王子の俺が森でポツンと一軒家に住む理由

夏遠

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現の実(うつつのまこと)①

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――

 次に目が覚めた時俺は真っ暗な場所に居た。

「……夜か。あれ? 俺は何をやってたんだっけ? ログハウスに戻ってドアを開けた瞬間気を失って……。え? 夜? 何時間気を失っていたんだ!? イーゼル!」

 そう声を上げて身体を起こすと、薄明りに照らし出された一人の女性の姿が目に映った。イーゼル! いや、違う。あれは……エンマ!? え? なんで!?

「おや。ようやく目が覚めましたか?」

 懐かしい声が頭に響く。どうなっている!?

「何でアンタがここにいるんだ!? アンタもこの世界に来たのか? いや、そんなことは後だ。今はイーゼルを元に戻さないと――」

「寝ぼけてるんですか? アナタが来たんですよ。私の部屋に。それにしても早かったですね。まだ二十四時間も経っていませんよ」

「ど、どういうことだ……。俺が? いつ? そんな魔法を使った覚えはない」

「何を言っているんですか? 急に死んで混乱しているんですか?」

「し、死んだ!? 俺が? なんで!? 俺はログハウスに入っただけだぞ?」

「落ち着いてください。本来こういうことはわざわざお話ししないのですが、アナタには特別にお話ししましょう。最高のハッピーエンドのお礼です」

 エンマはそう言って椅子から立ち上がり、俺の方に向かって歩いてくる。

「最高のハッピーエンド? なんだよそれ」

「ふふ。それは追々。先ずはアナタが死んだ経緯から。こちらをご覧ください」

 エンマが合図すると、空中に浮かぶ薄いパネルの様な物に映像を映し出された。

「こ、これは……。俺のログハウス? それに俺か?」

「ええ。アナタが自分の家の前に転移してきた直後です」

 映し出された映像にはゆっくりとログハウスに近づき、ログハウスの中を窓から恐る恐る覗く不審な人物が映し出されていた。一つ目の窓を覗き、ゆっくり移動して二つ目の窓を覗き、さらに移動してドアに手を掛けようとする。その時、何かに気が付いた様子の男はドアを通り過ぎて次の窓の方に移動する男。そして、その男は窓を覗いた瞬間気持ちが悪い悲鳴を上げ、慌ててドアから入ろうとする。

「そうだ。俺はこうやって窓の中で倒れてるイーゼルを見つけて慌ててドアを開けたんだ。そして、意識を失った」

「ええ。見ていてください。アナタに何が起こったのか。そして、これからどうなっていくのか」

 ドアを開けた瞬間その男は前のめりに床に倒れこんだ。その奥には黒い影が映っている。それは、俺が箱庭に閉じ込めたはずのヴェノムウルフだった。

「な、なんでアイツが!? 箱庭に閉じ込めて俺と一緒じゃないと出られないはずだ!」

「いいえ。知っているでしょ? ヴェノムウルフには魔法が効かないのです。アナタが箱庭に施していた魔法はそもそも効果が無かった。鼻の良いヴェノムウルフは血の臭いを嗅ぎつけてアナタのログハウスに裏口から侵入し、イーゼルさんの腹を食い破り、腸を食べたのです。アナタがログハウスに入る半日ほど前の事です」

 俺はモニターに映る無残なイーゼルの姿を見て膝から崩れ落ち、その場で吐いた。

「……最低」

 エンマはボソッと呟き、逃げる様にまた椅子に戻って行った。

「ちなみにこの状況はアナタが作ったんですよ。アナタが自分の国に戻って焼き豚、いや、焼きフグでしたか? その匂いを充満させたことで森の最深部の箱庭にいたヴェノムウルフもそこに向かって移動した。しかし、到着前に匂いは消えた。既に森の入り口付近まで移動していたヴェノムウルフは、近くに血の臭いを感じ取ったんです。四肢を切られたイーゼルさんの血の臭いを。そしてアナタのログハウスに移動し、イーゼルさんを食べた。ちなみにログハウスの近くにいたコピックさんもヴェノムウルフの臭いで意識を失い昏睡状態です。数日後には衰弱死します」

 俺はその言葉に驚き、顔を上げエンマを見る。画面の光に照らし出されたエンマは笑っているように見えた。

「もし、アナタが国に戻った後、直ぐに転送してクリップさんの部屋に向かい、状況を理解した直後にログハウスに移動していればヴェノムウルフはまだログハウスに到着していませんでした。そのままイーゼルさんを復元していれば、二人とも助かっていたかもしれません。くだらない性欲に負け、無駄に時間を浪費していなければね……。ちなみにアナタには自分の魔法で作りだした焼きフグの臭いが染みついていたのでしょうね。ヴェノムウルフは気を失っている貴方に喰らいつき、その毒で貴方は命を落としました。というわけでアナタの物語はこれで終了です。お疲れさまでした」

「ま、待ってくれよ! これで終わり!? 冗談じゃない! もう一度やり直させてくれ! このままじゃ俺の国はどうなる? あの化け物共はどうなったんだよ!」

 エンマはニヤリと笑みをこぼしながら俺を見て言う。

「あれぇ? 気になりますぅ? 自分のいない未来の世界がぁ? ふふ。いいでしょう。私は今、物凄く気分がいいので特別に見せてあげましょう」

 そう言ってエンマがキーボードらしきデバイスを操作すると、今度はダンカロアの『貝』が崩れ落ちる前の映像が映し出された。

「これは……。あのジジイと俺か?」

「ええ。この方は、前回アナタが地球で死んでここに来る約一ヶ月前にここからあの世界に転生されました。彼もまた自死を繰り返し、アナタと同じようにいくつかの条件を願って転生された方です。その条件とは魔法がある世界で自由自在に魔法を使える最強の魔法使いになること。世界一美しい女性を妻にすること。そして、前世の記憶を引き継ぐことでした」

「それって、俺とほとんど同じじゃないか」

「ええ。本当にくだらない。アナタと似たような環境に育ち、しょうもない価値観や情報を植え付けられた現実逃避型の思考を持った人格です。この世界での一ヶ月。それはあの世界での約七百年に相当します」

「な、七百年!? アイツはあの世界で七百年間生き続けていたってことか?」

「はい。実際にはもう少し長いです。彼は晩年、あの貝柱の中に籠って生き続けました。ギリギリまで生身で複製人形を操っていましたが、いよいよ限界になった日から時間の流れを四分の一程度にし、あの柱と一体となり延命しながら。あの中で五年過ごせば外の世界では二十年が経過する。それ以上時間の速さに乖離が生じると人間の処理能力では対処できなかったのです。そうやって一日でも長くあの世界の均衡を守るために過ごしていた。そして限界を迎える直前に、運よく自分と同じように転生したアナタが現れた。でも結局そのまま死んでしまったのですから救いようがないですね。アハハ」

 エンマは美しく整った顔を歪ませてケラケラと笑う。俺は苛立ちを抑え、エンマに問いかける。

「……あのジジイは何のために魔法を封印しようとしていたんだ? 魔法がある世界で自由自在に魔法を使う事を願ってあの世界に転生したんだろ? 言ってることとやってることが無茶苦茶じゃないか!」

「そうですね。ですが、それには彼の過去をお話しする必要があります。アナタにも少しは関係する話です。長くなりますがお話ししますか?」

「ああ、頼む」

「へぇ。他人には興味がないのかと思っていました。いいでしょうそれではお話ししましょう」

 エンマは再びデバイスを操作する。するとそこには見ず知らずの男の子と見たことのない町が浮かび上がった。

「あの少年の名はルーラー。アナタがジジイと呼んでいた男の幼少期です。アナタはこの世界に転生した時、言葉には随分苦戦していたようですが、彼もまた同じく言葉の壁に悩んでいました。言葉を覚える最も大事な時期の記憶を前世の記憶で上書きすれば当然そうなります」

 やっぱりエンマの奴。俺が言葉で苦労することを解ってて忠告しなかったんだ。

「そして、それ以上に彼を悩ませていたのは魔法です。自由自在に使えるはずの魔法が彼には難解すぎた。アナタが使っていたステーショナリー王国の魔法は彼が自分で分かりやすくする為、制限を掛ける為に創り変えたものです。でも、彼がこの国に転生した時代の魔法の文字はこの世界にもともと存在する星座を素に創造されたもので、十三種類あった。見たことが無い文字。それを解説する言語もまた初めて見る文字。周りの人間はわけのわからない言葉をしゃべる彼を疎ましく思っていた」

「俺と同じだ」

「そうですね。ただ一つ違うのは、アナタには大切に育ててくれた母親がいた。ですが、彼の場合は自分の母親にも気味悪がられ、まともに育ててもらえなかった。それでも、魔法への渇望が彼を支えた。助けてくれる人も、翻訳家も、語学書もない状況でたった一人で時間を掛けて文字を学び、魔法を学び、ようやく基礎的な魔法を始めて使えたのは二十四の頃だったようです」

「……」

 一瞬彼に同情した。だが、すぐにそれを止めた。苦労した方が偉いのか? 違う。俺がコイツと同じ環境であっても俺はコイツ以上に勉強したはずだ。後から生まれれば多くの情報が蓄積され、整った環境で生活できるのは当然のことだ。比較することではない。そう言い聞かせた。

「長い長い時間を魔法に費やし、魔法を深く掘り下げる事で、彼は魔法がその文字にこだわる必要が無いという事に気が付きました。そして、より分かりやすくするためにその時の十三の文字を組み合わせて二十六の文字を作りました。それがアルファベットを使ったロジックです」

「やはり奴が作ったのか。だが、尚更消そうとする理由が分からない。自分で作った最強の魔法。奴が望んだ通り自由自在に操れる魔法だ。何故自分で消そうとした? 年を取り過ぎてボケちまったのか?」

「記憶を無くしたのは事実ですがボケてなんていませんよ。魔法を創り変える。これには私たちも驚きました。我々が作った世界の理を変えてしまったのですから。彼はその魔法を使って国を豊かにしました。地球に居た頃の知識を使ってインフラを整備し、環境を整え、それはそれは綺麗な国を作りました。それがアナタが住んでいたステーショナリー王国です。彼は魔法を今まで自分を蔑んでいた皆にも教えました。気が付くと彼は皆に慕われ、国の君主にまで上り詰めていた。ですが、同時に彼の魔法や噂は瞬く間に世界中に広がり、多くの種族が彼と人間という種族を危険視し始めました」

「そりゃそうだろ。あんな魔法を皆に教えまくったら秩序なんてすぐに崩壊する。あれは正しい判断ができる一握りの者だけが扱っていいものだ」

 心なしかエンマが冷めた目で俺を見ている気がする。

「……。そんな時、一人の人物が彼の許に現れました。彼女の名前はノート。当時この世界で最強最悪の魔女と呼ばれた人物であり、アナタの母親であった人物です」

「は? え? 何言ってるんだ? ここは七百年くらい前の世界なんだろ? 俺の母親のノートは高く見積もっても三十路くらいの若くてきれいな女だった。それに魔力はゼロだ! 一切魔法が使えなかったんだぞ!」

「だから、落ち着いてください。話はまだ続きます。彼女はルーラーの噂を聞きつけて人間の国にやってきました。美しく、長命で高魔力を有した人間によく似た容姿の種族。そうですね、貴方が想像しやすいように伝えるなら……エルフの様な種族だと想像してください」

 俺はノートを思い出してみた。言われてみれば美しく、色白でファンタジー世界のエルフの様なイメージがピッタリだ。耳は長くなかったが……。

「ルーラーは彼女に一目ぼれしました。世界一の美しい女性を妻にする。その相手が彼女だと直感した彼は猛アピールしました。そして何年もかけてロジックの全てを彼女に教えた。そうしている間に二人は恋に落ちました。ですが、二人の関係はいわゆる恋人とか夫婦といったものとは違い、ひたすらに研鑽の毎日でした。衣食住を共にしながらも空いている時間はノートにロジックを教え続け、気が付けば八年の月日が流れていました。二人にはそれが何より幸せな時間でした。二人が世界の隅の小さな国の中に閉じこもって魔法の研究に没頭していた間に外の世界では大きな戦争が起こった。人間がロジックを他種族に使ってしまったことが原因です。弱肉強食が世の理とはいえ、この世界のほとんどの種族は自分の縄張りから出て無意味に他種族と争うという考えは持っていませんでした。人間が争いを持ち込んだことで他種族同士の争いが起こった。そのことに気がついた頃にはもう取り返しがつかない状況になっていた」

「だろうな。俺もそれを危惧して最低限のロジックをアルファベットで教えたんだ。こいつは馬鹿なんだよ。誰彼構わず魔法を教えるからそうなる」

「そうですね。ですが、彼は国と人々の繁栄を心から願ってロジックを広めたんです。浅はかではありますが、愚かではなかったと思います。恋に溺れて盲目になっていなければもっと違う対処の仕方があったかもしれません。ですが、この時の彼は周りが見えなくなるほどノートに夢中でした」

「……」

 エンマは再び映像を切り替えた。

「深く落ち込んだルーラーに対して、ノートは言いました。『私に任せろ。オヌシの憂いを断って進ぜよう』そう言ってノートはルーラーを抱きしめ、二人は初めて結ばれました。そして翌朝ノートは旅立っていった。それから数日後、ノートが使ったロジックによって世界は崩壊した」

「崩壊? 崩壊ってどういうことだ?」

「そのままの意味ですよ。そうですね。一人の人間が世界中に核兵器を使った世界を想像してください。物理的な破壊を含め、国も自然も文明も秩序も何もかも。そして、ノートの精神さえも崩壊しました。ノートは想像力が豊か過ぎました。しかし思考力が幼過ぎた。それを使えばどうなるかという予測をせずにルーラーに教えてもらったロジックを想像を絶するほどの攻撃魔法として世界中に放った。手に入れたおもちゃの銃を無邪気に放つ子供の様に。結果、多くの国に甚大な被害をもたらしました。それは同族を滅ぼすほどの被害でした」

「……」
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