうことにした。
しばらく歩いていると、服の店っぽいのがいくつか目に入った。
俺は一番近い店に向かった。
扉を開けると折りたたんである服が結構あって、女性物の服もあった。
「いらっしゃいませ」
笑顔で店員さんが言った。
「すいません、女性物の服と下着をいくつか頂けませんかね?」
「はい、分かりました。サイズとデザインはどうしますか?」
サイズとデザイン...か。
そんなこと言われてもフランが人化したらどうなるか知らない。
うーん、全てのサイズを、買うか。
「すいません。サイズが分からなくて。大きめから小さめの服と下着のサイズを一つずつとデザインは店員さんのおすすめでいいですかね?」
店員さんは少し困ったようになったあと、「わかりました」と言って見繕いにいった。
俺はその間、自分の服を選んだ。
物を入れる袋もあったため、それも手に取った。
「お待たせしました。こんな感じでいいでしょうか?」
そう言って何着もの服と下着を見せてくれた。
少し下着を見るのを躊躇ったが、しっかりと確認した。
だが、さすがは店員さんで、中々いい感じの服ばかりだった。
「はい。ありがとうございます」
「全部で、大金貨1枚と小金貨3枚になります」
俺はローブの中に手を入れてからアイテムボックスを使って払った。
「ありがとうございました。また来てくださいね」
店員さんは笑顔でそう言った。
俺は店を出ると転移を使った。
フランは俺を見ると目を細めた。
「遅かったわね。何してたの?」
「魔石を換金してたんだよ。そしたら襲われてね。倒してたら少し時間かかっちゃった。ごめんね」
「そ、そんなに素直に謝られるとこっちが悪い気がしてくるわ。それで、服は買ってきたの?」
「ああ」
俺はそう言って女性物の服と下着を全部出した。
すると、フランは頷いた。
「少しあっち向いててくれる?」
俺は言われて反対側を向いた。
そして、ぼーっとしていると布の擦れる音が聞こえてきて居た堪れない気持ちになった。
こんなことなら転移すれば良かったと後悔していると、フランの声が聞こえた。
「うん。これで完了ね。もうこっち向いてもいいわよ」
フランがそう言ったので見てみると、黒髪に紫色の眼をした絶世の美女がいた。
身長は俺と同じくらいの170辺りで、胸は結構あるが、大きすぎるということはなく、露出が少し多くて、胸や艶かしい足を強調していた。
さらに顔も整っていて、俺は見蕩れて固まってしまった。
すると、俺のそんな様子に気を良くしたのかフランはニヤリと笑った。
「あら?私の美しさに見蕩れちゃった?」
俺はその言葉に我に帰り、言い返せず言葉も見つからず、恥ずかしくてそっぽを向いてしまった。
だが、すぐに客観的に見ることで普通な状態に戻り、フランの方を向いて言った。
「うん。こんなにも美人だなんて思っていなかったよ。おかげで見蕩れてて何も言えなかったよ」
「そ、そう?そう言ってもらえると嬉しいわ」
フランは少し恥ずかしそうにそう言った。
「うん、本当に驚いたよ。フランは僕が今まで見た中で一番綺麗だ」
俺がそう言うと、フランは照れているのか恥ずかしいのか顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。
俺はそんな様子に気分をよくすると、これからどうしようか考えた。
選択肢はたくさんある。
なら、まずはフランに聞いてみるのもいいかもしれない。
「ねえ、フラン。これからどうする?」
フランは俺がそう聞くと、首を傾げてから言った。
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「うん。そうなんだけど、どこから行こうか?」
「私はルーアンについて行くだけよ」
「なら、まずは迷宮都市を見て回ろうよ。そしたら獣人の国なんていいかもね?」
「ルーアンがそれでいいならそれでいいわ」
「あははっ、嬉しいことを言ってくれるね。僕を惚れさせる気かい?」
僕がそう言うと、フランはきょとんとした。
「あら?まだ惚れてなかったの?」
「うーん、僕はまだ惚れてないと思うけど。でも分からないな。僕はすぐに好きになっちゃうんだよ。それでフランは僕に惚れているのかい?」
僕がそう聞くとフラン笑ってから言った。
「さあ?どっちかしら?」
そうは言われても分からない。
でも、フランの笑った顔はとても破壊力が強く、惚れてしまうのは時間の問題だろうと思った。
俺は人をすぐに好きになる。
いや、好きになっていたが正しいかもしれない。
好きになりかけてもすぐにその人の悪いところが分かってしまう。
だから俺はもう人を好きになることは無いだろうと思っていた。
さっきのおじさんだっていい人だとは思っても全然心には来ていないだろう。
きっと死んでもなんとも思わない。
可哀想とか表面上では思っても、心はほとんど変化しない。
人が死んだら泣くかもしれない。
でも、それは表面で反射で起きているだけ。
長い間嘘を続けていると、そんなことが起きるようになった。
俺の心は全ての人がみんな等しく石ころと同じなんだろう。
でも、極たまに俺の心を動かしてくれる存在がいる。
もしかしたら、フランも動かしてくれるかもしれない。
いや、もしかしたらただ、俺はフランが気になるだけかもしれない。
俺も男だ。
だからただ美人に弱いだけかもしれない。
だが、それはそれでいい気がした。
もしも、俺がフランに惚れれば人を滅ぼさない大義名分になる。
俺はそれを求めているだけかもしれない。
俺は本当に人を殺し尽くしたいのだろうか?
分からない。
正直、どっちでもいいのかもしれない。
だが、これからの出来事によって変わるだろう。
いい人を見るか悪い人を見るか、きっとそれによって変わるだろう。
だから、今結論を出す必要はない。
「フラン、とりあえず服とか回収するね」
「ええ、いいわよ」
俺はそう言って服を回収した。
「もう考え事はいいの?凄く悩んでいたけど」
「ああ、今はとりあえずフランと世界を見て回ることにした」
「そう、わかったわ」
「フランはいいの?俺と一緒に行動しなくてもいいんだよ?」
俺がそう言うと、フランは少し眉をひそめた。
「何を言っているの?それは既にあなたに聞かれて答えたわよ。それとも、私とは行動したくないのかしら?」
「ごめん、そういうわけじゃないよ。ただの確認だよ」
俺がそう言うとフランはすぐに笑顔になった。
「ええ、これからよろしくね」
「うん、これからも僕と一緒に来てくれ」
俺がそう言うとフランはきょとんとした。
「あら、それじゃあなんだか告白みたいね」
「ああ、確かにそうかもしれないね。もし告白ならなんて答えるんだい?」
「ええ、いいわよ」
フランはそう言ってクスリと笑った。
俺はフランのそんか様子を見て何を考えているのかよく分からなかった。
俺はそれに対して少しモヤモヤしながらも手を差し出した。
フランがそれを掴むと俺は焼き鳥屋っぽい店の近くに転移した。
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