将軍の宝玉

なか

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13.寝顔

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   屋敷に帰り一旦軍服に着替えてから、仕事に出かけた。執務室で勤務していたレイノルドを捕まえる。
   今日は休日で出ないと告げていたため、何か言いたそうだったが、俺の顔をみて今は黙っておくことを選んだようだ。

   先程の5人組のことを簡潔に伝え、いくつか指示を出す。その後、一次報告を受け、机の上に提出されていた書類に目を通していたらかなり時間が経ってしまった。


   あらかた片付いたため、レイノルドに帰宅する旨を告げに行く。

「せっかくのお出かけだったのに、残念だったね。さらに、またしても置いてかれて、奥方かわいそうに」

「ちゃんとここに来ることは伝えてきた」

「もう!そういうことじゃない!1人で怖くて泣いちゃってたらどうするのさ」

   そう言われ、先程のシェリルノーラのことを思い出す。野盗自体に怯えた様子はなかった。意外に肝は座っているのかもしれない。
   それよりも俺のことを心配しているようだった。

「あー!今、にやってした!何思い出してんの?やーらーしーいーー!」

   顔に出したつもりもニヤリとしたつもりもないが、妙に聡いところのあるレイノルドは何か勘付いたようだ。頼りになるが、こうなるとめんどくさい。

「うるさい。お前はいつまでも子供みたいに」

「えー、理不尽!あ、子供と言えばさ、今度うちに奥方連れておいでよ。うちの子達も奥さんも会いたがってるしさ。久しぶりに来ない?歓迎するよ」

   レイノルドには3人の小さな子供がいる。シェリルノーラが子供が好きかは分からないけれど、いい気分転換になるだろう。

「ああ、考えておく」

   絶対だよーとの声を背中に聞き、部屋を退室した。あいつがシェリルノーラを見たがってるだけのような気もするが、安全な面でも問題ないし、次の休みにでも訪問出来ればいいか。
   そう思いながら足早に帰途についた。


   帰宅すると夕食には間に合う時間だったが、シェリルノーラの出迎えはなかった。聞けば、帰宅して湯浴み後部屋から出てきてないという。
   まさか、レイノルドの言葉の通り、1人になって怯えていたらと思い、そのままシェリルノーラの部屋の前まで急ぐ。

   ノックをするが返事がない。心配になって声を掛けてから扉を開ける。室内は静まり返っていた。
   奥まで入ると、ソファに蜂蜜色の髪が見える。回りこんで見るとシェリルノーラが眠っていた。

   久しぶりに外出して疲れたのだろうか、かすかな寝息が聞こえる。クッションに上半身を預けている。
   眠っているとよりあどけない。安心して自然と頬が緩む。見回すと近くに掛物を見つけ、そっと身体にかける。

   体力があまりないのだろうか。健康そうだが、無理をさせたのかもしれない。嬉しそうだったし、次回はやはりレイノルドのうちに行くのもいいかもしれない。


   起こさないようにそっと部屋を出る。階下に執事のダラスを見つけ、夕食はもう少し後で取ることを告げた。





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