20 / 41
第20話 アメリス、説得する
しおりを挟む
私とヨーデルが広場で待っていると、兵士たちに連れられてぞくぞくと村人たちが集まってきた。暗くて表情は見えないが、みな不安そうな雰囲気をまとっているのは確かなようだ。一人、また一人と広場に村人たちは集まってきて、広場が埋まりそうなほどになった時、
「アメリス様、これで全員です」
とアルドが報告してきた。目の前に広がる光景からは、大勢の視線が私という一点に集中しているのがわかる。そして足元に目を向けると、自分でも気づかなかったが私の足はわずかに震えていた。どれだけ覚悟をしていても、やはりいざとなると緊張してしまうらしい。息を軽く吐き、気持ちを落ち着ける。
いくのよアメリス、もう進むしかないのよ。
私は重い口を開けて、言葉を紡ぎ出した。
「タート村のみんな、こんな夜遅くにごめんなさい。突然のことでびっくりするかもしれないけど、私と一緒についてきて欲しいの!」
私はその言葉を皮切りに、今回のことの経緯を説明した。最初はみんな黙って聞いていてくれたが、次第に彼らのざわめく声が大きくなり、ついには私の声が届いているのかわからないほど声の唸りは大きくなった。私に集中していた視線もちりじりになり、周囲の人間と顔を合わせて困惑している。
急にこんなことを言われたらびっくりするわよね。
唸りを当然の結果として捉える。でもその声に負けないように、私も声を張ってなんとかみんなに声を届けようと踏ん張る。たとえ喉が裂けようとも、奥から湧き出るこの思いを止めてはならない。
「お願い、私のせいのことだってことはわかっている。だけどどうしてもあなたたちを守りたいの! 私のせいで危険に晒す人をこれ以上増やしたくない!」
最後の一言、私は口から血が出そうなほど強く叫ぶ。今朝も自分の声の大きさに驚いたが、それとは比べ物にならないほど大きな声であった。
私が最後に声を張り上げたところ、ざわめいていたみんなは静かになって再び私に視線が集まった。お願いみんな、どうか……!
しかし彼らから発せられた言葉は私の望むものではなかった。
「いくらアメリス様の頼みといえども、いきなり村を出るなんて無茶ですよ。そもそも処罰が村まで及ばない可能性もあるんだし、しばらくは様子見でもいいのではないでしょうか」
群衆の中から、男性の声が聞こえた。
するとそれに同調するような声が次々と上がってきた。やはりあまりにも事態が急すぎて私の頼みは聞き入れてもらえないのだろうか。しかし彼らの万が一のことを考えれば、無理にでも移動させたい。
どうしたら納得してくれるかを考えていると、隣で見守っていたヨーデル「俺に任せてください」と私だけに聞こえる小さな声で言ってから、
「みんな、よく考えるんだ。確かに事態が急なのはわかっている。でもこれはアメリス様が私欲を肥やすためではなく、俺たちの身を案じて行動してくれているんだぞ! 普通の貴族が同じような状況に立たされたら俺たちのことをあっさり見捨てるだろう、でもアメリス様は危険を承知で俺たちのことを迎えにきてくれた。アメリス様のいない国になんている意味がないだろう!」
と暗闇に響き渡る声で言った。近くで聞いていた私には鼓膜がおかしくなりそうなほど迫力があった。彼の言葉で、再び静寂が訪れる。みんなどうしたらいいか決めあぐねているようだ。
その時、可愛らしい小さな声で、
「アメリス様はいなくなっちゃうの?」
と前の方にいた女の子が尋ねてきた。確かあの子はジェシカだったかしら。お花で冠を作るのが上手な子だ。
私はこんな小さい子にどうやって説明したらいいか考えていると、
「アメリス様、いなくならないでよ。私もアメリス様と一緒がいい!」
と言ってくれた。その顔は少し怒ったような顔をしており、可愛らしい。私は「いなくなったりしないわよ」と言って微笑み返した。その言葉を受けてジェシカは「よかった」と笑みを漏らす。
私としては普通の会話をしたつもりだったが、これが膠着していた流れの転機となった。ジェシカと私の会話を見ていた彼らは、次第に私についていくことに了承し始めてくれたのだ。
「確かに、こんなによくしてくれる領主様はいなかった。アメリス様が俺たちを思ってくれているんだ、素直に従おう」
「ああ、それに年貢も苦しくてどうしようもなかったところだ。ちょうどいい」
「アメリス様とならどこへでもいけます!」
みんな口々にそう言って、あろうことか全員が私についていくことを了承してくれた。
よかった。これでみんなを危険な目に合わせずに済む。
私は安心して体の力が抜けて、少しよろけてしまう。だが横にいたヨーデルが肩を掴み支えてくれた。彼のおかげで流れが変わったのだ。感謝しても仕切れない。私は「ありがとう」と彼に告げた。当然のことを言っただけですと彼は平然と言ったが、その頬は少し熱を帯びているような気がした。
説得が終わればあとは急ごしらえで村を脱出する準備をするだけだ。みな各々家へと戻り、最低限の荷物だけを持って再び広場に集まった。馬車にも荷物は多少は乗せることができそうであったので、年貢とは別にこっそり作っていた作物を積んでいくことにした。少ない量で価値が高いため、何かと後で有効活用できるかと思ったからだ。
さあ、いよいよ出発だ。
村の全員がいるかのチェックを終え、村人を列に並べて、それを囲うように兵士を配置する。私は帰りは馬車から降りて、先頭のアルドの横を歩いていた。
これであとはマスタールまで帰れれば一段落ね。
しばらく歩き、もうすぐマハス公国とナゲル連邦の国境だ。国境を越えるという行為は非常事態と分かっていても、なんだか悪いことをしているようでドキドキする。でも大丈夫、今のところうまくいっているんだから。
しかし、忘れてはならない。私は今日は厄日。物事がスムーズに進むなどあり得ないのだ。
私たちが先頭を歩いていると、急に後ろから兵士たちが何人か走ってきて、私たちの前に立ちはだかった。
「お前ら、なんのつもりだ」
アルドは厳しい顔で、兵士たちを睨みつける。一方で彼らの顔も真っ青であり、どこか緊張が伺える。彼らは何も喋らない。何か言いずらいことでもあるのだろうか。そんな彼らの煮え切らない態度に対して、アルドは「何かあるならはっきり言え!」と怒鳴りつける。
すると彼らのうち一人が前に出て、急に頭を下げてこう言い放った。
「申し訳ありません、アメリス様。俺たちはあなたと共に行けません!」
「アメリス様、これで全員です」
とアルドが報告してきた。目の前に広がる光景からは、大勢の視線が私という一点に集中しているのがわかる。そして足元に目を向けると、自分でも気づかなかったが私の足はわずかに震えていた。どれだけ覚悟をしていても、やはりいざとなると緊張してしまうらしい。息を軽く吐き、気持ちを落ち着ける。
いくのよアメリス、もう進むしかないのよ。
私は重い口を開けて、言葉を紡ぎ出した。
「タート村のみんな、こんな夜遅くにごめんなさい。突然のことでびっくりするかもしれないけど、私と一緒についてきて欲しいの!」
私はその言葉を皮切りに、今回のことの経緯を説明した。最初はみんな黙って聞いていてくれたが、次第に彼らのざわめく声が大きくなり、ついには私の声が届いているのかわからないほど声の唸りは大きくなった。私に集中していた視線もちりじりになり、周囲の人間と顔を合わせて困惑している。
急にこんなことを言われたらびっくりするわよね。
唸りを当然の結果として捉える。でもその声に負けないように、私も声を張ってなんとかみんなに声を届けようと踏ん張る。たとえ喉が裂けようとも、奥から湧き出るこの思いを止めてはならない。
「お願い、私のせいのことだってことはわかっている。だけどどうしてもあなたたちを守りたいの! 私のせいで危険に晒す人をこれ以上増やしたくない!」
最後の一言、私は口から血が出そうなほど強く叫ぶ。今朝も自分の声の大きさに驚いたが、それとは比べ物にならないほど大きな声であった。
私が最後に声を張り上げたところ、ざわめいていたみんなは静かになって再び私に視線が集まった。お願いみんな、どうか……!
しかし彼らから発せられた言葉は私の望むものではなかった。
「いくらアメリス様の頼みといえども、いきなり村を出るなんて無茶ですよ。そもそも処罰が村まで及ばない可能性もあるんだし、しばらくは様子見でもいいのではないでしょうか」
群衆の中から、男性の声が聞こえた。
するとそれに同調するような声が次々と上がってきた。やはりあまりにも事態が急すぎて私の頼みは聞き入れてもらえないのだろうか。しかし彼らの万が一のことを考えれば、無理にでも移動させたい。
どうしたら納得してくれるかを考えていると、隣で見守っていたヨーデル「俺に任せてください」と私だけに聞こえる小さな声で言ってから、
「みんな、よく考えるんだ。確かに事態が急なのはわかっている。でもこれはアメリス様が私欲を肥やすためではなく、俺たちの身を案じて行動してくれているんだぞ! 普通の貴族が同じような状況に立たされたら俺たちのことをあっさり見捨てるだろう、でもアメリス様は危険を承知で俺たちのことを迎えにきてくれた。アメリス様のいない国になんている意味がないだろう!」
と暗闇に響き渡る声で言った。近くで聞いていた私には鼓膜がおかしくなりそうなほど迫力があった。彼の言葉で、再び静寂が訪れる。みんなどうしたらいいか決めあぐねているようだ。
その時、可愛らしい小さな声で、
「アメリス様はいなくなっちゃうの?」
と前の方にいた女の子が尋ねてきた。確かあの子はジェシカだったかしら。お花で冠を作るのが上手な子だ。
私はこんな小さい子にどうやって説明したらいいか考えていると、
「アメリス様、いなくならないでよ。私もアメリス様と一緒がいい!」
と言ってくれた。その顔は少し怒ったような顔をしており、可愛らしい。私は「いなくなったりしないわよ」と言って微笑み返した。その言葉を受けてジェシカは「よかった」と笑みを漏らす。
私としては普通の会話をしたつもりだったが、これが膠着していた流れの転機となった。ジェシカと私の会話を見ていた彼らは、次第に私についていくことに了承し始めてくれたのだ。
「確かに、こんなによくしてくれる領主様はいなかった。アメリス様が俺たちを思ってくれているんだ、素直に従おう」
「ああ、それに年貢も苦しくてどうしようもなかったところだ。ちょうどいい」
「アメリス様とならどこへでもいけます!」
みんな口々にそう言って、あろうことか全員が私についていくことを了承してくれた。
よかった。これでみんなを危険な目に合わせずに済む。
私は安心して体の力が抜けて、少しよろけてしまう。だが横にいたヨーデルが肩を掴み支えてくれた。彼のおかげで流れが変わったのだ。感謝しても仕切れない。私は「ありがとう」と彼に告げた。当然のことを言っただけですと彼は平然と言ったが、その頬は少し熱を帯びているような気がした。
説得が終わればあとは急ごしらえで村を脱出する準備をするだけだ。みな各々家へと戻り、最低限の荷物だけを持って再び広場に集まった。馬車にも荷物は多少は乗せることができそうであったので、年貢とは別にこっそり作っていた作物を積んでいくことにした。少ない量で価値が高いため、何かと後で有効活用できるかと思ったからだ。
さあ、いよいよ出発だ。
村の全員がいるかのチェックを終え、村人を列に並べて、それを囲うように兵士を配置する。私は帰りは馬車から降りて、先頭のアルドの横を歩いていた。
これであとはマスタールまで帰れれば一段落ね。
しばらく歩き、もうすぐマハス公国とナゲル連邦の国境だ。国境を越えるという行為は非常事態と分かっていても、なんだか悪いことをしているようでドキドキする。でも大丈夫、今のところうまくいっているんだから。
しかし、忘れてはならない。私は今日は厄日。物事がスムーズに進むなどあり得ないのだ。
私たちが先頭を歩いていると、急に後ろから兵士たちが何人か走ってきて、私たちの前に立ちはだかった。
「お前ら、なんのつもりだ」
アルドは厳しい顔で、兵士たちを睨みつける。一方で彼らの顔も真っ青であり、どこか緊張が伺える。彼らは何も喋らない。何か言いずらいことでもあるのだろうか。そんな彼らの煮え切らない態度に対して、アルドは「何かあるならはっきり言え!」と怒鳴りつける。
すると彼らのうち一人が前に出て、急に頭を下げてこう言い放った。
「申し訳ありません、アメリス様。俺たちはあなたと共に行けません!」
11
お気に入りに追加
850
あなたにおすすめの小説

魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
富士とまと
ファンタジー
一緒に異世界に召喚された従妹は魔力が高く、私は魔力がゼロだそうだ。
「私は聖女になるかも、姉さんバイバイ」とイケメンを侍らせた従妹に手を振られ、私は王都を追放された。
魔力はないけれど、霊感は日本にいたころから強かったんだよね。そのおかげで「英霊」だとか「精霊」だとかに盲愛されています。
――いや、あの、精霊の指輪とかいらないんですけど、は、外れない?!
――ってか、イケメン幽霊が号泣って、私が悪いの?
私を追放した王都の人たちが困っている?従妹が大変な目にあってる?魔力ゼロを低級民と馬鹿にしてきた人たちが助けを求めているようですが……。
今更、魔力ゼロの人間にしか作れない特級魔力回復薬が欲しいとか言われてもね、こちらはあなたたちから何も欲しいわけじゃないのですけど。
重複投稿ですが、改稿してます

【二章開始】『事務員はいらない』と実家からも騎士団からも追放された書記は『命名』で生み出した最強家族とのんびり暮らしたい
斑目 ごたく
ファンタジー
「この騎士団に、事務員はいらない。ユーリ、お前はクビだ」リグリア王国最強の騎士団と呼ばれた黒葬騎士団。そこで自らのスキル「書記」を生かして事務仕事に勤しんでいたユーリは、そう言われ騎士団を追放される。
さらに彼は「四大貴族」と呼ばれるほどの名門貴族であった実家からも勘当されたのだった。
失意のまま乗合馬車に飛び乗ったユーリが辿り着いたのは、最果ての街キッパゲルラ。
彼はそこで自らのスキル「書記」を生かすことで、無自覚なまま成功を手にする。
そして彼のスキル「書記」には、新たな能力「命名」が目覚めていた。
彼はその能力「命名」で二人の獣耳美少女、「ネロ」と「プティ」を生み出す。
そして彼女達が見つけ出した伝説の聖剣「エクスカリバー」を「命名」したユーリはその三人の家族と共に賑やかに暮らしていく。
やがて事務員としての仕事欲しさから領主に雇われた彼は、大好きな事務仕事に全力に勤しんでいた。それがとんでもない騒動を巻き起こすとは知らずに。
これは事務仕事が大好きな余りそのチートスキルで無自覚に無双するユーリと、彼が生み出した最強の家族が世界を「書き換えて」いく物語。
火・木・土曜日20:10、定期更新中。
この作品は「小説家になろう」様にも投稿されています。

無能と呼ばれ、婚約破棄されたのでこの国を出ていこうと思います
由香
恋愛
家族に無能と呼ばれ、しまいには妹に婚約者をとられ、婚約破棄された…
私はその時、決意した。
もう我慢できないので国を出ていこうと思います!
━━実は無能ではなく、国にとっては欠かせない存在だったノエル
ノエルを失った国はこれから一体どうなっていくのでしょう…
少し変更しました。

豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。
下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。
豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。
小説家になろう様でも投稿しています。

(完結)初恋の勇者が選んだのは聖女の……でした
青空一夏
ファンタジー
私はアイラ、ジャスミン子爵家の長女だ。私には可愛らしい妹リリーがおり、リリーは両親やお兄様から溺愛されていた。私はこの国の基準では不器量で女性らしくなく恥ずべき存在だと思われていた。
この国の女性美の基準は小柄で華奢で編み物と刺繍が得意であること。風が吹けば飛ぶような儚げな風情の容姿が好まれ家庭的であることが大事だった。
私は読書と剣術、魔法が大好き。刺繍やレース編みなんて大嫌いだった。
そんな私は恋なんてしないと思っていたけれど一目惚れ。その男の子も私に気があると思っていた私は大人になってから自分の手柄を彼に譲る……そして彼は勇者になるのだが……
勇者と聖女と魔物が出てくるファンタジー。ざまぁ要素あり。姉妹格差。ゆるふわ設定ご都合主義。中世ヨーロッパ風異世界。
ラブファンタジーのつもり……です。最後はヒロインが幸せになり、ヒロインを裏切った者は不幸になるという安心設定。因果応報の世界。

姉の陰謀で国を追放された第二王女は、隣国を発展させる聖女となる【完結】
小平ニコ
ファンタジー
幼少期から魔法の才能に溢れ、百年に一度の天才と呼ばれたリーリエル。だが、その才能を妬んだ姉により、無実の罪を着せられ、隣国へと追放されてしまう。
しかしリーリエルはくじけなかった。持ち前の根性と、常識を遥かに超えた魔法能力で、まともな建物すら存在しなかった隣国を、たちまちのうちに強国へと成長させる。
そして、リーリエルは戻って来た。
政治の実権を握り、やりたい放題の振る舞いで国を乱す姉を打ち倒すために……

【完結】特別な力で国を守っていた〈防国姫〉の私、愚王と愚妹に王宮追放されたのでスパダリ従者と旅に出ます。一方で愚王と愚妹は破滅する模様
岡崎 剛柔
ファンタジー
◎第17回ファンタジー小説大賞に応募しています。投票していただけると嬉しいです
【あらすじ】
カスケード王国には魔力水晶石と呼ばれる特殊な鉱物が国中に存在しており、その魔力水晶石に特別な魔力を流すことで〈魔素〉による疫病などを防いでいた特別な聖女がいた。
聖女の名前はアメリア・フィンドラル。
国民から〈防国姫〉と呼ばれて尊敬されていた、フィンドラル男爵家の長女としてこの世に生を受けた凛々しい女性だった。
「アメリア・フィンドラル、ちょうどいい機会だからここでお前との婚約を破棄する! いいか、これは現国王である僕ことアントン・カスケードがずっと前から決めていたことだ! だから異議は認めない!」
そんなアメリアは婚約者だった若き国王――アントン・カスケードに公衆の面前で一方的に婚約破棄されてしまう。
婚約破棄された理由は、アメリアの妹であったミーシャの策略だった。
ミーシャはアメリアと同じ〈防国姫〉になれる特別な魔力を発現させたことで、アントンを口説き落としてアメリアとの婚約を破棄させてしまう。
そしてミーシャに骨抜きにされたアントンは、アメリアに王宮からの追放処分を言い渡した。
これにはアメリアもすっかり呆れ、無駄な言い訳をせずに大人しく王宮から出て行った。
やがてアメリアは天才騎士と呼ばれていたリヒト・ジークウォルトを連れて〈放浪医師〉となることを決意する。
〈防国姫〉の任を解かれても、国民たちを守るために自分が持つ医術の知識を活かそうと考えたのだ。
一方、本物の知識と実力を持っていたアメリアを王宮から追放したことで、主核の魔力水晶石が致命的な誤作動を起こしてカスケード王国は未曽有の大災害に陥ってしまう。
普通の女性ならば「私と婚約破棄して王宮から追放した報いよ。ざまあ」と喜ぶだろう。
だが、誰よりも優しい心と気高い信念を持っていたアメリアは違った。
カスケード王国全土を襲った未曽有の大災害を鎮めるべく、すべての原因だったミーシャとアントンのいる王宮に、アメリアはリヒトを始めとして旅先で出会った弟子の少女や伝説の魔獣フェンリルと向かう。
些細な恨みよりも、〈防国姫〉と呼ばれた聖女の力で国を救うために――。

姉妹差別の末路
京佳
ファンタジー
粗末に扱われる姉と蝶よ花よと大切に愛される妹。同じ親から産まれたのにまるで真逆の姉妹。見捨てられた姉はひとり静かに家を出た。妹が不治の病?私がドナーに適応?喜んでお断り致します!
妹嫌悪。ゆるゆる設定
※初期に書いた物を手直し再投稿&その後も追記済
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる