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「もしライラが良ければ、僕がプレゼントを用意しても良いかな。僕なら王宮に行くついでに渡すこともできるし。」
ダニエルお兄様の提案に私は喜びました。
ダニエルお兄様からのプレゼントとなれば、きっとローズお姉様も大層お喜びになるでしょうから。
「まぁ、よろしいのですか。きっとローズお姉様もお喜びになりますわ。ありがとうございます、ダニエルお兄様。」
まぁローズお姉様が天国を見るか地獄を見るかは火を見るより明らかですけれど。
今度ローズお姉様かそのメイドにプレゼントの中身を聞くとしましょう。
ダニエルお兄様は教えて下さらないでしょうし、あのメイドには貸しがありますものね。きっと丁寧に教えてくれる筈です。
メインディッシュの皿が下げられると、目の前には可愛らしい花が添えられたデザートが置かれました。
勿論この花も毒花です。
私は最後までたっぷりと堪能して完食すると、私の食事よりも量が多くてまだ食べ終わっていないお父様方を置いて先に部屋へと戻りました。
ダニエルお兄様のお部屋に向かうのはもっと夜が深まってからです。
だからその前に湯浴みを済ませて、今宵の支度をせねばなりません。
特にこれといって特別な支度がある訳ではありませんが、やはり心の準備は必要ですわ。
メイドも下げて真夜中になった時、私は花やハーブ、ティーセットが乗ったトレイを持ってダニエルお兄様の元へと向かいました。
このハーブとお花、そして茶葉の匂いには、心を落ち着かせる効果があるのです。
毒の副作用で少し視界がクラクラしますが、まぁ部屋に着けばベッドに横になっているだけなので問題ないでしょう。
「ダニエルお兄様。ライラがまいりましたわ。」
部屋をノックしてそう告げると、ダニエルお兄様が直々にお出迎えして下さいました。
「やぁライラ。待っていたよ。」
ダニエルお兄様も湯浴みを済ませたのでしょう。普段よりもラフな格好をしたその姿も実に華やかで美しいです。
まぁダニエルお兄様そのものが美しいのですから、たとえどんな格好をしていても美しいのは当たり前なのですけれど。
私は軽くお辞儀をして部屋に入ると、ベッドサイドのテーブルにトレイを置きます。
ダニエルお兄様は私がトレイを置くのを確認すると、まるで蝶を包み込むかの様な力で私を抱きしめました。
「ライラに会えない王宮暮しは中々堪えるものがあるよ。」
「私も、ダニエルお兄様に会えなくて寂しかったですわ。」
背後から抱き締められた私はダニエルお兄様のなすがまま、ただ微笑んで事が終わるのを待ちます。
…首筋に当たる息は少しくすぐったいですけれど。
その後は少し世間話を、いえ、私達の身の回りで起こったことを語り合いました。
私はずっと屋敷内にいるため、あまりお話に変化がなくてつまらないのは申し訳ないですわ。
それでもダニエルお兄様は私の退屈なお話にもちゃんと耳を貸して下さって、妹としてはこの様な素晴らしい兄に感謝しかありません。
そうしてお話が一段落すると、ダニエルお兄様は私が持ってきたティーカップに口付けました。
ダニエルお兄様にはその紅茶はリラックス作用のあるものだと説明しておりますが、実際はその逆、興奮作用のある紅茶です。
ダニエルお兄様の特別な事情を鑑みて、私専属の研究者に作らせましたのよ。
ダニエルお兄様はティーカップに入った紅茶を飲み干して一息つかれました。
その姿も儚げで美しくはありますが、やはり疲労感は隠せておりません。
紅茶の作用が出てきはじめるであろう時間になるまで、慎重にダニエルお兄様の様子を伺います。
…そろそろ良い頃合いですわね。
そう判断した私は、やや息苦しそうにするダニエルお兄様へと距離を詰めました。
そして肩に手を置いて、ゆっくりと指を腕へと滑らせます。
教師から教わった相手を誘惑させる方法です。
表情と声はできる限りあの方を意識して、少し顔を顰めるダニエルお兄様の耳元で吐息混じりに囁きました。
「ねぇ、ダニエル…。哀れな私を癒して。」
そう言った瞬間、私の視界には天井が写っておりました。
後からやってくる首の苦しさと、私に覆い被さるダニエルお兄様の姿に状況を察します。
やはり毒の副作用のせいか早くも意識が飛びそうですが何とか堪えます。
「うるさい…うるさいうるさいッ。」
ダニエルお兄様は憎しみの籠った表情を露わにして私の首を締めていきます。
嗚呼やはり。どんなダニエルお兄様も素敵ですが、この余裕のない表情は一段と素敵ですわ。
私は自然と浮かび上がってきた笑みのままに、痺れる両手をダニエルお兄様の方へ広げました。
「ダ、ニエルッ…あぃ、して、すわ。」
「うるさい!」
苦しそうに叫ぶダニエルお兄様は私の首から片手を離すと、私のナイトドレスを一瞬で引き裂きました。
嗚呼、また私のドレスが…。
まぁダニエルお兄様の心の平穏のために必要な事だと考えればやすいものですわね。
私はクラクラとする意識のまま、その体をお兄様に委ねました。
ダニエルお兄様の提案に私は喜びました。
ダニエルお兄様からのプレゼントとなれば、きっとローズお姉様も大層お喜びになるでしょうから。
「まぁ、よろしいのですか。きっとローズお姉様もお喜びになりますわ。ありがとうございます、ダニエルお兄様。」
まぁローズお姉様が天国を見るか地獄を見るかは火を見るより明らかですけれど。
今度ローズお姉様かそのメイドにプレゼントの中身を聞くとしましょう。
ダニエルお兄様は教えて下さらないでしょうし、あのメイドには貸しがありますものね。きっと丁寧に教えてくれる筈です。
メインディッシュの皿が下げられると、目の前には可愛らしい花が添えられたデザートが置かれました。
勿論この花も毒花です。
私は最後までたっぷりと堪能して完食すると、私の食事よりも量が多くてまだ食べ終わっていないお父様方を置いて先に部屋へと戻りました。
ダニエルお兄様のお部屋に向かうのはもっと夜が深まってからです。
だからその前に湯浴みを済ませて、今宵の支度をせねばなりません。
特にこれといって特別な支度がある訳ではありませんが、やはり心の準備は必要ですわ。
メイドも下げて真夜中になった時、私は花やハーブ、ティーセットが乗ったトレイを持ってダニエルお兄様の元へと向かいました。
このハーブとお花、そして茶葉の匂いには、心を落ち着かせる効果があるのです。
毒の副作用で少し視界がクラクラしますが、まぁ部屋に着けばベッドに横になっているだけなので問題ないでしょう。
「ダニエルお兄様。ライラがまいりましたわ。」
部屋をノックしてそう告げると、ダニエルお兄様が直々にお出迎えして下さいました。
「やぁライラ。待っていたよ。」
ダニエルお兄様も湯浴みを済ませたのでしょう。普段よりもラフな格好をしたその姿も実に華やかで美しいです。
まぁダニエルお兄様そのものが美しいのですから、たとえどんな格好をしていても美しいのは当たり前なのですけれど。
私は軽くお辞儀をして部屋に入ると、ベッドサイドのテーブルにトレイを置きます。
ダニエルお兄様は私がトレイを置くのを確認すると、まるで蝶を包み込むかの様な力で私を抱きしめました。
「ライラに会えない王宮暮しは中々堪えるものがあるよ。」
「私も、ダニエルお兄様に会えなくて寂しかったですわ。」
背後から抱き締められた私はダニエルお兄様のなすがまま、ただ微笑んで事が終わるのを待ちます。
…首筋に当たる息は少しくすぐったいですけれど。
その後は少し世間話を、いえ、私達の身の回りで起こったことを語り合いました。
私はずっと屋敷内にいるため、あまりお話に変化がなくてつまらないのは申し訳ないですわ。
それでもダニエルお兄様は私の退屈なお話にもちゃんと耳を貸して下さって、妹としてはこの様な素晴らしい兄に感謝しかありません。
そうしてお話が一段落すると、ダニエルお兄様は私が持ってきたティーカップに口付けました。
ダニエルお兄様にはその紅茶はリラックス作用のあるものだと説明しておりますが、実際はその逆、興奮作用のある紅茶です。
ダニエルお兄様の特別な事情を鑑みて、私専属の研究者に作らせましたのよ。
ダニエルお兄様はティーカップに入った紅茶を飲み干して一息つかれました。
その姿も儚げで美しくはありますが、やはり疲労感は隠せておりません。
紅茶の作用が出てきはじめるであろう時間になるまで、慎重にダニエルお兄様の様子を伺います。
…そろそろ良い頃合いですわね。
そう判断した私は、やや息苦しそうにするダニエルお兄様へと距離を詰めました。
そして肩に手を置いて、ゆっくりと指を腕へと滑らせます。
教師から教わった相手を誘惑させる方法です。
表情と声はできる限りあの方を意識して、少し顔を顰めるダニエルお兄様の耳元で吐息混じりに囁きました。
「ねぇ、ダニエル…。哀れな私を癒して。」
そう言った瞬間、私の視界には天井が写っておりました。
後からやってくる首の苦しさと、私に覆い被さるダニエルお兄様の姿に状況を察します。
やはり毒の副作用のせいか早くも意識が飛びそうですが何とか堪えます。
「うるさい…うるさいうるさいッ。」
ダニエルお兄様は憎しみの籠った表情を露わにして私の首を締めていきます。
嗚呼やはり。どんなダニエルお兄様も素敵ですが、この余裕のない表情は一段と素敵ですわ。
私は自然と浮かび上がってきた笑みのままに、痺れる両手をダニエルお兄様の方へ広げました。
「ダ、ニエルッ…あぃ、して、すわ。」
「うるさい!」
苦しそうに叫ぶダニエルお兄様は私の首から片手を離すと、私のナイトドレスを一瞬で引き裂きました。
嗚呼、また私のドレスが…。
まぁダニエルお兄様の心の平穏のために必要な事だと考えればやすいものですわね。
私はクラクラとする意識のまま、その体をお兄様に委ねました。
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