1 / 38
あかいせかい
しおりを挟む
「被疑者死亡! 被疑者死亡! 窓から飛び降りた!!」
「救急隊はまだか、早くしろっ!!」
「ダメだ、脈が無い。そっちはどうだ、蘇生できるか!?」
「教室はダメだ、死体が4……5人! うちひとりは警官!!」
「お前たちは階段に回れ! ひとりでも多く助けろ!!」
ドタドタと慌ただしい足音が私の周囲を荒らしまわり、朱に染まった教室が青い人波で埋め尽くされていく。
原因は、殺人。
そこら中に転がっている死体。
多くの人生が終わったし、終わらされた。
全部でいったい何人だろう。
10人。
20人。
もっと、多い。
ひとつのクラスでは足りないほど、死んだ。
そして――。
「しっかり目を開けて! 白山さんっ!! もうすぐ救急車が来るから頑張るんだっ!!」
――私の人生も、終わった。
大きくて、ゴツゴツしていて、でも暖かい手が、どれだけ懸命に傷口を押さえて出血を止めようとしても……無駄。
首元に刻みつけられた傷口から私の命がこぼれ落ちていく。
私はきっと死ぬだろう。
でも、その前にやらなければいけないことがある。
「くれい……けい、ぶ……さ……」
「声を出すんじゃない、傷口が開くっ!」
私を必死に助けようとしてくれても、それよりも大切なことがあるんだ。
「おわって、ませ……ん……」
「ああ、終わらない! 終わらせるものか!! 君は終わっちゃいけない!!」
違う。
まだ終わっていないのは……。
「ひと……ごろ……しが、じけん……が……」
私を含めたクラスメイトの人たちに悪魔の囁きを与え、誘惑して操って。
「さつじん、きが……」
罠にかけて、殺し合いをさせた殺人鬼。
自らは一切手を下すことなく、他人に他人を殺させる最低の人でなし。
そんな殺人鬼が、全ての黒幕が、野放しなのだ。
「まだ、つづきます……」
彼を止めなければ、また事件は起こるだろう。
どこかで誰かが殺し合うはずだ。
それは、ダメだ。
そんな悪は許容できない。
だから、止めて欲しい。
終わらせて欲しい。
「夜見坂凪を、止めて……ください」
「救急隊はまだか、早くしろっ!!」
「ダメだ、脈が無い。そっちはどうだ、蘇生できるか!?」
「教室はダメだ、死体が4……5人! うちひとりは警官!!」
「お前たちは階段に回れ! ひとりでも多く助けろ!!」
ドタドタと慌ただしい足音が私の周囲を荒らしまわり、朱に染まった教室が青い人波で埋め尽くされていく。
原因は、殺人。
そこら中に転がっている死体。
多くの人生が終わったし、終わらされた。
全部でいったい何人だろう。
10人。
20人。
もっと、多い。
ひとつのクラスでは足りないほど、死んだ。
そして――。
「しっかり目を開けて! 白山さんっ!! もうすぐ救急車が来るから頑張るんだっ!!」
――私の人生も、終わった。
大きくて、ゴツゴツしていて、でも暖かい手が、どれだけ懸命に傷口を押さえて出血を止めようとしても……無駄。
首元に刻みつけられた傷口から私の命がこぼれ落ちていく。
私はきっと死ぬだろう。
でも、その前にやらなければいけないことがある。
「くれい……けい、ぶ……さ……」
「声を出すんじゃない、傷口が開くっ!」
私を必死に助けようとしてくれても、それよりも大切なことがあるんだ。
「おわって、ませ……ん……」
「ああ、終わらない! 終わらせるものか!! 君は終わっちゃいけない!!」
違う。
まだ終わっていないのは……。
「ひと……ごろ……しが、じけん……が……」
私を含めたクラスメイトの人たちに悪魔の囁きを与え、誘惑して操って。
「さつじん、きが……」
罠にかけて、殺し合いをさせた殺人鬼。
自らは一切手を下すことなく、他人に他人を殺させる最低の人でなし。
そんな殺人鬼が、全ての黒幕が、野放しなのだ。
「まだ、つづきます……」
彼を止めなければ、また事件は起こるだろう。
どこかで誰かが殺し合うはずだ。
それは、ダメだ。
そんな悪は許容できない。
だから、止めて欲しい。
終わらせて欲しい。
「夜見坂凪を、止めて……ください」
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
The Last Night
泉 沙羅
ホラー
モントリオールの夜に生きる孤独な少女と、美しい吸血鬼の物語。
15歳の少女・サマンサは、家庭にも学校にも居場所を持てず、ただひとり孤独を抱えて生きていた。
そんな彼女が出会ったのは、金髪碧眼の美少年・ネル。
彼はどこか時代錯誤な振る舞いをしながらも、サマンサに優しく接し、二人は次第に心を通わせていく。
交換日記を交わしながら、ネルはサマンサの苦しみを知り、サマンサはネルの秘密に気づいていく。
しかし、ネルには決して覆せない宿命があった。
吸血鬼は、恋をすると、その者の血でしか生きられなくなる――。
この恋は、救いか、それとも破滅か。
美しくも切ない、吸血鬼と少女のラブストーリー。
※以前"Let Me In"として公開した作品を大幅リニューアルしたものです。
※「吸血鬼は恋をするとその者の血液でしか生きられなくなる」という設定はX(旧Twitter)アカウント、「創作のネタ提供(雑学多め)さん@sousakubott」からお借りしました。
※AI(chatgpt)アシストあり

どうしてもモテない俺に天使が降りてきた件について
塀流 通留
青春
ラブコメな青春に憧れる高校生――茂手太陽(もて たいよう)。
好きな女の子と過ごす楽しい青春を送るため、彼はひたすら努力を繰り返したのだが――モテなかった。
それはもうモテなかった。
何をどうやってもモテなかった。
呪われてるんじゃないかというくらいモテなかった。
そんな青春負け組説濃厚な彼の元に、ボクッ娘美少女天使が現れて――
モテない高校生とボクッ娘天使が送る青春ラブコメ……に見せかけた何か!?
最後の最後のどんでん返しであなたは知るだろう。
これはラブコメじゃない!――と
<追記>
本作品は私がデビュー前に書いた新人賞投稿策を改訂したものです。
[全221話完結済]彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる
野花マリオ
ホラー
ーー彼女が語る怪異談を聴いた者は咲かせたり聴かせる
登場する怪異談集
初ノ花怪異談
野花怪異談
野薔薇怪異談
鐘技怪異談
その他
架空上の石山県野花市に住む彼女は怪異談を語る事が趣味である。そんな彼女の語る怪異談は咲かせる。そしてもう1人の鐘技市に住む彼女の怪異談も聴かせる。
完結いたしました。
※この物語はフィクションです。実在する人物、企業、団体、名称などは一切関係ありません。
エブリスタにも公開してますがアルファポリス の方がボリュームあります。
表紙イラストは生成AI
シカガネ神社
家紋武範
ホラー
F大生の過去に起こったホラースポットでの行方不明事件。
それのたった一人の生き残りがその惨劇を百物語の百話目に語りだす。
その一夜の出来事。
恐怖の一夜の話を……。
※表紙の画像は 菁 犬兎さまに頂戴しました!
【完結】人の目嫌い/人嫌い
木月 くろい
ホラー
ひと気の無くなった放課後の学校で、三谷藤若菜(みやふじわかな)は声を掛けられる。若菜は驚いた。自分の名を呼ばれるなど、有り得ないことだったからだ。
◆2020年4月に小説家になろう様にて玄乃光名義で掲載したホラー短編『Scopophobia』を修正し、続きを書いたものになります。
◆やや残酷描写があります。
◆小説家になろう様に同名の作品を同時掲載しています。
不労の家
千年砂漠
ホラー
高校を卒業したばかりの隆志は母を急な病で亡くした数日後、訳も分からず母に連れられて夜逃げして以来八年間全く会わなかった父も亡くし、父の実家の世久家を継ぐことになった。
世久家はかなりの資産家で、古くから続く名家だったが、当主には絶対守らなければならない奇妙なしきたりがあった。
それは「一生働かないこと」。
世久の家には富をもたらす神が住んでおり、その神との約束で代々の世久家の当主は働かずに暮らしていた。
初めは戸惑っていた隆志も裕福に暮らせる楽しさを覚え、昔一年だけこの土地に住んでいたときの同級生と遊び回っていたが、やがて恐ろしい出来事が隆志の周りで起こり始める。
経済的に豊かであっても、心まで満たされるとは限らない。
望んでもいないのに生まれたときから背負わされた宿命に、流されるか。抗うか。
彼の最後の選択を見て欲しい。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる