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召喚されて、今牢獄
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拝啓、お父さん、お母さん。健やかにお過ごしでしょうか?
召喚された世界は、モンスターと人間がお互いの生息領域をかけて争っています。
そんな中俺は、その争いに向けて戦っているわけではなく・・・
投獄され牢屋にいます。
「何故だ!
勝手に召喚しておいて、ふざけるな!
俺の職業が分からないだと
能力が戦闘に関与していないだと
それだけの理由で牢屋にぶちこみやがって。
こっちは、頼んで異世界に来たんじゃねーぞ
だったら、元の世界に戻せ~」
「こら煩いぞ。」
「あっ、すみません」
「まぁ、明日処刑されるのだからなぁ・・・」
石造りの牢屋の外から兵士の声が聞こえる。
なぜ俺が今牢屋にいるのか・・・
俺の名前は速水翔太、元の世界では、アラフィフのニートだった。
4月のある晴れた日、桜の舞い散る中。
仕事が見つからず、花見で気分転換をしている俺と新入学したであろう学生たちがすれ違ったときに感じた浮遊感と共に気を失った。
ふと目を覚ますと、床には、オカルト雑誌や異世界物のアニメなどで見かける魔方陣が描かれた絨毯の上に寝転んでいた。
そこにいるのは俺だけじゃなく、先ほどすれ違ったはずの学生達。
そして、すれ違った時には気にしていなかったが彼らの担任の先生がいた。
でかい窓、大きな木の扉、高い天井。
12世紀のヨーロッパの城の内装にそっくりだ。
その部屋に数人の騎士が入ってきた後、その城の謁見の間と思われる場所に案内・・・
いや連れていかれた。
その謁見の間で王様自ら
「異世界から来た勇者達よ。
魔王を倒し、この世界を救うのじゃ」
そう言って俺たちを出迎えた。
その時の話を要約すると、
この世界は魔王が復活して危機に晒されている。
自分達でも戦っているが、結果が伴わないために、過去の伝聞より異世界召喚された勇者は破格の能力を持って、世界を渡ってくるため、その力をもって何とかしてほしいから召喚した。
だそうだ。
王様の話が終わると王宮直属の魔法使いが俺達を調べ始めた。アラフィフの俺だがニートという状況で時間があったので、転移・転生物のラノベはよく読んでいたので、俺たちの能力を調べているのだと思った。
一緒に転移された学生達は、勇者や聖騎士などの職業、能力は「剣豪」とか「魔術師」とか強そうな名前のスキルを持っていた。
中には「狂戦士」とか確かに戦えそうだが、狂うって見方を巻き込むんじゃないかって力行もあったが。
一部の生徒は、戦闘系の職業や能力がなくとも何故か身体能力、または魔力が常人より高かったらしい。
ゲームやラノベだと、前者はチート、後者は成り上がり系といった所か。
ちなみにこの俺の「職業」はコンピタンス、「能力」は鑑定と実現。
身体能力も魔力も一般的な市民と同レベルだった。
だってアラフィフのおっさんだもん
「なんだ、その職業と能力は
鑑定なぞ、商人でも持っているではないか
魔物と戦う力もない、役立たずが・・・
この部屋から消え失せろ」
あっというまに俺は役立たずのレッテルを張られ、城から追放されて、自由な生活を送れるかと思っていたが、地下牢に入れられた。
まあ、異世界召喚なんて他力本願する奴らがまともである筈がない。
部屋から連れ出された後、城門に向かっているのかと思っていたら、地下へと続く階段が見えた。
やばいと思って、逃げようとしたが、屈強な騎士に囲まれ、牢の中に入れられた。
「貴様、王が仰られた「消え失せろ」というのは、処刑という事だ。
残念だがあきらめてくれ」
「勝手に召喚しておいて、せめて城から放逐とか、見逃してくれよ!」
「……」
「無視かよ!」
牢屋に入れられてから10分程度だっただろうか。
「召喚された勇者たちへの説明は終わった。
出ろ」
そう言われた後、兵士に連れられ、薄暗い地下を抜け、階段を上ると召喚された時の部屋に連れていかれた
「着いたぞ」
「えっ、召喚された時の部屋という事は、元の世界に帰してくれるの?」
「そんな訳があるか、ここで処刑されるのだ。
召喚の間で処刑というのはせめてもの恩情だ。
異世界召喚された者は、二度と元の世界に戻ることはできないが、召喚の間で処刑された者は、死後その体を元の世界に戻るといわれているのだ。」
間違いなく召喚された場所だ。
相変わらす石の上に絨毯という謎のセンスをしている。
そこには王様と警備する騎士たちがいた。
「これよりこの者の処刑を始める。
この部屋での処刑により、死ぬことになるが体は元の世界に戻れる。
何か言い残すことはないか?」
「生きたまま元の世界に戻してくれ!」
「生きたまま戻せるなら戻しておる。
それが遺言で良いのだな?」
髭面の王様が意地悪そうに笑う。
心のなかでクッソふざけんなよと思いながらも職業のコンピタンスって英語だよな・・・
有能とか、権能、権限って意味だったよな・・・
と学生時代に習った拙い英語力でその意味を思い出していた。
権能や権限って職業が意味する事、そして能力の鑑定と実現で何とかこの場から逃げ出せないか。
しかし、いきなり処刑されると言われても、時間が欲しい・・・
「待ってください。俺たちの世界では、処刑の前には本人の望む飲み物や食べ物を与えるというのがあるので、せめてそれだけでも・・・」
「良かろう」
俺は時間稼ぎをするために、醤油をかけた卵かけご飯が食べたいと希望を伝えた。
米も醤油もこの世界にあるようだった。
が、ご飯は炊いてないようで、ご飯が炊きあがるまで、その場で待つように言われた。
よっし、少し時間が稼げた。
とりあえず王様や部屋にいる騎士たちを鑑定していった。
能力や職業、そしてスキルを調べていった。
その中に不思議な能力が鑑定できた。
その能力は、()で囲まれており、制限の文字がついていた。
(制限:浮遊)
(制限:神速)
(制限:隠蔽)
そして、実現という能力が鑑定できないかと試してみると実現についての説明が頭の中に知識として流れ込んできた。
実現
認識した能力を使用することが出来る。
認識した能力を変化することが出来る。
思い描いたものを作り出すことが出来る。
※解放条件:職業コンピタンス
・・・これって、使える!
というかチートだろう
ラノベで得た知識はそのまま利用できるってことだし、とりあえず脱出できるってことだ
まずは、隠蔽
「おい、どこに行った。
さっきまでそこにいたのに・・・」
王や部屋の騎士達が騒ぎ出した。
おいおい、隠蔽ってすげえ
一歩も動いていないのに、どこ行ったって見えないのか
後は、入り口の扉が開いてくれれば、何とか脱出できるぜ!
「姿が消える能力でももっておったのか、失われた転移能力でももっておったのか・・・
探せ、我が国が異世界召喚したことが周辺国や魔王にバレれば、それを理由に攻め込まれてしまうぞ・・・」
「ハッ!
すぐに追手を出します。特にこの部屋にいる騎士達は奴の顔を見ておりますので、騎士たちを中心に捜索隊を派遣いたします。」
そんなやり取りを聞きながら・・・
おいおい、バレればって、これダメな異世界召喚だったってことじゃねぇか。
とりあえず扉明けてくれないかなぁ・・・
そう思っていると「ギィー」と音を立てながら、部屋の扉が開いた。
さぁ逃走の時間だ!
召喚された世界は、モンスターと人間がお互いの生息領域をかけて争っています。
そんな中俺は、その争いに向けて戦っているわけではなく・・・
投獄され牢屋にいます。
「何故だ!
勝手に召喚しておいて、ふざけるな!
俺の職業が分からないだと
能力が戦闘に関与していないだと
それだけの理由で牢屋にぶちこみやがって。
こっちは、頼んで異世界に来たんじゃねーぞ
だったら、元の世界に戻せ~」
「こら煩いぞ。」
「あっ、すみません」
「まぁ、明日処刑されるのだからなぁ・・・」
石造りの牢屋の外から兵士の声が聞こえる。
なぜ俺が今牢屋にいるのか・・・
俺の名前は速水翔太、元の世界では、アラフィフのニートだった。
4月のある晴れた日、桜の舞い散る中。
仕事が見つからず、花見で気分転換をしている俺と新入学したであろう学生たちがすれ違ったときに感じた浮遊感と共に気を失った。
ふと目を覚ますと、床には、オカルト雑誌や異世界物のアニメなどで見かける魔方陣が描かれた絨毯の上に寝転んでいた。
そこにいるのは俺だけじゃなく、先ほどすれ違ったはずの学生達。
そして、すれ違った時には気にしていなかったが彼らの担任の先生がいた。
でかい窓、大きな木の扉、高い天井。
12世紀のヨーロッパの城の内装にそっくりだ。
その部屋に数人の騎士が入ってきた後、その城の謁見の間と思われる場所に案内・・・
いや連れていかれた。
その謁見の間で王様自ら
「異世界から来た勇者達よ。
魔王を倒し、この世界を救うのじゃ」
そう言って俺たちを出迎えた。
その時の話を要約すると、
この世界は魔王が復活して危機に晒されている。
自分達でも戦っているが、結果が伴わないために、過去の伝聞より異世界召喚された勇者は破格の能力を持って、世界を渡ってくるため、その力をもって何とかしてほしいから召喚した。
だそうだ。
王様の話が終わると王宮直属の魔法使いが俺達を調べ始めた。アラフィフの俺だがニートという状況で時間があったので、転移・転生物のラノベはよく読んでいたので、俺たちの能力を調べているのだと思った。
一緒に転移された学生達は、勇者や聖騎士などの職業、能力は「剣豪」とか「魔術師」とか強そうな名前のスキルを持っていた。
中には「狂戦士」とか確かに戦えそうだが、狂うって見方を巻き込むんじゃないかって力行もあったが。
一部の生徒は、戦闘系の職業や能力がなくとも何故か身体能力、または魔力が常人より高かったらしい。
ゲームやラノベだと、前者はチート、後者は成り上がり系といった所か。
ちなみにこの俺の「職業」はコンピタンス、「能力」は鑑定と実現。
身体能力も魔力も一般的な市民と同レベルだった。
だってアラフィフのおっさんだもん
「なんだ、その職業と能力は
鑑定なぞ、商人でも持っているではないか
魔物と戦う力もない、役立たずが・・・
この部屋から消え失せろ」
あっというまに俺は役立たずのレッテルを張られ、城から追放されて、自由な生活を送れるかと思っていたが、地下牢に入れられた。
まあ、異世界召喚なんて他力本願する奴らがまともである筈がない。
部屋から連れ出された後、城門に向かっているのかと思っていたら、地下へと続く階段が見えた。
やばいと思って、逃げようとしたが、屈強な騎士に囲まれ、牢の中に入れられた。
「貴様、王が仰られた「消え失せろ」というのは、処刑という事だ。
残念だがあきらめてくれ」
「勝手に召喚しておいて、せめて城から放逐とか、見逃してくれよ!」
「……」
「無視かよ!」
牢屋に入れられてから10分程度だっただろうか。
「召喚された勇者たちへの説明は終わった。
出ろ」
そう言われた後、兵士に連れられ、薄暗い地下を抜け、階段を上ると召喚された時の部屋に連れていかれた
「着いたぞ」
「えっ、召喚された時の部屋という事は、元の世界に帰してくれるの?」
「そんな訳があるか、ここで処刑されるのだ。
召喚の間で処刑というのはせめてもの恩情だ。
異世界召喚された者は、二度と元の世界に戻ることはできないが、召喚の間で処刑された者は、死後その体を元の世界に戻るといわれているのだ。」
間違いなく召喚された場所だ。
相変わらす石の上に絨毯という謎のセンスをしている。
そこには王様と警備する騎士たちがいた。
「これよりこの者の処刑を始める。
この部屋での処刑により、死ぬことになるが体は元の世界に戻れる。
何か言い残すことはないか?」
「生きたまま元の世界に戻してくれ!」
「生きたまま戻せるなら戻しておる。
それが遺言で良いのだな?」
髭面の王様が意地悪そうに笑う。
心のなかでクッソふざけんなよと思いながらも職業のコンピタンスって英語だよな・・・
有能とか、権能、権限って意味だったよな・・・
と学生時代に習った拙い英語力でその意味を思い出していた。
権能や権限って職業が意味する事、そして能力の鑑定と実現で何とかこの場から逃げ出せないか。
しかし、いきなり処刑されると言われても、時間が欲しい・・・
「待ってください。俺たちの世界では、処刑の前には本人の望む飲み物や食べ物を与えるというのがあるので、せめてそれだけでも・・・」
「良かろう」
俺は時間稼ぎをするために、醤油をかけた卵かけご飯が食べたいと希望を伝えた。
米も醤油もこの世界にあるようだった。
が、ご飯は炊いてないようで、ご飯が炊きあがるまで、その場で待つように言われた。
よっし、少し時間が稼げた。
とりあえず王様や部屋にいる騎士たちを鑑定していった。
能力や職業、そしてスキルを調べていった。
その中に不思議な能力が鑑定できた。
その能力は、()で囲まれており、制限の文字がついていた。
(制限:浮遊)
(制限:神速)
(制限:隠蔽)
そして、実現という能力が鑑定できないかと試してみると実現についての説明が頭の中に知識として流れ込んできた。
実現
認識した能力を使用することが出来る。
認識した能力を変化することが出来る。
思い描いたものを作り出すことが出来る。
※解放条件:職業コンピタンス
・・・これって、使える!
というかチートだろう
ラノベで得た知識はそのまま利用できるってことだし、とりあえず脱出できるってことだ
まずは、隠蔽
「おい、どこに行った。
さっきまでそこにいたのに・・・」
王や部屋の騎士達が騒ぎ出した。
おいおい、隠蔽ってすげえ
一歩も動いていないのに、どこ行ったって見えないのか
後は、入り口の扉が開いてくれれば、何とか脱出できるぜ!
「姿が消える能力でももっておったのか、失われた転移能力でももっておったのか・・・
探せ、我が国が異世界召喚したことが周辺国や魔王にバレれば、それを理由に攻め込まれてしまうぞ・・・」
「ハッ!
すぐに追手を出します。特にこの部屋にいる騎士達は奴の顔を見ておりますので、騎士たちを中心に捜索隊を派遣いたします。」
そんなやり取りを聞きながら・・・
おいおい、バレればって、これダメな異世界召喚だったってことじゃねぇか。
とりあえず扉明けてくれないかなぁ・・・
そう思っていると「ギィー」と音を立てながら、部屋の扉が開いた。
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