19 / 22
♯18
しおりを挟む
「なぁ、どうするんだ? 結局。みんなでベッドで寝るのか? 寝ないのか?」
あれから各々風呂に入り、テュータがうとうとしているなか、ため息混じりに問う。
「オレはどっちでも。ベッド全部横並びなんだろ? なら別に、ここがいいとかの喧嘩は起こりはしねぇから大丈夫だな。文句なし」
タクリスが髪留めをほどきながらそう言う。その言葉にパレッタもぶんぶん頭を縦に振る。
そしてうとうとしていたテュータは限界が来たので先に就寝。すよすよ寝てやがる。
ま、今日は特に疲れたしなぁ。攫われたり、攫われたり、攫われたり。
「あとはヤウォンだけだぞ。どーすんだ?」
「――おれは……その……」
いつも俺が何か言うと「あ゛ぁ゛?!」とか返してくるあのヤウォンが、すこぶるしおしおっとなって俯き、自分の指をいじり始めた。キャラがつかめねぇ。俺が言うのもなんだけど。
「おれは――」
「ハッハッハ! なんだヤウォン、今更怖気づいてきたのか? 何寝ることだけで戸惑ってんだよ」
珍しくおどおどするヤウォンに、タクリスが上機嫌に肩を組む。その顔は、何かを企んでいるときにするニヤつく表情を張り付けていた。
「お前、山羊の皮かぶった狼じゃねぇだろ? お前はまんま狼だ。だから、いつでもお嬢さんを襲うことができるんだぜ? その狼が、今更山羊に戻るなんて、できっこないだろ」
ヤウォンの耳元でこそこそ話すタクリスは、本気で何かを吹き込んでいた。お前の女たらしのスキルは吹き込まなくていい……頼むから……。
「ヤウォン、そこまでお前はチキンじゃねぇだろ」
「ッ! うす……」
やがてヤウォンがコクリと頷き、タクリスが「上出来だ」と言った。
二人の中で何かが定まったらしい。なんの話だ?
するとヤウォンが突然。
「おれ、やっぱ、ここで寝る」
さっきの話し合いで何が決定されたんだ!? なぁ!?
「じ、じゃあ、どういう順番で、寝ますか? テュータさん、は、もう寝てしまっている、ので……テュータさんの左隣が1人、そのほかはみんな並んで寝るような形になってます、けど……?」
パレッタがテュータの寝顔を見てにやぁっとしながら尋ねる。
パレッタの言った通り、テュータは左から2番目のベッドで夢の中にどっぷり入っている。
なので、左端のベッド1個、テュータの右隣3個が俺たちの寝るところだ。
その並びを決めようとなっているのだが……。これがまたどうも決まらない。
「俺はとりあえず安全のためにテュータの横にする。こいつ寝相すげぇ悪いからとかみぞおちとかいろんなところ蹴られることあるし……みんなに蹴り入れるなんてことがないように、左右のどちらかがいいかな」
あくまで安全のためだから。やましいこと考えて言ってるわけじゃないから!
「パレ、も、テュータさんの横が、いい、です……。て、天使の寝顔って……と、尊い、ものじゃないですか……ふ、ふ、ふへへ……」
……通常運転だなぁ……良からぬことを考えてるぞ……。
「オレは余りもんで。まー女子の横は勘弁だがな。変な気ぃ起こすと誰かさんに殺されちまうから、なぁ?」
変な気は起こさないでほしい。頼むから。
チラッと見られた当の本人はというと……。
「なっ……! お、おれでもそこまで非道じゃねェ……いや、パレッタさんのことならただじゃおかねェかも……」
矛盾の生じる発言をぶつぶつ零す。タクリス、頼むから手は出さないでほしい。もしタクリスが手を出してヤウォンが影を呼び出したらまた家が……あー考えただけで胃が……。
「で? どうするんだ?」
「あ゛? おれはパレッタさんの横一択」
「ひひぇえええ!?」
うーん……それぞれが欲望にまっすぐだなぁ……パレッタとヤウォンに関しては完全に私欲の心むき出しなんだよね。決まらねぇな―……。
「どうする? もうこれじゃ決まりそうにない。いっせーのーで、で指さして決めるぞ」
「そ、そうしましょう!」
「同意!」
「早く決めて寝ようぜ。ねみぃ」
全員寝たくて寝たくてしょうがないらしい。いや分かるけども。
「そうだな。じゃあ一発で決めるぞ! いっせーのーでっ!」
俺の掛け声とともに、びしぃっ! と人差し指をベッドへ向ける。
俺はテュータの左横。パレッタはテュータの右隣。よかった……かぶることなくて……。
そしてその横にヤウォンが、さらに横、右端にはタクリス。綺麗に分かれてくれた。一安心。
「よし! 安全的に決まったことだし! 寝るぞ! 電気消すぞ! あ、トイレ行ったか? 歯磨い――」
「うるせぇェェ! テメェは世話焼きの母親か!? 黙って寝ろやァ!」
「ごめんなさい」
俺の心配をヤウォンに間髪入れずにツッコミを入れられ即座に謝罪。すみません。
なんで俺にだけあたりが強いんだよ……メシは受け入れてもらえたけども。
それともこれまでに出会ったテュータやタクリス、パレッタが優しすぎるだけなの? ヤウォンの対応が普通なの?
でも、最初会った時よりも遠く感じない。ちゃんと言葉が交わせるようになってきた。
それだけでも進歩かぁ……ふかふかのベッドの中に入り、すよすよ眠るテュータを見て、俺も寝よう。そう思っていた時だった。
「ママ――」
テュータがぽつりとつぶやいた。寝言だろうか。横になりながらテュータを見ていると、不意に一筋の涙が。
「ママ」ってことはお母さんか。そういやテュータ、6歳の子供なのに1人でいるよな……今日の昼間のアレも関係してんのか?
「寂しいよな……たとえ最強とはいえ、それ取っ払えればただの6歳の少女だもんな」
流れた涙を拭ってやると、またすよすよ寝ていってしまった。
たとえタクリスやパレッタが仲良くしてくれたとしても、親や家族に敵うわけ、ないもんな……。
それなのに親は何をしているんだか。俺だったらすぐに探しに行くぜ。
親、か――俺には縁もねぇ話だなぁ……。
物心つく前から孤児院にいた俺には、親のあたたかさなんて知らない。
でもテュータには親がちゃんといるんだ。今は離れていても、いつかは親元に返してやらねぇとな。
きっと心配しているだろうに――いや心配していたらすぐ探すよなぁ……うーん、分からん。いや、分かりたくもねぇな。
翌朝。昨夜もテュータの強烈な蹴りやグーパンを食らってまともに寝られなかった。勘弁してくれよなぁ……! 本っっ当に!
「ほら、テュータ。起きろ、朝だぞ」
「……ぃや」
「いやじゃねぇ、起きろ」
「んーんっ」
「んーんじゃねぇ、起きろってば。もうタクリスもパレッタもヤウォンもみんな起きてるぞ」
「ゃーだ」
「やーだじゃねぇってば! 自分で起きる努力をしろよ!」
「……んー……やぁだ」
「はぁ……もう俺知らねぇからな」
駄々こねテュータは放っておいて、寝室から移動。いつかはぱっちり目が開くだろ。
あくびをしながらみんなの声がする部屋に行く。ドアノブをひねり、飛び込んできたのは――
「あっ! エリュスさん! おはよう、ござい、ます!」
「エリュス……た、た、助け――ごぶっ」
「――――くっ……残す、わけには、いかねェ……だろ……」
いつぞやかに見た光景だった。
満面の笑みのパレッタと、材料をどうしたら真っ黒な固形と液体のものになるのか謎なシチュー(らしきもの)と、それを口にして失神しかけのタクリスと、パレッタの料理を残すわけにはいくまいと真っ青な顔をして宣言するヤウォンの姿。あぁ、なんってことだ……!
「エリュスさん、昨日だいぶお疲れだったみたいで、何回か皆さんで、起こしたんですけど、起きなくて――ゆっくり寝かせてあげようって、タクリスさんが。そしたら、ヤウォンさんが『お腹がすいた』って言ったので、パレが作りました!」
あぁ、ヤウォンなんてことを……。パレッタの前で食べ物の話しちゃいけないよ、って前々から言っておいたらよかった――っ!
「最初、タクリスさんに『落ち着いて。やめて』と泣いて縋られたんですけど、ヤウォンさんが、パレの手料理食べたいって、いうものですから、腕を振るって張り切っちゃいました!」
ヤウォン、本気でなんてことを……火に油を注ぐってこういうことを言うんだな……。
タクリス――お前の努力は無駄にはしないぜ……。椅子の背もたれにもたれかかった状態でびくともしないタクリスに哀れんだ視線を送る。
この事態を引き起こした張本人、ヤウォンはもぞもぞ動きながらお椀にかじりつく。何としても食べ終わりたいようだ。見てられねぇぜ……。
「エリュスさんの分も、皆さんのおかわりの分も、しっかりありますよ!」
屈託なく笑うパレッタの前にどんと置かれた鍋の中にはいまだボコボコと、音が止まないシチューという名の固形兼液体が入っている。
「あ、ヤウォンさん、お口に合いましたか?」
やっとの思いで食べきったヤウォンを絶望へと導く、おかわりシステムが作動。そしてそう問いかけるパレッタの笑顔に悪意はない。
「お、お、お、おい゛しぃです」
問いかけに、やせ我慢してパレッタに向けた親指はかすかに震えながら上を指していた。
――……テュータ。お前、起きてこなくてよかったよ……もし俺と一緒に起きていたら、タクリスやヤウォンみたくなってたかもしれない……。
俺もそうなるかもしれない――そう思うだけで自然と視線が遠くなっているのを感じた。
また全部吐き出しちまうのかなぁ……極力、避けたい。
……とぅーびーこんてにゅーっ!
あれから各々風呂に入り、テュータがうとうとしているなか、ため息混じりに問う。
「オレはどっちでも。ベッド全部横並びなんだろ? なら別に、ここがいいとかの喧嘩は起こりはしねぇから大丈夫だな。文句なし」
タクリスが髪留めをほどきながらそう言う。その言葉にパレッタもぶんぶん頭を縦に振る。
そしてうとうとしていたテュータは限界が来たので先に就寝。すよすよ寝てやがる。
ま、今日は特に疲れたしなぁ。攫われたり、攫われたり、攫われたり。
「あとはヤウォンだけだぞ。どーすんだ?」
「――おれは……その……」
いつも俺が何か言うと「あ゛ぁ゛?!」とか返してくるあのヤウォンが、すこぶるしおしおっとなって俯き、自分の指をいじり始めた。キャラがつかめねぇ。俺が言うのもなんだけど。
「おれは――」
「ハッハッハ! なんだヤウォン、今更怖気づいてきたのか? 何寝ることだけで戸惑ってんだよ」
珍しくおどおどするヤウォンに、タクリスが上機嫌に肩を組む。その顔は、何かを企んでいるときにするニヤつく表情を張り付けていた。
「お前、山羊の皮かぶった狼じゃねぇだろ? お前はまんま狼だ。だから、いつでもお嬢さんを襲うことができるんだぜ? その狼が、今更山羊に戻るなんて、できっこないだろ」
ヤウォンの耳元でこそこそ話すタクリスは、本気で何かを吹き込んでいた。お前の女たらしのスキルは吹き込まなくていい……頼むから……。
「ヤウォン、そこまでお前はチキンじゃねぇだろ」
「ッ! うす……」
やがてヤウォンがコクリと頷き、タクリスが「上出来だ」と言った。
二人の中で何かが定まったらしい。なんの話だ?
するとヤウォンが突然。
「おれ、やっぱ、ここで寝る」
さっきの話し合いで何が決定されたんだ!? なぁ!?
「じ、じゃあ、どういう順番で、寝ますか? テュータさん、は、もう寝てしまっている、ので……テュータさんの左隣が1人、そのほかはみんな並んで寝るような形になってます、けど……?」
パレッタがテュータの寝顔を見てにやぁっとしながら尋ねる。
パレッタの言った通り、テュータは左から2番目のベッドで夢の中にどっぷり入っている。
なので、左端のベッド1個、テュータの右隣3個が俺たちの寝るところだ。
その並びを決めようとなっているのだが……。これがまたどうも決まらない。
「俺はとりあえず安全のためにテュータの横にする。こいつ寝相すげぇ悪いからとかみぞおちとかいろんなところ蹴られることあるし……みんなに蹴り入れるなんてことがないように、左右のどちらかがいいかな」
あくまで安全のためだから。やましいこと考えて言ってるわけじゃないから!
「パレ、も、テュータさんの横が、いい、です……。て、天使の寝顔って……と、尊い、ものじゃないですか……ふ、ふ、ふへへ……」
……通常運転だなぁ……良からぬことを考えてるぞ……。
「オレは余りもんで。まー女子の横は勘弁だがな。変な気ぃ起こすと誰かさんに殺されちまうから、なぁ?」
変な気は起こさないでほしい。頼むから。
チラッと見られた当の本人はというと……。
「なっ……! お、おれでもそこまで非道じゃねェ……いや、パレッタさんのことならただじゃおかねェかも……」
矛盾の生じる発言をぶつぶつ零す。タクリス、頼むから手は出さないでほしい。もしタクリスが手を出してヤウォンが影を呼び出したらまた家が……あー考えただけで胃が……。
「で? どうするんだ?」
「あ゛? おれはパレッタさんの横一択」
「ひひぇえええ!?」
うーん……それぞれが欲望にまっすぐだなぁ……パレッタとヤウォンに関しては完全に私欲の心むき出しなんだよね。決まらねぇな―……。
「どうする? もうこれじゃ決まりそうにない。いっせーのーで、で指さして決めるぞ」
「そ、そうしましょう!」
「同意!」
「早く決めて寝ようぜ。ねみぃ」
全員寝たくて寝たくてしょうがないらしい。いや分かるけども。
「そうだな。じゃあ一発で決めるぞ! いっせーのーでっ!」
俺の掛け声とともに、びしぃっ! と人差し指をベッドへ向ける。
俺はテュータの左横。パレッタはテュータの右隣。よかった……かぶることなくて……。
そしてその横にヤウォンが、さらに横、右端にはタクリス。綺麗に分かれてくれた。一安心。
「よし! 安全的に決まったことだし! 寝るぞ! 電気消すぞ! あ、トイレ行ったか? 歯磨い――」
「うるせぇェェ! テメェは世話焼きの母親か!? 黙って寝ろやァ!」
「ごめんなさい」
俺の心配をヤウォンに間髪入れずにツッコミを入れられ即座に謝罪。すみません。
なんで俺にだけあたりが強いんだよ……メシは受け入れてもらえたけども。
それともこれまでに出会ったテュータやタクリス、パレッタが優しすぎるだけなの? ヤウォンの対応が普通なの?
でも、最初会った時よりも遠く感じない。ちゃんと言葉が交わせるようになってきた。
それだけでも進歩かぁ……ふかふかのベッドの中に入り、すよすよ眠るテュータを見て、俺も寝よう。そう思っていた時だった。
「ママ――」
テュータがぽつりとつぶやいた。寝言だろうか。横になりながらテュータを見ていると、不意に一筋の涙が。
「ママ」ってことはお母さんか。そういやテュータ、6歳の子供なのに1人でいるよな……今日の昼間のアレも関係してんのか?
「寂しいよな……たとえ最強とはいえ、それ取っ払えればただの6歳の少女だもんな」
流れた涙を拭ってやると、またすよすよ寝ていってしまった。
たとえタクリスやパレッタが仲良くしてくれたとしても、親や家族に敵うわけ、ないもんな……。
それなのに親は何をしているんだか。俺だったらすぐに探しに行くぜ。
親、か――俺には縁もねぇ話だなぁ……。
物心つく前から孤児院にいた俺には、親のあたたかさなんて知らない。
でもテュータには親がちゃんといるんだ。今は離れていても、いつかは親元に返してやらねぇとな。
きっと心配しているだろうに――いや心配していたらすぐ探すよなぁ……うーん、分からん。いや、分かりたくもねぇな。
翌朝。昨夜もテュータの強烈な蹴りやグーパンを食らってまともに寝られなかった。勘弁してくれよなぁ……! 本っっ当に!
「ほら、テュータ。起きろ、朝だぞ」
「……ぃや」
「いやじゃねぇ、起きろ」
「んーんっ」
「んーんじゃねぇ、起きろってば。もうタクリスもパレッタもヤウォンもみんな起きてるぞ」
「ゃーだ」
「やーだじゃねぇってば! 自分で起きる努力をしろよ!」
「……んー……やぁだ」
「はぁ……もう俺知らねぇからな」
駄々こねテュータは放っておいて、寝室から移動。いつかはぱっちり目が開くだろ。
あくびをしながらみんなの声がする部屋に行く。ドアノブをひねり、飛び込んできたのは――
「あっ! エリュスさん! おはよう、ござい、ます!」
「エリュス……た、た、助け――ごぶっ」
「――――くっ……残す、わけには、いかねェ……だろ……」
いつぞやかに見た光景だった。
満面の笑みのパレッタと、材料をどうしたら真っ黒な固形と液体のものになるのか謎なシチュー(らしきもの)と、それを口にして失神しかけのタクリスと、パレッタの料理を残すわけにはいくまいと真っ青な顔をして宣言するヤウォンの姿。あぁ、なんってことだ……!
「エリュスさん、昨日だいぶお疲れだったみたいで、何回か皆さんで、起こしたんですけど、起きなくて――ゆっくり寝かせてあげようって、タクリスさんが。そしたら、ヤウォンさんが『お腹がすいた』って言ったので、パレが作りました!」
あぁ、ヤウォンなんてことを……。パレッタの前で食べ物の話しちゃいけないよ、って前々から言っておいたらよかった――っ!
「最初、タクリスさんに『落ち着いて。やめて』と泣いて縋られたんですけど、ヤウォンさんが、パレの手料理食べたいって、いうものですから、腕を振るって張り切っちゃいました!」
ヤウォン、本気でなんてことを……火に油を注ぐってこういうことを言うんだな……。
タクリス――お前の努力は無駄にはしないぜ……。椅子の背もたれにもたれかかった状態でびくともしないタクリスに哀れんだ視線を送る。
この事態を引き起こした張本人、ヤウォンはもぞもぞ動きながらお椀にかじりつく。何としても食べ終わりたいようだ。見てられねぇぜ……。
「エリュスさんの分も、皆さんのおかわりの分も、しっかりありますよ!」
屈託なく笑うパレッタの前にどんと置かれた鍋の中にはいまだボコボコと、音が止まないシチューという名の固形兼液体が入っている。
「あ、ヤウォンさん、お口に合いましたか?」
やっとの思いで食べきったヤウォンを絶望へと導く、おかわりシステムが作動。そしてそう問いかけるパレッタの笑顔に悪意はない。
「お、お、お、おい゛しぃです」
問いかけに、やせ我慢してパレッタに向けた親指はかすかに震えながら上を指していた。
――……テュータ。お前、起きてこなくてよかったよ……もし俺と一緒に起きていたら、タクリスやヤウォンみたくなってたかもしれない……。
俺もそうなるかもしれない――そう思うだけで自然と視線が遠くなっているのを感じた。
また全部吐き出しちまうのかなぁ……極力、避けたい。
……とぅーびーこんてにゅーっ!
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる