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十.
神様から、お願い!
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「この神社に神主はおらんのよ。」
色があせて白っぽいが、元は緑色であったであろうジャンパーを着た小太りのおっちゃんが、了二をうさんくさそうに見ながら言った。
了二は買物の翌日、さっそく神社に来て、アポなしではあるが、神社の右の民家を訪ね、玄関に出てきてくれたおっちゃんに、神社について尋ねたところ、おっちゃんがそう言うのだ。
突然来て、名刺も出さない青年に「この神社の由来をご存知ないですか?」と聞かれたら、うさんくさがられて当然だと了二は思った。
しかし、ここで引き下がるわけにはいかない。
「でも神主さんがおられないにしては、社(やしろ)や境内(けいだい)がきれいにしてあるように見えますが…?」
「いや、神主がおらんという言い方は、正確ではのうて、ひとりの神主で、あちこちの神社を見よるのよ。ここから山へ向かう国道沿いに「盛金稲荷」(もりかねいなり)があるのは知っとる?」
「ええ、このあたりでは、大きな神社ですよね?氏子(うじこ)の人も多いみたいで参拝者でにぎやかだって聞いたことがあります。」
「そうそう、その盛金稲荷の宮司が、ここいらの小さな神社のいくつかも、まとめて面倒を見よるのよ。でも盛金稲荷の仕事が忙しいけん、ここの神社は年に一回30分くらいの儀式をするだけ。」
「その儀式の時には、おじさんは、参加されるのですか?」
こいつ、しつこいやつやな~という表情をモロに顔に浮かべ、おっちゃんは仕方なく言う。
「いや、実は、わしは、わしのじいさんの代からここに住んどって、じいさんがここの土地を買った時には、この神社は先にあったと言うとったが、お参りする人もほとんどおらんし、祭りもやっとらんと、じいさんが言うとった。だいたい祭られとる神様が誰かもわからんし。」
「えっ、祭られている神様がわからない?そんな神社があるものなんですか?」
おっちゃんは、了二の質問ぜめが、さすがにめんどくさくなったらしい。
「わしに聞かれてもわからんよ。あとは盛金稲荷で聞いて。」
そう言うと、玄関の引き戸をカラカラと閉めはじめた。
了二も盛金稲荷で聞いてみるしかないなと思い、それを教えてもらえただけでもありがたい、と、心の中でおっちゃんに感謝した。
その時。
カラカラ動いて、あと3センチで閉まるはずのガラス戸がぴたっと止まり、再び開くほうへカラカラ動き始めた。
そこには、先ほどまでとは違う表情の、おっちゃんの顔があった。
「いま思いだしたんやけどな。森田さんならこの神社について、知っとるかもしれん。」
「それはありがたい。どちらのかたでしょうか?」
「森田さんとは町内会が違うけん、わしもようは知らん人ではあるけどな。この神社を掃除しに、定期的に来られようる女性なんよ。おばさんじゃがな。挨拶をする程度で話をしたことはないんじゃが、何十年も掃除に来られようるけん、森田さんと、この神社には何かのつながりがあるのかもしれん。」
「僕、森田さんのお宅を訪ねてみます。さしつかえなければ、どのあたりのお宅か、教えていただけますか?」
「えっとのー。」
おっちゃんは奥からチラシと鉛筆を持って来ると、チラシの裏の白い面に、ここから森田さん宅までの略図を書いて渡してくれた。
「どうもありがとうございます。お時間を取って失礼しました。」
了二は深々と頭を下げた。
「いーえのー、兄ちゃんの役にたてばええがの。」
こうして今度は、森田さん宅を探して歩き出した了二だが、おっちゃんが書いてくれた略図があいまいすぎて、森田さん宅へたどり着けない。こんな時、力になってくれるのが猫だ。
了二は目立たないよう電柱のそばに立って、ショルダーから猫を取り出し、猫に略図を見せた。
(猫、森田さん宅がどこかわかる?)
(ニャ~ニ?この図は変なとこあるよ。森田さん宅へ向かう分かれ道、おっちゃんは勘違いして逆に書いてるよ。右へ行けば森田さん宅じゃなくて、左が森田さん宅への道よ。)
(なんだ、じゃあ、ここから見える、あの分かれ道を左へ進めばいいんだね。)
了二は猫の指示どおり、100メートルほど先の三叉路を左に曲がり、「森田」という表札を探しながら歩いた。
「あった。この家だ。」
森田さんの家は、日本の古い建築様式の家だった。道路に直接玄関が面しておらず、屋根のついた木の格子戸が西洋建築でいう門の役目をしていた。家の玄関はさらにその奥で、平たい敷石を並べた細い通路の先にある。門の役目の屋根を支える柱に「森田」と墨で書かれた木の表札がついており、その下に「ご用の方は下のチャイムを押して下さい」と書かれた紙が貼られ、ボタン式のチャイムがついていた。
了二はチャイムを押した。ピポーン。
チャイムの音が玄関の中に響いた。
シ~ン。
誰も出てくる様子がない。
もう一度。ピポーン。
家の中で人が動いている気配がない。
留守なのか、それともどこかに監視カメラが付いていて、了二のような見知らぬ人間が訪ねて来たら、用心して出ないようにしておられるのかもしれない。
もしも事前に会う約束をしないと出てきていただけないのであれば、訪問の目的を手紙に書いて届けてから出直しをするとしよう。でも三度目の正直ということもある。もう一度、チャイムを押して、それでも反応がなかったら、今日は諦めよう。
了二はそう心に決めて、三度目を押した。
ピポーン。
しばらく間があって、玄関のガラス戸に人影のようなものが動いた。やがて玄関戸が少し動き白髪(はくはつ)の女性の顔が半分ほど見えた。
この女性が、おっちゃんが教えてくれた森田さんだろうか?
了二はジェスチャーを交えながら、大きな声で話しかけた。
「突然おうかがいしてすみません。私は向こうの通りにある神社の由来を調べている者ですが、神社の隣の家の人から、森田さんが由来をご存知かもしれないから訪ねてみなさいと教えられて、こちらに来させていただきました。神社の清掃を続けておられる森田さんでしょうか?」
ガラッ!!!
玄関戸が全開し、中から飛び出してくるような勢いで、白髪の女性が走りでて来た。敷石の通路の上をダダダダッと走り、了二が立っている外の格子戸の前まで来ると、
「わたしはあんたさんのような人が、必ず来てくれると信じて、ずうっと待っとったんや!」
と、格子ごしに了二に言いながら、格子戸の鍵を開け、戸を開いた。
その女性は、背中まで伸ばした白髪を、頭の後ろで束ね、中肉中背で、和服を仕立て直したゆったりとしたワンピースを着ていた。歳の頃は「おばさん」から「おばあさん」へのちょうど中途におられるくらいだが、整った目鼻立ちから受ける印象には少女のような若々しい表情があった。
了二は思いがけない歓迎の言葉にびっくりしながら、簡単な自己紹介をした。
「わたしは、「アンノウン ニュースレター 」というインターネット配信の記事を書いている記者です。あちらの神社は珍しい神社ですよ、といううわさを聞いて、森田さんが詳しくご存知かも、と、神社の隣の家の男性に教えてもらって取材にうかがいました。」
女性はカクカクと何度もうなずきながら聞き、
「インターネットのことはよう分からんが、記者さんなんやな。」
と確認してくる。
「そうです、おさしつかえなければ、あの神社の由来を教えていただき、記事にして、多くの皆様に知っていただくことができれば、と考えています。」
「いよいよこの時が来た…ご先祖様から引き継いできた願いが実現する時が…」
森田さんが視線を宙(そら)に漂わせながら、つぶやいた。
了二はそんな森田さんの様子を見て、あの小さな神社の由来が、そんなに大変なことなのかと感じ、心が少しビクビクしてきた。
ショルダーの中から猫が、
(心配ニャイ!どーんとかまえて!)
と、励ましてくれた。
色があせて白っぽいが、元は緑色であったであろうジャンパーを着た小太りのおっちゃんが、了二をうさんくさそうに見ながら言った。
了二は買物の翌日、さっそく神社に来て、アポなしではあるが、神社の右の民家を訪ね、玄関に出てきてくれたおっちゃんに、神社について尋ねたところ、おっちゃんがそう言うのだ。
突然来て、名刺も出さない青年に「この神社の由来をご存知ないですか?」と聞かれたら、うさんくさがられて当然だと了二は思った。
しかし、ここで引き下がるわけにはいかない。
「でも神主さんがおられないにしては、社(やしろ)や境内(けいだい)がきれいにしてあるように見えますが…?」
「いや、神主がおらんという言い方は、正確ではのうて、ひとりの神主で、あちこちの神社を見よるのよ。ここから山へ向かう国道沿いに「盛金稲荷」(もりかねいなり)があるのは知っとる?」
「ええ、このあたりでは、大きな神社ですよね?氏子(うじこ)の人も多いみたいで参拝者でにぎやかだって聞いたことがあります。」
「そうそう、その盛金稲荷の宮司が、ここいらの小さな神社のいくつかも、まとめて面倒を見よるのよ。でも盛金稲荷の仕事が忙しいけん、ここの神社は年に一回30分くらいの儀式をするだけ。」
「その儀式の時には、おじさんは、参加されるのですか?」
こいつ、しつこいやつやな~という表情をモロに顔に浮かべ、おっちゃんは仕方なく言う。
「いや、実は、わしは、わしのじいさんの代からここに住んどって、じいさんがここの土地を買った時には、この神社は先にあったと言うとったが、お参りする人もほとんどおらんし、祭りもやっとらんと、じいさんが言うとった。だいたい祭られとる神様が誰かもわからんし。」
「えっ、祭られている神様がわからない?そんな神社があるものなんですか?」
おっちゃんは、了二の質問ぜめが、さすがにめんどくさくなったらしい。
「わしに聞かれてもわからんよ。あとは盛金稲荷で聞いて。」
そう言うと、玄関の引き戸をカラカラと閉めはじめた。
了二も盛金稲荷で聞いてみるしかないなと思い、それを教えてもらえただけでもありがたい、と、心の中でおっちゃんに感謝した。
その時。
カラカラ動いて、あと3センチで閉まるはずのガラス戸がぴたっと止まり、再び開くほうへカラカラ動き始めた。
そこには、先ほどまでとは違う表情の、おっちゃんの顔があった。
「いま思いだしたんやけどな。森田さんならこの神社について、知っとるかもしれん。」
「それはありがたい。どちらのかたでしょうか?」
「森田さんとは町内会が違うけん、わしもようは知らん人ではあるけどな。この神社を掃除しに、定期的に来られようる女性なんよ。おばさんじゃがな。挨拶をする程度で話をしたことはないんじゃが、何十年も掃除に来られようるけん、森田さんと、この神社には何かのつながりがあるのかもしれん。」
「僕、森田さんのお宅を訪ねてみます。さしつかえなければ、どのあたりのお宅か、教えていただけますか?」
「えっとのー。」
おっちゃんは奥からチラシと鉛筆を持って来ると、チラシの裏の白い面に、ここから森田さん宅までの略図を書いて渡してくれた。
「どうもありがとうございます。お時間を取って失礼しました。」
了二は深々と頭を下げた。
「いーえのー、兄ちゃんの役にたてばええがの。」
こうして今度は、森田さん宅を探して歩き出した了二だが、おっちゃんが書いてくれた略図があいまいすぎて、森田さん宅へたどり着けない。こんな時、力になってくれるのが猫だ。
了二は目立たないよう電柱のそばに立って、ショルダーから猫を取り出し、猫に略図を見せた。
(猫、森田さん宅がどこかわかる?)
(ニャ~ニ?この図は変なとこあるよ。森田さん宅へ向かう分かれ道、おっちゃんは勘違いして逆に書いてるよ。右へ行けば森田さん宅じゃなくて、左が森田さん宅への道よ。)
(なんだ、じゃあ、ここから見える、あの分かれ道を左へ進めばいいんだね。)
了二は猫の指示どおり、100メートルほど先の三叉路を左に曲がり、「森田」という表札を探しながら歩いた。
「あった。この家だ。」
森田さんの家は、日本の古い建築様式の家だった。道路に直接玄関が面しておらず、屋根のついた木の格子戸が西洋建築でいう門の役目をしていた。家の玄関はさらにその奥で、平たい敷石を並べた細い通路の先にある。門の役目の屋根を支える柱に「森田」と墨で書かれた木の表札がついており、その下に「ご用の方は下のチャイムを押して下さい」と書かれた紙が貼られ、ボタン式のチャイムがついていた。
了二はチャイムを押した。ピポーン。
チャイムの音が玄関の中に響いた。
シ~ン。
誰も出てくる様子がない。
もう一度。ピポーン。
家の中で人が動いている気配がない。
留守なのか、それともどこかに監視カメラが付いていて、了二のような見知らぬ人間が訪ねて来たら、用心して出ないようにしておられるのかもしれない。
もしも事前に会う約束をしないと出てきていただけないのであれば、訪問の目的を手紙に書いて届けてから出直しをするとしよう。でも三度目の正直ということもある。もう一度、チャイムを押して、それでも反応がなかったら、今日は諦めよう。
了二はそう心に決めて、三度目を押した。
ピポーン。
しばらく間があって、玄関のガラス戸に人影のようなものが動いた。やがて玄関戸が少し動き白髪(はくはつ)の女性の顔が半分ほど見えた。
この女性が、おっちゃんが教えてくれた森田さんだろうか?
了二はジェスチャーを交えながら、大きな声で話しかけた。
「突然おうかがいしてすみません。私は向こうの通りにある神社の由来を調べている者ですが、神社の隣の家の人から、森田さんが由来をご存知かもしれないから訪ねてみなさいと教えられて、こちらに来させていただきました。神社の清掃を続けておられる森田さんでしょうか?」
ガラッ!!!
玄関戸が全開し、中から飛び出してくるような勢いで、白髪の女性が走りでて来た。敷石の通路の上をダダダダッと走り、了二が立っている外の格子戸の前まで来ると、
「わたしはあんたさんのような人が、必ず来てくれると信じて、ずうっと待っとったんや!」
と、格子ごしに了二に言いながら、格子戸の鍵を開け、戸を開いた。
その女性は、背中まで伸ばした白髪を、頭の後ろで束ね、中肉中背で、和服を仕立て直したゆったりとしたワンピースを着ていた。歳の頃は「おばさん」から「おばあさん」へのちょうど中途におられるくらいだが、整った目鼻立ちから受ける印象には少女のような若々しい表情があった。
了二は思いがけない歓迎の言葉にびっくりしながら、簡単な自己紹介をした。
「わたしは、「アンノウン ニュースレター 」というインターネット配信の記事を書いている記者です。あちらの神社は珍しい神社ですよ、といううわさを聞いて、森田さんが詳しくご存知かも、と、神社の隣の家の男性に教えてもらって取材にうかがいました。」
女性はカクカクと何度もうなずきながら聞き、
「インターネットのことはよう分からんが、記者さんなんやな。」
と確認してくる。
「そうです、おさしつかえなければ、あの神社の由来を教えていただき、記事にして、多くの皆様に知っていただくことができれば、と考えています。」
「いよいよこの時が来た…ご先祖様から引き継いできた願いが実現する時が…」
森田さんが視線を宙(そら)に漂わせながら、つぶやいた。
了二はそんな森田さんの様子を見て、あの小さな神社の由来が、そんなに大変なことなのかと感じ、心が少しビクビクしてきた。
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