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第28話 ローナ、語る
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「そんなの嘘だ、できっこない」
少女は俯いて言った。先ほどまでの威勢はなく、だらりと脱力したようになっており、兵士に体を支えられるようになっている。
「私があなたの家族を失った孤独を埋めるのは難しいかもしれない。でも一人では解決しないことは二人なら解決できるかもしれないのよ。ここには私だってみんなだっている。無理に信じろとは言わない、でも私はあなたの問題をどうにかしてみせるわ」
冷え切ってしまっている彼女の心になんとか言葉を届けようと、必死に口を動かす。ここまで家族のことを思っているのだ、本来ならば明るくて天真爛漫な少女だったのかもしれないと思うと、どうしても放っておくことはできない。
「本当になんとかしてくれるの?」
言葉に反応して、少女は私の目を見てきた。怒りに満ちた侮蔑の目ではなく、私を信じていいか迷っているような、困惑を抱えている眼差しであった。疑心暗鬼になるのも当然よね、これだけの事態が起こったんだもの。
「ええ、もちろん」
私はそう言って、彼女の頭を撫でる。彼女の清流のようになだらかな金色の髪は触っていて心地の良いものであった。嫌がれてしまうかとも思ったが、彼女は拒否することなく私の手を受け入れてくれた。少しくすぐったそうにしているものの、泣き顔で目を腫らした彼女からは、もう水は滴っていなかった。
数回頭を撫でたところで、少女は「お母さんと同じだ、あったかい」と呟いた後、
「……いいよ、この村で何が起きたか話してあげる。わたしだって同じような目にあう人が出るのは嫌だし」
と言って再び顔を逸らしてしまった。だがその姿からは不思議と悲壮感は感じられず、横顔が少し赤くなっているのだけが見えた。私の思いが届いたのかはわからなかったが、少なくとも敵でないことはわかってもらえたらしい。
「ありがとう、絶対になんとかしてみせるわ。え~と……」
そういえば彼女の名前を聞いていなかった。肝心な最後の一歩のつめが甘いのはもう治る気がしないわね。言葉に行き詰まっていると、
「ローナだよ、ローナ=ヨース。この村の村長の孫娘」
少し揶揄うようにローナははにかんだ。やはり天真爛漫で可愛らしい少女というのは間違いではなかったのね。太陽のような笑顔を見て、私はそう思った。金色の髪が陽の光でいっそう輝きを増しており、私なんかよりもよっぽどお姫様のようである。
*
「最初、あの女は商人としてやってきたんだ。マスタールは商業で盛んだし、誰もおかしいとは思わなかった。たまに宿を求めて泊まりに来る人もいるしね」
カップに入った水を一口飲んでからローナはこの村に何が起きたかを語り出した。
ここはヨース村の村長が住んでいた家だ。ローナの家でもある。あの場で話を続けてはタート村の人たちに余計な心配をかけてしまうかと思い、場所を移すことにした。ここにいるのはタート村の代表としてヨーデル、兵士たちの代表としてアルド、それと事情を知らせておいた方がいいかと思いロストスも呼んだ。ロストスとローナは顔見知りのようで、彼女の泣き顔を見るとすぐに事態を察知してくれた。というか知り合いなんだったら私のことをしっかりとローナに伝えておいて欲しかったんだけど。
「最初は一日だけ泊まるって言ったんだ、でもこの村が気に入ったからしばらく滞在したいといって村人たちの家を転々としていたんだよ。その時は何も疑問に思わなかったし、変なこともなかった。でも五日目くらいから、星型のペンダントを身につける人が出てきたんだ」
ここまでの話はロストスから聞いたものと同じだ。確かペンダントが魔除けになると言っていた。
「その時は気にも留めなかった。でも六日目、七日目と異常にそのペンダントをつけている人が増えていったんだよ。その時はまだあいつの仕業だってわかってなかったけど、流石におかしいと思って、私はおじいちゃんに言ったんだよ。何か嫌な予感がするって」
おじいちゃんとはヨース村の村長のことだろう。ローナは村のまとめ役である祖父に頼めば、どうにかなると考えたのかもしれない。
「でもそれじゃあ対処できなかったのよね」
「そうだよ。その時にはもう……おじいちゃんもペンダントを身につけていたんだ。だからおかしいのはお前だって見たことないくらい怒られてさ、普段は温厚だったはずなのに。その直後にお前もペンダントをかけなさいって言われて身につけたんだよ」
知らなかった。彼女もペンダントを身につけていたのか。でもその割には宗教にハマっている様子はないが、どういうことなのだろう。
私が首を傾げると、「まあ最後まで話すから」とローナ言われてしまった。そんなに顔に出やすいのかしら。
「でもペンダントを身につけても何も起きなかった。そのあとが多分あいつにとって重要だったんだと思う。ペンダントをつけても別に何も起きないから外そうとしたんだけど、おじいちゃんにちょっと待てって言われて、なぜか葉っぱを手渡されたんだ。そしてそれを噛みながらペンダントの模様を見るように言われたんだよ。その時点で気づいたんだ、この葉っぱでみんなおかしくなってるんじゃないかってね」
葉っぱというのはヨーデルたちが育てていた植物のことだろう。その宗教指導者とやらは、葉っぱとペンダントを組み合わせて、村人たちを操っていたのね。
「だから私は拒否した。こんなのはおかしいって。でもそう言った瞬間、急に家族が人が変わったように乱暴になって、無理やり罪人とかを役人に引き渡すまで閉じ込めておく牢に連れて行かれたんだ。その時は何が何だか急展開すぎてわからなかったんだけど、そこにあの女がきて完全に確信したんだ。こいつが元凶だったんだって。無理やり葉っぱもかまされたよ、多分わたし以外にも怪しむ人はいたと思うけど、こうやって強制して洗脳していたんだと思う。でもなぜかわたしにはその葉っぱが効かなかった。だからあいつにとって余計な存在だったんだと思う。そこからは食事もろくにもらえず、地下牢だったから外の状況もわからない。役人が来て助けてもらった頃には、もう村のみんなは姿を消してたってわけ。これが私の知っている全てだよ」
ローナは一気し喋るとふうと息を吐き出した。ロストスから話を聞いた時は謎めいたおとぎ話のようであると思っていたが、全然そんないいものではない、裏側を紐解けばただの悪意ある人間の所業でしかない、悲しい物語であった。
少女は俯いて言った。先ほどまでの威勢はなく、だらりと脱力したようになっており、兵士に体を支えられるようになっている。
「私があなたの家族を失った孤独を埋めるのは難しいかもしれない。でも一人では解決しないことは二人なら解決できるかもしれないのよ。ここには私だってみんなだっている。無理に信じろとは言わない、でも私はあなたの問題をどうにかしてみせるわ」
冷え切ってしまっている彼女の心になんとか言葉を届けようと、必死に口を動かす。ここまで家族のことを思っているのだ、本来ならば明るくて天真爛漫な少女だったのかもしれないと思うと、どうしても放っておくことはできない。
「本当になんとかしてくれるの?」
言葉に反応して、少女は私の目を見てきた。怒りに満ちた侮蔑の目ではなく、私を信じていいか迷っているような、困惑を抱えている眼差しであった。疑心暗鬼になるのも当然よね、これだけの事態が起こったんだもの。
「ええ、もちろん」
私はそう言って、彼女の頭を撫でる。彼女の清流のようになだらかな金色の髪は触っていて心地の良いものであった。嫌がれてしまうかとも思ったが、彼女は拒否することなく私の手を受け入れてくれた。少しくすぐったそうにしているものの、泣き顔で目を腫らした彼女からは、もう水は滴っていなかった。
数回頭を撫でたところで、少女は「お母さんと同じだ、あったかい」と呟いた後、
「……いいよ、この村で何が起きたか話してあげる。わたしだって同じような目にあう人が出るのは嫌だし」
と言って再び顔を逸らしてしまった。だがその姿からは不思議と悲壮感は感じられず、横顔が少し赤くなっているのだけが見えた。私の思いが届いたのかはわからなかったが、少なくとも敵でないことはわかってもらえたらしい。
「ありがとう、絶対になんとかしてみせるわ。え~と……」
そういえば彼女の名前を聞いていなかった。肝心な最後の一歩のつめが甘いのはもう治る気がしないわね。言葉に行き詰まっていると、
「ローナだよ、ローナ=ヨース。この村の村長の孫娘」
少し揶揄うようにローナははにかんだ。やはり天真爛漫で可愛らしい少女というのは間違いではなかったのね。太陽のような笑顔を見て、私はそう思った。金色の髪が陽の光でいっそう輝きを増しており、私なんかよりもよっぽどお姫様のようである。
*
「最初、あの女は商人としてやってきたんだ。マスタールは商業で盛んだし、誰もおかしいとは思わなかった。たまに宿を求めて泊まりに来る人もいるしね」
カップに入った水を一口飲んでからローナはこの村に何が起きたかを語り出した。
ここはヨース村の村長が住んでいた家だ。ローナの家でもある。あの場で話を続けてはタート村の人たちに余計な心配をかけてしまうかと思い、場所を移すことにした。ここにいるのはタート村の代表としてヨーデル、兵士たちの代表としてアルド、それと事情を知らせておいた方がいいかと思いロストスも呼んだ。ロストスとローナは顔見知りのようで、彼女の泣き顔を見るとすぐに事態を察知してくれた。というか知り合いなんだったら私のことをしっかりとローナに伝えておいて欲しかったんだけど。
「最初は一日だけ泊まるって言ったんだ、でもこの村が気に入ったからしばらく滞在したいといって村人たちの家を転々としていたんだよ。その時は何も疑問に思わなかったし、変なこともなかった。でも五日目くらいから、星型のペンダントを身につける人が出てきたんだ」
ここまでの話はロストスから聞いたものと同じだ。確かペンダントが魔除けになると言っていた。
「その時は気にも留めなかった。でも六日目、七日目と異常にそのペンダントをつけている人が増えていったんだよ。その時はまだあいつの仕業だってわかってなかったけど、流石におかしいと思って、私はおじいちゃんに言ったんだよ。何か嫌な予感がするって」
おじいちゃんとはヨース村の村長のことだろう。ローナは村のまとめ役である祖父に頼めば、どうにかなると考えたのかもしれない。
「でもそれじゃあ対処できなかったのよね」
「そうだよ。その時にはもう……おじいちゃんもペンダントを身につけていたんだ。だからおかしいのはお前だって見たことないくらい怒られてさ、普段は温厚だったはずなのに。その直後にお前もペンダントをかけなさいって言われて身につけたんだよ」
知らなかった。彼女もペンダントを身につけていたのか。でもその割には宗教にハマっている様子はないが、どういうことなのだろう。
私が首を傾げると、「まあ最後まで話すから」とローナ言われてしまった。そんなに顔に出やすいのかしら。
「でもペンダントを身につけても何も起きなかった。そのあとが多分あいつにとって重要だったんだと思う。ペンダントをつけても別に何も起きないから外そうとしたんだけど、おじいちゃんにちょっと待てって言われて、なぜか葉っぱを手渡されたんだ。そしてそれを噛みながらペンダントの模様を見るように言われたんだよ。その時点で気づいたんだ、この葉っぱでみんなおかしくなってるんじゃないかってね」
葉っぱというのはヨーデルたちが育てていた植物のことだろう。その宗教指導者とやらは、葉っぱとペンダントを組み合わせて、村人たちを操っていたのね。
「だから私は拒否した。こんなのはおかしいって。でもそう言った瞬間、急に家族が人が変わったように乱暴になって、無理やり罪人とかを役人に引き渡すまで閉じ込めておく牢に連れて行かれたんだ。その時は何が何だか急展開すぎてわからなかったんだけど、そこにあの女がきて完全に確信したんだ。こいつが元凶だったんだって。無理やり葉っぱもかまされたよ、多分わたし以外にも怪しむ人はいたと思うけど、こうやって強制して洗脳していたんだと思う。でもなぜかわたしにはその葉っぱが効かなかった。だからあいつにとって余計な存在だったんだと思う。そこからは食事もろくにもらえず、地下牢だったから外の状況もわからない。役人が来て助けてもらった頃には、もう村のみんなは姿を消してたってわけ。これが私の知っている全てだよ」
ローナは一気し喋るとふうと息を吐き出した。ロストスから話を聞いた時は謎めいたおとぎ話のようであると思っていたが、全然そんないいものではない、裏側を紐解けばただの悪意ある人間の所業でしかない、悲しい物語であった。
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