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第15話 夜見坂 凪は探偵を演じさせる
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教室に一歩足を踏み入れた瞬間、私がとても慣れ親しんだ世界の空気を感じ取った。
昏く、悪意に満ちていて、自分の意思ではしゃべることもままならない。
自分の全てを誰かが決め、一方的に奪われ、押しつぶされる。
そんな空気だ。
ただ、外面だけならばいつもとほとんど変わりはない。
全員が黙りこくって席につき、机に向かって問題を解いていた。
「すごいよね。殺人事件が起こったのにみんな勉強してるよ。こっちの方がよっぽど狂ってると思わない?」
常に普通であることを求められ、異常な状況であろうとそれを強要される。
正常性バイアスなんてそれらしい名前をつけられた、ただの現実逃避とは少し違うかもしれないが、どんな人間の心であろうと存在する異常性だ。
「…………」
夜見坂くんの嫌味に背中を押され、私は自分の席へと向かう。
そして――。
「はぁ……」
目に入った光景を前に、私の口からはため息しか出てこなかった。
窓際、後ろから二番目にある私の席。
倒れた椅子の下に、机の中に入っていたはずの教科書、ノートなどがぶちまけられていた。
気持ち一か所にまとめられた跡が見えるのがまだ救いだろうか。
「さっき、上良栄治と稲次浩太が大ゲンカの大暴れをしたらしいよ」
「え?」
「よかったね、いつものいじめじゃなくて」
それはそれでよかったと受け止めるべきなのだろう。
クラスの厄介者だった私の席を、こうして元の位置に戻してくれただけでも扱いは良くなったと言えなくもない。
「……そうだね」
私は虚無感を覚えながら、その場にしゃがみこんで片づけを始める。
なにか無くなっている物はないか。
必要以上に汚されてはいないか。
壊されていないかといったことを確認しながら、机の中にしまっていく。
……先ほど海星さんや暮井刑事が気遣ってくれたのは、一時の夢だったと思う方が精神衛生上良さそうだった。
「ああ、プリントかな……」
片付け終わり、いつも通りに足りないものを発見する。
その呟きが聞こえたのか、前の席に座る女子生徒がちらりと私の方を見て「ふっ」と含み笑いをもらす。
彼女が私にそういった嫌がらせをするのはいつものことだった。
またゴミ箱にでも捨てているのかと思って立ち上がった瞬間、教室後方の扉がガラリと音を立てて開いた。
「おい、上良」
入って来るなりつっけんどんな物言いをしたため、声の主が稲次浩太であることを察した。
「こっち見ろよ」
上履きの踵を踏みつぶしているためか、スリッパでも履いているかのようなペタンペタンという足音を立てながら、稲次浩太が歩いて行く。
「聞こえてんだろ、シカトすんなよ」
「い、稲次くん、トラブルを起こしてもらっては困ります」
「うっせえよ。まだなんもやってねえだろ――上良っ」
響遊が震える声で注意をするが、ほとんど意味などなさなかった。
「黙れよ。殺すぞ稲次」
上良栄治が立ち上がった際に椅子でも蹴り倒したのだろう。
派手な物音が振動となって私の肌を震わせた。
「……あはっ、ざんね~ん。先生が居ないよ」
夜見坂くんが相変わらずふざけた口調で私に耳打ちしてくる。
今さらながらに気づいたが、彼の言う通り教室の中に先生の姿を確認することは出来なかった。
恐らく中水美衣奈が私を襲撃した件で、校長先生にでも呼び出されたのだろう。
「誰にも止められないね」
言葉と違って夜見坂くんは全然残念そうではなかった。
むしろ誰よりもこれから起こることを期待して、胸を躍らせていた。
「待てって。次、俺らがなんかやったら警察って言われてんだろ。いいからこれ見ろよ」
うすら笑いを浮かべている稲次浩太は、左手を振って上良栄治を宥めると、右手でポケットから赤いスマートフォンを取り出す。
「それがなんだっつーんだよ!」
本来、スマートフォンは朝来たら担任の先生に預け、下校時に返してもらう決まりになっている。
そのルールを破ってこっそり持っているひとも居るが、おおむね全員が従っていた。
ならばなぜ稲次浩太がスマートフォンを持っているのか。
そんなの、職員室から盗んで来たに決まっている。
先生たちは事件で手一杯で、本来教員室に詰めている先生も、今は中水美衣奈の指導で手が塞がっているのだ。
恐らく、稲次浩太は誰に見咎められることもなかっただろう。
「これ、中水のスマホだぜ」
「あぁ?」
稲次浩太が上良栄治にスマートフォンを投げ渡す。
上良栄治は何故それを渡されたのか分からなかったのか、険しい目で真っ黒な画面を睨みつけた。
「分かんねえのか? 崎代が言ってただろうが」
湯川大陽が浮気をしていた。
宮苗瑠璃はそれで悩んでいた、と。
上良栄治はそのことに思い至ったのか、ハッとした様子でスマートフォンを見つめなおす。
「んで、俺、中水と湯川がふたりだけで一緒に居たところ、何度も見たことあんだわ」
スマートフォンが、小刻みに震える。
もちろん着信などではない。
上良栄治の湧き上がって来た激情故に、彼自身の手が震えているのだ。
「その中に当時のメールでも残ってるかもしれねえだろ。いいから早く起動してみろよ」
もはや稲次浩太から命令されていることも意識できない様で、上良栄治は急いでスマートフォンをいじり始めた。
だが、数秒もしないうちに操作をやめ、苛立たしそうに舌打ちをする。
「パスワードが分かんねえよ」
「誕生日とかは?」
「試した。でも開かねえ」
宮苗瑠璃を始めとした三人と、上良栄治たちは比較的行動を共にしていた。
だから誕生日だって覚えていたのだろう。
「ちげえよバーカ。湯川の誕生日を試したかって聞いてんだよ」
上良栄治が息を呑む。
彼は湯川大陽とは親友だったが故に、誕生日くらい覚えていたのだろう。
指先がタッチパネルの上で踊ると――。
「開いた……」
どうやら正解だったらしい。
それがいったい何を意味するのか、事情を知らない人にだって理解できるだろう。
湯川大陽と関係を持っていた相手は、中水美衣奈だという事を。
「メールだ、メール。着信はなにしゃべったか分からねえからな。もしくは――」
「うるせぇ、黙ってろ!」
上良栄治は必死になってタップを繰り返す。
今やクラス全員の視線が上良栄治の持つスマートフォンに集まっていた。
その中にはなにがあるのか。
どんな証拠が出てくるのか。
みんな固唾を呑んで見守っていた。
「あった…………」
何があったというのか。
誰もが説明を望んでいたが、直接その疑問を口にできる人間は、稲次浩太くらいのものだろう。
だが稲次浩太はニヤニヤとした嫌らしい笑みを浮かべながら、スマートフォンの画面をめくるのに集中している上良栄治を見つめている。
やがて上良栄治の手が……止まった。
「――のやろうっ」
彼は歯を剥き出しにして怒りをあらわにする。
きっと、確信したのだろう。
中水美衣奈が宮苗瑠璃を殺したと。
でも本当は違う。
中水美衣奈も、湯川大陽も、宮苗瑠璃を殺してなどいない。
宮苗瑠璃を殺めたのは、上良栄治の目の前で愉しそうにニヤニヤと哂っている稲次浩太なのだ。
「よくできましたって言ってあげたほうがいいかな?」
スマートフォンを持ってくるように指示したのも、パスワードが湯川大陽の誕生日だと教えたのも、宮苗瑠璃から大量のSMSが送られていることを上良栄治に見せつけろと言ったのも、全部が全部、夜見坂くんの仕業だ。
夜見坂くんは全てを想定してシナリオを描き出し、稲次浩太の行動を操り、上良栄治の怒りの矛先を捻じ曲げた。
これから何が起こるのか。
どうなっていくのか。
私には想像も出来ない。
ただ、確実なことがひとつある。
「誰かが死ぬまでお預けがいいかな? ねえねえ、どう思う?」
もうすぐ、誰かが死ぬ。
昏く、悪意に満ちていて、自分の意思ではしゃべることもままならない。
自分の全てを誰かが決め、一方的に奪われ、押しつぶされる。
そんな空気だ。
ただ、外面だけならばいつもとほとんど変わりはない。
全員が黙りこくって席につき、机に向かって問題を解いていた。
「すごいよね。殺人事件が起こったのにみんな勉強してるよ。こっちの方がよっぽど狂ってると思わない?」
常に普通であることを求められ、異常な状況であろうとそれを強要される。
正常性バイアスなんてそれらしい名前をつけられた、ただの現実逃避とは少し違うかもしれないが、どんな人間の心であろうと存在する異常性だ。
「…………」
夜見坂くんの嫌味に背中を押され、私は自分の席へと向かう。
そして――。
「はぁ……」
目に入った光景を前に、私の口からはため息しか出てこなかった。
窓際、後ろから二番目にある私の席。
倒れた椅子の下に、机の中に入っていたはずの教科書、ノートなどがぶちまけられていた。
気持ち一か所にまとめられた跡が見えるのがまだ救いだろうか。
「さっき、上良栄治と稲次浩太が大ゲンカの大暴れをしたらしいよ」
「え?」
「よかったね、いつものいじめじゃなくて」
それはそれでよかったと受け止めるべきなのだろう。
クラスの厄介者だった私の席を、こうして元の位置に戻してくれただけでも扱いは良くなったと言えなくもない。
「……そうだね」
私は虚無感を覚えながら、その場にしゃがみこんで片づけを始める。
なにか無くなっている物はないか。
必要以上に汚されてはいないか。
壊されていないかといったことを確認しながら、机の中にしまっていく。
……先ほど海星さんや暮井刑事が気遣ってくれたのは、一時の夢だったと思う方が精神衛生上良さそうだった。
「ああ、プリントかな……」
片付け終わり、いつも通りに足りないものを発見する。
その呟きが聞こえたのか、前の席に座る女子生徒がちらりと私の方を見て「ふっ」と含み笑いをもらす。
彼女が私にそういった嫌がらせをするのはいつものことだった。
またゴミ箱にでも捨てているのかと思って立ち上がった瞬間、教室後方の扉がガラリと音を立てて開いた。
「おい、上良」
入って来るなりつっけんどんな物言いをしたため、声の主が稲次浩太であることを察した。
「こっち見ろよ」
上履きの踵を踏みつぶしているためか、スリッパでも履いているかのようなペタンペタンという足音を立てながら、稲次浩太が歩いて行く。
「聞こえてんだろ、シカトすんなよ」
「い、稲次くん、トラブルを起こしてもらっては困ります」
「うっせえよ。まだなんもやってねえだろ――上良っ」
響遊が震える声で注意をするが、ほとんど意味などなさなかった。
「黙れよ。殺すぞ稲次」
上良栄治が立ち上がった際に椅子でも蹴り倒したのだろう。
派手な物音が振動となって私の肌を震わせた。
「……あはっ、ざんね~ん。先生が居ないよ」
夜見坂くんが相変わらずふざけた口調で私に耳打ちしてくる。
今さらながらに気づいたが、彼の言う通り教室の中に先生の姿を確認することは出来なかった。
恐らく中水美衣奈が私を襲撃した件で、校長先生にでも呼び出されたのだろう。
「誰にも止められないね」
言葉と違って夜見坂くんは全然残念そうではなかった。
むしろ誰よりもこれから起こることを期待して、胸を躍らせていた。
「待てって。次、俺らがなんかやったら警察って言われてんだろ。いいからこれ見ろよ」
うすら笑いを浮かべている稲次浩太は、左手を振って上良栄治を宥めると、右手でポケットから赤いスマートフォンを取り出す。
「それがなんだっつーんだよ!」
本来、スマートフォンは朝来たら担任の先生に預け、下校時に返してもらう決まりになっている。
そのルールを破ってこっそり持っているひとも居るが、おおむね全員が従っていた。
ならばなぜ稲次浩太がスマートフォンを持っているのか。
そんなの、職員室から盗んで来たに決まっている。
先生たちは事件で手一杯で、本来教員室に詰めている先生も、今は中水美衣奈の指導で手が塞がっているのだ。
恐らく、稲次浩太は誰に見咎められることもなかっただろう。
「これ、中水のスマホだぜ」
「あぁ?」
稲次浩太が上良栄治にスマートフォンを投げ渡す。
上良栄治は何故それを渡されたのか分からなかったのか、険しい目で真っ黒な画面を睨みつけた。
「分かんねえのか? 崎代が言ってただろうが」
湯川大陽が浮気をしていた。
宮苗瑠璃はそれで悩んでいた、と。
上良栄治はそのことに思い至ったのか、ハッとした様子でスマートフォンを見つめなおす。
「んで、俺、中水と湯川がふたりだけで一緒に居たところ、何度も見たことあんだわ」
スマートフォンが、小刻みに震える。
もちろん着信などではない。
上良栄治の湧き上がって来た激情故に、彼自身の手が震えているのだ。
「その中に当時のメールでも残ってるかもしれねえだろ。いいから早く起動してみろよ」
もはや稲次浩太から命令されていることも意識できない様で、上良栄治は急いでスマートフォンをいじり始めた。
だが、数秒もしないうちに操作をやめ、苛立たしそうに舌打ちをする。
「パスワードが分かんねえよ」
「誕生日とかは?」
「試した。でも開かねえ」
宮苗瑠璃を始めとした三人と、上良栄治たちは比較的行動を共にしていた。
だから誕生日だって覚えていたのだろう。
「ちげえよバーカ。湯川の誕生日を試したかって聞いてんだよ」
上良栄治が息を呑む。
彼は湯川大陽とは親友だったが故に、誕生日くらい覚えていたのだろう。
指先がタッチパネルの上で踊ると――。
「開いた……」
どうやら正解だったらしい。
それがいったい何を意味するのか、事情を知らない人にだって理解できるだろう。
湯川大陽と関係を持っていた相手は、中水美衣奈だという事を。
「メールだ、メール。着信はなにしゃべったか分からねえからな。もしくは――」
「うるせぇ、黙ってろ!」
上良栄治は必死になってタップを繰り返す。
今やクラス全員の視線が上良栄治の持つスマートフォンに集まっていた。
その中にはなにがあるのか。
どんな証拠が出てくるのか。
みんな固唾を呑んで見守っていた。
「あった…………」
何があったというのか。
誰もが説明を望んでいたが、直接その疑問を口にできる人間は、稲次浩太くらいのものだろう。
だが稲次浩太はニヤニヤとした嫌らしい笑みを浮かべながら、スマートフォンの画面をめくるのに集中している上良栄治を見つめている。
やがて上良栄治の手が……止まった。
「――のやろうっ」
彼は歯を剥き出しにして怒りをあらわにする。
きっと、確信したのだろう。
中水美衣奈が宮苗瑠璃を殺したと。
でも本当は違う。
中水美衣奈も、湯川大陽も、宮苗瑠璃を殺してなどいない。
宮苗瑠璃を殺めたのは、上良栄治の目の前で愉しそうにニヤニヤと哂っている稲次浩太なのだ。
「よくできましたって言ってあげたほうがいいかな?」
スマートフォンを持ってくるように指示したのも、パスワードが湯川大陽の誕生日だと教えたのも、宮苗瑠璃から大量のSMSが送られていることを上良栄治に見せつけろと言ったのも、全部が全部、夜見坂くんの仕業だ。
夜見坂くんは全てを想定してシナリオを描き出し、稲次浩太の行動を操り、上良栄治の怒りの矛先を捻じ曲げた。
これから何が起こるのか。
どうなっていくのか。
私には想像も出来ない。
ただ、確実なことがひとつある。
「誰かが死ぬまでお預けがいいかな? ねえねえ、どう思う?」
もうすぐ、誰かが死ぬ。
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