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23.馬車に乗りました
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1ヶ月近く経った。以前言われていたように、一度は王宮に行かなくてはいけないらしい。
この世界に来て初めての外出だ。丈の長い上着を着て、フードを目深に被る。
優しい人たちに囲まれていたけど、僕は隠さなきゃいけない、異質な存在なんだと改めて突きつけられた気分がした。
言葉少なに馬車で王宮に向かう。慣れない乗り物と緊張からか、気分が悪い。
「ハルカ、もう少しだが、気分が悪いんじゃないのか?顔色が良くない。今日はやめてもらうおうか。」
並んで座っていたカイルさんが、そっと頬を撫でてくれる。そう簡単に偉い人との予定をキャンセルできないはずだ。
「大丈夫です。緊張してるだけです。」
カイルさんは何も言わず、僕を引き寄せて膝に横坐りにさせた。
体格差があるから、カイルさんの胸にすっぽりと僕は収まってしまう。軽く抱き込み、背中をゆっくりしたリズムでぽんんぽんと叩いてくれる。
小さな子供みたいだ。
今は着くまでだけと、僕は素直にその胸に甘えた。
ほどなくして馬車が止まった。カイルさんの胸に顔を埋めていたので、外の様子が分からない。
顔を上げるとカイルさんが安心させるように、フードをずらして額にキスを落とす。留め具を確認され、さらにフードを目深に被らされる。
一旦僕を膝から降ろしたカイルさんが、馬車の外から僕に手を伸ばしてくれる。
僕はその手を取ると、ふわりと抱き上げられた。そのまま大きくて豪華な建物の中に入って行く。
案内する人に続いて、しばらく広い廊下を歩くと、ある部屋に通された。ソファに僕を抱いたまま、カイルさんが腰を下ろす。膝に乗った状態の僕の腰に手を回し、片手でフードを取ってくれた。
「できるだけ人目につかずに、連れてきたかったんだ。窮屈な思いをさせてすまない。」
「大丈夫です。ありがとうございます。」
少し周りを見渡すと、ヨーロッパのお城みたいな部屋だった。そこまで煌びやかさはないけれど、とても豪華だ。
「陛下、王様のことだが、怖がらなくて大丈夫だ。聞かれたことには正直に答えてくれていいからな。」
「はい。頑張ります。」
緊張している僕より、カイルさんの方が心配そうな顔をしている。
すぐ脇にあった水差しから片手で器用に水を注いで、渡してくれる。冷たい水を飲んで体を預けていると、気分も大分回復した。
しばらくしてドアがノックされて開くと、どことなくカイルさんに似た、威厳のある黒髪の男性が入ってきた。
カイルさんと同じような軍服を着ているが、装飾が少し多い。
「陛下がお待ちだ。行くぞ。」
僕の方をちらりと見て、カイルさんを促した。膝に乗ってるのを見られてしまった。慌てて膝から降りて、フードを被り直した。
「大丈夫か?」
心配ですという顔のカイルさんにしっかり頷く。そっと笑って手を繋いでくれた。
この世界に来て初めての外出だ。丈の長い上着を着て、フードを目深に被る。
優しい人たちに囲まれていたけど、僕は隠さなきゃいけない、異質な存在なんだと改めて突きつけられた気分がした。
言葉少なに馬車で王宮に向かう。慣れない乗り物と緊張からか、気分が悪い。
「ハルカ、もう少しだが、気分が悪いんじゃないのか?顔色が良くない。今日はやめてもらうおうか。」
並んで座っていたカイルさんが、そっと頬を撫でてくれる。そう簡単に偉い人との予定をキャンセルできないはずだ。
「大丈夫です。緊張してるだけです。」
カイルさんは何も言わず、僕を引き寄せて膝に横坐りにさせた。
体格差があるから、カイルさんの胸にすっぽりと僕は収まってしまう。軽く抱き込み、背中をゆっくりしたリズムでぽんんぽんと叩いてくれる。
小さな子供みたいだ。
今は着くまでだけと、僕は素直にその胸に甘えた。
ほどなくして馬車が止まった。カイルさんの胸に顔を埋めていたので、外の様子が分からない。
顔を上げるとカイルさんが安心させるように、フードをずらして額にキスを落とす。留め具を確認され、さらにフードを目深に被らされる。
一旦僕を膝から降ろしたカイルさんが、馬車の外から僕に手を伸ばしてくれる。
僕はその手を取ると、ふわりと抱き上げられた。そのまま大きくて豪華な建物の中に入って行く。
案内する人に続いて、しばらく広い廊下を歩くと、ある部屋に通された。ソファに僕を抱いたまま、カイルさんが腰を下ろす。膝に乗った状態の僕の腰に手を回し、片手でフードを取ってくれた。
「できるだけ人目につかずに、連れてきたかったんだ。窮屈な思いをさせてすまない。」
「大丈夫です。ありがとうございます。」
少し周りを見渡すと、ヨーロッパのお城みたいな部屋だった。そこまで煌びやかさはないけれど、とても豪華だ。
「陛下、王様のことだが、怖がらなくて大丈夫だ。聞かれたことには正直に答えてくれていいからな。」
「はい。頑張ります。」
緊張している僕より、カイルさんの方が心配そうな顔をしている。
すぐ脇にあった水差しから片手で器用に水を注いで、渡してくれる。冷たい水を飲んで体を預けていると、気分も大分回復した。
しばらくしてドアがノックされて開くと、どことなくカイルさんに似た、威厳のある黒髪の男性が入ってきた。
カイルさんと同じような軍服を着ているが、装飾が少し多い。
「陛下がお待ちだ。行くぞ。」
僕の方をちらりと見て、カイルさんを促した。膝に乗ってるのを見られてしまった。慌てて膝から降りて、フードを被り直した。
「大丈夫か?」
心配ですという顔のカイルさんにしっかり頷く。そっと笑って手を繋いでくれた。
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