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自分の気持ち

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それから僕達はかき氷を食べたり、遊んだりして宿に戻った。

「楽しかったね!」

宿で温泉に行く準備をしながら話す。

「うん!なんか久しぶりに思いっきり遊んだかも。」

「また来たいね!カインが即位する前に!」

ノインが後半を強調して言った。確かに、即位しちゃったらどこかに出掛ける時間はないだろうし、出掛けるなら学生の間になるね。

「なんとかして即位せずに済む方法はないかな?」

「ノインが即位したらカインは逃れれるよ?」

冗談ぽく言ったカインに優依がからかうようにそんなことを言う。

「えぇ!?私!?絶対嫌だよ!」

「ふふっ……執務をサボってはいけませんよ?未来の女王様?」

「ルークまでそんな事言わないで!?」

僕達がそんなことを話してるとクロノスさんが会話に入ってきた。

「今まで忘れてたが……お前ら、王族と貴族だったな……なんか貴族とかってもうちょっと気品があるだろうに……」

「僕達はONとOFFの切り替えてるだけだもん!しようと思ったら貴族っぽくなるよ!……多分……」

「おい……大丈夫かよ……」

僕は切り替えてるつもりなんだけど……周りにはどんな風に見えてるか分かんないし……

「ふふ…わたくし達も社交の場とプライベートの切り替えくらい出来ますわ。そうでなければ身が持ちませんもの。」

ノインが微笑み王族モードでそう言った。

「王女殿下の仰る通りですわ。あまり子供扱いしないでくださいな。」

優依も続いてにこやかにそう言った。……もしかしなくても順番に回ってくるよね……これ……

「社交の場においてこれくらいできないと足元を掬われるよ。社交界は子供だからといって子供扱いはしてくれないからね。」

カインは表情は笑っていて口調変わらないものの、王族としての気品や威厳に溢れてた。

「社交界では常に笑っていなければ王子殿下の仰るように足元を掬われます。貴族にとって笑顔は必需品です。笑顔以外を見せると貴族として終わるかもしれませんからね。」

僕も微笑みながらカインに続いてそう言った。

「…別人だな……」

「凄いわね!」

クロノスさんとルナさんがそんなことを言う。

「貴族社会じゃ当たり前だよ!そんなことより早く温泉行こ!」

「ルーク、お前なぁ………ハァ……行くか…」

「そうこなくっちゃ!」

そうして、僕達は皆で温泉に向かったのだった。



僕達はお風呂に入って軽く晩御飯を食べて寝る準備をしてる。

「俺、寝る前に風当たってくるわ。」

「僕もついてく!」

お酒を飲んでたクロノスさんが風に当たりに行くみたいだから僕もついていくことにした。

「……何でついてくるんだよ……面白い物なんてないぞ?」

クロノスさんがそんなことを言うけど知らんぷりをしてクロノスの横を歩く。



僕達が来たのは宿の裏手にあった小さな丘だよ。二人並んで座って何かを話すわけでもなくゆっくり時間が過ぎていく。

「……お前ら、あとどれくらいヤマトにいるんだ?」

クロノスさんが長い沈黙を破った。

「う~ん……一応、予定だと明後日までヤマトにいて明明後日ヤマトを出る予定だよ。」

「そうか……よし、俺もルナと相談してこれからの予定を決めないとな。」

「決めてないの?」

「まぁ……行き当たりばったりだな。予定って予定は決めてないぞ。お金は弱い魔物を地道に売って結構あるしな。」

「弱い魔物を地道に?…大変なんじゃないの?」

「まぁ…辺境だとな。王都で売ればそれなりで売れるさ。」

「あ……そうだった。」

僕は何となく時間が気になってシルファから貰った懐中時計を見た。時間は十時くらい。

「ふーん…可愛い嬢ちゃんだな。ガールフレンドか?」

クロノスさんが懐中時計を覗きこんだ。懐中時計には僕がプレゼントを受け取った時に見たシルファの写真を入れてるよ!僕が「ありがとう」って言ったら無邪気に笑ってて、その姿がとっても可愛かったんだ!だから、写真にして蓋の部分に入れたんだよ!

「ち、違うよ!この懐中時計をプレゼントしてくれた子だよ!」

「ふーん…で、何でその子の絵なんだよ?」

「えっと…どんな絵を入れようかな?って考えてたら頭に思い浮かんだからだよ?」

「好きなのか?」

「……え?」

クロノスさんの言葉に僕は僕自身に驚いた。

……え?シルファが?『好き』って友達とかじゃなくって?『好き』って……え?そういうこと?僕は、シルファのことが……

僕は自分の体温が上がっていくのを自覚した。

「くくく…自覚なかったんだな。赤くなりやがって。」

からかうようにクロノスさんが言う。

「い、言わないでよ!自分でも分かってるから!うぅ~……シルファにお礼渡そうと思ってたけど、どうやって会えばいいんだろ……」

「そうかそうか。シルファって名前だな。名字は…カインがネルフィンって言ってたな…よし、覚えたぞ。」

「うぅ~…やめてぇ~!」

僕はこの日、自分の気持ちを自覚したのだった……



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