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Layer24 夕飯
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鍵を開けて、誰もいない家に向かって「ただいま」と言って俺は家に入った。
「ただいま」と言った声はいつも聞き馴染んでいる姫石の声で玄関に響いた。
俺は手洗いうがいをしに洗面所へと向かった。
洗面所の鏡に写っていたのは紛れもなく姫石だった。
こう見るとあらためて自分が姫石と入れ替わったことを実感させられる。
シャツの第二ボタンまで外してネクタイを緩め、ソファに体を沈めた。
「腹減ったな~」
しばらくそのままの状態でぼーっとしていたが、急に空腹に襲われたので冷蔵庫に向かった。
冷蔵庫のドアを開けると中にはありがたいことに今日の夕飯がラップに包まれていた。
きっと母親が出張前に作り置きしていってくれたのだろう。
ラップに包まれた夕飯をレンジで温め、暗くなった部屋の電気を点けて俺は食卓に着いた。
いつも食べているはずの母親の料理が姫石の舌で味わっているせいか、いつもより新鮮な味で美味しく感じられる。
普段から食べているせいで俺の舌は母親の料理の味に慣れ過ぎてしまっていたのかもしれない。
いつもどんな味だったのかと聞かれると上手く答えられないのだが。
いつもより美味しく感じられたおかげでなんとか完食することができた。
さすがに姫石の胃袋でこの量はキツかったみたいだ。
これは腹がいっぱい過ぎて当分動けないな。
それにしても、
「トイレと風呂どうすっかな~」
そう独り言を言って俺はため息をついた。
--------------------------
あたしは家に帰ってすぐにベットに倒れ込んだ。
倒れ込んだ衝撃が思っていたより強かったのに少し驚きつつも、あたしはしばらく動けずにいた。
玉宮と入れ替わってしまった。
玉宮の体があたしのベットに倒れ込んでいる。
玉宮があたしのベットに乗ってる……
「ああ~~~! 何考えてるんだろ……あたし」
顔をベットに埋めながらあたしは足をバタバタとさせて悶えていた。
「というか、トイレどうすんのよ~お風呂どうすんのよ~それよりも、部屋着に着替るのどうすんのよ~ま、この際、部屋着は別にいっか~」
あたしの悩みの種は次から次へとやってくる。
ふとベットの横にある時計を見た。
「玉宮はまだお風呂入ってないよね? さすがにまだ大丈夫だよね。けど、今入ってなくても数時間後にはお風呂入っちゃうんだよね。そしたらもう全部見られちゃうんだよね。あ~もうお嫁に行けな~い」
そんなテンプレみたいなセリフを言いながらあたしは悶え続けていた。
「とりあえず、ご飯食べよ」
悩みの種を振り払うようにあたしは夕飯を作り始めた。
出来上がった料理をテーブルに運んで、あたしは「いただきます」と言って自分の作った料理を食べた。
「ッ! 何これ!? 自分で言うのもなんだけど、めちゃくちゃ美味しい! 何でだろう? やっぱり玉宮の体で食べてるから感じ方が違うのかな」
あまりの美味しさに我ながら料理が上手いのではと思ってしまった。
「うん? もしかして、玉宮の体で食べてこんなに美味しく感じるってことは玉宮の舌があたしの作る料理にぴったりってこと? 玉宮の胃袋ガッツリ掴んじゃった感じ? えへへ」
あまりの嬉しさに独り言が止まらなくなっていた。
あたしはものの数分もしないうちに全て平らげてしまった。
男の子ってこんなに早く食べるんだ。
それにまだ全然物足りない。
そう思いあたしは明日のお昼にまわそうと思っていたご飯も食べてしまった。
男の子って本当にご飯たくさん食べるんだな~と思いながら、あたしは夕飯の片付けをしていた。
その時だった。
あたしに試練が襲い掛かったのは。
「どうしよ、とうとうトイレに行きたくなっちゃった」
--------------------------
「まずはトイレだよな」
姫石の体に入れ替わってから結構な時間が経っているため、さすがに俺はトイレを我慢できずにいた。
「姫石の奴、耳栓と目隠しをしてどこにも触らないで、トイレとかお風呂に入れとか言ってたからな……」
無理難題な要望に俺はつぶやかずにはいられなかった。
とりあえず一番難易度の低いトイレだ。
耳栓はノイズキャンセリングのイヤホンをして音楽でも流しとけば聞こえることもないだろう。
目隠しの方は下を見なければ目隠しせずにできるはずだ。
上を向いていたってズボン……じゃなくてスカートぐらいは簡単に下ろせる。
どこにも触らないのもパンツの生地を思い切り引っ張ってやればどこにも触らずに下ろせるだろう。
あとは便座に腰を掛けるだけだ。
こう考えるとトイレは何の問題も無く姫石からの要望に答えられそうだ。
……お風呂の方はどう考えたって無理ゲーだけどな。
「よしっ! 行くか! 」
俺は意を決して言った。
シミュレーションは完璧。
これなら行ける。
この時の俺はそう考えていた。
まさかあんなことになるなんて夢にも思っていなかった。
--------------------------
尿意に耐え続けながらあたしはなんとか夕飯の片付けを終えることができた。
一方で、今だにトイレに行く決心をすることができずにトイレの扉の前でうずくまっていた。
だって!
まだ心の準備が出来てないんだもん!
しょうがないじゃん!
だけど……さすがに……もう……我慢……できない!
「あ~~! もう! 」
そんな投げやりなかけ声とともに、あたしはついにトイレに駆け込んだ。
「ただいま」と言った声はいつも聞き馴染んでいる姫石の声で玄関に響いた。
俺は手洗いうがいをしに洗面所へと向かった。
洗面所の鏡に写っていたのは紛れもなく姫石だった。
こう見るとあらためて自分が姫石と入れ替わったことを実感させられる。
シャツの第二ボタンまで外してネクタイを緩め、ソファに体を沈めた。
「腹減ったな~」
しばらくそのままの状態でぼーっとしていたが、急に空腹に襲われたので冷蔵庫に向かった。
冷蔵庫のドアを開けると中にはありがたいことに今日の夕飯がラップに包まれていた。
きっと母親が出張前に作り置きしていってくれたのだろう。
ラップに包まれた夕飯をレンジで温め、暗くなった部屋の電気を点けて俺は食卓に着いた。
いつも食べているはずの母親の料理が姫石の舌で味わっているせいか、いつもより新鮮な味で美味しく感じられる。
普段から食べているせいで俺の舌は母親の料理の味に慣れ過ぎてしまっていたのかもしれない。
いつもどんな味だったのかと聞かれると上手く答えられないのだが。
いつもより美味しく感じられたおかげでなんとか完食することができた。
さすがに姫石の胃袋でこの量はキツかったみたいだ。
これは腹がいっぱい過ぎて当分動けないな。
それにしても、
「トイレと風呂どうすっかな~」
そう独り言を言って俺はため息をついた。
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あたしは家に帰ってすぐにベットに倒れ込んだ。
倒れ込んだ衝撃が思っていたより強かったのに少し驚きつつも、あたしはしばらく動けずにいた。
玉宮と入れ替わってしまった。
玉宮の体があたしのベットに倒れ込んでいる。
玉宮があたしのベットに乗ってる……
「ああ~~~! 何考えてるんだろ……あたし」
顔をベットに埋めながらあたしは足をバタバタとさせて悶えていた。
「というか、トイレどうすんのよ~お風呂どうすんのよ~それよりも、部屋着に着替るのどうすんのよ~ま、この際、部屋着は別にいっか~」
あたしの悩みの種は次から次へとやってくる。
ふとベットの横にある時計を見た。
「玉宮はまだお風呂入ってないよね? さすがにまだ大丈夫だよね。けど、今入ってなくても数時間後にはお風呂入っちゃうんだよね。そしたらもう全部見られちゃうんだよね。あ~もうお嫁に行けな~い」
そんなテンプレみたいなセリフを言いながらあたしは悶え続けていた。
「とりあえず、ご飯食べよ」
悩みの種を振り払うようにあたしは夕飯を作り始めた。
出来上がった料理をテーブルに運んで、あたしは「いただきます」と言って自分の作った料理を食べた。
「ッ! 何これ!? 自分で言うのもなんだけど、めちゃくちゃ美味しい! 何でだろう? やっぱり玉宮の体で食べてるから感じ方が違うのかな」
あまりの美味しさに我ながら料理が上手いのではと思ってしまった。
「うん? もしかして、玉宮の体で食べてこんなに美味しく感じるってことは玉宮の舌があたしの作る料理にぴったりってこと? 玉宮の胃袋ガッツリ掴んじゃった感じ? えへへ」
あまりの嬉しさに独り言が止まらなくなっていた。
あたしはものの数分もしないうちに全て平らげてしまった。
男の子ってこんなに早く食べるんだ。
それにまだ全然物足りない。
そう思いあたしは明日のお昼にまわそうと思っていたご飯も食べてしまった。
男の子って本当にご飯たくさん食べるんだな~と思いながら、あたしは夕飯の片付けをしていた。
その時だった。
あたしに試練が襲い掛かったのは。
「どうしよ、とうとうトイレに行きたくなっちゃった」
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「まずはトイレだよな」
姫石の体に入れ替わってから結構な時間が経っているため、さすがに俺はトイレを我慢できずにいた。
「姫石の奴、耳栓と目隠しをしてどこにも触らないで、トイレとかお風呂に入れとか言ってたからな……」
無理難題な要望に俺はつぶやかずにはいられなかった。
とりあえず一番難易度の低いトイレだ。
耳栓はノイズキャンセリングのイヤホンをして音楽でも流しとけば聞こえることもないだろう。
目隠しの方は下を見なければ目隠しせずにできるはずだ。
上を向いていたってズボン……じゃなくてスカートぐらいは簡単に下ろせる。
どこにも触らないのもパンツの生地を思い切り引っ張ってやればどこにも触らずに下ろせるだろう。
あとは便座に腰を掛けるだけだ。
こう考えるとトイレは何の問題も無く姫石からの要望に答えられそうだ。
……お風呂の方はどう考えたって無理ゲーだけどな。
「よしっ! 行くか! 」
俺は意を決して言った。
シミュレーションは完璧。
これなら行ける。
この時の俺はそう考えていた。
まさかあんなことになるなんて夢にも思っていなかった。
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尿意に耐え続けながらあたしはなんとか夕飯の片付けを終えることができた。
一方で、今だにトイレに行く決心をすることができずにトイレの扉の前でうずくまっていた。
だって!
まだ心の準備が出来てないんだもん!
しょうがないじゃん!
だけど……さすがに……もう……我慢……できない!
「あ~~! もう! 」
そんな投げやりなかけ声とともに、あたしはついにトイレに駆け込んだ。
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