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しばらく作品の話をあーでもないこーでもないって話して、急に楓がいい出した。

「星、見に行くか?」
「えっ星?」
「この時間ならちょうどいい今から暗くなるし。今だと土星が見やすい位置にいるしな」
「えーそうなんだ。詳しいんだ」
「詳しいってことない。地学もとってないしむしろ苦手。ただ見るのは好きだし、そんないいやつじゃないけど望遠鏡あるから担いで見にいこうぜ」
「土星なんて見たことないや。考えたこともない」
「惑星はあかるいから目立つよ。すぐわかる。久しぶりだな楓と星見るの」

瀬川、楓と見たことあるのか。


瀬川と楓のこだわりのままちょっと遠くまで歩かされたせいで、いい感じに暗くなってる。雲ひとつない夜空ってわけでもないけど、楓いわくちょうどいいあたり、南の空の一帯は雲がなくてラッキーだったらしい。瀬川と楓は手慣れた感じで黙ってもくもくと望遠鏡を組み立ててる。あたしは何の役にもたたなくてちょっと手持ち無沙汰気味。しばらくして、楓に呼ばれて、一生懸命調節してくれてた望遠鏡をそっとあたらないように覗き込む。輪っかがくっきりじゃないけどぼんやりとみえる。ホント土星じゃん。すごい。

「こんなふうに見えるんだ。あそこに見えるあれが土星なんてびっくりなんだけど」
「まじで晶ド文系だよな。全然興味ない?星空とか」
「うん。見上げもしないレベルかも。いやでもちょっと感動。土星なんて教科書の写真でしかイメージしてないから、リアルとリンクするっていうのが不思議。だって、あれでしょ?」
「なんだそれ。あれだよ。あれもあっちのも教科書にものってる恒星だって」
「うわー不思議。面白いね」
「面白い?その反応のが面白いわ」
「冬はペルセウス座流星群としぶんぎ座流星群が見れる。また見に来ようか」
「なにそれしぶんぎ座とか聞いたこともない」
「それは許す。マイナーだし。いい時間帯とか調べとくわ」
「晶はあれだよな、得意ジャンルの時は強気でガンガン来るのに、自分の苦手ジャンルになると人格変わるよな。無口ってほどじゃないけど、急に妙におとなしくなる。なんか違う」
「そう?全然意識してないけど」
「あーわかるかも。素直バージョン?」
「もうなにそれ意味不明なうえに、ちょっときもいよ」
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