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第一部 一章【大切な彼女と過ごす、第二の人生】
お友達の神聖。間の悪いユニコン(*後半妖精剣士ジェスタ視点)
しおりを挟む『心の友よ! 友よ! お前と会える日をどれほど待ち望んだことか! 嬉しいぞ! オレは嬉しいぞ! ガァァァ! ガァァァ!!』
巨大な灰色の龍は山よりも大きな身体をクネクネさせながら、喜びを表現する。
その度に激しい旋風が起こるものだから、幾らアンチウィンドマントを装備していてもたまったものではない。
「お、落ち着け、ガンドール! まずは落ち着け! 俺たちを落下させるつもりか!?」
『お、おお、そうか……つい興奮してしまってな。すまぬ…』
ガンドールはようやくクネクネをやめてくれ、一安心だった。
身体を動かすだけで、軽い嵐を発せさせてしまう……さすがは大地動転の力を持つとされる、大神龍だとノルンは思った。
『しかしこのオレでも、最初はお前があのバンシィだとはわからんかったぞ。いつも装備していたカッコ良い鎧はどうしたのだ?』
「……色々と事情があってな。今は鎧を脱いでいる」
『そうか。あの真っ黒な鎧姿もカッコよかったが、素顔もなかなか……ふぅむ……鋭い面構えだ。オッケー!』
大神龍ガンドールとはウェイブライダ竜神一族の守り神で、一度は竜人闘士デルタと共に敵対し、世界の命運をかけて戦ったことがあった。
しかし以降は互いの力を認め合い、友としての付き合いをしている。
『ぬわっはっはっは! 今日はまさかバンシィと会えるとはな! 最高だ! 今日は最高だ! 心がバーニングラブだぁ!』
「そ、そうか……ありがとう」
もっとも動くだけで天変地異を発生させるような輩なので、会うのは本当にたま。
しかも、高い山の上や、空の上だけである。
本当は魔王軍との戦いに参加してくれれば、大戦は即終結させられるのだが……神様独特のルールなのかなんなのか、そういうことには介入できないらしい。
『さぁ、久方ぶりの再会だ。なにをするか? 戦うか? 語らうか?』
「そうしたいのは山々だが、今は可及的速やかにしなければならんことがある」
『なんだ、そうなのか……』
「申し訳ないが、お前の力を借りたい」
一瞬しょげた様子をみせたガンドールだったが、ノルンの言葉を受け、顔へ皺を寄せた。
喜んでいるのは分かるが、正直無茶苦茶怖い。
『おお、オレを頼ってくれるか! 心の友よ! 良いぞ、できることならなんでもしてやる!』
「た、助かる!」
『まぁ、争いへの介入以外で、だがな。それで何が望みだ? 山を砕いてほしいか? 大地を引き裂くか? 大河の一本でもこしらえてみせようか?』
「……俺たちを、大陸の端にあるスーイエイブ州のゾゴック村まで飛ばしてほしい』
不穏な提案を一蹴し、端的に要件を伝える。
するとガンドールは牙を光らせながら、長い顔に皺を寄せる。
『そんなの容易いこと! しかしそんな小さなことで良いのか?』
「大丈夫だ! とても助かる! ありがとう!」
『代わりに今度ゆっくり、じっくりオレと頼むぞ? お前の魔力気配はオレをムズムズさせるのだ! バーニングラブ! なのだぁ!』
多分、ガンドールはノルンを相手に大暴れがしたいのだろう。
しかし聖剣を失って、今はただの人でしかないノルンが、どこまでガンドールを満足させられるか。
(とりあえず、帰ったらもう少し鍛えてみるか……)
そんなことを考えつつ、ノルンは手綱を操作して、オッゴと、尻尾で繋がったボルへ指示を出す。
ガンドールは首を下げ、渓谷よりも深く、巨大な口を大きく開いた。そこへオッゴとボルを移動させた。
「ガ、ガァ~……!?」
「クゥーン……?」
『別に食ったりなどせん。安心せよ、若き雌雄の飛龍よ」
巨大な喉の奥から、ガンドールの人語が響いてきた。
未だに口を動かさずどうして喋れるのかわからない。
『では、始めるぞ!』
「ガンドール」
『なんだ?』
「頼んだ上で申し訳ないが、少し遠慮を頼むぞ?」
『心得ておる。遠慮はしてやるし、この下はスイートウォーター山脈の頂付近だ。多少影響はあろうが、たぶん問題はなかろうて』
スイートウォーター山脈はエウゴ大陸を東西に分かつ険しい山脈だった。
その頂上とともなれば、数千メートル級で、人がいることはほとんどなく、ガンドールの凄まじいの力の衝撃が降り注いでも問題はないはず。
『では気を取り直して……始めるぞ、バンシィ! そして若き雌雄の飛龍達よ!』
ガンドールの声が、空気を、空を、口の前にいるノルン達を震撼させた。
巨大な喉の奥に妖艶な紫紺の輝きが沸き起こる。
輝きを浴びただけで、暴力的で、破滅的な、しかし暖かさを感じる力が全身を駆け巡る。
『とべ! 世界の果てまで! ガァァァァ――っ!!』
輝きが爆ぜ、紫紺の力の渦がノルン達を包み込んだ。
壮絶な光の渦が雲を割り、空を切り裂く。
ガンドールの吐き出した輝きは、ノルンやオッゴとボルを包み込み、一気に押し出した。
ノルンたちはガンドールの吐き出した力に押され、白夜の流星となって空を飛んで行く。
本来なら風圧で身体がバラバラにされてもおかしくはない速度だった。しかしあらゆる自然の理を無視するガンドールの力は、その風圧さえも霧散させてしまう。
速度は飛龍の最高速度の比ではない。
もはや周囲に何があるのかも判別できず、ノルン達は激しい力の中を突き進む。
「ふふ、はは、あははは! 良いぞ、相変わらず最高だぞ、ガンドール! これならすぐにスーイエイブ州へ到着だ! ふはははは!! あははは!!」
久しぶりに感じた強い力の奔流に、ノルンは興奮を叫び
「ククーン!(オッゴ君、怖いっ!)」
「ガ、ガガァー!! グガァー!?(だ、大丈夫だよボルちゃん! うわっ!?)」
「行け! 行け! もっと加速だ! ふははは!!」
雌雄の若き飛龍のカップルは、初めて感じる神聖の力にただただ身を強張らせるのみ。
そしてこの力は、地上へ重大な影響を及ぼしていたのだが……ノルンは知る由もなかった。
⚫️⚫️⚫️
真っ白な雪の上へ、頭に2本の角と背中に翼を生やした人影が過って行く。
「これは凄まじい……」
黒髪黒眼で蠱惑的な体つきの美しい女竜人は目下の雪をみて、そう零した。
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不審に思って向かった先が、ここスイートウォーター山脈の頂上。
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ふとジェスタは手甲に装着された、通話用魔石が輝いていることに気がつく。
そこへ僅かに触れると、接続を示す僅かな雑音が響き渡った。
『久しいなジェスタ! ユニコンである!』
ユニコンの声が聞こえた途端、ジェスタは明らかに不快感を見せた。しかし相手は仮にも皇子で、勇者である。
そして今の自分はその勇者に仕える三姫士の一人。
「ッ……そんな大声を出さなくても聴こえている」
『そ、そうか……』
「それで何用か、白の勇者殿」
ジェスタは怒りを堪えつつ、冷静に応えた。
『宴へ招待したいのだ!』
「宴だと?」
『うむ! 実は来週余の初陣と初勝利を祝う宴席を盛大に執り行うのだ! 我らは仲間! 世界の命運をかけて戦う同志! しかしながら我らは“白の勇者パーティー”を結成してから一度も集結してないではないか!』
「……」
『これは由々しき事態だ! しかし余は心が広い! お前たちも色々事情があるだろうから、これまでのことは不問とする!』
「……そうか、それは助かる」
『だからこそ、今回こそは是非余の宴へ参加してほしいのだ! 今、お前たちを盛大にもてなすために、兵や民を総出で準備を行っているぞ!』
「なるほど……だから兵の配置が薄くみえたのだな?」
『なぁに心配はいらん! 余は偉大なる勇者ぞ! どんな敵が現れようとも、余が全て倒して見せる! ふははは!」
「ふざけるな……」
『宴の件だがサブリーダーであるお前からアンクシャとデルタに伝えて欲しい! お前には敢えて伝えておくが、正直余はあの二人は少々苦手でな……』
「ふざけるな! この大バカ者め!!」
『――ッ!?』
遂に我慢の限界を超えたジェスタは魔石へ向かって叫んだ。
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「こんな状況で初陣の宴席だ! 何が兵と民総出で準備をしているだ! お前は勇者としての自覚はあるのか!?」
『な、なんだ、急に……?』
「今我ら三姫士はスイートウォーター山脈の頂上にいる。何をしているかわかるか?」
応えは無音。
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『な、なんと!? な、ならば、急いで兵を……!』
「バカ者! 潜伏していた軍団は突然発生した雪崩によってほぼ壊滅した! 我らはその後始末を終えたばかりだ!」
『そうか。それはご苦労……』
「もしもこの雪崩が無ければ、王都は伏兵によって壊滅していたところなのだぞ! この状況を把握せずによく呑気に宴席の準備などをできたものだな! この大バカ者め!」
『ぐっ……』
「お前からの誘いなど謹んで断らせていただく!」
『ちょ、それは……!』
「我らを舐めないで頂きたい! やはりお前は勇者の器ではない!」
ジェスタは思い切りそう叫んで、 一方的に通話を終了させるのだった。
「おいおい、勝手に通話止めるなよ。僕にも悪口言わせろよ。僕だってあの唐変木には言いたいことたくさんあるんだぜ?」
アンクシャは不満げに唇を尖らせ、
「勇者の癖に、ふざけているユニコン許すまじ! 王都に到着次第、我の爪で八つ裂きにする!」
デルタは腕を竜のソレへ変化させ、物騒な言葉を叫ぶ。
誰しもがユニコンを新たな勇者と認めてはいなかった。
黒の勇者バンシィの、突然の引退騒動には何か裏があると感じていた。
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ならばやはり、直接ネルアガマ王都へ出向き、国王とユニコンを問い正すしかない、と判断し向かっていた途中だった。
「しかし、今のガンドールが力を貸す相手と言えば……」
ジェスタは切なげに蒼天を見上げた。
胸が疼き、そして痛みに見舞われる。
「この上にいたのかもしれないね、アイツがさ……」
アンクシャもまたついこの間まであった、厳しかったが楽しい旅の日々が胸を過ぎる。
「バンシィ……我を使役しても良いのはお前だけ……ユニコンではない!」
デルタもまた悔しそうに手の竜爪を強く握りしめる。
誰もがバンシィに救われていた。バンシィが勇者だったからこそ、彼女達は運命を受け入れ、戦う決意を固めてた。
そして三姫士の誰もが、強く彼を想っていた――たとえ、その想いが"勇者の加護"や"盾の戦士:ロト"のために、彼に、バンシィには届かないと知っていようとも。
傍に仕え、一緒に戦えることさえできていれば、それで……
「行くぞアンクシャ、デルタ! 王都へ出向き真実を問いただそう!」
「そだねぇ。ユニコンとネルアガマ王のクソバカ共にゲロ吐かせてやろうぜ! ひひっ!」
「ユニコン、覚悟する! 嘘をつくようなら八つ裂きにする!」
運命の三姫士たちは、それぞれ涙を拭い、雪山を降りてゆくのだった。
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