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卒業、そして冒険者登録
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世界ノワール この世界では、剣と魔法を中心とした一つの文化として成り立っている。
近年、魔物がその生息域を広げ始め、人々は自らの力でその生息域を守ろうと立ち上がった。
その戦いが続くにつれ、世界の国々では、生息域を守る戦いと併せて、それぞれの国の領土を広げようと戦争が繰り返されてきた。
しかし、戦争とは別に、自らの生活、そして生息域を守る戦いのために、民衆は冒険者ギルドを設立し、冒険者による魔物討伐が行われるようになった。
戦争に子供を取られたくない親たちは、子供を冒険者として登録し、戦争による徴集を避けるようになってきた。
国はその戦力維持に向け、準騎士爵という爵位を設け、爵位を持つ貴族、およびその子弟は冒険者登録の不可を打ち出し、併せて奴隷制度を設立し、自国戦力として戦争を続けてきた。
近年は、騎士団を中心とするフェイン共和国、魔法使いを中心とするタミン帝国、自然と共生し、弓術士を中心とするアセスルファム国の3強国による和平協定により、つかの間の平和が訪れていた。
そして、冒険者学校を卒業した俺は、晴れて軽戦士として登録を終えた。
戦争孤児として孤児院で育ち、その中でも力関係、人間関係によるいじめ、孤児院にいるというだけ迫害を受け、財力を持たない俺にとって、冒険者登録は自分の生活を支えるたった一つの手段だった。
孤児院は国によって運営され、聖騎士、魔術師、賢者など一定の技能を有し、貴族の目に留まった子供は騎士見習い、魔導士見習いとして、準騎士として、雇用され、戦争に従軍する必要はあるが、一定の給金をもらい、戦争で手柄を立てることで、騎士、準男爵として出世し、村長、領主などの地位を得ることもできる。
聖騎士、賢者、魔術師、僧侶、弓士・・・
入学当初に憧れた職業になれないことは、卒業試験の結果が教えてくれた。
「おい、ショウ。
軽戦士だってなぁ、これから魔物討伐頑張ってくれや。
せいぜい死なないように」
「魔法は使えない、弓は当たらないじゃ、魔物討伐できないだろ」
「俺たち3人は、どうにか騎士見習いとして、領主様に雇ってもらえたけど、お前もがんばれよ」
そう声をかけてきたワレー、コンダー、ラロリーの3人は同じ孤児院で育った。
体が大きく、力も強いためにいつも小突かれていたが、卒業により、これから別々の道を歩いていくことになる。
「あぁ、君たちも戦争でケガしないように・・・」
「冒険者学校で最強と呼ばれた俺たち3人がケガなんてするかよ!
じゃぁな」
俺の頭を小突きながら3人は去っていった。
子供時代を過ごしてきたので、なんだかんだいって少し寂しさが込み上げてきたが、笑顔で3人を見送った。
「さて、冒険者ギルドに行きますか!」
腰からショートソードと呼ばれる剣を2本差し、肩と腕、そして胸をカバーする最低限の防具、身分証となる市民カードを首からさげた格好。
周りから見ても駆け出しとわかる恰好で冒険者ギルドへと向かった。
冒険者ギルドのスイングドアを開き、中へと進んでいく。
依頼を探しているもの、達成した依頼の報告をしているもの、仲間を勧誘しようとしているのか併設されたカウンターバーで飲んでいるものなど日中にも関わらず、多くの人で賑わっている。
「これは、冒険者学校を卒業したてのお子様がいらっしゃったぞ!」
酔っぱらった冒険者の内、俺と同じ軽戦士と思われる装備をした筋肉ムキムキの男が俺をからかい始めた。
下手に対応してからまれ続けるのも嫌だったので
「はい、これから登録して、1匹でも多くの魔物を討伐できるよう頑張っていくつもりです。」
丁寧に回答し、深々とお辞儀をすると
「ガハハ、丁寧なガキだな。
俺の名は、ジェド。冒険者として困ったことがあったら俺に言ってこい。
これでもこの界隈の冒険者の中では、それなりなんでな。」
「はい、ジェドさんですね。
よろしくお願いします。困ったことがあったら改めてご相談させてください。」
そういって受付カウンターに行き、冒険者登録を頼んだ。
「冒険者登録をお願いします」
「あら、新人くんね。
私は、受付のスタージャっていうの、よろしくね
まずは、市民カードと登録料の銀貨1枚をくれるかな。」
「はい、これでお願いします。」
首から市民カード、財布から銀貨1枚を、カウンターに並べた。
スタージャさんは、カード書換機と呼ばれる機械にカードを入れると、カウンターに設置された水晶玉に手を乗せるように促してきた。
「はいそれじゃ・・・
ショウ君、水晶玉に手をのせてね、
10秒程度で登録は終わるからね」
この水晶玉は、一人ひとり異なっている魔道パルスという周波数を読み取り、カードの本人確認が行われる魔道パルス読込機となっている。
また個人の魔道パルスが一人ひとり違うのは、その人が行った魔物討伐、窃盗や殺人などの犯罪、戦争参加記録、依頼などこれまでの行った行為がその魔道パルスに記憶されるそうで、犯罪歴などもこの装置で調べることができる。
手をのせている間に水晶が赤く光ると犯罪行為があったとしてすぐに取り押さえられるそうだ。
登録が終わる間に、水晶が赤く光ることはなかった・・・当然だが。
「さて、登録は完了っと。
まずはこれから、Fランク冒険者として頑張ってね、冒険者学校を卒業しているから冒険者ギルドの仕組みは説明しなくてもいいよね」
そう、冒険者ギルドでは、依頼達成回数と達成率、難易度、により、F、E、D、C、B、A、S、SSというランクでその冒険者を格付けしている。
依頼書には、依頼内容、場所、難易度、報奨金が記載されており、その意依頼書を受付に提出、達成報告をすることで、報奨金が得られる他、ランクアップがされていく。
また、ランク以上の難易度の依頼を受けることはできない、例外があり、薬草採取やスライム、ゴブリン、ラビットなど冒険者学校を卒業したものなら対応可能な内容が常設依頼として存在してうる。
常設依頼は、冒険者の収入に直結する他にも、放置されることで村や旅人が襲われたり、魔物の肉や魔石など生活に密着した素材を集めたりするためのものだ。
当然登録したての俺は、Fランクになる。
「ええ、大丈夫です。
スタージャさん、ありがとうございます。
何かできる依頼がないか見てみます。」
お礼を言って。依頼が張り出されたボードに向かった。
ボードを見てみると、Fランクで受けることができる依頼としては、常設依頼しかないようだった。
「とりあえず、薬草採取だな!
えっと、5束で大銅貨1枚かぁ・・・」
この世界の通貨は、銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白金貨であらわされ、銅貨10枚で大銅貨に、大銅貨10枚で銀貨と、10枚で一つ上の貨幣となる。
ちなみに、大銅貨5枚で宿屋に1泊でき、銅貨1枚でパンが替える程度の物価となっている。
薬草採取に必要な道具は特になく、採取した薬草を入れる袋さえあれば、採取は可能だ。
しかし、この初めての依頼、薬草採取が俺の運命を大きく狂わせることになるとは、この時の俺がしるすべもなかった。
近年、魔物がその生息域を広げ始め、人々は自らの力でその生息域を守ろうと立ち上がった。
その戦いが続くにつれ、世界の国々では、生息域を守る戦いと併せて、それぞれの国の領土を広げようと戦争が繰り返されてきた。
しかし、戦争とは別に、自らの生活、そして生息域を守る戦いのために、民衆は冒険者ギルドを設立し、冒険者による魔物討伐が行われるようになった。
戦争に子供を取られたくない親たちは、子供を冒険者として登録し、戦争による徴集を避けるようになってきた。
国はその戦力維持に向け、準騎士爵という爵位を設け、爵位を持つ貴族、およびその子弟は冒険者登録の不可を打ち出し、併せて奴隷制度を設立し、自国戦力として戦争を続けてきた。
近年は、騎士団を中心とするフェイン共和国、魔法使いを中心とするタミン帝国、自然と共生し、弓術士を中心とするアセスルファム国の3強国による和平協定により、つかの間の平和が訪れていた。
そして、冒険者学校を卒業した俺は、晴れて軽戦士として登録を終えた。
戦争孤児として孤児院で育ち、その中でも力関係、人間関係によるいじめ、孤児院にいるというだけ迫害を受け、財力を持たない俺にとって、冒険者登録は自分の生活を支えるたった一つの手段だった。
孤児院は国によって運営され、聖騎士、魔術師、賢者など一定の技能を有し、貴族の目に留まった子供は騎士見習い、魔導士見習いとして、準騎士として、雇用され、戦争に従軍する必要はあるが、一定の給金をもらい、戦争で手柄を立てることで、騎士、準男爵として出世し、村長、領主などの地位を得ることもできる。
聖騎士、賢者、魔術師、僧侶、弓士・・・
入学当初に憧れた職業になれないことは、卒業試験の結果が教えてくれた。
「おい、ショウ。
軽戦士だってなぁ、これから魔物討伐頑張ってくれや。
せいぜい死なないように」
「魔法は使えない、弓は当たらないじゃ、魔物討伐できないだろ」
「俺たち3人は、どうにか騎士見習いとして、領主様に雇ってもらえたけど、お前もがんばれよ」
そう声をかけてきたワレー、コンダー、ラロリーの3人は同じ孤児院で育った。
体が大きく、力も強いためにいつも小突かれていたが、卒業により、これから別々の道を歩いていくことになる。
「あぁ、君たちも戦争でケガしないように・・・」
「冒険者学校で最強と呼ばれた俺たち3人がケガなんてするかよ!
じゃぁな」
俺の頭を小突きながら3人は去っていった。
子供時代を過ごしてきたので、なんだかんだいって少し寂しさが込み上げてきたが、笑顔で3人を見送った。
「さて、冒険者ギルドに行きますか!」
腰からショートソードと呼ばれる剣を2本差し、肩と腕、そして胸をカバーする最低限の防具、身分証となる市民カードを首からさげた格好。
周りから見ても駆け出しとわかる恰好で冒険者ギルドへと向かった。
冒険者ギルドのスイングドアを開き、中へと進んでいく。
依頼を探しているもの、達成した依頼の報告をしているもの、仲間を勧誘しようとしているのか併設されたカウンターバーで飲んでいるものなど日中にも関わらず、多くの人で賑わっている。
「これは、冒険者学校を卒業したてのお子様がいらっしゃったぞ!」
酔っぱらった冒険者の内、俺と同じ軽戦士と思われる装備をした筋肉ムキムキの男が俺をからかい始めた。
下手に対応してからまれ続けるのも嫌だったので
「はい、これから登録して、1匹でも多くの魔物を討伐できるよう頑張っていくつもりです。」
丁寧に回答し、深々とお辞儀をすると
「ガハハ、丁寧なガキだな。
俺の名は、ジェド。冒険者として困ったことがあったら俺に言ってこい。
これでもこの界隈の冒険者の中では、それなりなんでな。」
「はい、ジェドさんですね。
よろしくお願いします。困ったことがあったら改めてご相談させてください。」
そういって受付カウンターに行き、冒険者登録を頼んだ。
「冒険者登録をお願いします」
「あら、新人くんね。
私は、受付のスタージャっていうの、よろしくね
まずは、市民カードと登録料の銀貨1枚をくれるかな。」
「はい、これでお願いします。」
首から市民カード、財布から銀貨1枚を、カウンターに並べた。
スタージャさんは、カード書換機と呼ばれる機械にカードを入れると、カウンターに設置された水晶玉に手を乗せるように促してきた。
「はいそれじゃ・・・
ショウ君、水晶玉に手をのせてね、
10秒程度で登録は終わるからね」
この水晶玉は、一人ひとり異なっている魔道パルスという周波数を読み取り、カードの本人確認が行われる魔道パルス読込機となっている。
また個人の魔道パルスが一人ひとり違うのは、その人が行った魔物討伐、窃盗や殺人などの犯罪、戦争参加記録、依頼などこれまでの行った行為がその魔道パルスに記憶されるそうで、犯罪歴などもこの装置で調べることができる。
手をのせている間に水晶が赤く光ると犯罪行為があったとしてすぐに取り押さえられるそうだ。
登録が終わる間に、水晶が赤く光ることはなかった・・・当然だが。
「さて、登録は完了っと。
まずはこれから、Fランク冒険者として頑張ってね、冒険者学校を卒業しているから冒険者ギルドの仕組みは説明しなくてもいいよね」
そう、冒険者ギルドでは、依頼達成回数と達成率、難易度、により、F、E、D、C、B、A、S、SSというランクでその冒険者を格付けしている。
依頼書には、依頼内容、場所、難易度、報奨金が記載されており、その意依頼書を受付に提出、達成報告をすることで、報奨金が得られる他、ランクアップがされていく。
また、ランク以上の難易度の依頼を受けることはできない、例外があり、薬草採取やスライム、ゴブリン、ラビットなど冒険者学校を卒業したものなら対応可能な内容が常設依頼として存在してうる。
常設依頼は、冒険者の収入に直結する他にも、放置されることで村や旅人が襲われたり、魔物の肉や魔石など生活に密着した素材を集めたりするためのものだ。
当然登録したての俺は、Fランクになる。
「ええ、大丈夫です。
スタージャさん、ありがとうございます。
何かできる依頼がないか見てみます。」
お礼を言って。依頼が張り出されたボードに向かった。
ボードを見てみると、Fランクで受けることができる依頼としては、常設依頼しかないようだった。
「とりあえず、薬草採取だな!
えっと、5束で大銅貨1枚かぁ・・・」
この世界の通貨は、銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白金貨であらわされ、銅貨10枚で大銅貨に、大銅貨10枚で銀貨と、10枚で一つ上の貨幣となる。
ちなみに、大銅貨5枚で宿屋に1泊でき、銅貨1枚でパンが替える程度の物価となっている。
薬草採取に必要な道具は特になく、採取した薬草を入れる袋さえあれば、採取は可能だ。
しかし、この初めての依頼、薬草採取が俺の運命を大きく狂わせることになるとは、この時の俺がしるすべもなかった。
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