拾われた後は

なか

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15.尻尾はありません

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   エミリオさんはなんだか固まっている。小さい女の子と思われてたのか、さすがにショック。
   確かにこの国の人たちよりかなり小さいみたいだし、どちらかと言うと童顔だけど、今まで女の子と間違われたことなんてなかったのに。

   ショックを受けている僕を他所に、カイルさんが簡潔に、昨日出会った時のことを説明した。


「ごめんねぇ。かわいいからさ。」

   いつの間にか復活していたエミリオさんに笑顔で言われても、慰めになりません。

「耳も違うね。あ、尻尾ないの?」

「はい。あっ、でも確か大昔、尻尾があった跡だっていう骨はあります。」

   尾骨って骨だよね。全然悪びれてないエミリオさんに怒ってても仕方ないし、気を取り直して話をする。

「えっ、そんなのあるの?見せて見せてー。」

「ダメだ。何言い出すんだ。」

   僕が返事をする前に、カイルさんが答える。確かにいきなりお尻出すのどうかと思うよ?

「僕もお断りします。」

「しかし、そんなものがあるんだな。昨日見た時は気づかなかったが。」

  不貞腐れた顔したエミリオさんをよそに、カイルさんも興味深げに聞いてくる。

「多分小さい骨だし、見ただけじゃ分からないものだと思います。触るとこれかなってなくらいで。」

「ちょっと、待ったー!」

   いきなり大きな声でエミリオさんが叫ぶ。

「昨日見たってどういうこと?おふたりさん。身体検査でもしたのかなぁ。」

「えっ。」

   昨日のお風呂でのことを急に思い出す。そうだ呑気に答えてたけど、恥ずかしい。
   顔がかーっと赤くなるのが分かって、言葉が出ない。

「ちょっと!カイル!こんないたいけな子に出会った日になんてとしてんの!スケベ!!変態!!犯罪者!!鍛錬バカ!!」

   僕の反応にエミリオさんが何か勘違いしたのか攻め立てた。

「お前が考えてるようなことは何もない。どさくさに紛れて罵倒するな。」

「えー。ほんとにぃー?」

   何故か僕の方を向いて確認してくる。余計なこと言うと、なんだかややこしくなりそうな気配がするので、ぶんぶんと頭を縦にふる。


「まあ、おいおい聞くか。
で、ハルカくんはどうするの?王宮には連れてかなきゃでしょ?」

  え、僕、どこかに行かなきゃいけないのかな?
   不安になって隣のカイルさんを見上げる。そっと頭を撫でてくれる。

「一度は御目通りをしなくてはならないだろうが、しばらく落ち着くまでは待って頂く。ハルカのことは保護した俺が責任持って面倒をみる。」

「ふーん……。」

   言い切ったカイルさんに、エミリオさんは何か言いたげだったけど、それ以上何も言わなかった。   

   その後、エミリオさんは夕飯を食べて、帰って行った。ご飯食べに寄っただけなのかな。

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