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40.決意 ※
しおりを挟む※後半暴力的な表現があります。お読みになるかは、自己責任でお願い致します。
数日かけて皆への手紙を書いた。まだまだ、字も下手だし文章もつたないけど、ひとりひとりに向けて一生懸命、感謝の気持ちを綴った。
カイルさんへの手紙は悩みに悩んで、ひどく素っ気ないものになってしまった。
今日はカイルさんは帰りが遅くなると言っていた。
夕飯の準備を手伝った後、部屋を整えた。マリアさんにはカイルさんが帰ってきてからご飯にするから、それまで呼ばないでとお願いした。これで夜までは僕がいなくなったことに気づかれないはずだ。
掌に収まる位の、小さな毛でつくったボールを大事にポケットに入れた。つけ耳を作った時に残ったものをボール状にしたものだ。これをだけは残していきたくなかった。
裏庭に続くポーチから回って、誰にも見つからないように、こっそり外に出た。
どこに行くか考えていた時に、以前あの女の人が言っていた、教会という言葉を思い出した。
調べてみると、孤児や生活に困った人を保護したりしているらしい。確証はないけれど、教会に行ってお願いして、受け入れてもらおうと考えた。
夜市に行った時、あの広場に面してあった教会を目指す。馬車には乗ったけど、僕の足でも行ける距離だった。
1時間半ほど歩いただろうか、広場が見えて来た。薄暗くなってきた空を見上げると、あの時見たのと同じ、夕焼けが遠くに広がっていた。
自分で決心したのに、隣にいない人のことを思うと泣きそうになる。涙を堪えて、教会を目指してそのまま進む。
「あれぇ、この前の子じゃない。」
小さな路地の方から、声をかけられる。不思議に思ってそちらを見ると、夜市の時に絡まれた男だった。
急いで通り過ぎようとするが、すぐに路地から出てきた男に腕を捕まれた。
「そんなに急いでどこ行くわけ?」
「離してください。」
「そう言わずに、俺らとちょっと遊ぼうよ。ほら、こっち来いよ。」
「離してくださいっ。」
振り払おうとするが、ずるずると引き摺られそうになる。掴まれた腕が痛い。薄暗い路地から、もう一人の男がニヤつきながらこっちを見ている。
夕飯の時間だからか、周りには人がいない。
「僕、お金持ってませんからっ。離してっ。」
「金?そんなのいいから、抵抗すんな。」
もう片方の手で口を塞がれ、どんなに足掻いても、ずるずると路地に引きずり込まれてしまう。もう一人の男にも腕を取られ、どんどん奥の方に連れていかれる。
小さな小屋みたいな建物に放り込まれる。
「痛っ。」
とっさに付いた手が擦りむけ、血が出る。
起き上がって逃げようとするが、左頬に受けた衝撃に斜め後ろに倒れこんだ。
左頬がジンジン熱を持ち、叩かれたのだと分かる。
「お前、顔はやめてあげなよ。かわいい顔が台無しになるじゃねーか。」
「うるせーよ。」
暴力になんて屈したくない。けれど、恐怖で体が竦んだ。何をされるか分からないけど、隙をついて逃げなきゃ。
2人を睨みつける。近付いて来た男が手をあげる。咄嗟に両腕で頭を庇うが、男の手はシャツを掴み、上着諸共、嫌な音を立てて破かれた。
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