上 下
20 / 41

透子 5

しおりを挟む
美冬の招集で、週明け早々にまた新聞部の部室でランチ。
目黒先生、あたしも苦手、目つきが嫌い。
その目黒先生がくれたっていう封筒には、某水質調査研究所からの伊東美緒様宛の封筒や、地図やデータなんかがはいってて美冬がみんなに回す。

「で、これはどういうことになるの?」
悠はざっと資料に目を通して美冬に聞く。

美冬が地図を広げる。
「これが大野川で、ここが地点A、ここがB、ここがCね。Aの数値は問題なし、Cもなし、でもBだけはほら、シアンの数値が高いの、わかる?」
地図と、封筒にはいってた分析結果の数値を見比べる。
「うん、ほんとだ」
「でね、ちょうどBのこのあたりが、封筒の住所、先生の自宅みたい。だから異臭なのか何なのかはわからないけど先生が何かに気がついて川の水を調べてみたのかなって思ってるの」
「この数値ってまずいの?大問題になって誰かが口封じしなければって思うような大変な話なのかな」
「ほら、こっちの資料見て?この数値だと基準値の10倍だから、行政指導とかははいるんじゃないの?わかんないけど工場の操業停止とかになる数値なのかも」
「え、どこの工場の話なの?」

「ごめん、先走っちゃったね、このB地点のほらここ、ここが牧産業の大野工場。ここでは主に塗料とか樹脂製品作ってるみたい。ここからの排水って考えたんじゃないかな、伊東先生。だってほら、地図のここに薄くマークついてる、この工場のところに」

「わ、ほんとだ、え、これってやばい話?よく目黒先生あっさりくれたね」

「うーんでも、牧産業なんてうちの自治体にとっては大事な企業だよ?指導はいったとしてもたいした処分になんてならないと思うし、そんな大事とも思えないんだけどなあ。やっぱりこの線が無関係かどうかもふくめて、ちょっと、牧雪彦に聞いてみないわけいかないかな。でもお父さんの工場の排水とか河川の汚染について聞いたって何も知らないと思うんだけど」

「あ、牧雪彦ってあの美冬のお気に入りの後輩か」

「もう。別にお気に入りじゃないって!とにかく優秀な後輩ってだけだよ。わたしの中での次期部長候補なんだけど、彼と揉めることになったらどうしよ。で、あとは伊東先生の彼氏の話と、いろいろ書いてったって手帳の話も気になってる。つきあってた相手は誰かってのは諸説あるみたいなんだけど夏休みくらいによく二人で歩いてるところ見られてるみたい」

あ、今言わなきゃ言う機会をまた逃しちゃう。
「うん、あたしも見たよ、バイト帰りに二度ほど。伊東先生が二人で歩いてるところ」

「え?なにそれ、で、相手は誰?」

「二回とも千葉先生と、だった」

悠が固まる。

だから、言いたくなかったんだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

たとえ性別が変わっても

てと
BL
ある日。親友の性別が変わって──。 ※TS要素を含むBL作品です。

私立桃華学園! ~性春謳歌の公式認可《フリーパス》~

cure456
青春
『私立桃華学園』  初中高等部からなる全寮制の元女子校に、期待で色々と膨らませた主人公が入学した。しかし、待っていたのは桃色の学園生活などではなく……?  R15の学園青春バトル! 戦いの先に待つ未来とは――。

修行のため、女装して高校に通っています

らいち
青春
沢村由紀也の家は大衆演劇を営んでいて、由紀也はそこの看板女形だ。 人気もそこそこあるし、由紀也自身も自分の女形の出来にはある程度自信を持っていたのだが……。 団長である父親は、由紀也の女形の出来がどうしても気に入らなかったらしく、とんでもない要求を由紀也によこす。 それは修行のために、女装して高校に通えという事だった。 女装した美少年が美少女に変身したために起こる、楽しくてちょっぴり迷惑な物語♪(ちゃんと修行もしています) ※以前他サイトに投稿していた作品です。現在は下げており、タイトルも変えています。

坊主女子:髪フェチ男子短編集【短編集】

S.H.L
青春
髪フェチの男性に影響された女の子のストーリーの短編集

パワハラ女上司からのラッキースケベが止まらない

セカイ
ライト文芸
新入社員の『俺』草野新一は入社して半年以上の間、上司である椿原麗香からの執拗なパワハラに苦しめられていた。 しかしそんな屈辱的な時間の中で毎回発生するラッキースケベな展開が、パワハラによる苦しみを相殺させている。 高身長でスタイルのいい超美人。おまけにすごく巨乳。性格以外は最高に魅力的な美人上司が、パワハラ中に引き起こす無自覚ラッキースケベの数々。 パワハラはしんどくて嫌だけれど、ムフフが美味しすぎて堪らない。そんな彼の日常の中のとある日の物語。 ※他サイト(小説家になろう・カクヨム・ノベルアッププラス)でも掲載。

ダニエルとロジィ〈翼を見つけた少年たち〉 ~アカシック・ギフト・ストーリー~

花房こはる
青春
「アカシック・ギフト・ストーリー」シリーズ第6弾。 これは、実際の人の過去世(前世)を一つのストーリーとして綴った物語です。 ロジィが10歳を迎えた年、長年、病いのため臥せっていた母親が天に召された。 父親は町の有名な貴族の執事の一人として働いており、家に帰れない日も多々あった。 そのため、父親が執事として仕えている貴族から、ロジィを知り合いの所で住み込みで働かせてみないか?しっかりした侯爵の家系なので安心だ。という誘いにロジィを一人っきりにさせるよりはと、その提案を受け入れた。 数日後、色とりどりのはなふぁ咲き誇るイングリッシュガーデンのその先にある大きな屋敷の扉の前にいた。 ここで、ロジィの新たな生活、そして、かけがえのない人物との新たな出会いが始まった。

ずっと君のこと ──妻の不倫

家紋武範
大衆娯楽
鷹也は妻の彩を愛していた。彼女と一人娘を守るために休日すら出勤して働いた。 余りにも働き過ぎたために会社より長期休暇をもらえることになり、久しぶりの家族団らんを味わおうとするが、そこは非常に味気ないものとなっていた。 しかし、奮起して彩や娘の鈴の歓心を買い、ようやくもとの居場所を確保したと思った束の間。 医師からの検査の結果が「性感染症」。 鷹也には全く身に覚えがなかった。 ※1話は約1000文字と少なめです。 ※111話、約10万文字で完結します。

彼氏の前でどんどんスカートがめくれていく

ヘロディア
恋愛
初めて彼氏をデートに誘った主人公。衣装もバッチリ、メイクもバッチリとしたところだったが、彼女を屈辱的な出来事が襲うー

処理中です...