拾われた後は

なか

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17.ばれました

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   この世界に来て5日が過ぎた。
   なぜかずっとカイルさんのベッドで寝ている。そして毎日お風呂1人で入れるか問題は継続している。

   マリアさんに色々教えてもらったり、クロスさんの手伝いをしたりして、日中過ごす。カイルさんが帰ってきて夕飯。お風呂の後カイルさんと一緒に寝て朝食を食べて、お見送り。 
   それが今の僕の1日だ。


   今まで分かっていること以外に、特に迷い人のことについては進展がない。
   1人で過ごしていると、突然怖くなることがある。そんなことは誰にも話していないけれど、みんなとても優しくしてくれる。

   今日はカイルさんはお休みだれけど、何かわかるかもしれないと、朝からどこかに出かけていった。

   僕は留守番だ。お休みまで僕のために頑張ってくれているカイルさんのためにも、お昼の準備を手伝う。手伝いにも少し慣れてきたからか、具沢山のポトフみたいなスープの味付けを任せてもらえた。


   昼食の時間を過ぎて、カイルさんが帰ってきた。玄関で出迎えると、少し耳がしょんぼりしている。

「お帰りなさい。あの、収穫なかったんですね?」

「すまない。」

「謝らないでください。お休みの日にまでありがとうございます。
   そうだ、お腹すきましたよね。ご飯食べましょ!」

   申し訳ない顔をしたカイルさんには、がっかりした顔を見せたくなくて明るく言う。

「まだ食べていなかったのか?」

「はい、待ってました。」

   笑顔で言うと、カイルさんは一瞬辛そうな顔をして、すぐに優しく笑い僕の頭を撫でた。


   ラフなシャツ姿になったカイルさんと、2人でお昼を食べた。
   カイルさんがスープに口をつけるのをドキドキしながら、そっと伺う。一口飲んだ時、ちょっと表情が動いた。

「いつもと少し味が違うな。」

「お口に合いませんか?」

   クロスさんは美味しいって言ってくれたけど、心配になってしまう。

「いや、とても美味しいよ。」

「……よかったぁ。」

   思わず言葉がもれてしまった。カイルさんが不思議そうに僕を見る。

「もしかして、」

「……すみません。クロスさんにお願いして、料理を手伝わせてもらっていて。」

「いや謝らなくていい。クロスが許可したなら問題ない。でも、どうして。」

「あの、何もしないでお世話になっているのが、どうしても、申し訳なくて……、直接お願いしたんです。気にしなくていいって言われてたのに、勝手なことしてすみません。」

   この家の責任はカイルさんにあるし、内緒でやることではなかったかもしれない。頭を下げて謝る。

「そうか、家にいるだけではつらいよな。配慮が足りなかったな。」

「いえっ!僕が勝手に。すみません。」

「いや、いいんだ。クロスも喜んでるだろう。ただし、無理のない範囲で頼むな。」

   僕の気持ちを尊重してくれたことが嬉しくて、ぶんぶん頷く。


   カイルさんは僕が作ったスープをお代わりして、たくさん食べてくれた。僕は胸がいっぱいで、なんだか食が進まなかった。

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