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第25話 白山菊理は後悔する
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準備は……恐らく整えているのだろう。
私たちは何もしない。
ただ誰かと話すだけ。
話すだけで、だんだん歯車がズレていく。
人の心が壊れて怪物へと変わっていく。
ああ、きっとそれが人間なのだ。
一皮むけば誰もがケダモノで、それを必死に取り繕っているだけなのだ。
こんなことを考えている私だって、とっくの昔に壊れてしまっていた。
「たっだいま~」
夜見坂くんが既に開いていた扉から教室へと足を踏み入れる。
教室の中は、みんな思い思いの場所で食べ物を広げ、談笑を楽しんでいた。
みんなは一瞬夜見坂くんの方へと視線を向けただけで、友達との会話に戻って行った。
「さって~……」
夜見坂くんは鼻歌でも歌いだしそうな様子で顔を左右に振って、目的の人物を探す。
「あ、やっほ~」
その人物、稲次浩太はすぐに見つけられた。
彼は自分の席――廊下に面した列の前から2番目――に片膝を立てて座り、菓子パンを片手に不敵な笑みを浮かべていたからだ。
周りに誰も居ないのは、やはりみんなも彼を恐れているからだろう。
「ねえねえ」
「んだよ」
夜見坂くんは、なんの警戒心も見せずにぺたぺたと足音を立てて近づいて行く。
そのまま稲次浩太の耳元に口を寄せ、
「始まるよ」
と囁いた。
ピクリと、稲次浩太の耳が動く。
顔は夜見坂くんで隠れてしまっており、どんな表情を浮かべているのかまったく窺い知ることはできない。
しかし何となくだが、彼は嗤っている様な気がしてならなかった。
「君は正当防衛が立証されるからさ」
夜見坂くんの誘惑は終わらない。
「殺しちゃえよ」
「……ハッ」
意図せずだろう。
稲次浩太の口から笑い声が漏れる。
上良栄治を殺す。
人間を殺すという大罪が、稲次浩太にとってはその程度の反応で済んでしまうことなのだろう。
一度その罪を犯してしまった彼にとって、殺人とは忌避感を抱くような行為ではないのだ。
「そうしたら、警察は被疑者死亡として書類送検するしかなくなる。深く捜査はされないよ」
これで稲次浩太には積極的に殺すべき理由が生まれた。
死人に口なしとはよく言ったものだ。
第一の容疑者である湯川大陽は既に上良栄治が殺した。
その上良栄治が正当防衛で殺されたら、捜査は大きく混乱するだろう。
彼らには殺すべき動機があり、状況証拠だって揃っている。
もしかしたらという枕詞がつくけれど、夜見坂くんの言う通りに稲次浩太が逮捕されずに事件が終わる可能性だって十二分に存在した。
「……仲間もいるから、頑張って」
稲次浩太へ餌を与えて役目を終えた夜見坂くんは体を離すと私へ向き直った。
「君も頑張って」
そうだ。
私にも私の役目がある。
私の悪意で人を傷つける――否、殺すのに手をかさなければならない。
それが私の責任なのだ。
本当は私がしなきゃいけないこと。
私も、殺さなきゃ。
殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ――。
何度も何度も、呪文のように殺意を唱え、私は私に言い聞かせた。
「…………うん」
上良栄治が殺戮を始めるためにはどうしても邪魔になる存在が居る。
教室の左前方に居座る、巨体で、かつ強面の警察官だ。
彼が居ては、上良栄治がいくら武装していようと容易く組み伏せられてしまうだろう。
それでも排除したいのなら、方法は数少ない。
私の役目は監視の目を私に向けさせて、上良栄治が警察官を殺しやすくすること。
つまり、囮だ。
さしもの警察官であっても、背後から襲い掛かられては無傷では済まない。
あわよくば一撃で殺すことも可能だろう。
……なんの罪もないあの人には申し訳ないけれど、邪魔なのだ。
そうだ。
私の殺意は他人を犠牲にしても止まらないほど――根深い。
小学校の頃からずっと虐げられて、中学でも踏みにじられ、高校に至ってもそれは続いた。
私の人生のほとんどを、他人に捧げ続けた。
もういいはずだ。
私に、私の人生を返して!
「わか――」
「良かった……」
――え? と、思考に間隙が生まれる。
「怪我なんてしていませんよね――」
その人は、今ここに居るはずが無くて。
居る理由が分からなかった。
だってそんなこと、在るはずが無いから。
私が、助けてもらえるなんて。
「――白山さん」
私の目の前には、柔らかい笑みを浮かべている女性刑事、海星さんが立っていた。
「な……ん……?」
呆然としている私を他所に、海星さんは私の顔を検分しはじめる。
「あの子と保健室に行ったと聞いたので心配していましたよ」
「…………」
私の前髪が優しくかき分けられ、額に温かい指先が触れる。
その手つきはとても柔らかく、私のことを心から心配してくれていることが伝わって来た。
「見えるところは怪我をしていないみたいですね。――あ、ちょっとごめんなさい」
なんで私なんかにそこまでしてくれるのだろうか。
今までこんなことをしてくれるひとはただのひとりも居なかったのに。
ずっとずっと、私は助けてって叫んでいた時は現れなかったのに。
なんで今。
なんで、私が他人を殺してでも自分で自分を助けようとした時になってからやってくるんだろう。
上良栄治が殺すために、私が囮となって気を引きつけようとしている対象が――。
「休憩時間です。一旦私がこちらの教室を受け持ちますから、あなたは音楽室で昼食を取ってきてください」
「はっ、了解です」
――なんでこの人に代わってしまうんだろう。
なんで。
なんで。
なんで……!
こんな皮肉が、こんなに救われないことが私の前に待ち構えている理由はなんなのだろう。
私は、私を助けてくれる海星さんを、殺す手伝いをしなきゃいけない。
選んだ路が悪意で染め上げられていたから、神さまが罰を与えているのだろうか。
なら、私は助かってはいけないとでもいうのだろうか。
私はずっと誰かに虐げられ、地面に這いつくばっていないといけないのだろうか。
「う……あ……」
私の瞳から、熱い、火傷しそうなくらいに熱い涙が溢れ出す。
胸が苦しくて、痛くて、私は私を抱きしめる。
自分ではどうしようもない理不尽が私を縛り、不条理が覆い被さってきた。
止めたくても自分の意思では止められない。
左に視線を向ければ、夜見坂くんが私を見つめている。
右に視線を向ければ、稲次浩太がいぶかしんでいる。
変に思われてはいけないし、夜見坂くんの舞台を台無しにするのはもってのほかだ。
でも、分かっていたところでどうしようもなかった。
「白山さん、どこかが痛むのですか?」
私に触らないで。
「やはりなにかされたのですか?」
私に関わらないで。
「一度、音楽室に行きますか?」
優しくしないで。
「大丈夫ですよ、私はあなたの味方ですからね」
あっちに行って。
こんなに汚らわしい私に、海星さんが関わっちゃいけない。
お願いだから、こんな私なんて気にしないで!
「あ……ふ……ぐ、んぅぅっ」
これほど神さまに祈ったことは、人生で初めてだった。
しかし、その願いが聞き入れられることは……ない。
海星さんは少しだけ膝を曲げて私と目線を合わせ、落ち着いてという言葉をプレゼントしてくれる。
私の頭を撫でてくれる。
優しいから。
私のことを心配すればするほど、海星さんは私から離れてくれない。
そうだ。だから私は、逆のことをすればいいんだ。
なんて、今更のように思いつく。
目頭をこすって涙を拭い、視界の真ん中に海星さんを合わせる。
今すぐ「関係ない」「あっちに行ってください」そう突き放せばいい。
もう夜見坂くんからどんな制裁を受けてもいいや、なんて自暴自棄な考えも浮かぶ。
私はそのぐらい、この人のことが――。
「逃げてぇっ!!」
大切、だったのに――。
「はい――?」
私の叫び声は、間に合わなかった。
いつの間にか上良栄治が海星さんの背後に忍び寄っていて――。
「いやぁぁぁっ!!」
私の視界は、赤く、ただ赤く染まった。
私たちは何もしない。
ただ誰かと話すだけ。
話すだけで、だんだん歯車がズレていく。
人の心が壊れて怪物へと変わっていく。
ああ、きっとそれが人間なのだ。
一皮むけば誰もがケダモノで、それを必死に取り繕っているだけなのだ。
こんなことを考えている私だって、とっくの昔に壊れてしまっていた。
「たっだいま~」
夜見坂くんが既に開いていた扉から教室へと足を踏み入れる。
教室の中は、みんな思い思いの場所で食べ物を広げ、談笑を楽しんでいた。
みんなは一瞬夜見坂くんの方へと視線を向けただけで、友達との会話に戻って行った。
「さって~……」
夜見坂くんは鼻歌でも歌いだしそうな様子で顔を左右に振って、目的の人物を探す。
「あ、やっほ~」
その人物、稲次浩太はすぐに見つけられた。
彼は自分の席――廊下に面した列の前から2番目――に片膝を立てて座り、菓子パンを片手に不敵な笑みを浮かべていたからだ。
周りに誰も居ないのは、やはりみんなも彼を恐れているからだろう。
「ねえねえ」
「んだよ」
夜見坂くんは、なんの警戒心も見せずにぺたぺたと足音を立てて近づいて行く。
そのまま稲次浩太の耳元に口を寄せ、
「始まるよ」
と囁いた。
ピクリと、稲次浩太の耳が動く。
顔は夜見坂くんで隠れてしまっており、どんな表情を浮かべているのかまったく窺い知ることはできない。
しかし何となくだが、彼は嗤っている様な気がしてならなかった。
「君は正当防衛が立証されるからさ」
夜見坂くんの誘惑は終わらない。
「殺しちゃえよ」
「……ハッ」
意図せずだろう。
稲次浩太の口から笑い声が漏れる。
上良栄治を殺す。
人間を殺すという大罪が、稲次浩太にとってはその程度の反応で済んでしまうことなのだろう。
一度その罪を犯してしまった彼にとって、殺人とは忌避感を抱くような行為ではないのだ。
「そうしたら、警察は被疑者死亡として書類送検するしかなくなる。深く捜査はされないよ」
これで稲次浩太には積極的に殺すべき理由が生まれた。
死人に口なしとはよく言ったものだ。
第一の容疑者である湯川大陽は既に上良栄治が殺した。
その上良栄治が正当防衛で殺されたら、捜査は大きく混乱するだろう。
彼らには殺すべき動機があり、状況証拠だって揃っている。
もしかしたらという枕詞がつくけれど、夜見坂くんの言う通りに稲次浩太が逮捕されずに事件が終わる可能性だって十二分に存在した。
「……仲間もいるから、頑張って」
稲次浩太へ餌を与えて役目を終えた夜見坂くんは体を離すと私へ向き直った。
「君も頑張って」
そうだ。
私にも私の役目がある。
私の悪意で人を傷つける――否、殺すのに手をかさなければならない。
それが私の責任なのだ。
本当は私がしなきゃいけないこと。
私も、殺さなきゃ。
殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ――。
何度も何度も、呪文のように殺意を唱え、私は私に言い聞かせた。
「…………うん」
上良栄治が殺戮を始めるためにはどうしても邪魔になる存在が居る。
教室の左前方に居座る、巨体で、かつ強面の警察官だ。
彼が居ては、上良栄治がいくら武装していようと容易く組み伏せられてしまうだろう。
それでも排除したいのなら、方法は数少ない。
私の役目は監視の目を私に向けさせて、上良栄治が警察官を殺しやすくすること。
つまり、囮だ。
さしもの警察官であっても、背後から襲い掛かられては無傷では済まない。
あわよくば一撃で殺すことも可能だろう。
……なんの罪もないあの人には申し訳ないけれど、邪魔なのだ。
そうだ。
私の殺意は他人を犠牲にしても止まらないほど――根深い。
小学校の頃からずっと虐げられて、中学でも踏みにじられ、高校に至ってもそれは続いた。
私の人生のほとんどを、他人に捧げ続けた。
もういいはずだ。
私に、私の人生を返して!
「わか――」
「良かった……」
――え? と、思考に間隙が生まれる。
「怪我なんてしていませんよね――」
その人は、今ここに居るはずが無くて。
居る理由が分からなかった。
だってそんなこと、在るはずが無いから。
私が、助けてもらえるなんて。
「――白山さん」
私の目の前には、柔らかい笑みを浮かべている女性刑事、海星さんが立っていた。
「な……ん……?」
呆然としている私を他所に、海星さんは私の顔を検分しはじめる。
「あの子と保健室に行ったと聞いたので心配していましたよ」
「…………」
私の前髪が優しくかき分けられ、額に温かい指先が触れる。
その手つきはとても柔らかく、私のことを心から心配してくれていることが伝わって来た。
「見えるところは怪我をしていないみたいですね。――あ、ちょっとごめんなさい」
なんで私なんかにそこまでしてくれるのだろうか。
今までこんなことをしてくれるひとはただのひとりも居なかったのに。
ずっとずっと、私は助けてって叫んでいた時は現れなかったのに。
なんで今。
なんで、私が他人を殺してでも自分で自分を助けようとした時になってからやってくるんだろう。
上良栄治が殺すために、私が囮となって気を引きつけようとしている対象が――。
「休憩時間です。一旦私がこちらの教室を受け持ちますから、あなたは音楽室で昼食を取ってきてください」
「はっ、了解です」
――なんでこの人に代わってしまうんだろう。
なんで。
なんで。
なんで……!
こんな皮肉が、こんなに救われないことが私の前に待ち構えている理由はなんなのだろう。
私は、私を助けてくれる海星さんを、殺す手伝いをしなきゃいけない。
選んだ路が悪意で染め上げられていたから、神さまが罰を与えているのだろうか。
なら、私は助かってはいけないとでもいうのだろうか。
私はずっと誰かに虐げられ、地面に這いつくばっていないといけないのだろうか。
「う……あ……」
私の瞳から、熱い、火傷しそうなくらいに熱い涙が溢れ出す。
胸が苦しくて、痛くて、私は私を抱きしめる。
自分ではどうしようもない理不尽が私を縛り、不条理が覆い被さってきた。
止めたくても自分の意思では止められない。
左に視線を向ければ、夜見坂くんが私を見つめている。
右に視線を向ければ、稲次浩太がいぶかしんでいる。
変に思われてはいけないし、夜見坂くんの舞台を台無しにするのはもってのほかだ。
でも、分かっていたところでどうしようもなかった。
「白山さん、どこかが痛むのですか?」
私に触らないで。
「やはりなにかされたのですか?」
私に関わらないで。
「一度、音楽室に行きますか?」
優しくしないで。
「大丈夫ですよ、私はあなたの味方ですからね」
あっちに行って。
こんなに汚らわしい私に、海星さんが関わっちゃいけない。
お願いだから、こんな私なんて気にしないで!
「あ……ふ……ぐ、んぅぅっ」
これほど神さまに祈ったことは、人生で初めてだった。
しかし、その願いが聞き入れられることは……ない。
海星さんは少しだけ膝を曲げて私と目線を合わせ、落ち着いてという言葉をプレゼントしてくれる。
私の頭を撫でてくれる。
優しいから。
私のことを心配すればするほど、海星さんは私から離れてくれない。
そうだ。だから私は、逆のことをすればいいんだ。
なんて、今更のように思いつく。
目頭をこすって涙を拭い、視界の真ん中に海星さんを合わせる。
今すぐ「関係ない」「あっちに行ってください」そう突き放せばいい。
もう夜見坂くんからどんな制裁を受けてもいいや、なんて自暴自棄な考えも浮かぶ。
私はそのぐらい、この人のことが――。
「逃げてぇっ!!」
大切、だったのに――。
「はい――?」
私の叫び声は、間に合わなかった。
いつの間にか上良栄治が海星さんの背後に忍び寄っていて――。
「いやぁぁぁっ!!」
私の視界は、赤く、ただ赤く染まった。
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