19 / 41
第18話 束の間夫婦の真似事を
しおりを挟む
コンッコンッと調整室のドアがノックされ、私は手首の時計に目をやった。
時間は20時を少し回ったところで、終業時間はとっくの昔に過ぎ去っている。まあ、世界が崩壊しかけているというのに労働基準法もくそもあった物ではないのだが。
「どうぞ」
「……ごめん、安寿さん。手が塞がってるから開けてくれないかな?」
「ノック出来たでしょ」
少し意地悪く返しながら、私は椅子から立ち上がるとドアノブに手をかけた状態で待つ。
本当は開けてあげても構わないのだけれど、先ほど唯人がやったことに対する意趣返しみたいなものだ。
「足で蹴ったんだ」
だから少し間が空いたノックだったのか。
「あの子たちに見られない様にしなさいよ」
いつもは先生と言われていてかなり言動に気を付けている唯人だが、子ども達の視線が届かないところでは意外と抜けている部分があったりする。それも可愛い所なのだけれど。
「ありがとう」
「どういたしまして」
招き入れた唯人は、悲鳴をあげ疲れて眠ってしまった恋を抱えている。
ここに来る時間を考えればもう少し前から静かになったのだろうが、5時間程度は恋に付き合い続けていたのだろう。彼の顔には濃い疲労の色が見て取れた。
「恋ちゃんはベッドに寝かせて大丈夫?」
言外に、目覚めた時にまた暴れ出す可能性を聞いたのだが、唯人もその可能性を分かってなお、麻酔を使う事はないだろう。ただでさえ薬を使って無理やり成長させた細胞に、更なるダメージが加わるかもしれないからだ。
私は手前のベッドに向かうと、かけ布団をめくってシミ一つない真っ白なシーツを手で伸ばす。
そこに唯人が優しく恋を寝かせてから、
「ふぅ……」
ようやく肩の荷が下りたというように、深く息を吐く。
「ご苦労様、お父さん」
「お母さんも」
少し皮肉を込めて言ったのだが、朴念仁な唯人は気付いていないらしい。というかお父さんが誉め言葉だと勘違いしていそうだ。
だから私はもう少し直接的な手段で訴える事にした。
唯人の襟首を掴んでグイッと引き寄せ、ほとんどぶつかりそうなくらい顔を近づけてやる。
案の定、純情な唯人は顔を赤くしながらチラチラと恋ちゃんの方を気にしている様だ。
「お父さんは、娘を相手に出来て満足かもしれないけど。放置された奥さんは拗ねちゃうんだぞぉ」
まあ、私と唯人は恋人同士という関係ではあってもまだ結婚はしていないのだけれども。
「えっと~……」
分かるよね? という感じでにっこりと笑ってみせれば、ようやく観念したのか、
「ごめん」
また謝罪した後に……。
ついばむ様なキスをしてくれた。
しまった。眼鏡をはずしていればもっと激しくしてくれたかもしれないのに、失敗したなぁ。
「これでいい?」
「40点」
及第点にも達していないが、赤点は回避できた程度だ。
しかし満点を取るのにはちょっとだけ場所がよろしくないので今回は許してあげよう。
「……電池を充電するから恋ちゃんの義肢を外してくれる?」
「あ……ああ、うん」
ちょっと残念そうなのはなんでかなぁ。とは聞かないでおいてあげる。
私もそんなに鬼じゃないんだからね。
私が見ている先で、唯人が恋ちゃんの義肢を手早く外すと、接合部を弄ってバッテリーパックを取り出した。
その作業を唯人は何千何万回とやってきたのだから目をつぶっていても出来るほど手慣れているだろう。修理やちょっとした改修だってやってのけるのだから、下手をすると義肢を作った人や整備員よりも義肢については詳しいかもしれない。
「ありがと」
私は卓上に置かれたマット型の充電器にバッテリーを置くと、書類を仕舞い、電気スタンドの明かりを消す。
「いいのか?」
「いいの」
どうせ読んでいても気が滅入って来るだけの書類だし。
それに、私にも充電が必要なのだ。
唯人はベッドのヘリに腰掛け、寝かせた恋の頭を優しく撫でている。
私と話をしている間にも手が止まっていないところを見ると、無意識なのかもしれない。
本当に彼は子どもの事が大好きなのだ。
多分彼はこの後ずっと恋の傍に居て面倒を見るつもりなのだろう。恋ちゃんが目を覚まして怖がれば声をかけて撫で続け、お腹が空いたのならばミルクを持ってくる。
自分が寝る時間を犠牲にして。
「ねえ唯人」
「うん?」
「一緒に寝る?」
面白いように唯人の頬が朱色に染まっていく。
何を考えて居るのか一発で分かろうものだ、このスケベめ。
「唯人はホントにエッチなんだから。何考えてるの」
制裁としておでこに一発デコピンを叩き込んでから話を続ける。
「2つあるベッドを寄せて、恋ちゃんを間に挟んで3人で寝ましょうって提案よ。どうせ今日はずっと恋ちゃんの傍に居るつもりだったんでしょう?」
「まあ……」
照れ隠しに頭を掻いている唯人に、若干怒りを覚える。
これはあれだ。よく離婚原因になる、仕事と私どっちが大事なのってやつだ。
こんな事を聞いたところで、唯人はどっちもと素で答えてしまいそうだから一度も聞いた事はないのだが。
「私も居てあげるから準備を早くする。それから少し何か胃に入れなさいよ。ご飯食べてないでしょう? それから……」
まったく、これではまるで私が唯人のお母さんではないか。
そんな私の内心を知ってか、唯人はさっさと用事をすませてくれた。
「電気消すわよ」
時間はまだ21時で、こんな時間に眠るのは子ども位のものだろうが、今唯人も私も疲れ切っているし、そもそも恋が真夜中に起きてパニックを起こしてしまうだろうから実際の睡眠時間はかなり少なくなるはずだ。
「ありがとう」
部屋の電灯を消した私は、代わりの灯した懐中電灯の頼りない明りを使ってベッドにもぐりこんだ。
二つのベッドをくっ付けただけあって、キングサイズよりも更に広い面積を持っていて、思いきり腕を伸ばしても……唯人にあたってしまった。
「ごめんね」
「いや、恋に当たってないから平気だよ」
まったく、唯人はいつも子ども基準である。結婚してもこのままかもしれないので今の内に矯正しておくべきだろう。
……死んでも治りそうにないが。
私は懐中電灯を消し、枕を敷いて頭を乗せる。これで恋が起きた時にも対応できるだろう。
「ゆ・い・と。一緒に寝るの久しぶりね。エッチな事する?」
「恋が居るでしょ……」
暗いからこそ人は少しだけ本音を言えるようになる。
いつも仮面を被っている唯人であろうと、その仮面がわずかにズレるはずだ。
そして、少しだけでもいい。私にその苦労を支えさせて欲しい。
「でも最近ずっとしてないから寂しいなぁ」
「…………」
暗くても分かる。また顔を真っ赤にしているのだ。
実際に始めると結構積極的でむしろドSじゃないかって思う位求めてくるくせに。
「いつか、二人の時間を作るから」
いつかということはこれから先しばらくない可能性の方が高いだろう。
そうやって色んなことをため込むから、いつも罪悪感にまみれた顔をしているというのに、まだわかっていないらしい。
「一週間以内にしてね」
「…………善処します」
はい、確約貰ったからね。
「あ、そうそう。今日は面白い話を由仁から聞いてね。男の人から貢いでもらったんだって」
「ぶっ! ごほっごほっ……み、貢ぐ!?」
そんなに大きな声を出すと恋ちゃんが起きちゃうでしょ。
「そうそう。水原誠っていう戦闘機乗りの男の人からオレンジ味の吸入器みたいなのを貢がせたんだって」
「……ああ、肥料をくれた人か。またくれたんだ」
「お父さんは心配かな?」
ちなみにどんな人物かは調査済みだ。
割とストイックな人物で、女性関係などで問題を起こした経歴も無い。そして……陽菜の最期を観測した人物だった。
そのため、由仁達に対して何か罪悪感の様な物を持っているのかもしれない。
恐らく危険はないだろう。
「まあ、少しだけ」
「娘にちょっかいかけられてるお父さんとしてはどう?」
「…………こ、交友関係が広がるのは良いことだと思うよ、うん」
結構長い間が空いてたし、声も少し震えている。
我慢しているのはバレバレだった。
「無理しちゃって」
「無理なんかしてないよ」
「じゃあねぇ……」
それから私は少しだけ唯人と睦み合って……多分、二人同時に夢の世界へと旅立った。
時間は20時を少し回ったところで、終業時間はとっくの昔に過ぎ去っている。まあ、世界が崩壊しかけているというのに労働基準法もくそもあった物ではないのだが。
「どうぞ」
「……ごめん、安寿さん。手が塞がってるから開けてくれないかな?」
「ノック出来たでしょ」
少し意地悪く返しながら、私は椅子から立ち上がるとドアノブに手をかけた状態で待つ。
本当は開けてあげても構わないのだけれど、先ほど唯人がやったことに対する意趣返しみたいなものだ。
「足で蹴ったんだ」
だから少し間が空いたノックだったのか。
「あの子たちに見られない様にしなさいよ」
いつもは先生と言われていてかなり言動に気を付けている唯人だが、子ども達の視線が届かないところでは意外と抜けている部分があったりする。それも可愛い所なのだけれど。
「ありがとう」
「どういたしまして」
招き入れた唯人は、悲鳴をあげ疲れて眠ってしまった恋を抱えている。
ここに来る時間を考えればもう少し前から静かになったのだろうが、5時間程度は恋に付き合い続けていたのだろう。彼の顔には濃い疲労の色が見て取れた。
「恋ちゃんはベッドに寝かせて大丈夫?」
言外に、目覚めた時にまた暴れ出す可能性を聞いたのだが、唯人もその可能性を分かってなお、麻酔を使う事はないだろう。ただでさえ薬を使って無理やり成長させた細胞に、更なるダメージが加わるかもしれないからだ。
私は手前のベッドに向かうと、かけ布団をめくってシミ一つない真っ白なシーツを手で伸ばす。
そこに唯人が優しく恋を寝かせてから、
「ふぅ……」
ようやく肩の荷が下りたというように、深く息を吐く。
「ご苦労様、お父さん」
「お母さんも」
少し皮肉を込めて言ったのだが、朴念仁な唯人は気付いていないらしい。というかお父さんが誉め言葉だと勘違いしていそうだ。
だから私はもう少し直接的な手段で訴える事にした。
唯人の襟首を掴んでグイッと引き寄せ、ほとんどぶつかりそうなくらい顔を近づけてやる。
案の定、純情な唯人は顔を赤くしながらチラチラと恋ちゃんの方を気にしている様だ。
「お父さんは、娘を相手に出来て満足かもしれないけど。放置された奥さんは拗ねちゃうんだぞぉ」
まあ、私と唯人は恋人同士という関係ではあってもまだ結婚はしていないのだけれども。
「えっと~……」
分かるよね? という感じでにっこりと笑ってみせれば、ようやく観念したのか、
「ごめん」
また謝罪した後に……。
ついばむ様なキスをしてくれた。
しまった。眼鏡をはずしていればもっと激しくしてくれたかもしれないのに、失敗したなぁ。
「これでいい?」
「40点」
及第点にも達していないが、赤点は回避できた程度だ。
しかし満点を取るのにはちょっとだけ場所がよろしくないので今回は許してあげよう。
「……電池を充電するから恋ちゃんの義肢を外してくれる?」
「あ……ああ、うん」
ちょっと残念そうなのはなんでかなぁ。とは聞かないでおいてあげる。
私もそんなに鬼じゃないんだからね。
私が見ている先で、唯人が恋ちゃんの義肢を手早く外すと、接合部を弄ってバッテリーパックを取り出した。
その作業を唯人は何千何万回とやってきたのだから目をつぶっていても出来るほど手慣れているだろう。修理やちょっとした改修だってやってのけるのだから、下手をすると義肢を作った人や整備員よりも義肢については詳しいかもしれない。
「ありがと」
私は卓上に置かれたマット型の充電器にバッテリーを置くと、書類を仕舞い、電気スタンドの明かりを消す。
「いいのか?」
「いいの」
どうせ読んでいても気が滅入って来るだけの書類だし。
それに、私にも充電が必要なのだ。
唯人はベッドのヘリに腰掛け、寝かせた恋の頭を優しく撫でている。
私と話をしている間にも手が止まっていないところを見ると、無意識なのかもしれない。
本当に彼は子どもの事が大好きなのだ。
多分彼はこの後ずっと恋の傍に居て面倒を見るつもりなのだろう。恋ちゃんが目を覚まして怖がれば声をかけて撫で続け、お腹が空いたのならばミルクを持ってくる。
自分が寝る時間を犠牲にして。
「ねえ唯人」
「うん?」
「一緒に寝る?」
面白いように唯人の頬が朱色に染まっていく。
何を考えて居るのか一発で分かろうものだ、このスケベめ。
「唯人はホントにエッチなんだから。何考えてるの」
制裁としておでこに一発デコピンを叩き込んでから話を続ける。
「2つあるベッドを寄せて、恋ちゃんを間に挟んで3人で寝ましょうって提案よ。どうせ今日はずっと恋ちゃんの傍に居るつもりだったんでしょう?」
「まあ……」
照れ隠しに頭を掻いている唯人に、若干怒りを覚える。
これはあれだ。よく離婚原因になる、仕事と私どっちが大事なのってやつだ。
こんな事を聞いたところで、唯人はどっちもと素で答えてしまいそうだから一度も聞いた事はないのだが。
「私も居てあげるから準備を早くする。それから少し何か胃に入れなさいよ。ご飯食べてないでしょう? それから……」
まったく、これではまるで私が唯人のお母さんではないか。
そんな私の内心を知ってか、唯人はさっさと用事をすませてくれた。
「電気消すわよ」
時間はまだ21時で、こんな時間に眠るのは子ども位のものだろうが、今唯人も私も疲れ切っているし、そもそも恋が真夜中に起きてパニックを起こしてしまうだろうから実際の睡眠時間はかなり少なくなるはずだ。
「ありがとう」
部屋の電灯を消した私は、代わりの灯した懐中電灯の頼りない明りを使ってベッドにもぐりこんだ。
二つのベッドをくっ付けただけあって、キングサイズよりも更に広い面積を持っていて、思いきり腕を伸ばしても……唯人にあたってしまった。
「ごめんね」
「いや、恋に当たってないから平気だよ」
まったく、唯人はいつも子ども基準である。結婚してもこのままかもしれないので今の内に矯正しておくべきだろう。
……死んでも治りそうにないが。
私は懐中電灯を消し、枕を敷いて頭を乗せる。これで恋が起きた時にも対応できるだろう。
「ゆ・い・と。一緒に寝るの久しぶりね。エッチな事する?」
「恋が居るでしょ……」
暗いからこそ人は少しだけ本音を言えるようになる。
いつも仮面を被っている唯人であろうと、その仮面がわずかにズレるはずだ。
そして、少しだけでもいい。私にその苦労を支えさせて欲しい。
「でも最近ずっとしてないから寂しいなぁ」
「…………」
暗くても分かる。また顔を真っ赤にしているのだ。
実際に始めると結構積極的でむしろドSじゃないかって思う位求めてくるくせに。
「いつか、二人の時間を作るから」
いつかということはこれから先しばらくない可能性の方が高いだろう。
そうやって色んなことをため込むから、いつも罪悪感にまみれた顔をしているというのに、まだわかっていないらしい。
「一週間以内にしてね」
「…………善処します」
はい、確約貰ったからね。
「あ、そうそう。今日は面白い話を由仁から聞いてね。男の人から貢いでもらったんだって」
「ぶっ! ごほっごほっ……み、貢ぐ!?」
そんなに大きな声を出すと恋ちゃんが起きちゃうでしょ。
「そうそう。水原誠っていう戦闘機乗りの男の人からオレンジ味の吸入器みたいなのを貢がせたんだって」
「……ああ、肥料をくれた人か。またくれたんだ」
「お父さんは心配かな?」
ちなみにどんな人物かは調査済みだ。
割とストイックな人物で、女性関係などで問題を起こした経歴も無い。そして……陽菜の最期を観測した人物だった。
そのため、由仁達に対して何か罪悪感の様な物を持っているのかもしれない。
恐らく危険はないだろう。
「まあ、少しだけ」
「娘にちょっかいかけられてるお父さんとしてはどう?」
「…………こ、交友関係が広がるのは良いことだと思うよ、うん」
結構長い間が空いてたし、声も少し震えている。
我慢しているのはバレバレだった。
「無理しちゃって」
「無理なんかしてないよ」
「じゃあねぇ……」
それから私は少しだけ唯人と睦み合って……多分、二人同時に夢の世界へと旅立った。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
絶世のディプロマット
一陣茜
SF
惑星連合平和維持局調停課に所属するスペース・ディプロマット(宇宙外交官)レイ・アウダークス。彼女の業務は、惑星同士の衝突を防ぐべく、双方の間に介入し、円満に和解させる。
レイの初仕事は、軍事アンドロイド産業の発展を望む惑星ストリゴイと、墓石が土地を圧迫し、財政難に陥っている惑星レムレスの星間戦争を未然に防ぐーーという任務。
レイは自身の護衛官に任じた凄腕の青年剣士、円城九太郎とともに惑星間の調停に赴く。
※本作はフィクションであり、実際の人物、団体、事件、地名などとは一切関係ありません。

十年前の片思い。時を越えて、再び。
赤木さなぎ
SF
キミは二六歳のしがない小説書きだ。
いつか自分の書いた小説が日の目を浴びる事を夢見て、日々をアルバイトで食い繋ぎ、休日や空き時間は頭の中に広がる混沌とした世界を文字に起こし、紡いでいく事に没頭していた。
キミには淡く苦い失恋の思い出がある。
十年前、キミがまだ高校一年生だった頃。一目惚れした相手は、通い詰めていた図書室で出会った、三年の“高橋先輩”だ。
しかし、当時のキミは大したアプローチを掛けることも出来ず、関係の進展も無く、それは片思いの苦い記憶として残っている。
そして、キミはその片思いを十年経った今でも引きずっていた。
ある日の事だ。
いつもと同じ様にバイトを上がり、安アパートの自室へと帰ると、部屋の灯りが点いたままだった。
家を出る際に消灯し忘れたのだろうと思いつつも扉を開けると、そこには居るはずの無い、学生服に身を包む女の姿。
キミは、その女を知っている。
「ホームズ君、久しぶりね」
その声音は、記憶の中の高橋先輩と同じ物だった。
顔も、声も、その姿は十年前の高橋先輩と相違ない。しかし、その女の浮かべる表情だけは、どれもキミの知らない物だった。
――キミは夢を捨てて、名声を捨てて、富を捨てて、その輝かしい未来を捨てて、それでも、わたしを選んでくれるかしら?
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
ふたつの足跡
Anthony-Blue
SF
ある日起こった災いによって、本来の当たり前だった世界が当たり前ではなくなった。
今の『当たり前』の世界に、『当たり前』ではない自分を隠して生きている。
そんな自分を憂い、怯え、それでも逃げられない現実を受け止められるのか・・・。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
年下の地球人に脅されています
KUMANOMORI(くまのもり)
SF
鵲盧杞(かささぎ ろき)は中学生の息子を育てるシングルマザーの宇宙人だ。
盧杞は、息子の玄有(けんゆう)を普通の地球人として育てなければいけないと思っている。
ある日、盧杞は後輩の社員・谷牧奨馬から、見覚えのないセクハラを訴えられる。
セクハラの件を不問にするかわりに、「自分と付き合って欲しい」という谷牧だったが、盧杞は元夫以外の地球人に興味がない。
さらに、盧杞は旅立ちの時期が近づいていて・・・
シュール系宇宙人ノベル。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる