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冒険者登録
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昨日、母や兄が来てからいつもと変わらぬ夕食を食べ、早めに眠りについたお陰で朝少し早く目が覚めた。
「んん~っ。
さぁ今日は冒険者としての第一歩だ!」
誰かが聞いている訳でもないが、自分に言い聞かせるように起床。
教育係はいるが専属メイドなんて贅沢は男爵家にはなく、自分で着替えをすまし、食卓へと向かう。
「おはようございます。」
「「「おはよう、ショウ」」」
「おはようございます、ショウ様。すぐにお食事を運んで参ります。」
食卓では、朝早くにも関わらず、今日冒険者として旅に出ることを知ってか家族が既にそろっていた。食事の用意は執事のバスティアンさん、そしてメイド長のロザリアさんがいつものように準備し始めている。
「ショウ、旅立ちの前に私達からの贈り物がある。
バスティアン、例のものを。」
思わぬサプライズになったが家族から贈り物があると、バスティアンが父へ1本のナイフとローブを手渡した。
「このナイフは、私が冒険者時代に手に入れたものだが、水神の加護がついているナイフだ。そして、このローブは、ジェニファーと二人の兄が作らせたものだが、防汚の付与がしてある。
冒険者として、旅に出る時にきっと役に立つと思う。これらを旅立ちの装備として持っていくが良い。
決して無理はするでないぞ。」
「お父様、お母さま、お兄様方、ありがとうございます。
このマーティン家の名に恥じないよう精進してまいります。」
加護付きのナイフには、父が彫らせたであろうマーティン家の紋章が彫られていたが、手に取ると何か不思議な力を感じた。そして、防汚が付与されたローブは黒一緒に染められ、素朴なデザインで兄達のセンスが感じられるスラっとしたシルエットになるようだった。
ナイフやローブはこれから町で購入しようと思っていたので、旅費を考えても非常に有難かった。
食事を終えた後、ローブを纏い、腰のベルトにナイフを付けたスタイルで屋敷を後にした。
領都といっても片田舎の町だ。
男爵家があるからと領都と呼ばれているが、実際は小さな町に過ぎない。
屋敷を出て、10分も経たないうちに冒険者ギルドへと到着。
「おはようございます。」
そう言ってギルドへ入ると、幼馴染のミウが受付にいた。
どうやら成人の儀を終えたミウは、ギルドの受付に就職したようだった。
「おはよう、ショウ。どうしたの依頼でも出しに来たの?」
「あ、ミウ。ギルドの受付になったんだね。おめでとう。俺は、冒険者になろうと思ってね。登録に来たんだ。幼馴染に登録してもらうって、ちょっと恥ずかしいかも・・・」
「何いってんのよ。はい、申込用紙、ちゃんと記入してね。」
ミウの就職を祝いつつ、申込用紙を受け取った。
書くのは、名前、年齢、主武器、魔法適正の有無といった内容だけだが、実際には名前だけでもいいようだ。
というのも、戦争孤児などが就職出来ずに冒険者となるケースが多々あり、孤児は成人の儀を受けられずに冒険者登録後に得た報酬で成人の儀を遅れて受けたりするからだ。
俺は、一応すべてを記入し、ミウに受付用紙を渡した。
「へぇ~・・・やっぱりね。細かい内容は話しちゃダメって言われているけど、適正あったんだね。」
そう言いながらカードパンチに内容を打ち込んでいるようだ。
冒険者の識別はカードで行われ、アルファベットのような文字を打ち込める道具があり、それを使って作っていた。
「さて、カードも出来たし、ここに一滴血を垂らしてね」
「ああ」
小さな針を指先に差し、血を垂らすとカードがうっすらと光ったように見えた。
カードは魔鉱という金属でできており、中に魔法陣が刻まれ、討伐記録などが自動で記録される仕組みとなっており、その規則判別の元となるのが血となっているそうだ。
詳しくは分からないが・・・
「カードは出来たよ。はい、これでショウもNランクの冒険者ね。これから依頼受けるの?」
「あぁ、一応、隣町のシカワまで行こうと思っているんだ。領内の町を一通り旅しようと思ってね。」
「そうなんだ。じゃぁ、イフクに戻ってきたら連絡してね。」
「ああ、ありがとう。じゃあそろそろ行くよ。」
ミウからNランクと表示されたカードを受け取り、冒険者ギルドを後にした。
そうそう、冒険者にはランク制度があり、登録すると例外なくNランクに、依頼を達成していき、昇格試験をうけることでランクアップすることができる。
ちなみに、Nランク、Fランク、Eランク、Dランク、Cランク、Bランク、Aランク、Sランク、EXランクと上がっていくようだ。
まぁ、EXというランクは魔物を率いて国々に攻め込んだ魔王と呼ばれた人物を英雄チップが倒し、魔物を討伐する相互組織を立ち上げたことを記念して設定されたランクで英雄チップ以外にEXランクというのは存在しない。
まぁ、単に冒険者となって旅をしようと思っている俺は、ランクアップに興味は全くないのだが・・・
さて、これから俺の冒険が始まるんだ!
シカワはどんなところだろうか
「んん~っ。
さぁ今日は冒険者としての第一歩だ!」
誰かが聞いている訳でもないが、自分に言い聞かせるように起床。
教育係はいるが専属メイドなんて贅沢は男爵家にはなく、自分で着替えをすまし、食卓へと向かう。
「おはようございます。」
「「「おはよう、ショウ」」」
「おはようございます、ショウ様。すぐにお食事を運んで参ります。」
食卓では、朝早くにも関わらず、今日冒険者として旅に出ることを知ってか家族が既にそろっていた。食事の用意は執事のバスティアンさん、そしてメイド長のロザリアさんがいつものように準備し始めている。
「ショウ、旅立ちの前に私達からの贈り物がある。
バスティアン、例のものを。」
思わぬサプライズになったが家族から贈り物があると、バスティアンが父へ1本のナイフとローブを手渡した。
「このナイフは、私が冒険者時代に手に入れたものだが、水神の加護がついているナイフだ。そして、このローブは、ジェニファーと二人の兄が作らせたものだが、防汚の付与がしてある。
冒険者として、旅に出る時にきっと役に立つと思う。これらを旅立ちの装備として持っていくが良い。
決して無理はするでないぞ。」
「お父様、お母さま、お兄様方、ありがとうございます。
このマーティン家の名に恥じないよう精進してまいります。」
加護付きのナイフには、父が彫らせたであろうマーティン家の紋章が彫られていたが、手に取ると何か不思議な力を感じた。そして、防汚が付与されたローブは黒一緒に染められ、素朴なデザインで兄達のセンスが感じられるスラっとしたシルエットになるようだった。
ナイフやローブはこれから町で購入しようと思っていたので、旅費を考えても非常に有難かった。
食事を終えた後、ローブを纏い、腰のベルトにナイフを付けたスタイルで屋敷を後にした。
領都といっても片田舎の町だ。
男爵家があるからと領都と呼ばれているが、実際は小さな町に過ぎない。
屋敷を出て、10分も経たないうちに冒険者ギルドへと到着。
「おはようございます。」
そう言ってギルドへ入ると、幼馴染のミウが受付にいた。
どうやら成人の儀を終えたミウは、ギルドの受付に就職したようだった。
「おはよう、ショウ。どうしたの依頼でも出しに来たの?」
「あ、ミウ。ギルドの受付になったんだね。おめでとう。俺は、冒険者になろうと思ってね。登録に来たんだ。幼馴染に登録してもらうって、ちょっと恥ずかしいかも・・・」
「何いってんのよ。はい、申込用紙、ちゃんと記入してね。」
ミウの就職を祝いつつ、申込用紙を受け取った。
書くのは、名前、年齢、主武器、魔法適正の有無といった内容だけだが、実際には名前だけでもいいようだ。
というのも、戦争孤児などが就職出来ずに冒険者となるケースが多々あり、孤児は成人の儀を受けられずに冒険者登録後に得た報酬で成人の儀を遅れて受けたりするからだ。
俺は、一応すべてを記入し、ミウに受付用紙を渡した。
「へぇ~・・・やっぱりね。細かい内容は話しちゃダメって言われているけど、適正あったんだね。」
そう言いながらカードパンチに内容を打ち込んでいるようだ。
冒険者の識別はカードで行われ、アルファベットのような文字を打ち込める道具があり、それを使って作っていた。
「さて、カードも出来たし、ここに一滴血を垂らしてね」
「ああ」
小さな針を指先に差し、血を垂らすとカードがうっすらと光ったように見えた。
カードは魔鉱という金属でできており、中に魔法陣が刻まれ、討伐記録などが自動で記録される仕組みとなっており、その規則判別の元となるのが血となっているそうだ。
詳しくは分からないが・・・
「カードは出来たよ。はい、これでショウもNランクの冒険者ね。これから依頼受けるの?」
「あぁ、一応、隣町のシカワまで行こうと思っているんだ。領内の町を一通り旅しようと思ってね。」
「そうなんだ。じゃぁ、イフクに戻ってきたら連絡してね。」
「ああ、ありがとう。じゃあそろそろ行くよ。」
ミウからNランクと表示されたカードを受け取り、冒険者ギルドを後にした。
そうそう、冒険者にはランク制度があり、登録すると例外なくNランクに、依頼を達成していき、昇格試験をうけることでランクアップすることができる。
ちなみに、Nランク、Fランク、Eランク、Dランク、Cランク、Bランク、Aランク、Sランク、EXランクと上がっていくようだ。
まぁ、EXというランクは魔物を率いて国々に攻め込んだ魔王と呼ばれた人物を英雄チップが倒し、魔物を討伐する相互組織を立ち上げたことを記念して設定されたランクで英雄チップ以外にEXランクというのは存在しない。
まぁ、単に冒険者となって旅をしようと思っている俺は、ランクアップに興味は全くないのだが・・・
さて、これから俺の冒険が始まるんだ!
シカワはどんなところだろうか
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