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初めての王都

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目を覚ますともう朝だった。

「……悠真?もう朝?」

「うん、そうみたいだよ。おはよう、優依」

「おはよう、ルーク」

僕が起きてすぐ優依も起きた。
「コンッコンッ」とドアをノックする音がした。

「どうぞ~」

「おはようございます。ルーク様、ユイ様。朝の支度をお手伝いさせていただきます。」

そう言いながらキリクが入ってきた。でも…

「ううん、今日は大丈夫!優依もいるし僕達で準備する!」

「畏まりました。準備が出来ましたら食堂へ向かうように旦那様がおっしゃっておりました。」

「分かった!」



僕達は朝の支度を終わらせて食堂に向かう。

「「おはようございます!」」

「おはよう。ルーク、ユイちゃん」

「ふふっ。二人とも可愛いわ!」

「待ってたぞ!」

僕と優依も席に着く。

「よし、全員揃ったな。では、」

「「「「「「世界の神々に感謝を」」」」」」

「「いただきます!」」

皆でこの世界での「いただきます」をした後僕と優依は日本での「いただきます」をして食べ始める。

『ねぇねぇ。ルーク、ボクまだ眠い…』

「エル?もう少し寝とく?」

『うん、ご飯食べてからもうちょっと寝る~』

「分かったよ!」

「もぉ~!エルは可愛いなぁ。私犬飼ってみたかったから嬉しい!」

「優依、エルは狼だよ?」

『ボクも、優依とルークに飼ってもらって嬉しい!』

え?エル?それでいいの?優依は完全に狼のエルを犬扱いしてるよ?エルがそれでいいならいいけど…

「なぁ、そういえばよ、ルークは前世で死んだってことは聞いたけど、死因は聞いてなくて気になってたんだよなぁ。お前、本当に子供を助けて死んだのか?」

「う……そうです…」

カーズ兄様が本当に子供を助けて死んだのか確認するので僕は正直に答えた。
……あれ?僕自分の死因話してないのにどうして知ってるの?

「ふ~ん。なら俺、絶対ルークを刺し殺した男許さねぇ。」

カーズ兄様の言葉に家族全員が頷く。

「あのぉ~、どうして皆僕の死因を知ってるんですか?僕達何も話してないと思うんですけど…」

どうして知ってるの?

「だってぇ、全部聞こえてたもの~」

「「…え?」」

僕と優依の言葉が重なった。

「ルーク、昨日の夜、ユイちゃんに怒られてたでしょ?それが全部丸聞こえだったんだよ。」

「「えぇ~!」」

う~…昨日のあれが全部丸聞こえだったなんて…なんか恥ずかしい…

「もう~優依~!全部丸聞こえだったじゃん!恥ずかしいよ!」

「知らないよ!悠真が自分の命を捨てたのが悪いんだから!」

「えぇ~…」

それから少しの間、僕と優依の口論は続いたのだった。



そして六日後…
僕達は王都に着き、別荘にいた。
王都に来るまでの間は僕と優依は魔法の練習もしたし、父様に剣も教えてもらった。

「なぁルーク暇なんだけどよぉ、なんか楽しいことないか?」

「そんなことを言われても…」

父様は仕事、母様は昔からの友達のところにお茶会に行き、僕達子供組は何もすることがなくて暇だ。

「でも、暇は暇だよねぇ…」

「はい…」

う~ん…なんかないかなぁ。

「ルークとユイは前世じゃどんな遊びをしてたんだ?」

「それなら、私はゴム飛びとか竹馬とか…あとは百人一首かなぁ。」

カーズ兄様の質問に優依が答える。

「なら、ルークはどんな遊びしてたんだ?」

「僕も優依と同じようなものですね…。でも、優依。僕達、同い年でガッツリ平成生まれだよね?なんか古くない?何か他にもあると思うんだけど。確かに僕もゴム飛びとかしてたけどさ…」

「あーやっぱり?私も自分で言って思ったよ。」

僕達ガッツリ平成生まれのはずなのに何故か遊びが昭和なんだよね…

「よく分からないけど室内で出来る遊びはないかな?」

「百人一首なら室内でも出来ますよ!」

「けど、百人一首は百個の詞(うた)を覚えないといけないから百人一首の読み札で坊主めくりかな?」

「うん、それでいいと思うよ。」

初めて札を見るのにいきなり百人一首なんて出来ないからとりあえず坊主めくりをすることになった。


「準備出来ましたよ!早く始めましょう!」

読み札をテーブルの上に裏を向けて積み重ねた。
兄様達にルールを説明してゲーム開始!



坊主めくりを何回か楽しんだ。

「単純で面白いけどなんか飽きたなぁ。さっき言ってたヒャクニンイッシュってどんなのなんだ?」

というカーズ兄様の疑問に話すより見てもらう方が早いと思った僕と優依は一回兄様達に百人一首を見てもらうことにした。









 

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