30 / 46
第30話~騎士の矜持~
しおりを挟む《常闇》の魔法がゆるやかに解けていく。見えてきたのは洗い場で身体を重ね悶えている二人の女の姿だった。二人を縛りつけていた魔王蛇の拘束は、すでに解けていた。いや、正確に言えば一部分を除いてだ。
ミオンの脚の間から伸びた蛇の身体は、そのままマナの部分に繋がっていた。
「あぁぁ、ダメ、また、またきちゃう!」
何度目だろうか、膣内を蛇の頭で擦られ、マナが絶頂に達し、ビクンビクンと腰が痙攣する。その振動が魔王蛇の胴体を伝わり、ミオンへと伝わると、ミオンの中でもう片方の蛇頭が跳ねる。
「くぅわぁ! マ、マナ、ダメよ、それっ、また、だめぇぇぅ!」
マナの絶頂痙攣により、ミオンもまた再度絶頂を迎え、その腰がガクガクと震える。
「はぁ、だってぇ、き、気持ひいいんだもん。中が、中がゴリゴリと擦られてるぅ!」
蛇の頭が動く度に、その鱗が中全体にひっかかる。人のモノでは決して味わう事のできない快楽に、二人は夢中になっていた。そして、絶頂を迎える度に、二人の魔力は魔王に吸収されていく。双頭の蛇は希少種だけあって、魔力の器は以前のトカゲとは比べ物にならなかった。幾度とない絶頂により、二人の女騎士の内包する魔力を吸い尽くすと、魔王蛇は二人の中から頭を抜いた。
「あっ、ぬ、ぬけちゃったぁ」
どことなく、残念そうな声をマナが出した。ミオンは、脱衣所の方へ素早く逃げる蛇を追おうとしたが、腰がガクガクと震え、立つこともままならないでいた。
魔王はあえて二人に《眷属の萌芽》を埋め込まなかった。《眷属》は増やしすぎても、その維持にそれなりの力が必要になる。何よりも、明後日来るという白の騎士団の副団長フィリーへの復讐の為に、できるだけの魔力を溜めておきたかった。あの女騎士を自らの《眷属》にし、魔王としての身体を取り戻したうえで、思う存分に凌辱する。それが、魔王の復讐の第一歩だ。
未だに快楽の余韻に浸っているマナをよそに、何とか立ち上がり、温泉から出ようとした時、ミオンは一人の女が入ってくるのに気づいた。
「お湯加減は、いかがでしたか騎士様方」
それは、先ほど教会であったシスター、アンジェであった。口調や声のトーンを変えているのは、法衣の中に逃げ込んだ魔王がひと芝居うたせていたからだ。
「まさか、先ほどの闇は……」
不敵な笑みを浮かべたアンジェを見て、ミオンは魔法の闇を落としたのが、彼女だと理解した。
「いったい、私達に何をしたの!」
睨みつけるミオンにアンジェは余裕の笑みを浮かべると、小さな声で答えた。
「魔力をほぼ失った貴女でも、私の力はわかりますよね」
アンジェの周囲に魔力の力場が発生する。常人ではありえない、禍々しささえ感じるその力に、ミオンは怖れを抱いた。それは、アンジェの法衣の中に潜む魔王蛇の力であったが、それに気づく余裕はなかった。
「この魔力は……お前はいったい!」
アンジェはミオンに近づくと、その耳元で囁く。
「メリダ法国に伝わる、魔力を吸収する方法を、貴女達にも教えてあげようと思って」
「魔力を、吸収するだと?」
ミオンは耳を疑った。魔力とは禁欲と日頃の鍛錬によってのみ鍛え、蓄えることができる。そう信じていた。
「はい、中央教会の一部にしか伝わらない、神の秘術です」
「世迷言を。ただのシスターであるお前が、なぜ、そんな秘密を知っている?」
「私は、バレンシア神に選ばれたのです」
「何だと?」
「どちらにしろ、貴女達に選択肢はないはずです。明後日騎士団の本隊が来た時に、その枯れ切った魔力の説明を、どうするつもりですか」
「それはっ!」
リスタルトの白の騎士団は、女騎士達が中心の騎士団だ。彼女達は、蓄積し練り上げた魔力で身体を強化して戦う。魔力が尽きれば、膂力も体力も並の兵士と同じ。いや、体格に恵まれないマナなどは、それ以下になってしまう。
「くっ……どうしたら、魔力を得ることができるのだ」
「魔力とは生命の源。つまり、生命の種子を吸引すれば良いのです。幸いにも、ここは温泉。そして、壁を隔てたあちらは、男湯です」
アンジェが視線を壁に向ける。温泉は露天になっていて、塀で遮られているだけだった。つまり、先ほどまでミオンとマナの声は男湯に筒抜けになっていたということだ。それに気づいたミオンの顔が羞恥に染まる。
その日、ピエタ村の男湯は大勢の男達で賑わっていた。先日、湯船で救出された男達が語った出来事は、あっという間に村中に広まり、同じ事を期待する男達が長湯を決め込んでいたのだ。
「貴女の身体は気が付いているはずです。何を欲しているのか」
「なんだと」
云われた通り、ミオンの子宮はうずき、脚の間からはとろりと粘着質の汁が溢れていた。魔王は《眷属の萌芽》を埋め込むことはしなかったが、彼女達の中に入った時、その力の一部である《渇望》を施していた。その為、二人の身体は欲していた。魔力を、その源である生命の種子を。
「あちらの子はもっと素直みたいですが」
ミオンが振り向くと、潤んだ瞳で、涎を垂らしながら、マナが懇願してきた。
「ねぇ、ミオン。私、もう我慢できない」
その右手は、脚の間に伸び自らの秘処を弄んでいた。
「くっ、わ、私達は騎士だ。そのような破廉恥な事を……」
「ですから、私が手伝ってあげます。これから、先ほどのように、男湯に闇を落とします。そうすれば、身体が命ずるまま種子を貪ることができるでしょ」
先日、アンジェ自身がしたのと同じ事を、魔王は二人の騎士にさせようとしていた。
0
お気に入りに追加
64
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
男女貞操逆転世界で、自己肯定感低めのお人好し男が、自分も周りも幸せにするお話
カムラ
ファンタジー
※下の方に感想を送る際の注意事項などがございます!
お気に入り登録は積極的にしていただけると嬉しいです!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あらすじ
学生時代、冤罪によってセクハラの罪を着せられ、肩身の狭い人生を送ってきた30歳の男、大野真人(おおのまさと)。
ある日仕事を終え、1人暮らしのアパートに戻り眠りについた。
そこで不思議な夢を見たと思ったら、目を覚ますと全く知らない場所だった。
混乱していると部屋の扉が開き、そこには目を見張るほどの美女がいて…!?
これは自己肯定感が低いお人好し男が、転生した男女貞操逆転世界で幸せになるお話。
※本番はまぁまぁ先ですが、#6くらいから結構Hな描写が増えます。
割とガッツリ性描写は書いてますので、苦手な方は気をつけて!
♡つきの話は性描写ありです!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
誤字報告、明らかな矛盾点、良かったよ!、続きが気になる! みたいな感想は大歓迎です!
どんどん送ってください!
逆に、否定的な感想は書かないようにお願いします。
受け取り手によって変わりそうな箇所などは報告しなくて大丈夫です!(言い回しとか、言葉の意味の違いとか)
作者のモチベを上げてくれるような感想お待ちしております!
【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)
幻田恋人
恋愛
夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。
でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。
親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。
童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。
許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…
僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
逆転世界でヘイトを溜めて犯されよう!〜貞操逆転世界で犯されたいリメイク版〜
腹筋パンダ(出張)
恋愛
早乙女隼人(さおとめはやと)は女に犯されたい願望を持つMな高校2年生。めちゃくちゃイケメンだが童貞だ。あほな事故で貞操が逆転した世界に迷い混んでしまう。貞操が逆転した世界だと分かった彼は思う。「夢の逆輪姦…いや輪姦して貰えるのでは?」と。
この世界で犯されるのは簡単だ。さてどのようにして女の子に犯されよう…
メインはノクターンノベルズで投稿しています‼️
*/寝取られは嫌いなので絶対にありません(断言)
私が好きだった(この作品を書いていた)作家さんが突然投稿をやめてしまわれたので、後を引き継ぐ形で投稿しております。
土曜日と日曜日の投稿でやっていきます。
よろしくお願いします!
是非ブクマと評価お願いします‼️
Twitterもやってますのでぜひそちらも覗いてみてください‼︎
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる