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3話
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俺は今赤ちゃんである。
その時ふと、疑問に思ったことがある。
俺は前世で16歳まで生きた。
高校生になったばかりだったのである。
そんな俺は今高校生から若返ったある名探偵のことを思い出していた。
見た目は子供、頭脳は大人?
さて、頭脳は大人とはどういうことだろうか?
18年間生きたから頭脳が大人なのだろうか?
単純に頭がいいからだろうか?
だが、その名探偵は子供の頃からかなり頭が良かった気がする。
ならば、俺の頭脳は大人なのだろうか?
と、俺は考えていた。
それはなぜかというと、何もすることがないからである。
両親が近くにいるときは、魔法を試すこともできない。
そして、両親がいなくなったところで、魔法を使ってみようと思う。
少し前世とは違い、体に違和感があった。
その違和感がどうやら魔力のようで、それを体に流す練習をしていた。
何時間かすると簡単に流せるようになり、少し体が強くなった気がする。
どうやらこれが身体強化のようだ。
魔力を少し放出すると、魔法を使うことができた。
流石に火などは危ないため、重力魔法を作り、体を浮かしたりしていた。
そんな俺はあることを思いついた。
どこかの魔法使いの真似をして、杖を作ってみたのだ。
そして杖を振って風を魔法でしてみた。
そうすると意外と楽しかった。
そんな俺は両親が部屋に近づいてくるのを察知し、
消滅で杖を消した。
少し悲しいがまた作ればいいだけの話しだ。
俺は寝ることが好きだ。
だらだらすることは最高だけど流石に2.3日も寝続けることはできない。
だから試したいことをしていくかな。
まずはユニークスキルのナビゲートを少し試すかな。
ステータスを見るとこのユニークスキルはON/OFFの表示が出ていた。
それをONにしてみる。
そうすると頭から声が聞こえた。
《初めまして、マスター。
随分と遅かったですね?》
なんだろう。
言葉に棘がある気がする。
そしてどうやら感情があるようだ。
こちらこそ初めまして。
それで名前はなんて呼べばいいのかな?
《私に名前はありません。
ですので名前を決めていただけませんか?
どんなに変な名前でもつけて頂けなければ不便ですので》
こいつ少しうざいな。
ツンデレか?いやこれは単純に俺を下に見ているな。
それにしてもなぜだ?
前のやつとなんかあったのかねぇ。
まあさっさと名前考えるか。
じゃあ初めの印象で棘子さんでいっか。
呼びやすいし。
《名前の訂正をしてください。
それとちゃんと考えてくれなければ従いませんよ?》
うん。
従わないとかダメだろう。
なんかユニークスキルなのに普通のスキルよりいらないな。
なぜお前に感情がある?
《前のマスターがそれを望んでいたからです。》
お前の言葉に棘があるのは前のマスターにしか従いたくないからか?
《いえ、前のマスターは嫌いでした。
質問に答えろだの、口答えするな、だのと言い、私の最後の忠告を無視して死にました。》
ふーん。
てか、お前俺のステータス見た?
《いえ、人間の、それも幼児のステータスを・・・人間の幼児が会話している?少しステータスを見せてもらいます》
・・・これは舐められていたパターンのやつか。
まぁこれで対応も変わるだろう。
《申し訳ありませんマスター。
偽装を解いていただけないでしょうか?》
あ、忘れてた。
OKちゃんと解除したよ。
《これは…!
マスターは神?でございましたか。
とんだ失礼をいたしました。》
うん。
わかったならいいよ。
長い付き合いになるんだしね。
《あのマスター。
共有で全知を使ってもよろしいですか?》
うん。
それはいいね。
だけど、質問したら答えてくれよ。
《はい、マスター。
それと名前をつけていただけませんか?》
名前か。
すっかり忘れてたな。
聞いたら答えてくれる。
先生みたいだ。
teacherから名前取りづらいな。
senseiからならとれそうだ。
sie…シェリーなんてどうだろうか?
《シェリーですか。
いい名前ですね。
マスターこらから末長くよろしくお願いします。》
うん。
よろしく。
いきなりだけど人間のホムンクルスの作り方わかる?
《はい。
調べた結果、創造ですぐに作ることができます。
共有で私が作りましょうか?》
ああ。
それはいいね。
じゃあ性別は男で顔は平凡、年齢は18歳くらいがいいかな。あとは俺が並立思考と共有で動かすね。
《はい。
では、すぐにお作りしますので少し時間をいただきますね。》
それから10分後。
《これでどうでしょうか?》
おお!
かなり平凡で普通の人間だ。
ありがとうね。
いやー初めはマジで消してやろうかと思ったけどシェリーかなりいい仕事するじゃないか!
《ありがとうございます…(今消すとか言っていましたね。全く冗談には聞こえませんでした。これからは絶対に逆らわないようにしましょう。)》
じゃあ早速共有の前に、付与でスキルをつけちゃおう。名前は宏樹でいいか。
よし、体は動かせるね。
前世の時よりも少し体が軽く感じるね。
「『ステータス』」
名前:宏樹
種族:人族(ホムンクルス)
Level:1
MP:100000/1000000
ATK:100
DEF:100
AGI:100
MATK:100
MDEF:100
スキル:剣術 全属性魔法 魔力回復 鑑定 アイテムボックス(武神 暗殺神 無詠唱 全耐性 全属性魔法 時空魔法 生死魔法 精霊魔法 付与魔法 聖魔法 召喚魔法 創世魔法 消滅魔法 魔法操作 手加減 威圧)
ユニークスキル:
称号:
こんな感じでいいだろう。
ヤバイ。
両親が近づいている。
ってことで俺は急いで窓から飛び降りた。
どうやらそこまで高くはないようだ。
俺の家始めて外から見たが、木で出来ているようだな。
今度宝石でも作ってそこら辺に転がしとくかな。
そしたら家が裕福になりそうだ。
そこから周りを見渡すと他にも結構な数の家がある。
それでも家と家の距離が開いていて、元日本人の俺からすると少なく感じる。
見て回っていると畑を見つけた。
結構な数の人が働いている。
やはり村人は畑仕事なんだなぁ。
ま、俺は村から出て行くけどね。
そんな感じで観光をしていると、村人Aから話しかけられた。
「あんた、そんな物珍しそうに村や私達を見て、貴族の人かい?
それにその服装もかなり丁寧に作られている。」
貴族かぁ。
小説なんかでは面倒くさいやつしか出てこないよな。
まぁ、旅人ということにしておくか。
「ああ、いや。
旅人だ。
まぁ、旅を始めたばかりだから観察しているだけさ。」
「へぇそうかい。
なんにも無い村やで、そんな見るもんもないやろうけど、ようこそ、カイル村へ」
そのあと一言二言話して村を出た。
服は前世の動きやすそうなものをいくつか選んで模倣した。
名前も言っていたようだが、すぐに忘れてしまった。
そのまま森に入って見ることにした。
この体はホムンクルスなので、食料を必要としない。
食べることもできるが、基本魔力で動く。
作った後に魔力を入れといたから問題ないだろう。
それに魔力も回復するし、そんなに使わなければ減らずに増えて行くだけだ。
そのまま歩いていると黒っぽい毛の狼みたいな生き物がいた。
早速鑑定を使ってみた。
名前:無し
種族:ブラックウルフ
MP:14
ATK:13
DEF:7
AGI:16
MATK:7
MDEF:7
名前は無いし、よく序盤に出てくる雑魚モンスターのようだ。
でも、成人した人のステータスだいたい10前後だよな。
こいつ意外に強いかも。
まぁ魔物にはレベルが無いみたいだし雑魚だな。
ついでに名前が付いている魔物はネームドモンスターと呼ばれるようだ。
その魔物は俺に攻撃してきた。
だが、ステータスの高い俺から見ると、かなり遅く動いているように見える。
俺はそのまま魔物を蹴り飛ばした。
魔物の頭は跳び、絶滅したようだ。
俺はそれを一瞥するとそのまま歩いていった。
その後も何匹かの魔物に出会い、倒しながら始めて見る木や草を観察していると、体に少し力が強くなった気がした。
ステータスを確認しよう。
「『ステータス』」
名前:宏樹
種族:人族(ホムンクルス)
Level:2
MP:110000/100000
ATK:130
DEF:130
AGI:130
MATK:110
MDEF:110
スキル:剣術 全属性魔法 魔力回復 鑑定 アイテムボックス(武神 暗殺神 無詠唱 全耐性 全属性魔法 時空魔法 生死魔法 精霊魔法 付与魔法 聖魔法 召喚魔法 創世魔法 消滅魔法 魔法操作 手加減 威圧)
ユニークスキル:
称号:
どうやらステータスが上がったようだ。
物理的なのにステータスが上がったのは体を多く動かしているからだろうな。
上昇するのはだいたい1.2倍くらい、か。
鍛えてもステータスは上昇するみたいだし、鍛えてからLevelを上げた方が得のようだな。
まぁ、この体のLevelを上げても本体は上がらないみたいだしあまり意味はないか。
そのまま歩いていると、声が聞こえてきた。
「この、どっか行けいみごが!
気持ち悪いんだよ!」
どうやら虐められているようだ。
そのまま気配を消して近づくと、少女が蹴られていた。
蹴っていた奴らは気が済んだのかそのままどこかへ歩いて行った。
お、よく見ると耳が尖っているじゃないか。
これがエルフか。
虐められているのは少女か。
怪我ぐらい治してやるかな。
「大丈夫か?」
俺はそう言って少女に話しかけた。
だが、少女は俺を見て怯えたようにしている。
よく見るとオッドアイだ。
なるほど、オッドアイだから虐められていたのか。
「俺は大丈夫だ。
君を虐めたりはしないし、差別もしない。
怪我を治してあげるだけだ。」
さ、ちゃっちゃと怪我を治すか。
えーと、細胞が再生していくイメージでと。
そうすると、少女が驚いたように俺を見た。
「あの…ありがとう。
でも、私の目怖くないの?
それに無詠唱だし。」
あーそっか。
無詠唱で魔法は使えるやつそんなにいないのか。
ま、そんなことはどうでもいいや。
「君はいつも虐められているのかい?」
俺がそう聞くと少女は俯いて答えた。
「はい。
でも、私はいみごだし、お母さんやお父さんもそう呼ぶから。」
両親もか。
仕方がないのかな?
俺がもしその立場だったらそうするかもしれないしなんとも言えないな。
だけど、俺はその立場じゃないからね。
それにここは異世界だし、やり返すことだってできる。
両親のことをどう思っているのか知りたいな。
「君は虐めできた奴らや、両親を憎んでいるかい?」
少女は首を振って答えた。
「いみごに生まれてきた自分が悪いんだと思う…だから、とても嫌いだけど憎んではいない。」
「君は周りのエルフが嫌いなんだろう?
ならなぜ逃げない?」
「逃げても魔物に殺されるか、盗賊達に捕まって奴隷にされちゃう。」
そう言ってエルフの少女は泣きそうになる。
うーん。
一人旅もつまらないしこの少女を連れていくかな。
その方がお互いwinwinだな。
「俺は旅を始めたばかりなんだが、一緒にくるか?」
少女は少し考えた後、俺の目を見て行くと答えた。
「じゃあ、自己紹介しよう。
俺の名前は宏樹だ。
君の名前は?」
「私はミリィ。
こちらこそよろしくお願いします。」
ミリィはそう言って不思議そうに俺を見た。
俺に何かあるのだろうか?
あ、あるわ。
無詠唱だし、旅なのに何も持ってない。
「質問なら聞くよ。」
「私のことなんとも思わないの?」
あーなるほど。
そっか、今まで目で差別されてたからな。
俺がスルーしたのを不思議に思ったのか。
「あー、その目でいみごって呼ばれていたんだろう?
俺は珍しいやカッコいいとは思えどもなんとも思わないな。」
少女は首を傾げ聞いてきた。
「カッコいいの?」
「ああ。
片目ずつ目の色が違うのはオッドアイって言われてていないわけじゃなかったし、ほら、なんかこうカッコいいと思うじゃない。」
「そーなんだ。
それとこれからどこいくの?」
「俺はあまり外の世界を知らないからなぁ。金はかなり持ってるけど町の場所とか知らないし。
どっちにいけば町があるかわかる?」
実は食べ物や金をかなり作っておいたのだ。
「多分だけど、あっちに行けばあると思う。
商人がいつもあっちから来るから。」
「よし、ならあっちにいくかな。
それでいいかい?」
「うん。」
そう言って俺とミリィは町に向かって歩き出した。
その時ふと、疑問に思ったことがある。
俺は前世で16歳まで生きた。
高校生になったばかりだったのである。
そんな俺は今高校生から若返ったある名探偵のことを思い出していた。
見た目は子供、頭脳は大人?
さて、頭脳は大人とはどういうことだろうか?
18年間生きたから頭脳が大人なのだろうか?
単純に頭がいいからだろうか?
だが、その名探偵は子供の頃からかなり頭が良かった気がする。
ならば、俺の頭脳は大人なのだろうか?
と、俺は考えていた。
それはなぜかというと、何もすることがないからである。
両親が近くにいるときは、魔法を試すこともできない。
そして、両親がいなくなったところで、魔法を使ってみようと思う。
少し前世とは違い、体に違和感があった。
その違和感がどうやら魔力のようで、それを体に流す練習をしていた。
何時間かすると簡単に流せるようになり、少し体が強くなった気がする。
どうやらこれが身体強化のようだ。
魔力を少し放出すると、魔法を使うことができた。
流石に火などは危ないため、重力魔法を作り、体を浮かしたりしていた。
そんな俺はあることを思いついた。
どこかの魔法使いの真似をして、杖を作ってみたのだ。
そして杖を振って風を魔法でしてみた。
そうすると意外と楽しかった。
そんな俺は両親が部屋に近づいてくるのを察知し、
消滅で杖を消した。
少し悲しいがまた作ればいいだけの話しだ。
俺は寝ることが好きだ。
だらだらすることは最高だけど流石に2.3日も寝続けることはできない。
だから試したいことをしていくかな。
まずはユニークスキルのナビゲートを少し試すかな。
ステータスを見るとこのユニークスキルはON/OFFの表示が出ていた。
それをONにしてみる。
そうすると頭から声が聞こえた。
《初めまして、マスター。
随分と遅かったですね?》
なんだろう。
言葉に棘がある気がする。
そしてどうやら感情があるようだ。
こちらこそ初めまして。
それで名前はなんて呼べばいいのかな?
《私に名前はありません。
ですので名前を決めていただけませんか?
どんなに変な名前でもつけて頂けなければ不便ですので》
こいつ少しうざいな。
ツンデレか?いやこれは単純に俺を下に見ているな。
それにしてもなぜだ?
前のやつとなんかあったのかねぇ。
まあさっさと名前考えるか。
じゃあ初めの印象で棘子さんでいっか。
呼びやすいし。
《名前の訂正をしてください。
それとちゃんと考えてくれなければ従いませんよ?》
うん。
従わないとかダメだろう。
なんかユニークスキルなのに普通のスキルよりいらないな。
なぜお前に感情がある?
《前のマスターがそれを望んでいたからです。》
お前の言葉に棘があるのは前のマスターにしか従いたくないからか?
《いえ、前のマスターは嫌いでした。
質問に答えろだの、口答えするな、だのと言い、私の最後の忠告を無視して死にました。》
ふーん。
てか、お前俺のステータス見た?
《いえ、人間の、それも幼児のステータスを・・・人間の幼児が会話している?少しステータスを見せてもらいます》
・・・これは舐められていたパターンのやつか。
まぁこれで対応も変わるだろう。
《申し訳ありませんマスター。
偽装を解いていただけないでしょうか?》
あ、忘れてた。
OKちゃんと解除したよ。
《これは…!
マスターは神?でございましたか。
とんだ失礼をいたしました。》
うん。
わかったならいいよ。
長い付き合いになるんだしね。
《あのマスター。
共有で全知を使ってもよろしいですか?》
うん。
それはいいね。
だけど、質問したら答えてくれよ。
《はい、マスター。
それと名前をつけていただけませんか?》
名前か。
すっかり忘れてたな。
聞いたら答えてくれる。
先生みたいだ。
teacherから名前取りづらいな。
senseiからならとれそうだ。
sie…シェリーなんてどうだろうか?
《シェリーですか。
いい名前ですね。
マスターこらから末長くよろしくお願いします。》
うん。
よろしく。
いきなりだけど人間のホムンクルスの作り方わかる?
《はい。
調べた結果、創造ですぐに作ることができます。
共有で私が作りましょうか?》
ああ。
それはいいね。
じゃあ性別は男で顔は平凡、年齢は18歳くらいがいいかな。あとは俺が並立思考と共有で動かすね。
《はい。
では、すぐにお作りしますので少し時間をいただきますね。》
それから10分後。
《これでどうでしょうか?》
おお!
かなり平凡で普通の人間だ。
ありがとうね。
いやー初めはマジで消してやろうかと思ったけどシェリーかなりいい仕事するじゃないか!
《ありがとうございます…(今消すとか言っていましたね。全く冗談には聞こえませんでした。これからは絶対に逆らわないようにしましょう。)》
じゃあ早速共有の前に、付与でスキルをつけちゃおう。名前は宏樹でいいか。
よし、体は動かせるね。
前世の時よりも少し体が軽く感じるね。
「『ステータス』」
名前:宏樹
種族:人族(ホムンクルス)
Level:1
MP:100000/1000000
ATK:100
DEF:100
AGI:100
MATK:100
MDEF:100
スキル:剣術 全属性魔法 魔力回復 鑑定 アイテムボックス(武神 暗殺神 無詠唱 全耐性 全属性魔法 時空魔法 生死魔法 精霊魔法 付与魔法 聖魔法 召喚魔法 創世魔法 消滅魔法 魔法操作 手加減 威圧)
ユニークスキル:
称号:
こんな感じでいいだろう。
ヤバイ。
両親が近づいている。
ってことで俺は急いで窓から飛び降りた。
どうやらそこまで高くはないようだ。
俺の家始めて外から見たが、木で出来ているようだな。
今度宝石でも作ってそこら辺に転がしとくかな。
そしたら家が裕福になりそうだ。
そこから周りを見渡すと他にも結構な数の家がある。
それでも家と家の距離が開いていて、元日本人の俺からすると少なく感じる。
見て回っていると畑を見つけた。
結構な数の人が働いている。
やはり村人は畑仕事なんだなぁ。
ま、俺は村から出て行くけどね。
そんな感じで観光をしていると、村人Aから話しかけられた。
「あんた、そんな物珍しそうに村や私達を見て、貴族の人かい?
それにその服装もかなり丁寧に作られている。」
貴族かぁ。
小説なんかでは面倒くさいやつしか出てこないよな。
まぁ、旅人ということにしておくか。
「ああ、いや。
旅人だ。
まぁ、旅を始めたばかりだから観察しているだけさ。」
「へぇそうかい。
なんにも無い村やで、そんな見るもんもないやろうけど、ようこそ、カイル村へ」
そのあと一言二言話して村を出た。
服は前世の動きやすそうなものをいくつか選んで模倣した。
名前も言っていたようだが、すぐに忘れてしまった。
そのまま森に入って見ることにした。
この体はホムンクルスなので、食料を必要としない。
食べることもできるが、基本魔力で動く。
作った後に魔力を入れといたから問題ないだろう。
それに魔力も回復するし、そんなに使わなければ減らずに増えて行くだけだ。
そのまま歩いていると黒っぽい毛の狼みたいな生き物がいた。
早速鑑定を使ってみた。
名前:無し
種族:ブラックウルフ
MP:14
ATK:13
DEF:7
AGI:16
MATK:7
MDEF:7
名前は無いし、よく序盤に出てくる雑魚モンスターのようだ。
でも、成人した人のステータスだいたい10前後だよな。
こいつ意外に強いかも。
まぁ魔物にはレベルが無いみたいだし雑魚だな。
ついでに名前が付いている魔物はネームドモンスターと呼ばれるようだ。
その魔物は俺に攻撃してきた。
だが、ステータスの高い俺から見ると、かなり遅く動いているように見える。
俺はそのまま魔物を蹴り飛ばした。
魔物の頭は跳び、絶滅したようだ。
俺はそれを一瞥するとそのまま歩いていった。
その後も何匹かの魔物に出会い、倒しながら始めて見る木や草を観察していると、体に少し力が強くなった気がした。
ステータスを確認しよう。
「『ステータス』」
名前:宏樹
種族:人族(ホムンクルス)
Level:2
MP:110000/100000
ATK:130
DEF:130
AGI:130
MATK:110
MDEF:110
スキル:剣術 全属性魔法 魔力回復 鑑定 アイテムボックス(武神 暗殺神 無詠唱 全耐性 全属性魔法 時空魔法 生死魔法 精霊魔法 付与魔法 聖魔法 召喚魔法 創世魔法 消滅魔法 魔法操作 手加減 威圧)
ユニークスキル:
称号:
どうやらステータスが上がったようだ。
物理的なのにステータスが上がったのは体を多く動かしているからだろうな。
上昇するのはだいたい1.2倍くらい、か。
鍛えてもステータスは上昇するみたいだし、鍛えてからLevelを上げた方が得のようだな。
まぁ、この体のLevelを上げても本体は上がらないみたいだしあまり意味はないか。
そのまま歩いていると、声が聞こえてきた。
「この、どっか行けいみごが!
気持ち悪いんだよ!」
どうやら虐められているようだ。
そのまま気配を消して近づくと、少女が蹴られていた。
蹴っていた奴らは気が済んだのかそのままどこかへ歩いて行った。
お、よく見ると耳が尖っているじゃないか。
これがエルフか。
虐められているのは少女か。
怪我ぐらい治してやるかな。
「大丈夫か?」
俺はそう言って少女に話しかけた。
だが、少女は俺を見て怯えたようにしている。
よく見るとオッドアイだ。
なるほど、オッドアイだから虐められていたのか。
「俺は大丈夫だ。
君を虐めたりはしないし、差別もしない。
怪我を治してあげるだけだ。」
さ、ちゃっちゃと怪我を治すか。
えーと、細胞が再生していくイメージでと。
そうすると、少女が驚いたように俺を見た。
「あの…ありがとう。
でも、私の目怖くないの?
それに無詠唱だし。」
あーそっか。
無詠唱で魔法は使えるやつそんなにいないのか。
ま、そんなことはどうでもいいや。
「君はいつも虐められているのかい?」
俺がそう聞くと少女は俯いて答えた。
「はい。
でも、私はいみごだし、お母さんやお父さんもそう呼ぶから。」
両親もか。
仕方がないのかな?
俺がもしその立場だったらそうするかもしれないしなんとも言えないな。
だけど、俺はその立場じゃないからね。
それにここは異世界だし、やり返すことだってできる。
両親のことをどう思っているのか知りたいな。
「君は虐めできた奴らや、両親を憎んでいるかい?」
少女は首を振って答えた。
「いみごに生まれてきた自分が悪いんだと思う…だから、とても嫌いだけど憎んではいない。」
「君は周りのエルフが嫌いなんだろう?
ならなぜ逃げない?」
「逃げても魔物に殺されるか、盗賊達に捕まって奴隷にされちゃう。」
そう言ってエルフの少女は泣きそうになる。
うーん。
一人旅もつまらないしこの少女を連れていくかな。
その方がお互いwinwinだな。
「俺は旅を始めたばかりなんだが、一緒にくるか?」
少女は少し考えた後、俺の目を見て行くと答えた。
「じゃあ、自己紹介しよう。
俺の名前は宏樹だ。
君の名前は?」
「私はミリィ。
こちらこそよろしくお願いします。」
ミリィはそう言って不思議そうに俺を見た。
俺に何かあるのだろうか?
あ、あるわ。
無詠唱だし、旅なのに何も持ってない。
「質問なら聞くよ。」
「私のことなんとも思わないの?」
あーなるほど。
そっか、今まで目で差別されてたからな。
俺がスルーしたのを不思議に思ったのか。
「あー、その目でいみごって呼ばれていたんだろう?
俺は珍しいやカッコいいとは思えどもなんとも思わないな。」
少女は首を傾げ聞いてきた。
「カッコいいの?」
「ああ。
片目ずつ目の色が違うのはオッドアイって言われてていないわけじゃなかったし、ほら、なんかこうカッコいいと思うじゃない。」
「そーなんだ。
それとこれからどこいくの?」
「俺はあまり外の世界を知らないからなぁ。金はかなり持ってるけど町の場所とか知らないし。
どっちにいけば町があるかわかる?」
実は食べ物や金をかなり作っておいたのだ。
「多分だけど、あっちに行けばあると思う。
商人がいつもあっちから来るから。」
「よし、ならあっちにいくかな。
それでいいかい?」
「うん。」
そう言って俺とミリィは町に向かって歩き出した。
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相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
暇つぶし転生~お使いしながらぶらり旅~
暇人太一
ファンタジー
仲良し3人組の高校生とともに勇者召喚に巻き込まれた、30歳の病人。
ラノベの召喚もののテンプレのごとく、おっさんで病人はお呼びでない。
結局雑魚スキルを渡され、3人組のパシリとして扱われ、最後は儀式の生贄として3人組に殺されることに……。
そんなおっさんの前に厳ついおっさんが登場。果たして病人のおっさんはどうなる!?
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