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ツインの天使
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僕──アラン・ブラックバーグの両親とリリーの両親は昔から仲が良かったから、必然的に僕も幼い頃からずっとリリーと一緒にいた。
天使のように真っ白で美しく笑う彼女は、色とりどりの花畑でどんな花よりも輝いていた。
今までも縁談で色々な女の子を見てきたけど、リリーの美しさは周りの子の比じゃなかった。
それがハッキリとわかったのは12歳のデビュタントのパーティでの事だ。
絹のように細く、艶のある薄い水色の髪を腰まで下ろし、色素の薄い肌に瑞々しい赤リップは映えていた。まだ12歳でありながら成長しはじめている胸と、引き締まったお腹の曲線美を淡いクリーム色のドレスは鮮明に映し出していた。
目の前にいる彼女は、実は本当に天使なんじゃないだろうかと疑ったほどだ。
僕が思わずリリーに見惚れていると、彼女はほんのりと頬を赤く染め、俯いた瞳を豊富な睫毛が隠した。
「本当に美しいよ、僕のリリー。」
跪いて彼女の華奢な手を取ると、恥ずかしさのあまり涙目になったリリーと目が合う。目元の艶黒子も相まって、その表情は筆舌しがたいほどに欲情的だった。
彼女と腕を組んでパーティ会場に入ると、彼女は会場にいる全員の視線を奪った。
僕もそこそこ自分の容姿が整っているのは理解していたが、隣に立つリリーの美貌の前では取るに足らないものだった。
「ツインの天使が社交界に現れた。」
僕とリリーの噂はたちまち社交界に広がった。リリーの美貌が皆に認められるのはいい事だが、それよりも彼女が周りから欲情の目に晒されることが不愉快で仕方なかった。
思えばこの頃から、僕の愛は壊れ始めていたのかもしれない。
社交界の噂など知らなさそうに目の前で笑う彼女を、人の醜い感情など知らないであろう無垢な彼女を、檻に閉じ込めてぐちゃぐちゃに犯して甘やかして僕だけのものにしたい…。
しかしそんなことをしなくても、僕達はいずれ結ばれる運命にあると、そう信じていた。
彼女の噂を聞きつけた王宮からの縁談話が来るまではー。
僕の愛が結ばれないと悟った時、僕の愛は完全に壊れてしまった。
「リリー。そんな悲しい顔をしないで。君は王子様と結婚出来るんだよ?」
我がディオン国の第2王子、シーザー・コリン様との婚約が決まった翌日、僕とリリーはいつものように花畑の中心にある木の木陰に座っていた。
「アルがとても悲しそうな顔をしているからよ。…心配しなくても、私とアルの仲は変わらないわ。嘘だと思うなら、私のことを閉じ込めたっていいのに。」
彼女はきっと冗談で言ったのだろう。
しかし僕にとっては、この上ないリリーからのプロポーズの言葉だったのだ。
「約束だからね。」
もし君が第2王子と婚約破棄したら……もう二度と、俺の元から離さないよ。
周りは僕とリリーのことを天使だなんて言うけれど、僕は生憎天使じゃない。むしろ純真無垢な天使の羽を引きちぎり、自分の鳥籠へと閉じ込める悪魔のほうが近い。
彼女のいう僕らの仲は永遠に友達のまま。けれど僕はそんな関係じゃ満足できない。
──まさか、僕が喉から手が出る程欲していた愛しい人が、あんな茶番劇で手に入るなんて。
案外、神は僕の味方なのかもしれない。
今はもう天使ではなく女神のように可憐で、身体も心も美しいリリーがこれ以上あんな穢れた奴らに毒されないようにと、手を差し伸べてくれたのかもしれない。
「まさか、これがこんな風に役立つとはな。」
僕の胸に体を預けるリリーの頭を撫で、後頭部で結ばれたフェイスベールの結び目を片手で外した。
途端、外気に晒された数年ぶりに見るリリーの素顔に僕の胸は激しく高鳴った。幼少の頃よりも大人びて、妖艶な、彫像のような美しさ。真っ白な肌に、ほんのりとピンク色をした艶やかな唇は吸い寄せられるような魅力があった。
幼少の頃、これ以上リリーに悪い虫がつかないようにと策を講じた。
外気に含まれるホコリなどに弱い。等と医者を買収して虚偽の診断報告をさせ、彼女には年中厚めのフェイスベールをつけることを義務付けさせた。そして彼女の両親は彼女を大切にしていたため、冷静になれば気づくであろう嘘を容易に信じた。
厚めのフェイスベールによって、彼女の目元の艶黒子から下の顔は完全に隠される。
彼女の美しい素顔を知る人は、数少ない。
しかし彼女のやや垂れた淡い金色の瞳に、涙の雫のような艶黒子、周りの人を自然と惹きつける鮮美透涼な雰囲気に引き寄せられた奴も少なくない。
…そういう輩は全て排除したが。
しかしこれでもう、リリーは完全に僕のものとなった。他の誰も手が出せない、僕だけの女神。
彼女の陶器のような頬を撫でると、彼女の厚すぎず、薄すぎない唇から声が漏れた。
「ん……ア、ラン?ここは…?」
僕の腕に抱かれた彼女は困惑した様子で辺りを見渡している。
「大丈夫。リリーが怖がるものは、もう何も無いよ。」
彼女を向かい合うように僕の膝に乗せてそう告げた。彼女は先程の事を思い出したのか、透けるような肌からさらに色をなくし、ひどく混乱した様子だった。淡い金色の瞳は膜を張って潤んでいる。
「あ、私は…。婚約破棄して…。アラン…私もうッ!」
「安心してリリー。これからは何があっても僕が守るから。僕を信じて。」
ポロポロと溢れる雫を指で掬いとると、リリーは僕に抱きついて小さな嗚咽を漏らした。
「…もう周りの人間を信用しちゃだめだ。誰かを信用して、またリリーが同じ目に遭うなんて、僕は耐えられない。」
先程の光景を思い出して、思わず指に力が篭もる。リリーを自分が泣かせるならまだしも、あんな奴のせいで泣いてしまうなんて。
許せない。
「でも、人は信頼し合い、支えあってい生きていくものよ。誰も信用出来ないなんて…辛すぎるわ。きっとさっきのも、私がマリン様のように可愛げがないのがいけなかったのよ…。」
リリーは容姿だけでなく中身も聡い。そして寛容で慈悲深い。現に今も、あの誰が見ても一方的な婚約破棄を、まるで自分に非があるかのように考えている。
それにしても、リリー本人の口から「可愛げがない」だなんて言わせるなんて。あいつらの目を抉ってやろうかとも考えてしまう。
「でもリリー。誰が見ても理不尽な婚約破棄を、周りは誰も助けてくれなかったんだよ。それに王子は、何年も共にしたリリーじゃなくてたかだか数ヶ月あっただけのあんな女を選んだんだ。リリーはこれから、不貞を働いた王子に理不尽に婚約破棄された公爵令嬢として、社交界や学園で面白おかしく噂されてしまうんだ…傷モノの公爵令嬢として。」
「そんな…皆そんな方ばかりではないでしょう?」
僕の言葉に、リリーははっとして不安そうに瞳を揺らした。精神を消耗している上に混乱している今の状況にこんなことを言えば、彼女は余計弱ってしまうだろう。しかし僕にとってはそれが狙いなのだ。
周りの人間に不信感を抱かせ、僕だけを信用して、僕だけを見て欲しい。
君の瞳に映るのは僕だけでいい。
「あまりこう言うことは言いたくないけど…リリーが辛い思いをしている時、他の人達は皆リリーの事を…嘲笑して、軽蔑した目で見てたんだ。きっと、リリーのことを昔から嫌っていたんだ。」
そんなことは無い。皆リリーには同情的な視線を向けていた。リリーは誰にでも分け隔てなく接するが故、学園での人気は桁外れていたのだ。隠れてファンクラブが出来るほどに。
しかしリリーは勿論そのことを知らない。彼女は自分に向けられる好意に対して酷く鈍感だった。
「リリー、どうか僕だけを信じて。僕はずっと、君のことを愛して、守っていきたいんだ。」
それが僕の幸せなんだ──と。
リリーの潤む瞳を見つめて額にキスを落とす。
リリーは優しすぎる。自分が犠牲になって誰かが幸せになるのなら、それでいいと思ってしまうような子だ。
現に彼女は困った顔をしているが、その瞳には決意が見れる。
「分かったわアラン。それがあなたの幸せなら…。」
噂や陰口が当たり前の社交界では到底生き抜いて行くことは出来ないだろう。今までは運良くリリーを慕う者達が壁となってリリスを守って来れていたが、もし第2王子の妻なんていう立場になればいつでも彼女を守れるわけじゃない。
──こんなに早く社交界との関わりを断てるなんて、幸運だ。
天使のように真っ白で美しく笑う彼女は、色とりどりの花畑でどんな花よりも輝いていた。
今までも縁談で色々な女の子を見てきたけど、リリーの美しさは周りの子の比じゃなかった。
それがハッキリとわかったのは12歳のデビュタントのパーティでの事だ。
絹のように細く、艶のある薄い水色の髪を腰まで下ろし、色素の薄い肌に瑞々しい赤リップは映えていた。まだ12歳でありながら成長しはじめている胸と、引き締まったお腹の曲線美を淡いクリーム色のドレスは鮮明に映し出していた。
目の前にいる彼女は、実は本当に天使なんじゃないだろうかと疑ったほどだ。
僕が思わずリリーに見惚れていると、彼女はほんのりと頬を赤く染め、俯いた瞳を豊富な睫毛が隠した。
「本当に美しいよ、僕のリリー。」
跪いて彼女の華奢な手を取ると、恥ずかしさのあまり涙目になったリリーと目が合う。目元の艶黒子も相まって、その表情は筆舌しがたいほどに欲情的だった。
彼女と腕を組んでパーティ会場に入ると、彼女は会場にいる全員の視線を奪った。
僕もそこそこ自分の容姿が整っているのは理解していたが、隣に立つリリーの美貌の前では取るに足らないものだった。
「ツインの天使が社交界に現れた。」
僕とリリーの噂はたちまち社交界に広がった。リリーの美貌が皆に認められるのはいい事だが、それよりも彼女が周りから欲情の目に晒されることが不愉快で仕方なかった。
思えばこの頃から、僕の愛は壊れ始めていたのかもしれない。
社交界の噂など知らなさそうに目の前で笑う彼女を、人の醜い感情など知らないであろう無垢な彼女を、檻に閉じ込めてぐちゃぐちゃに犯して甘やかして僕だけのものにしたい…。
しかしそんなことをしなくても、僕達はいずれ結ばれる運命にあると、そう信じていた。
彼女の噂を聞きつけた王宮からの縁談話が来るまではー。
僕の愛が結ばれないと悟った時、僕の愛は完全に壊れてしまった。
「リリー。そんな悲しい顔をしないで。君は王子様と結婚出来るんだよ?」
我がディオン国の第2王子、シーザー・コリン様との婚約が決まった翌日、僕とリリーはいつものように花畑の中心にある木の木陰に座っていた。
「アルがとても悲しそうな顔をしているからよ。…心配しなくても、私とアルの仲は変わらないわ。嘘だと思うなら、私のことを閉じ込めたっていいのに。」
彼女はきっと冗談で言ったのだろう。
しかし僕にとっては、この上ないリリーからのプロポーズの言葉だったのだ。
「約束だからね。」
もし君が第2王子と婚約破棄したら……もう二度と、俺の元から離さないよ。
周りは僕とリリーのことを天使だなんて言うけれど、僕は生憎天使じゃない。むしろ純真無垢な天使の羽を引きちぎり、自分の鳥籠へと閉じ込める悪魔のほうが近い。
彼女のいう僕らの仲は永遠に友達のまま。けれど僕はそんな関係じゃ満足できない。
──まさか、僕が喉から手が出る程欲していた愛しい人が、あんな茶番劇で手に入るなんて。
案外、神は僕の味方なのかもしれない。
今はもう天使ではなく女神のように可憐で、身体も心も美しいリリーがこれ以上あんな穢れた奴らに毒されないようにと、手を差し伸べてくれたのかもしれない。
「まさか、これがこんな風に役立つとはな。」
僕の胸に体を預けるリリーの頭を撫で、後頭部で結ばれたフェイスベールの結び目を片手で外した。
途端、外気に晒された数年ぶりに見るリリーの素顔に僕の胸は激しく高鳴った。幼少の頃よりも大人びて、妖艶な、彫像のような美しさ。真っ白な肌に、ほんのりとピンク色をした艶やかな唇は吸い寄せられるような魅力があった。
幼少の頃、これ以上リリーに悪い虫がつかないようにと策を講じた。
外気に含まれるホコリなどに弱い。等と医者を買収して虚偽の診断報告をさせ、彼女には年中厚めのフェイスベールをつけることを義務付けさせた。そして彼女の両親は彼女を大切にしていたため、冷静になれば気づくであろう嘘を容易に信じた。
厚めのフェイスベールによって、彼女の目元の艶黒子から下の顔は完全に隠される。
彼女の美しい素顔を知る人は、数少ない。
しかし彼女のやや垂れた淡い金色の瞳に、涙の雫のような艶黒子、周りの人を自然と惹きつける鮮美透涼な雰囲気に引き寄せられた奴も少なくない。
…そういう輩は全て排除したが。
しかしこれでもう、リリーは完全に僕のものとなった。他の誰も手が出せない、僕だけの女神。
彼女の陶器のような頬を撫でると、彼女の厚すぎず、薄すぎない唇から声が漏れた。
「ん……ア、ラン?ここは…?」
僕の腕に抱かれた彼女は困惑した様子で辺りを見渡している。
「大丈夫。リリーが怖がるものは、もう何も無いよ。」
彼女を向かい合うように僕の膝に乗せてそう告げた。彼女は先程の事を思い出したのか、透けるような肌からさらに色をなくし、ひどく混乱した様子だった。淡い金色の瞳は膜を張って潤んでいる。
「あ、私は…。婚約破棄して…。アラン…私もうッ!」
「安心してリリー。これからは何があっても僕が守るから。僕を信じて。」
ポロポロと溢れる雫を指で掬いとると、リリーは僕に抱きついて小さな嗚咽を漏らした。
「…もう周りの人間を信用しちゃだめだ。誰かを信用して、またリリーが同じ目に遭うなんて、僕は耐えられない。」
先程の光景を思い出して、思わず指に力が篭もる。リリーを自分が泣かせるならまだしも、あんな奴のせいで泣いてしまうなんて。
許せない。
「でも、人は信頼し合い、支えあってい生きていくものよ。誰も信用出来ないなんて…辛すぎるわ。きっとさっきのも、私がマリン様のように可愛げがないのがいけなかったのよ…。」
リリーは容姿だけでなく中身も聡い。そして寛容で慈悲深い。現に今も、あの誰が見ても一方的な婚約破棄を、まるで自分に非があるかのように考えている。
それにしても、リリー本人の口から「可愛げがない」だなんて言わせるなんて。あいつらの目を抉ってやろうかとも考えてしまう。
「でもリリー。誰が見ても理不尽な婚約破棄を、周りは誰も助けてくれなかったんだよ。それに王子は、何年も共にしたリリーじゃなくてたかだか数ヶ月あっただけのあんな女を選んだんだ。リリーはこれから、不貞を働いた王子に理不尽に婚約破棄された公爵令嬢として、社交界や学園で面白おかしく噂されてしまうんだ…傷モノの公爵令嬢として。」
「そんな…皆そんな方ばかりではないでしょう?」
僕の言葉に、リリーははっとして不安そうに瞳を揺らした。精神を消耗している上に混乱している今の状況にこんなことを言えば、彼女は余計弱ってしまうだろう。しかし僕にとってはそれが狙いなのだ。
周りの人間に不信感を抱かせ、僕だけを信用して、僕だけを見て欲しい。
君の瞳に映るのは僕だけでいい。
「あまりこう言うことは言いたくないけど…リリーが辛い思いをしている時、他の人達は皆リリーの事を…嘲笑して、軽蔑した目で見てたんだ。きっと、リリーのことを昔から嫌っていたんだ。」
そんなことは無い。皆リリーには同情的な視線を向けていた。リリーは誰にでも分け隔てなく接するが故、学園での人気は桁外れていたのだ。隠れてファンクラブが出来るほどに。
しかしリリーは勿論そのことを知らない。彼女は自分に向けられる好意に対して酷く鈍感だった。
「リリー、どうか僕だけを信じて。僕はずっと、君のことを愛して、守っていきたいんだ。」
それが僕の幸せなんだ──と。
リリーの潤む瞳を見つめて額にキスを落とす。
リリーは優しすぎる。自分が犠牲になって誰かが幸せになるのなら、それでいいと思ってしまうような子だ。
現に彼女は困った顔をしているが、その瞳には決意が見れる。
「分かったわアラン。それがあなたの幸せなら…。」
噂や陰口が当たり前の社交界では到底生き抜いて行くことは出来ないだろう。今までは運良くリリーを慕う者達が壁となってリリスを守って来れていたが、もし第2王子の妻なんていう立場になればいつでも彼女を守れるわけじゃない。
──こんなに早く社交界との関わりを断てるなんて、幸運だ。
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