クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~

はなとすず

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勇者が屋敷に着きました

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あれから2日後……

俺の熱も下がり、伯爵邸では使用人さん達が勇者達を出迎える準備をしている。到着は夕方で、明日から会議が開かれるそうだ。しかも、勇者達は王都に滞在中、このルイファ伯爵邸に泊まるらしい。

……気まずいよなぁ……

「ヒビキ様、勇者様方のお出迎えを始めましょう。」

「え?俺もですか…?」

使用人さんの言葉に思わず?がついた。

「ええ、もちろんです。伯爵家の関係者として、世界を救ってくださる勇者様方に無礼がないよう、しっかりと着飾りましょうね。」

……これ、絶対楽しむつもりだ……

ニッコリとしているが、その笑顔が俺にはとても怖く見えたのだった……





1時間ほど、使用人さんの着せ替え人形にされ、やっと今日の服が決まった。

……結局、黒で統一されたシンプルな服になったんだよな……なんのための1時間だったんだ……

使用人さん曰く、『ヒビキ様のような気品もあり整ったお顔立ちの方はそのままで良いのです!一番輝いておられます!』

とのことだ。……全部心当たりないけどな……

ちなみに、服はグレイスさんからのプレゼントらしい。

「ヒビキ様は試着が終わりましたし、スイ様の試着の様子を見に行かれますか?」

「はい、そうさせていただきます。」

「では、ご案内致します。」



「こちらです。」

「ありがとうございます。」

スイが試着をしている部屋を使用人さんに案内してもらい、部屋に入る。

「………………え?なにこれ……」

俺は部屋に入るなり唖然とした。だってそこには、女の子が着るドレスが大半で、男の子が着るようなズボンはほんの少しだったからだ。

「あっ!ヒビキー!」

「おっと…」

「みてみて!すごいよ!おようふくがいっぱい!アイシャがまだちっさかったころのだって!」

「そ、そうか……アイシャさんの……」

だからこんなにあるのか…………じゃなくて!

「あっ!きょうきるのはこれだって!」

「そうか……」

よかったぁぁぁぁぁ!実際に着るのは男の子用か……つまり、スイは使用人さん達の遊びに付き合ってるのか……

「ふふっ、スイ様はとても可愛らしいですからついおふざけがすぎてしまいましたわ。」

「どれを着せてもすごくお似合いなんですから。」

「そ、そうですか……」

俺も、これ以上は何も言えなかった。なぜなら…………

スイに女の子の服が想像以上に似合っていたからだ!ヤバイ!可愛すぎるだろ!

「えへへ~!」

やっぱ俺のスイが一番だな!





そして夕方……

着せ替え人形になってから数時間が経ち、今は17時くらいになった。王都の門番から勇者達が到着した知らせが入り、使用人さんを含む俺達は伯爵邸の前で勇者達を出迎える準備をしている。

「あ、あの……ギルアスさん…」

「ん?どうした?」

「えっと……勇者達の出迎えなんですが…俺は後ろの方にいてもいいですか……?」

このタイミングで俺と顔を合わせると北条さん達も驚くだろうし……

「いいぞ。ただ、夕食後の顔合わせの時はちゃんと顔を見せろよ?」

「はい、分かりました。ありがとうございます。」

よかった……

少しほっとしていると、王都の衛兵の声がした。

「ルイファ伯爵家の皆様!勇者様方が参られました!」

その声を聞くと全員が一斉に頭を下げた。俺もこうなるような気はしていたので一緒に頭を下げている。

「えっ!?」

エレンさんも周りを見て慌てて頭を下げた。スイも見よう見まねで頭を下げている。

門が開き、大きめの馬車が3台入ってきた。

学校のクラス割りは確か1クラス30人……1台に10人ずつか……

先頭の馬車のドアが開き、勇者…もとい北条さん達が降りてきた。

「お初にお目にかかります、勇者様方。私はルイファ伯爵家当主の、グレイス ルイファと申します。古代竜討伐の作戦の間、よろしくお願いいたします。」

グレイスさんが挨拶をすると北条さんも続けて自己紹介をした。

「はじめまして、ルイファ伯爵様。私はリーダーの北条 茜です。気軽に茜と呼んでください。私達も作戦は全力で参加させてもらいます。こちらこそよろしくお願いします。」

「では、『アカネ様』と呼ばせていただきます。アカネ様方も私のことは気軽にお呼びください。」

「分かりました。他の者はまた後ほど紹介させていただきます。私達は人数が多いですから一度に覚えるのは大変でしょうから。」

「では、夕食の後、一度顔合わせをするとして、夕食までは自由時間にでもしましょうか。皆様も慣れない旅で疲れたでしょう。夕食までは部屋で休んでいただいても大丈夫ですし、体力に余裕があるなら街の散策に行くのもいいかもしれません。」

「そうですね、ありがとうございます。」

ここまで話すと北条さんはクラスメイトの顔を見て、次はクラスメイトに話しかけた。

「みんな!今から夕食までは自由時間だから好きにしてていいけど伯爵家の人達に迷惑かけないようにね!」

『オッケ~!』

なんか返事軽くね!?

「アハハ……本当に分かってるんだか……」

北条さんはクラスメイトからの返事を聞いて苦笑いしながら小さく呟いた。
    
…………うーん……なんていうか……うん!北条さんも結構苦労してそうだな!



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